70話 威力は……
窓から東の空を見ると太陽が昇って来ていて、
「来ない朝はないか……
ソファーなどを片付けて、床に布団を敷いて寝ている
「女の中に、男1人って……
女性たちを見ながら、どうしてこうなったと溜息交じりに、
「どう思う、セルフ?」
『ツカサに春が来たで……
部屋を管理している精霊が宿ったコンピューターが言うので、
「あ、そう……シャワー浴びて……
『お嫁さん達は?』
浴室に向かいながらセルフが聞いてくるので、
「起きたら、昨日と少しは変えた朝食を」
『皆さん不満でしたよ! 一緒に食事が出来ないことに』
「アレタと約束したから……
浴室で寝間着を脱ぎながら言うと、
『良い壁が出来ましたね』
「アレタの練習、キューイルの模擬戦で、柴田に
少しでも追いつくと思うからさ」
そうすれば、沙良と互角に戦えて、沙良に勝てば、
俺と結婚しろと言うけど、賭けを受けてくれるかは
分からないが、50年後……
シャワーを浴びながら考えていると、
『……捨てるんですか? お嫁さんたちは?』
人の心を読むなと思いながら、
「沙良が好きでも良いって言うんだ!
そんな俺を愛してくれるんだ!
勿体ないくらい素敵な奴らだよ!」
頭を洗いながら言うと、
『ツカサも好きになって来てるんだぁ!!!』
「まぁな! じゃなきゃ此処に居ないさ」
タオルで濡れた体を拭きながら浴室に戻り、
昨日と同じタイプの服を選んで着ていると、
「ねぇ……ツカサ……
浴室の扉の向こうから声がしたので、セルフが俺との会話を
部屋に流していたことで、セルフに要らんことをするなと思いながら、
少し怒り口調で、
「何だ! まだ寝ていろよ!!」
言うと、
「私たちが押し掛けたみたいで……
「部屋に連れて来たのは俺だ! 秋人さんの思惑も考えないと
いけなかったのに……
「思惑?」
「ああ……一線を越える事さ!」
「そ、そうね……
「ナルエたちと会う前から好きだったんだろうな」
「どうして?」
「学園でも好きだと言われても、何も思わないから」
浴室の壁に寄り添いながら言うと、
「モテるんだ!」
「まぁね……だから1学期の始業式の校長の挨拶の後に
壇上に上って、俺には好きな奴が居るからって……
思い出しながら笑って言うと、
「す、すごいね……
「学園中に広まって、告白する奴はいなくなったよ……
「学校に……
「普通に学園に行ってるよ! 気にしないから」
「最低とか、失格とか言われても平気だもんね」
此の世界で言われている俺の2つ名を言うナルエに、
「ナルエたちも失格勇者の嫁って言われるから、覚悟を!!」
「平気! だって嘘だもん!! 王都の人たちに
ツカサの妻になりましたって言ったら……
「彼奴らに言ったの?」
「見かけない人ねって言われたから……
「そう……
「素敵な旦那様に会えて良かったねって」
照れて言っているのが分かるくらい伝わって、
「そうか、人数とか?」
「言ったら、ツカサなら普通だって!」
「普通か? まぁ良いけど、扉から離れてくれる」
「行くの、此処から?」
扉から離れてくれたので扉を開けて、
「軽い運動をかねて、ジョギング」
「何キロあると……
驚いているナルエに、
「100キロ無いから、20分で行くけど」
「騎士でも2時間以上は……
ローズマリーが敷き布団に座りながら言うので、
「レベル120だから……
部屋の扉の方に行こうとすると、レベルについて仁美たちが
話している中で、
「神の眷属だから?」
ナルエが俺の後ろから聞くので、
「光悦は眷属になった時点だけど、俺の場合は
地道にレベルを上げて……
「それでも……
「沙良を守る為に頑張ったから……
「此れからは……
俺の背中にナルエが体を寄せてくるので、
「追加で、俺を愛してくれる此処に居る皆の為に
高みを目指すよ」
俺からナルエが離れるので振り向くと、
目を閉じて立っているので
「ナルエだけ……
「私がリーダーで、代表!」
美鶴たちの方を見ると頷くので、
ナルエの肩に手を置いて、俺は目を閉じて……
アレタとの朝稽古も終わり、パティーさんのゲートで
