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異世界転移 〜神様からの招待状〜  作者: 菜月 水仙
序章 従者達の鎮魂歌
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第2話「世界の分岐点」

九日間の投稿よろしくです

第2話「世界の分岐点」


はてさて皆さんに言いたいことがある。俺は推定だが既に12時間歩いた、まぁ理由の1つは夜が来たからという一点なのだが…それでも言いたい。


「なにここ!木々しか無いの!?いや確かに見たことない植物生えてますよ?けどそのタネが透明ってそんな植物あってたまりますか!!」


確かに歩いた、足が痛くなるほど歩いた。しかし眼前は変わらず草木が永遠と続く、確かに最初の1時間はこれでも耐えれた。しかしこうも景色が変わらないと歩く気力もなくなるものだ。


そこから11時間歩いたんだ、褒めて欲しい!驚いて欲しい!!人間が一日中歩ける距離はたかが知れてる、ましてや電車も車も自転車もないこの森の中を歩いたんだ。


「…結局のところ川がないか探してただけなんだよね」


そう言い顔を反射させる水を手で掬い口元へ持っていく。12時間ぶりの水だ、体に染み渡らないわけがない。


「取り敢えず川の場所まで来れた、問題は水があっても人は最低一週間しか生きれない点か」


手元に残った水を地面に落とし俺はその場から遠ざかる。今俺の脳に浮かぶ言葉は「食料」と「寝床」いわゆる衣食住の後半2つだ。

寝床に関しては地面に寝るのもいいがここにも軍隊アリみたいな生物がいたら死ぬ。まぁそもそもの食糧がなきゃ話にならないがな…


そんなことを考えていたからこそ後ろから俺を眺め、警戒している者に気づけなかったんだろう。


ーーー


「武器…武き…ぶ器…ぶき…武器かー…」


今まで通ってきた道に剣や斧なんて大層なものはない、落ちてたのは枝と葉のみ。あと言うならば透明な植物と昔あったとされる檜?という木のみだ。


「ねぇーよなー、そんな都合のいい話。それこそどこか街に呼ばれた方g…いや言語違うかも知れないしそれこそ最悪の事態が来るか…」


たらればを口から垂れ流しブツブツと独り言を唱える姿はまるでボッチのオタk…ゲフンゲフン

残業に追い込まれて精神的に病んでるサラリーマンのようだ。

え?表現が悪化してる?そんなの受け取る側の問題さ、俺には関係ないね。


「ところで…ざっと川の近く歩いたけどほんと変化がないな…」


あっちに川があると覚えずに川のせせらぎが聞こえるところで探索をやめている。音が聞こえる方へ戻れば水が飲める。このアドバンテージは心にゆとりをくれる。


「…だからと言って肉とか食いたいな」


人間、食欲と睡眠欲と性欲。この3つが原動力となるが今はとても邪魔臭い。

そんな雑念に心が阻害されていた時、視界の端に2つの影が見え伏せた。


「…!?」「…」


遠くから聞こえたその言葉は理解できるものではなかったがあの慌てっぷりからして内容は推測できる。多分

「奴は何処に行った!?」「わかりません」

とかそのあたりだろう。


一人は赤を基調とした服装だった。なんというか民族衣装に近くまた顔は整い髪は燃ゆる紅蓮のような赤だ。


一人は緑を基調とした服装だった。名称不明以下赤と呼ぶ赤とされる人物と同じ民族衣装で赤よりも可愛い?というよりも女性??だと思われる。髪は森のような翠だ。


「くそ…一体いつから…」


瞬時に草むらへ隠れたがそれでも不安だ。そもそもこの植物が透明ということがわかった理由が「ある一定の距離」で見ることだったから。


遠くから見れば太陽が…いや少し待て。俺はさっき自分で言ったじゃないか、夜になるまで歩いていたから疲れたって…


「…」「…」


「…見え見えだから出て来いとでも言ってるのか?まぁ確かに今出て行った方が最悪の展開にはならないと思うが」


そうボヤきながら立ち上がると武器をこちらの体に向ける。


そりゃそうだ、不審者がいるというのに無警戒な警備なんて警備ではない。

それにしてもこいつら変わってるな、いや何言ってんのかさっぱりわからないのは相変わらずなんだけど容姿がな…


二人の容姿…いや二人というのも正しい単位かわからない。なんせ頭に角が生え、肌の質感が鱗のように見える。背中には翼が生え、飛翔することを前提にした身体つきだったから。

