77話 獣族からの使者……
獣族の大陸【タイザール帝国】から船で、スタンテッド王国の
港町【ベイノーラン】に入港した。
「隣のミューブル王国と戦争をしたと聞いたが、
活気ついているなぁ」
「勇者テルタ! ミューブル王国の西の国境での戦争だ!
此処は被害がないからだろう」
大型漁船から降りながら、タイザール帝国の騎士【ダルザニア】
が周りを見ながら俺と喋り、後方から荷物袋を持ちながら降りて来る
ゲーカイラ神国の神官戦士【アルテイラ】が「神の加護を受けている
国ですなぁ」と周りを見ながら言い、地面に降り立った俺は、
「1人で、大丈夫か?」
1人で、3人分の荷物袋を担いでいるので、心配なので聞くと、
「わたくしの祖先は、ドラゴンから分かれた種族。
これくらい、軽いですなぁ、ハハハ……」
本人が良いというなら仕方がないと思い、街に入る門まで
船から降ろされた魚などが並び、商人が買い付けをしてるのを
眺めながら、
「これなんか、どうかな?」
「鮭に似てるから……塩焼きや串差しで食うかな」
女性が男性の問いに笑顔で、
「どれくらい、買うの?」
「人数が多いし、全部かな」
それを聞いて、「嘘だろう! 何匹あるんだ!!」
俺は驚いていると、
「お前と同じ日本人か?」
「え! それを言われ、よく見ると、
男性は日本人ぽいが、女性は、よだれが出そうな金髪の美女で
よく見ると、周りの男たちは、チラチラと胸のあたりの肌が見えるのを
眺めている。
美女は、そんな男たちの視線も気にしていない感じで、
胸を男性に見せるように、
「ツカサ! 馬車持って来るわ」
「その間に、支払いしてくよ! ローズマリー」
軽くキスをしてから離れて行く美女を見送る男に、
「お前!何人もいて!!」「元勇者が、なぜ金持ってる!」
「国王に!!!」と言ってる傍に近づく女性が、
「あなた達には、本当のことを教えたのは、
間違いだったわね」
短剣を抜き、男たちを睨む女性に、
「止めろって! みんな分かって言ってるだけだから……」
と、女性を自分の胸に寄せて言う男性に、「わかってる……わ」
「修道院で、新年までパーティー開くから、来るか!!」
「「「「 騒ぐぜぇぇ!!!」と俺たちの周りにいる男たちは叫び、
「ミューブル王国の人は?」
「ゲート開いて、来てもらうよ」
「パティーさんは?」
「国に帰ってるから……
「そうね……温泉ツアーの費用のことで、タレガさんに怒られに……」
男性と女性は、お互いの顔を見ながら笑い、軽くキスをして、
「美里もいるし……俺たちは、鮭の荷づくりしようか、仁美」
「はい! あなた……
その光景を見ていた俺は、
「日本人だな……あいつ、どこかで?」
「勇者か? ダルザニアは、顎髭を触りながら呟き、
「わたくしの鑑定眼で見て見ましょうか?」
と目を大きく開け、男性と女性に向けて放ち、
「うぅむ! 何もない空間に表示されているステータスプレートを
見ているのだと思いながら、
「どう? 俺は、悩んでいるアルテイラに聞くが、
「テルタ! あの2人は、あなたと同じく。召喚された勇者たちですが、
両方ともレベル3で、話にもなりませんなぁ!」
不機嫌な顔で、「あの女が剣を構えた時の殺気は、
俺より、いや、テルタや他の勇者を遙かに超えていた!」
ダルザニアは額から汗を流しながら言い、
俺は、剣を構えた時の殺気の恐怖など感じなかったので、
「おいおい、殺気なんて感じなかったぞ!!」
俺を見てから、「召喚時に、殺気など感じられないようにする
と聞いた……そのせいだろう」
何それ、聞いてませんが、と言う顔をして2人を見ていたので、
「この世界に来た者は、人を殺したことのない者が多いので、
恐怖心を消し去って来ると聞いています」
と言うアルテイラに、「何だよ! それはぁぁ!!!」