ナルエたちがゲーム会場に現れて、全員で朝食。
勇者隊のテントの方から恨み辛みの怨念が来ているが
無視をしながら楽しく食事をする。
これが普通になるのかと恐ろしくもある。
魔族側の砦の方を見ると、セント・ギアが簡易スタンドの
設置をしている。木材ではなく、多分アルミ製だろう。
セント・ギアが5体しか見かけないので、
ムラサキは未来の明美のところだろう。
クチナは進次郎を着せ替え人形みたいにして遊んでいるのかと
思っていると、クチナからメールが届いたので、
スマートフォンを見てから、
「零! クチナが来てほしいって!!」
「私? なぜ?」
クチナとは接点が無いので首を傾げる零に、
「俺も行く!」
「分かったわ……
行きたくないなぁと言う感じで零が言うと、
「僕いく! お兄ちゃん!!」
元気よく言うアレタに
「いいよ、皆はどうする?」
ナルエたちに聞くと、
「お母さまと……
「ティーナさまに、ツカサを守るための稽古を!!」
ナルエ、ローズマリーが言うので、他もそんな感じで、
クチナとは余り関わりたくないなと言うのが本音みたいである。
演劇も自分の趣味丸出しの構成であるが、衣装に関しては
世界に誇るワールド・ホープ・ドリームスの中堅で人気絶叫の
アイドルグループの劇用に用意された。
プロデューサーが明美に泣きついて、お友達価格で制作された。
明美も本格的に作り、試作のオブジェを見た原作者は歓喜の余り
泣いたそうである。
困ったことに、オブジェが分解し、体に合わせて大きさが変わり
鎧となるが、俺たちの世界では、オーパーツになるので、
誤魔化すのにどうするかが会議の中心になっているそうだ。
クチナが持って来たのは試作タイプで、のぼる達で運用テストを
しているのである。
公演は8月で、ネットでもチケットがあれば、ネット用に
アレンジされた演劇の映像を見ることが出来る予定である。
その撮影は7月からである。
劇場での演劇の後はミニライブがあるので、
どちらもファンにとっては見逃せないものだろう。
俺は、零と美知恵、りつとアレタと共に演劇場の小屋の隣にある
小屋に足を運ぶと、入り口には2体のフィギュアが立っていて
歓迎しているが、
「此れって?」
「アニメのキャラクター1分の1の等身大だけど……
零が指をさして言うので俺が答えると、
「誰が……
此の世界では存在自体が在り得ないから零が言うので、
「クチナのコレクションだろ」
「ロボットが……
呼んでもいないのに零の横にいる圭一が言うので、
「コレクターだから……
「オタク館って……
看板を見ながら言う圭一には此の世界の字は読めないが、
下に日本語が書かれているので読めて言うので、
「此処でも商売するんだろうな」
「商売? 何を?」
美知恵が前髪を触りながら言うので、
「アニメグッズなどを……
「私たちの世界じゃないのに……
りつが売れるわけないでしょうと言う感じで言うので、
「俺の部屋にモニター在っただろ」
「あの部屋は特……
「それじゃ、この中……
美知恵は言い終わる前に零が言うので、
「モニターにアニメの映像が流れて、
玩具やグッズが近くに置いてあるよ」
「此の中世ヨーロッパ世界に!!?」
圭一が驚きながら叫ぶので、
「魔法、剣のファンタジー世界に、俺たちの世界のが
在っても可笑しくないだろ」
「あのなぁ……アニメは……
俺の言葉に呆れながら圭一が言っていると、
「零ちゃん! 来てくれたんだ!!」
五平餅を食べながら此方に来たクチナに、
「ちゃん付けで言わないでください!!」
不機嫌に言う零に、
「アムロちゃんが良かった?」
クチナが名字の方で言うので、
「その呼び名は言わないで!!」
怒りながら言うので、
「零ちゃんで……
「そうですね」
クチナに完敗した零は悔しそうに俺にしがみついていて、
「髪の毛あるんだ!?」
アレタが、クチナのポニーテールにしている
黄色の髪を見ながら言うと、
「これは空気中の魔素を吸収したり、スタビライザーの役目を
するから、髪の毛とは違うけどね」