あ、あと尻尾もね。


「…まぁそんなことより言語が通じないってやばくないか?」


武器を構えたまま会話している2人?の様子的に「こいつどうする?」「殺しちまうか」とか言ってそうなんだよな…今も話してるし…


「……」「………?」「…!!!」


お?なんか結論出たみたいだな、楽観的に見ても奴隷生活が待ってるこの身はどう転がる。


「すみません…『魔素の不干渉』のせいで特定が遅くなりその結論が体内魔素を排出することだと今気づきました」


「えぇ、それにしても『失われた純族』とはわかりませんでした。とりあえず我が『竜人の里』にて保護させていただきます」


まじかよ、奴隷生活からまさかの保護?いやそんなことよりこの竜人?に聞きたいことが増えてしまった。まずは内容だ。


「保護って言う路線でいいけど。魔素って?失われた純族って?竜人の里って?」


「あーすみません、その疑問を解消した方が良いのかもしれませんが…」


そう言い淀む男性?のような竜人??は空を眺めている。


「ミツキ、彼を竜人の里に連れてってくれ。あと里長には「竜を撃退した」と言っといて」



夜空に浮かぶ星々が異変を知らせる。それは大空を遊ぶように飛び回る、悪意を持ち知恵を持ち剛力を持ち…陸海空とあらゆる戦場で最強とされる種族、その種族の一匹がこの地に顕現する。


此度の個体は風を引き連れる、その風は葉を空中に舞い上がらせ皮膚を容易く斬り裂く。その場に多大なる圧力を放ちその眼を見る者の動きを止める。


「おぉ、我が種族の紛い物。我が神から率先して殺せと言われているがぁ…その背後にいる純族の方が順位が高いんだっけかぁ?」


地に足を付けた四足歩行の化け物は首を地に触れるギリギリまで下ろし俺を見る。その1つの動作で大地は揺れ、風によって木々は悲鳴をあげるように薙ぎ倒される。だがその原因となった当の本人の顔はニヤけ顔、そんな些細なことを気にしていない。


「ここで死んどくかぁ?忘れ去られし神の一族よぉ」


傲岸不遜にそう言い放つ、規格外の化け物は笑う。怯えて足が覚束無い俺の前に竜人の男性が立つ。


「すみません、我が祖先よ。例えあなた達でもこの方を殺させるわけにはいきません」


睨み合う両者、どちらも引けを取らずその場から離れない。その場を、いや足を、いや目を動かせばやられる。そんな命のやり取りを行う両者を眺めながら…


「んじゃー里に帰るからー。里について5分以上かかったら迎えにくるよー」


ミツキと呼ばれた女性の竜人は今から殺し合いを始めようとする1人と一匹にやる気ないように宣言して俺を担いで移動する。


「いやいや!一緒に戦った方がいいでしょ!?ビビってたけど作戦ぐらいは思いつk」


「それ以上はアサヒの悪口になるので言わないでください」


俺が紡ごうとした1人の男性、いや男の冒涜を女性は、ミツキは止める。


そんな気持ちで言うつもりなんて毛頭なかった。確かに捉え方によっては勇敢な者への冒涜かもしれない。しかしあらゆる可能性を考えて策を練れば一瞬でも最悪の場面を想像してしまう。


しかしそんな心配を一蹴する、余計なお世話だと。


「確かに何処の馬の骨かもわからない、もしかしたら伝説の失われた純族なのかもしれない。だけどあなたは何も知らない。血を流し涙を流した彼の努力を見ていない人が勝手にそんな判断しないでもらいたい」


「…例え死んでもか?」


「それが戦士の最後です。あなたが死を恐れるのはわかりますが、それを我らは名誉として捉えます」


担がれながら口論する2人は闇に消える。竜人の里に足を向け移動を開始する。担いでくれるミツキの耳に届くかわからないそんな弱い声で呟く。


「……後悔しても知らないぞ?」


闇に掻き消されたその声色は相手に届いたのかはわからない。だがそれでもやる空には星々が煌く。



全てを見ていると言わんばかりに

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