82話 今年最後の戦い……
コンピーコム王国の東の国境にある砦に到着して、
石垣で出来上がった橋を渡る前に、深い谷を見ながら、
「この先で、半年前……
アルテイラは、ミューブル王国の方角を向きながら言い、
「多くの者が、この谷に……
更に言って、悲しい顔をしているのを、
「弱い者が負ける。我々の獣族側では普通だ!」
ダルザニアは強き者が勝つと自信満々で言うが、
「100万以上が、瞬きする間に……
俺が言うのに賛同するように、
「そうですな……
アルテイラは言い、そして、谷を見渡しながら、
「戦場になった所は、この谷を破壊して……
「それくらいは、対策するだろう?」
ダルザニアの言う通りなので、
「魔導士もいますね……
アルテイラは、100万以上が戦死したのが不思議なのか、
頭の中で、自分ならと策を練っている感じだが、
「まずは、コンピーコム王国に入らないとな」
と俺が言って、橋を渡り、途中から砦の門が降ろされ、
橋と接続された所を通り、詰所から、国境兵が出て来たのを見ながら、
俺たちは、門の所に着くと、
「ようこそ! コンピーコム王国へ!
手荷物の中身を見ますので、地面に置いて、中を見せて下さい」
と言われたので、従い、地面に大きい袋を置いて見せると、
「魔石、薬草、剣…… と大きい袋から、小さい袋を
出しながら、中を確認して、
「商人?……身なりから見ると……
此処まで来る間に、偽装のための服は破れ、血だらけで、
俺とダルタニアは鎧以外は変えていて、アルテイラは
商人のようなチュニックにズボンじゃなく、幾重にも布を巻いた
ワンピース風の出で立ちで、神官を思わせる格好だったので、
不振に思った国境兵に、
「我々は、獣族側の特使として、ミューブル王国の王に、
謁見して、この貢物を献上するためです」
「そうですか……
アルテイラの言葉でも不審に思っている国境兵に、
「こちらから、ミューブル王国へ行けると聞きましたので……
アルテイラの問いに、重い口を開けて、
「確かに、ミューブル王国との国境は閉鎖されていませんが……
言いずらそうに言う国境兵に、
「行けないのですか?」
アルテイラは覗き込むように国境兵を見ると、驚いたように、
「行けますが……相談してきますので、少し時間をください」
と言って、詰所に戻って行った。
国境兵の後姿を見ながら、
「お前たちが、獣族だからか……
俺を見ながらダルタニアは、
「それは無いだろう……
肩を竦めて言い、
「特使と名乗りました。コンピーコム王国の王に会わないのが……
「此処から歩いて2週間かかる。ミューブル王国の国境の
砦までなら、1週間で行ける……時間があれば……
本来、此処には来る予定では無かったので、困り顔で言うと、
「予定より、1週間は遅れています。今頃は、魔族が住む
ロブシェリルに居る予定でしたから……
アルテイラも困った顔で言い、どう言い訳しようかと
話していると、先程の国境兵が戻って来て、
「遅くなりました。入国を許可しますが……
「入国料、金貨1枚とか……
ダルザニアは嫌味っぽく言うが、
「鉄硬貨で1人、3枚です」
日本円で約300円で、国境兵の顔を見ても嘘を言ってない感じで、
「普通だな……
俺たちは、顔を見合して頷き、
「払って、入りましょう」とアルテイラは皮袋から、鉄硬貨9枚を
渡し、国境兵に連れられて、門を潜る時に、突然、音が響き渡り、
「な、なんだ!?」 「!?……門に細工が?」
ダルタニアとアルテイラは驚き、身構えるが、
「こ、これは……アニメの……
ダンジョン系の恋愛の冒険物のEDで、好きな曲であり、
こんな異世界で聞けるとは、叫びたくなるのを我慢していると、
「す、すみません! マナーモードにするのを忘れていて……
慌てて、スマートフォンを出して、電話に出る国境兵は、
「今、我が国に入る方を案内してるから……
俺は普通に電話に出る国境兵を見ながら、通話って出来るの?
と思って、ダルタニアたちの方を見ると驚きながら、
「じ、人族側は、鳥やて、手紙ではなく、あのような物で……
アルテイラの目は輝いていて、更に注意深く見ようと目を細めていて、
「お前の恋人だった彼女を、お前が俺に……
俺たちに構わず喋ってる国境兵に、
「男と女の話か? フン!」とダルザニアは不機嫌に言い、
「記憶は、うん、ううん、新年の初めにな……
と終わったのか、スマートフォンをズボンのポケットに入れて
此方に歩いて来て、俺たちの前に立ち一礼をして、
「すみませんでした!」
アルテイラは国境兵を見ながら、「先ほどのは……
口に右手の人差し指を当てて、我々に見せたのを後悔している感じだったが、
「わが国と友好関係にあるミューブル王国から、友好の証として、
贈られた物で、数は少ないですが、便利な通信機器です」
その言葉に疑問を感じたアルテイラは、
「敵対しているのでは?……
「王や我々は、ミューブル王国に敵対する気もありません!