「良く分からないけど、決まってる!!」
アレタが言うので、
「ありがとう! と、手に持っている皿に乗っている五平餅を
アレタに渡すと、どうやってと言うので、
クチナはアレタに見せるように小判タイプの五平餅の片側から
食い出すと、アレタも真似をして食い出していると、
「此処で何をする気だ!?」
圭一が言うので、
「子供たちに遊んでもらおうと」
食べるのを止めてクチナが言うと、
「ツカサは商売をすると……
「将来的には、今は私のコレクションで遊んでもらって、
良さを知ってもらいたいだけ」
「良さね……
無理だろうと顔に出てる圭一に、
「手に入れたい! 欲しいって言う声が、
此の世界では、どの程度かは未知数だから
この小屋で反応を見るんだろ?」
俺の言葉に頷くクチナに、
「私を呼んだのは?」
零がクチナに聞くので、
「手伝ってもらおうと、コスプレして」
零は嫌そうな顔をして、
「なぜ、私に!!?}
「鳥取のコスプレ四天王でしょ!!」
「わ、私、ち、違います!!」
顔を真っ赤にして否定する零に、
クチナは1枚の写真を見せて、その写真には
連邦軍の制服を着た零のコスプレ姿が写っていて、
「仕草も完璧だな」
「コスプレイヤーだったの?」
俺が褒めていると りつは戸惑いながら言うので、
「ツカサは? 引かないの……
零が言うので、皮袋から写真を出して圭一たちに見せながら、
「都会のスイーパー決まってるだろ」
自慢するように言うと、
「ツカサも?」
引く感じで言う美知恵に対して、アレタはカッコいいと
俺から写真を奪って見ている。
「明美の母親が漫画家で、コミケにサークル出してるから
手伝いで参加してる、ついでにね!」
「私は流石に出れないので、つかさ達に欲しい物リストを渡して
買って来てもらってるよ!」
俺とクチナが詳細を言うと、
「神様が私たちの世界で漫画家を?」
りつが聞くので、
「俺だって、一応、神様の端くれだけど……
「あっ! そっか!! でも……
零が悲しい顔で俺を見るので、
「説明したろ! 明美が来たら、俺と同じにな」
零、りつ、美知恵が顔を見合して頷いている横で
圭一は渋い顔をしている。
ナルエと同じように秋人さんの中位準眷属にと零たちに言ったが、
キスをしないといけないので拒否された。明美の準眷属化は
キスをしないで行えるので、来年の魔王が呼ぶまで
保留になっている。
「さて、中を見て貰おう!!」
クチナが言うので、小屋の中に入り、
「劇場と同じか……
小屋の中は想像以上に広く、亜空間に創られた部屋の中に
移動する仕組みになっていた。
圭一の驚きを無視して、男の子、女の子、アダルト……
「子供が来るのに18禁おくな!!」
クチナの頭を叩きながら言うと、
「性教育は、お早めに……
床に崩れる際にクチナが言うので、
「アレタたちには、まだ早い!!」
アレタにアダルトコーナーを見せないように零たちが
男の子コーナーに連れて行く間に、
クチナも床から立ち上がり、零たちの方に向かう間に、
俺は皮袋からシートを出して、圭一にもシートを渡して、
圭一と共に天井からシートを下げて、アダルトコーナーを
見せないようにした。
男の子コーナーは、完成したプラモデル、合体トイ、変形トイ
変身ヒーローなどテーブルに飾られていて、圧巻の一言である。
モニターも置かれてアニメが流れているので、
「箱から人になった!!」
アレタはモニターを見ながら歓喜の声を上げていて、
「目の前に同じのがあるだろ」
アレタは赤い車を指さすと、
「それが人型に変形するよ」
「此れが?」
不思議そうに言うので、
「零は出来るだろ?」
零に振ると、
「説明書がないと……
難色を示す零に変わって、
「俺は得意だから」
圭一がテーブルに置いてある赤い車を手に持って、
変形させようとしたが、アッと声が出て、
腕になる部分を壊してしまったので、
「何をやるの!! 私のプライム様を!!」
クチナが激おこで怒っているので、
「何個もあるから、1個くらい……
「つかさ! 私にとって宝なの!