と叫んだので、周りに居る者たち全員が俺たちを見て、その中で、
「喧嘩するなら、他所でやってくれ!!」
と男性が来て言い、「おい! お前は勇者か?」
俺はその男性に、睨みながら言い放ち、
「元な…… 俺の殺気を軽く流している感じで答え、
「殺気とか感じられないようにされたことは!!!」
男性が後方にいる2人を見た後に、
「魔物とか殺すんだ! ない方が良いだろう……な!」
平然と言う男性に、「……そうか」
落胆して、距離を取り、後ろの2人の方に向くと、
屈んで震えていて、「おい! どうした」
俺を見上げて、「あの男! 人間じゃない!!」
「此処までのプレッシャーを感じたのは、神と対面した時以来……
勇者と対等に戦える者たちである2人が、ヘビに睨まれたカエルのようで、
「ツカサ! と言う叫び声で振り向くと、馬車に乗った先程の美女が
笑顔で、男性に手を振っていて……
ツカサ……
俺は、頭の中で、小6の時のリトル時代の練習試合で、
たしか、ピッチャーで200キロ以上出して、全員病院送りにして、
もう1人同じくらいの奴がいて、そいつは、キャッチャーで女の子で……
そうだ! あまりにも現実離れした練習試合で、親も泣きながら……
俺も、あれは夢で、吹き飛んで血を流したり、割けたりした跡もなかったから……
俺は、恐る恐る、「お、お前は、北条つかさ、か?」
男性は振り向き、「そうだよ! それじゃ!!」と行こうとするので、
「ま、まて!! 此処では何年か分からないが、3年ぶりだろ」
「気が付いたか…… と呟き、俺はつかさを捕まえて、
「この世界に来ていたなら、教えてくれよ!!」
俺の顔を見ながら、「あのなぁ……無理だろう! 通信とかないんだから」
「そ、そうだな……
馬車の所に居る女性が、「荷を乗せて、パーティーの準備するんでしょ!!」
「ああ……今行く!!」と俺から離れるので、
「待て待て! 空白埋めたいからさぁ。友よ! 俺たちも……
「あの時だけだろう、会ったのは!」
振りほどく動作に入ったが、
「ねぇ! ツカサの友達?」
と馬車に乗っている美女が言うので、本当は正体を明かすわけには
いけないが、友達という繋がりが出来たので、美女と友達以上に
なる可能性が高いと思ってしまったから、
「タイザール帝国の勇者、テルタさ!」
俺はカッコつけて言い、
「そう……ミューブル王国を探りに来た奴ね」
それを聞いて、俺たちは、「「「 はぁ??? 」」」
となり、獣族である2人は、遊びか商売で来たと思える格好で来てるし、
俺の場合は、護衛のために雇われてか、国から頼まれたとか、
来る途中で、シー・シャークラスに襲われましたから、
俺は役に立った。それに、この大陸では剣などを購入予定になってるし、
通行書もそう書いてあるし、で、なぜそう言い切るのか不思議に
見ると、周りにいる人たちが、街への門や漁船の方へ離れて行っていて、
「仁美! 荷を乗せて行くぞ!!」
「はい、あなた!!」と笑顔を見せて、馬車に乗っていた美女も降りて、
荷を乗せ始めた馬車に向かい、荷を積み込んでいるつかさに、
「なぜ! 知っている!? 」
「だ……か、神ソラスに聞いたのさ」
荷を荷車に乗せながら笑っている女性たちを見ながら、
アルテイラは、「人族側の神からですか?」と、
フードを開けて、つかさを睨み、
「リザートマンか……良い面構えだな」
「会うには、王宮や教会の神託部屋か降臨部屋しか会えないはず。
あなたは、何処で聞いたのですか?」
「どこでもいいだろう…… ニヤッとして、つかさは街へ入る門に
馬車を引いて行ってしまった。
馬2頭の幌車と荷車の重連で、女性2人を乗せているのを見送って、
「あなたは、どう見ましたか?」
「馬2頭で、よく動くなと……