ですが、この大陸で、我が国が生き残るためには、
敵対と言う形をとっています。ミューブル王国の周辺国以外は、
新たな勇者を召喚して、戦いをするために研究をしているそうです」
「それは、半年前の……
アルテイラを見た国境兵は、少し悲しい顔を見せた後、
「ええ……
城壁の先にある国、ミューブル王国を見る感じで、
「魔族を超え、最低でもレベル50の勇者を
召喚するために……
ダルザニアとアルテイラは、俺を見てから、
「こいつは勇者だが、レベル40で、5年以上かかって……
「レベル1から、鍛えてですよ……
2人の言い方に怒りを覚えながら、ムスッとしていると、
国境兵は目を閉じて、ため息をしてから、
「最初からレベル50です。私も無理だと思いますが……
「だろうな 「そうですな……
「獣族の勇者で1番で、この大陸でも、俺以上の奴は居ないだろう」
光悦でもレベル30だったので、自信満々に言ったが、
「ミューブル王国では、あなたのレベルなら、幾らでもいます」
その言葉に俺は固まり、アルテイラたちは顔を見合わせていて、
国境兵は、更に、
「私の今度生まれて来る子には、
ミューブル王国の騎士になってほしいと思っています」
コンピーコム王国の国境兵が、他国の国の騎士に子がなってほしいって、
在りえない話に返す言葉もなかったので、話題を変えて、
「さっき、スマホで何処に?」
国境兵は恥ずかしい感じで下を向きながら、
「今日の夜に、新年になったら……子を……神界の転生……
とかいう所に居る友人と……
「転生……?」とアルテイラは言い、
「半年前に亡くなったんですが、今度、私たちの子として
魂が宿るそうで……最終確認の電話でして……
顔を赤くしながら言う国境兵に、
「この大陸の神ソラスが…… アルテイラは鋭い目で言い、
何かあったのか顔を背ける国境兵は、何か頷いてから、
「これ以上は…… 国境兵は喋るのを止めて、暫く黙って歩くと、
砦の門を潜り抜けて、
砦が後方に聳え立ち、コンピーコム王国へ入り、
目の前の草原の街道を、国境兵は指で指しながら、
「この道を真っ直ぐ行くと、3本に分かれた所に出くわします。
その左の道を行けば、ミューブル王国に行けます」
と聞いたので、別れの挨拶をして、ミューブル王国へと向かった。
俺たちが、国境兵から離れて行く間に、大声で、
「今日は、ミューブル王国との戦争がありますから、
見ない場合は、そのまま、ミューブル王国へ行ってください!!!」
叫んでいたが、
「見るだろう?」
「当然!! 「ミューブル王国の力量を見るチャンスですな」
と話しながら、街道を進んだ。
「すみませんでした!」
俺に謝る国境兵に、「スマホが鳴った時点で、ある程度は、
良いと言ったのは、俺だ! ユウタが、今日の戦いをツカサに
聞いて、オーケー出たから、謝ることは無いよ」
「だけどな……テツシ、神界のことは、まずかったのではあらへんか?」
俺と国境兵を見ながら、困った感じで言う勇太に、
「コウエツが生き返ったのは知ってるから、駄女神が何かしたと
思ってるだろう……問題ないよ」
「まあ、プリーストいてるから、そんな感じか……
勇太を見ながら、
「……そうだな」と笑みを漏らしながら言った後、
「スマホ……もう良いかい?」
国境兵は、慌ててポケットから出して、
「有難う御座います。友人と……死んだ後でも話せるとは……
スマートフォンを受け取り、皮袋に入れて、
「半年前の戦いは、神への反逆だったわけだ……
思い出しながら言うのを聞いた国境兵は、
「王も、戦いの後、直ぐにミューブル王国へ向かい、
ミューブル王国の王に謁見し、我が国をミューブル王国に
献上し、統合を……
「そうやな…… 言った後、勇太は空を見上げてから、
「わいの知り合いも……
「ミューブル王国の王は拒否し、友好国として、表面上は、
敵対関係をしつつ…… 勇太も国境兵も頷いた後、
「他の国は、谷を破壊したからと……報告は聞いたはずですが……
真相を知っているのは、コンピーコム王国の見張り兵だけで、それも
報告後、息絶えているので、谷を破壊したからと言う話に変えていて、
だが、納得しない国は、今回の獣族側のように調べに行くが、
調べても分からなかったので、結局は、
「納得する話は、それしか思い浮かばないさ……
ズボンの前ポケットに手を入れながら、
「モニターで見とっても、信じらへんかったわ。