それを軽く何個もあるからって、
おもちゃに対する愛が無いわ!!」
クチナが激しく抗議するので、
「だったら、なぶらせない様に……
「手に持って遊ばないと分からないでしょう!!」
顔を近づけて言うので、
「魔法で直したら?」
「するわよ!」
俺が言うとクチナは圭一からプライム様を奪い取って、
フィックス・タイムの魔法を掛けている間に、
「俺たちの剣も直せる?」
クチナが直ったプライム様をアレタに見せているのを
見ながら圭一が聞くので、
「出来るけど、クチナもタダでは……
クチナがプライム様を変形している光景を見ながら、
「鍛冶師に頼んだ方が……
進次郎はクチナに無理やりコスプレをさせられて、
今日も女性キャラのコスプレをさせられているのを
頭に浮かんだのか、圭一が言うので、
「あぁ、その方が良いな、
此の世界の魔導士のレベルじゃ無理だからな」
クチナのレベルの高さを間接的に話すと、
凄いなと呟く圭一に変わって、
「同じのを何個も持ってるの?」
零が俺に聞くので、
「クチナ! プライム様を何個もってるか? 零が聞くけど」
俺がクチナに言うと、クチナは変形を終えたプライム様を
アレタに渡して、アレタは人から車に変形をさせているのを
見ながら、
「フフフッ、良い質問です!」
不敵に笑うクチナから、
「遊び用に2個、観賞用に3個、保存用に5個、
最低10個はある。シリーズが新たに出来るたびに
新しいプライム様が出るので、最低10個!
凄いだろう!! ワハハハァァアアア!!!」
高笑いしているクチナから周りの玩具を見ながら、
「展示されている同じのが、10個あるの……
美知恵が呆れながら言うと、
「知り合いに、最低5個を買う人はいるけど……
零が顔を引きつりながら言うと、
「内訳は?」
圭一が嫌な感じで零に行くので、
「遊び用に1個、観賞用に1個、保存用に3個かな……
「お金って?」
りつが幾らかかるのと玩具を見ながら言うので、
「共働きで、家庭には一切お金を入れないで……
両親から聞くと倉庫用に家を何件か持っていてね、
お父さんが何処から軍資金をって……
「大人? 子供が可哀そうだな……
引きつりながら言う圭一の言葉に、クチナがアレタから離れて、
圭一たちの前に仁王たちして、
「説明しよう!!」
「何を?」
圭一が言うので、「ある程度、誤魔化せよ!」
俺が釘を刺すと、零、りつ、美知恵が、エッそうなのと言う
顔をするので、俺の思ったことが念話で伝わったみたいで、
マジで、セーイラさんに、念話は許可しないと伝わらないように
してもらわないといけないなと思っていると、
「クチナって! テルタくんのお母さんなの!!?」
「テルタって?」
圭一が零たちに聞くので、
「そうです! 獣族最強の勇者テルタは
私の前世の息子です!!」
クチナが誇らしげに言うので、
「プログラムで動いてるんじゃ……
圭一が恐る恐る聞くので、
「人と同じさ! 魂がある」
俺はアレタの方に行きながら言うと、
「ロボット生命体です! 零ちゃんには輝太は上げません!」
クチナが言うと、
「恋愛感情を持ったこと無いので」
冷静に返す零から、
「寿命で……
美知恵が聞くので、
「俺も、輝太の母さんとしか知らないから、
クチナ、言いたくなかったら……
「詳しく言いましょう!!」
クチナが言うので、勝手にしろと思いながら、
アレタが持つ戦闘機と同じものを手に取って、
「ロボットになるから、一緒にやろうか?」
アレタに言うと、「一緒に!!」
喜んで言うので椅子に座り、
アレタと話ながら、飛行機からロボットに変形させて行った。
私を中心に椅子に座る零たちを見ながら、
「貴方方が帰還した2か月後に、私は車の暴走に巻き込まれて
死にました……
「カオルお姉さまが……
涙を流す零の言葉を聞いて、
「なぜ、お姉さま?」
私を見ながら圭一が言うので、
「憧れていたから、それに40過ぎでも……
「零ちゃん! 年齢は言わないの!!」
怒る私に、
「何時までも若くって、召喚される前の
春休みに会ったら、モエさんより
若かったから、私もって……
嬉しいこと言ってくれるわねと喜んでいると、
「モエさんって?」
圭一が零に聞くので、
「テルタ君の御姉さんだけど……
「娘よりって、化粧で?」
美知恵が私を見ながら言うので
「入学式の後でラインが来てね、お姉さまより