頭を抱えて、「ダルザニア! そうじゃなくですねぇ……
アルテイラに笑いながら、
「あの馬は、ゲームの時も、我々の大陸でも
見たことのない新種だぁ!!!」
その言葉に、門を潜って行った馬車の方を見てから、
「ウイング・ホース? 後は……
鑑定をしているアルテイラに、
「どうした? 浮かない顔をして……
俺を見ながら、
「あれは、あなたと一緒で、異世界から来た馬です」
何か考える様に下を向くアルテイラに、
「この大陸の者が、1人の命を使ってか……
下を向いたまま、「そうかと……
「面白い! 半年前のゲーム、内戦の詳細が断片的にしか
届いていない……5ヶ月後のゲームが、人族側が1国で戦う
という話が来て、我々が……
何が面白いのか分からないが、目を輝かせて言うダルザニアに、
「いつも通りに、睨み合いで終わるか、ガチに戦って、
1国の戦力を無しにするか……ダルザニア」
アルテイラも目を輝かして言い、
2人は、俺を除け者にしながら会話が続き、
「我々が動くことは出来んが……
「潜入した者たちとの合流は?」
「ミューブル王国の王都でだったな……
会話に入れないので、
「まずは、此処の街に入ることだろう」と告げて、
門へ行く俺に、
「お前に期待するぞ!!」
「ダルザニアと同じです」
2人だけで話していて、何がと思いながら、
「まずは、つかさから情報を得られると良いんだが……」
と話し、俺たちは並びながら歩き、門の警備兵に、
「我々は、獣族側の大陸で魔法石を生成し、こちらに納めに
来た者です。これが通行手帳と、スタンテッド王へ献上する品物
もありますので、王との謁見も……
アルテイラから渡された手帳を見ながら、
「フレアニア……商社か、エルフの国の?」
「はい! そうです」
アルテイラは答えるが、
「君は雇われて……
俺たちを見ずに話す警備兵に、
「はい、そうです…… アルテイラは答えるが、
「入街料、1金貨(日本円で10万円くらい)で、3人だから
3金貨!!」
それを聞いて、「今、何と……
アルテイラは驚きつつ言い、
「金貨3枚と言ったんだが!!」
俺は、何処の世界に国に入るだけで、10万円も払う奴がいるのかと
呆れながら、
「前は、5鉄硬貨(日本円で、500円くらい)だったはず!!」
アルテイラは言うが、
俺たちを見ずに、「半年前の戦からだ! 難民を入れないために
入街料など変更になった!!」
俺たちは顔を見合わせながら、
「あるにはあるが……
ダルザニアは陛下から貰った袋を触りながら言うが、
「神の剣に匹敵するのがあれば言い値で……
アルテイラは、そのためのお金と言うが、
俺たちを見ないで、タイザール帝国から発行された通行手帳を
見ていて、アルテイラは、
「先ほどの者たちも、払ったんですか?」
警備兵は呟くように、
「15鉄硬貨を払って行った!」
アルテイラは机に手を置いて、
「何ですか! その価格差わぁ!!!??」
ようやく俺たちに顔を見せて、
「あの方さまは此処の住人、お前らは余所者で、違うのは
普通だろう!! 嫌なら帰れ!!」
俺たちは、何という横暴で価格もめちゃくちゃと怒りが込み上げて行くが、
任務が遂行できずに帰ることは出来ないので、
「出せばいいんでしょう!!」と金貨(タイザール帝国発行の金貨ですが、
重みも内容物も一緒なので、世界共通になっています)を3枚を
アルテイラは叩くようにテーブルに置き、通行手帳にハンコが押され、
ようやく入ることが出来た。
異世界に来て、あなただって……
仲が良く、良いですなぁ
女などと付き合ってる者は軟弱者だぁ!!
お前! 結婚してるだろう!!
うッ! 付き合ってる時はそうだったが……
次回
第78話 つかさを追いかけて……
異世界に来て、トンネルを通るとそこは……