魔王も、口を大きく開けて唖然としとったわいな」
勇太が言った光景を浮かべながら、国境兵の方を振り向いて、
「生き返らすことは出来ない代わりに、転生を望むなら……
「はい……友人の恋人を私に……妻も人生が終わった感じで居ましたので、
喜んでいました。友人は、私たちの子として……
勇太は優しい顔を向けて、
「それをぶち込む、あんたは立派やねん」
首を横に振って、
「記憶を持って生まれてきますから、子としてなら甘やかすかも
しれませんが、友人なので、遠慮なく鍛えて、
ミューブル王国の騎士にします」
生まれて来た後、大変だなぁと思いながら、妻になった女性のことを
思い出すと、本当はどちらも好きで、亡くなった方に恋人として
付き合ってはいたけど、結婚はどちらかと考えていたらしい。
その結論を言う前に恋人は亡くなったので、国境兵の胸で泣いた数日後に、
転生の話が来て、子供として育てるのも楽しいし、
旦那になる方も想い人だったので、納得して国境兵と結婚をした。
この話は、アキナさんから聞いた話で、目の前の本人にも言えないし、
転生で来る者にも言えない秘密の話である。
俺たちは詰所に向かいながら、
「虐待とかにならないように……
「勇者さまたちの国は分かりませんが、貴族でもありませんので、
それくらいしてなれるか……私は、村から出て来て、そのまま
兵になり、剣術を習っている最中です」
国境兵が言っている稽古は、ティーナさんが居ないので、
ロックティラたちが代わりに教えている稽古のことで、
「自分らが帰った後やな……
勇太の言う通り、現魔王を倒した後の国同士の戦争突入の事であり、
ゲームの人族対魔族の時に、
「魔王を倒すのは……忍びひんわ」
勇太の顔を見ながら、
「仲がいいからな……ユウタとは」
俺たちは詰所に戻り、今日の朝からしているゲーム【勇者育成日記】
をやりながら、夕食の時間まで此処に居る予定である。
もちろん、国境兵も参加して、ゲームでレベルが上がれば、
俺たちのレベルも上がると言うゲームなので、死に物狂いで、
3人でパーティーを組んで取り組んでいる。
ミューブル王国へ向けて歩き出した俺たちは、
横一列に並んで歩いている俺の隣にいるアルテイラに、
「スマホをどう見る?」
「どうと言われても……
困った感じで俺を見ながら言うので、
「あれを、この大陸の誰かが開発したかって……
私に聞かれてもと言う感じで、
「開発は無理でしょう。亡くなった勇者たちからでは……
「だと思うが……通信施設がない」
更に考えてから、
「魔導士が、魔法とかで……
アルテイラの持っている杖を見ながら、
「獣族で最高の魔法使いだろ? 念話とか……
アルテイラは、ため息をしてから、
「出来ませんな……出来たら、あなたのスマホですか、
改良して使用してますよ」
そうだろうなと思っていると、
「魔導士は、こちらの大陸の方が上と言うことだろうよ」
と不機嫌に言うダルザニアに、
「神ソラスから貰ったんじゃないか? 武器と同じで……
スマートフォン型の神器なら神界?も通話が出来ると思ったので言うと、
「そうですな、そうと考えれば、
我々の神ソラットの力で、我々にも……
アルテイラの言葉を聞いて、アルテイラクラスなら直接
頼めるなと思っていると、
「どうかな…… 一度、王と共に会ったが、軽そうで、
我々の神なのに、人族の姿と言うのが気に食わなかったな」
ショウが人型に進化したダルザニアを見ながら、
「エルフの神という話だ! 俺は会って無いから……
右手の手のひらを空に見せながら、肩を竦めて言うと、
「だが、気に食わん!!」
と言うダルザニアに笑いながら、
「神ですから、姿など変えられましょうから、
ダルザニア好みの姿で会えるといいですな」
ダルザニアも笑い、 「そうしてもらおう!!」
と俺たちは笑い合いながら進み、
前方に、煙が上がってるのを確認した。
電池もないスマホを持っていても……
奴らから奪えばいいだろう
盗賊ではないので、勇者分はありますから、改良をしましょう
人族側に負けないぞ!!
次回
第83話 此処は何処……
いいか! この戦いに勝って、我が国にロックティラ師匠を!!
負けよう!
勝つわけには!
貞操の危機だよね
師匠を、嗚呼……添い寝、一緒のバスタブ、勝てば勝てば……
誰だ! こんな奴を王の代理なんかにぃぃ!!!!