老けてるってレイはどう思うって……
「在り得ないだろ」
圭一が私を見ながら言うので、左前腕の収納ボックスから
「此れが私と萌絵のツーショットの……
写真を零たちに見せて、
「こっちがモエ……さん?」
ツーショットでコスプレしているのを見て言う美知恵から
目を逸らす零に、
「まさか……
りつが言うので、
「それが私! 大人っぽい方が萌絵だよ」
圭一はジッと写真を見てから、
「化粧をすると若くなるのですか……
「化粧しなくっても……
モエさん、お母さんがどんどん若くなるって……
零が悲しく言うと、
「私たちより……ねぇ、ツカサ……
自分たちより若く、此れが40過ぎの体かと
つかさに落ち込みながら聞く美知恵に、
「どうした、そこは……
つかさがアレタが戦闘機の翼の変形に戸惑っているので
アレタに自分の方を見せながら答えると、
「クチナの前世って見たことある? 話とか……
「輝太の母親ってくらいで、コミケでもあってるかもしれないけど
沙良以外の女には興味なかったから……
「つかさはそうだろうね、会場では明美さまや恭子さまとは
話していたりしていたけど……
「岩崎と?」
つかさが私に聞くので、
「コスプレ仲間としてもあるけど、
恭子さまのお母さまは、株や投資の師匠でもあるから……
「それで、家などをか、折れるから慎重に!」
つかさは、アレタに注意しながら言うので、
「転生後もだけど、つかさもそうでしょ!?」
その話はしたくないと言う感じで、
「そうだよ! 株主名簿で100人以内に入ってるのも
あるから、零たち100人くらいなら余裕で養えるけどな」
言うので、圭一はムッとしている中で、
「そうか、お父さんが言っていた軍資金は……
零がようやく分かったと言う顔で言うのを聞いて、
「亡くなるんでしょ! 遺産相続は……
自分のように心配してくれる美知恵が聞くので、
「輝太に家など贈与してるの!
輝太名義で内緒で株取引などして
そこから贈与税は払ってるから」
「テルタ君も……
株取引していると聞いて驚いて言う零を無視して、
「確定申告は、どうしてるんだ?」
つかさが聞くので、
「会計士は恭子さまのお父さまの人だから……
「俺たちと一緒か、クチナの旦那さん、輝太名義のは……
「郵便局留めにしてるから、知らないはずよ!」
「もしかして、前世と今で、輝太両方とも?」
つかさが、前世の夏織と私とで輝太名義の証券口座を
持っているのかと尋ねるので、
「そうよ! 一生遊んで暮らせる御金は確保しています!!」
自慢するように言った私に、
「モエさんは?」
零が聞いてくるので、
「動画サイトあるでしょ! あれは萌絵の為の
軍資金で、年間1000万はあるから」
零たちは少し考えてから、
「ええっと、それだけ……
りつが私に聞くので、
「十分でしょ!!」
「テルタ君の方が……
私が答えると零が不満そうに言うので、
「萌絵は入学式ではコケたけど、あれから
持ち直して、学校では学年一の美女!
ネットでは好感度あり、企業からの依頼もあって
将来安泰でしょ! お金持ちや有名人との結婚も……
「それは……
零が困った感じで言うので、
「確かに、美女と言えば美女だけど……
圭一も悩みながら言うので、
つかさが此方に来て、写真を見ると、
「クチナの前世の方が数倍上だろ。
親と子を逆にしないと……
言いたくないが、周りに居るのは私たちだけだから、
あえて自分が言えばと、つかさは言ってくれたので、
「そうなの、道を歩いていても萌絵の方が御母さんって言われて
娘より若いって何て良いでしょうと、萌絵と歩く時の
楽しみだったの!!」
「モエさんのこと、嫌いだったの?}
嬉しそうに言った私に向けて零が言うので、
「嫌いに決まってるでしょ! 女の子うみたくなかったから!!」
それを聞いて、アレタ以外は聞くんじゃなかったと言う顔をしたので、
「いい、自分の腹を痛めて産んだ男の子が育っていって、
初めての行為と、男の子の子を生むのが私の夢なの」
「テルタ君と……
聞きたくなかったと零が言うと、
「でも、亡くなったのでしょ、夢のことは?」
「フフッ! 夢に向かって爆進中よ!」
美知恵が、夢が叶えられなかったので残念そうに聞くので
私が右手の人差し指と中指でVサインをして言うと、
「ロボットが、どうやって?」
圭一が言うので、
「それは内緒!
此の世界で成長した輝太と会うのが楽しみだわ!!」
「テルタ君……かわいそう」
零がロボットの私と結婚が決まってることから
逃げられないことが分かって、悲しみを含めて言うのを
聞きつつ、私の想いを輝太に届けと天に向けて発していた……
「ハ、ハクションゥゥウウ!!!!」
「テルタ?」
風邪などひいていないのに咳が出ったので
獣族の大陸にあるタイザール帝国の騎士で、獣族最強の騎士でもある
ダルザニアが心配そうに言うので、
「誰かが噂してるのかな?」
「噂する奴、要るのかよ!!?」
ゲーカイラ神国の勇者【イサオ】が、俺の肩に右前腕を
乗せて言うので、
「要るさ!」
功から離れて言うと、
「誰です?」
アーガル国の勇者【トモカズ】が聞くので、
「ダルザニアの奥さん、息子たち……
俺が答えると、
「恋人じゃないのか、ハハハァァアア!!!」
オークロード国の勇者【ユウイチ】が、俺には要るぜと言う感じで
高笑いするので、周りもクスクス笑っていると、
「それくらいにしろ!!」
ダルザニアが叱咤すると静まり、
「今回の勇者隊が召集されたのは……
横3列に並んでいる俺たちを見ながら言い出して、
「ホッソソック王国のソレルット町の下水道に居るスライムが
暴走した為である」
現在、俺たちが居る場所の名を言い、討伐対象の魔物の名前を言うと、
「テイマーされてたのが外れて、何時もの奴か?」
功が言うので、
「魔導士の契約が解約されたものだが……
俺以外は、俺たちを呼ぶ必要あるのと言う感じで
緊張感が薄れた感じになり、
「冒険者ギルドから派遣されたパーティーは全滅……
「スライムごときに?」
薄ら笑って言う祐一に
「全滅は、初心者か?」
オーガニック国の騎士でオーガ族のエコールが
ダルザニアに聞くと、
「ホッソソック王国の冒険者ギルドでは
中級者とは言っていた……
「スライムで?」
「他にも要るかも……
エコールとのやり取りで、ダルザニアが他の魔物の存在を
言うので、俺たちは気を引き締めて、
「それでは行くぞ!!」
ダルザニアは号令をかけて下水道に入る階段を下り出したので、
此処まで馬車で送ってくれた御者(騎士)たちに手で挨拶をしたら、
御者たちも俺たちに手を振ってくれた。
階段を下りて下水道の入り口に着くと、下水道に入る為の
鉄の扉をダルザニアが開けて行く間に、エコールが魔石ランタンの
スイッチを入れて、ダルザニアが開けて行く扉に向けて照らすと、
ダルザニアは下水道の脇の通路を確認して入って行く。
エコールも魔石ランタンを下水道の暗闇に向けて入って行く。
俺たちも魔石ランタンの光を暗闇に向けて入って行く。
ダルザニア率いる勇者隊は、人族のように各国が勇者隊を作らずに
一纏めで獣族の勇者隊になっている。
総勢15名で、勇者は俺を含めて9名である。
ホッソソック王国の勇者【ウリュウ】は不参加である。
自国の事なのにと馬車を用意してくれた騎士に聞くと、
高熱で寝込んでいると言うことであった。
勇者として召喚された獣族側の人数は70名で、男性は
40人であるが、召喚された時の騎士試験、魔導士試験の
下水道に居るスライム討伐で亡くなったり、冒険者修行で
亡くなっている。
此処に居る勇者は、俺を含めてスライムは敵ではない
レベルの者たちである。俺たちと共に勇者隊に入っている騎士たちも
ダルザニアを筆頭に高レベルの者たちである。
女性は戦闘には向かないと言うことで、俺と共に召喚された
杉原夏美は、皇帝の愛玩動物となり、
今頃は皇帝と、俺たちは真夜中にスライム討伐である。
他の召喚された女性たちも杉原と同じ感じである。
獣族の女性は人型として進化したせいで、生理が杉原たちと
周期が同じで、騎士や魔導士として使い物にならないと言うことで
女性はいないが、皇宮などには書類整理、会計などで勤めている。
30分くらい歩き、スライムの波動が未だ無いが、
嫌な予感だけが高まっている。
スライムがキチンと掃除をしてるので、汚物などの臭いはしないが、
スライムが出て来る気配がない。
「魔導士から離れたスライムが……
壁から通路から突然出て来るのが暴走スライムの
パターンなのにと、エコールが呟いていると、
突然ランタンの光が消えて、1つだけでなく俺たちが
持ち込んだ全てのランタンの光が消えて、
ダルザニアたち獣族の目が光っているだけである。
俺たちは通路に膝を付いて何時でも戦闘が出来る状態に
周りを警戒しつつ、
「嵌められたのか?」
「同時ということは……
エコールが言うとダルザニアが答えて、
「戻った方が良いな……
「馬車の連中は敵だぞ!」
エコールの提案にダルザニアが言うと、
「我々のレベルなら猫族など……
敏捷性、化けることに関して、カメレオン族に肉薄している。
タイザール帝国の皇帝陛下の娘が嫁いでいる国である。
タイザール帝国は様々なネコ科の獣族が住んでいるが、其処から
離れて、新たな地で国を催したが、経済的に上手くいかずに
タイザール帝国の属国になっている。
エコールの主張に、
「分かった」
ダルザニアが言うとエコールたちは暗闇の中で立ち上がり、
しゃがんでいる俺とダルザニアを
「分かれる気か?」
見ながらエコールが言うと、
「此のまま進む」
暗闇の向こうを見ながら言うダルザニアに、
「罠の方に行くとは……
言い放った後に、功たちに合図をして、
暗闇の中で入り口の方に歩き出して行った。
暗闇の中だが、エコールたちの姿が見えなくなってから、
「テルタ……行かないのか?」
ダルザニアが俺に聞くので、
「ダルザニアの判断は当たってるから」
笑みを見せて言うと、
「そうか……
ダルザニアは立ち上がり、俺も立つと、
「暗闇で見えるか?」
ダルザニアが聞いてくるので、
「暗視スキルは無いが、何かあるかは分かる」
気配スキルとダルザニアの目が光ってるので言うと、
「入り口の方で事が終わったら動く……
ダルザニアの耳が遠くを聞こうとピィィンと
張っているのが分かり、
「イサオたちが……
辛い気持ちで呟いた後に、俺は唇を軽く噛んでいると
「同郷の者が亡くなることは辛いが、
今から言うことを聞け!!」
ダルザニアが俺に向けて言うので
「何を?」
「自分自身が生き残ることを考えろ!
俺を盾にしてでも……
ダルザニアが決意を言うので、
「逆なら、俺を……
同じだと返すと、
「何か御腹に入れておこう」
ダルザニアはリュックサックから竹皮の容器を取り出すので、
俺も自分用のリュックサックから容器を取り出して、
干し肉、ポテトチップス、パンと少しずつ食べて、皮袋の水筒の
水を飲んでいると、水の流れる音だけがある静寂さの中で、
入り口での戦闘の響きが此処まで聞こえて来て、
「挟撃か……
ダルザニアが呟くので、
「レベルが……
「入り口から出て来たところを弓矢、魔法弾、下水道の方から
スライムの大群、手練れでも無理だ」
竹皮の容器を水が流れる水路に投げ入れて、
「行くぞ! 罠の方にな」
ダルザニアが言うので、俺も水筒、容器をダルザニアと
同じようにしてから、
「死にな!」
ニヤッとして言うと、
「お前だけでも……
呟くダルザニアに、
「妻子が要る方が」
「……そうか」
俺が言うと、俺の方に目を向けて言った言葉は
俺たちが生き残る可能性がゼロだけどなと言う含みが
籠った悲しい言葉であった。
「呆気なかったな」
猫族の騎士が言うと、
「王や皇帝陛下より強いのが仇となったな」
もう1人の騎士が言うと
「俺たち魔導士のおかげだろ!!」
フードを被って素顔が見えない者が言うので、
「そうだな、だが、強くなれば……
死体となった勇者、勇者隊を見ながら、
これ以上、強くならないようにしなければ、
何時かは此奴らと同じようにと眺めている猫族へ
「心配しなくっても良いわよ」
声がする方に剣を杖を構える猫族に、
林の中から姿を現した沙良に、
「人族!? 1人か、良い女だな」
嫌らしい目つきで騎士が言うので、
「俺たちもいる」
明美ズと共に林から出て来た俺が言うと、
「男2人に、女3人か?」
「私もいる!」
明美が言うが、
「ゴミだろ」
フードを被った魔導士が言うと、キレた明美に代わって、
「王子様をゴミ、さようなら……
沙良は一瞬で其の場に居た猫族の心臓に鎧など関係なくレイピアの
剣先を刺して行くと、猫族は地面に倒れて死に絶えていた。
更に、下水道の入り口に向けて、ファイヤーボールを連射して、
スライムごと入り口を破壊した。
「凄いな……
沙良の圧倒的な力の前に倒れた猫族の騎士、魔導士を
見ながら呟いた後に、破壊された下水道の入り口の
此の世界に召喚された同じ日本人たちの焼きただれた死体を見ながら、
「明美、蘇生を……
いたたまれない気持ちで言ったが、
「無理……ソラスは並行世界を創りたくないから……
辛い感じで明美が言うので、そうかと星を眺めていると、
「明美、時間があるとはいえ、此処に?」
パクオットが明美ズに聞くと、2人は顔を近づけて、
どちらが言うのってヒソヒソと話した後に、
「おじさまの活躍を見に来ました!」
「もう一度ね、私は!!」
明美が言うと、未来の明美が続き、
「おじさまって、ダルザニア? 最強騎士の!!?」
俺が驚いていると、おじさま病が発動したのかと、未来の沙良、美里が
呆れた感じでクスッと笑っていると、
「話して良いか?」
パクオットが明美ズに尋ねると明美ズは頷くので、
「ダルザニアは明美の準眷属になっている。
今は俺の師匠になってもらっている」
パクオットが話すのを聞いて、
「獣族の戦闘センスは高いから分かるが、準なってないだろう?」
パクオットから明美ズの方に目を向けて言うと、
「今はね、段取りが……
「おじさまって、眷属になっても自力でレベル上げるって言って……
明美が言うと、未来の明美がウットリしながら言うので、
少しムッと来るが、
「助けないと! 魔導士は死んだが、最後の命令は……
テイマーされた魔物は、命令されたことを完遂してから
解除されるのが普通なので、ダルザニア、輝太が向かっている先には
大量のスライムが待ち構えているはず、此のままでは2人とも
死に行くだけなので、俺は明美たちに告げて行こうとすると、
「心配ないよ! 準眷属の輝太が居るから!!」
明美が言うので、エッとなって立ち止まり、
「接点ないだろう!? 明美とは!!?」
不思議に思って言うと、
「セント・ギアが、今いるよね」
秋人さんが観客スタンドの設置の為に此の世界に呼んだ
「オタクロボットと……
空から、「明美さま!!!!」
大声で言う
「変態が!!」
俺たちの前に着地したセント・ギア【ムラサキ】が
「明美さまを愛する行動を変態と言う光ちゃんには!!」
タブレットを見せて言うムラサキに、
「何も映ってないけど?}
画面が明るくなりだして、食堂のシーンが流れて、
明美が使ったフォークを素早く変えて使用している俺の姿に、
未来の美里たちが覗いて見ていて、
「光悦って……
「間違えて……
苦しい言い訳を未来の美里に言うと、
「明美! 私たちもよく間違えるわね」
未来の沙良が言うので、
「皆さん、変態ですね」
ムラサキが可愛く言うが、
俺は違うとパクオットは林の方を見ていると、
「パクって、私が少し食べたパンを置いてると……
「新聞読んでいて! たまたまだろ!!」
パクオットが赤面しながら明美が言ったことに
此方に向けて叫んでいると、
「皆さん! 似た者同士で仲がいいですねっと!!」
ムラサキは言い終わると俺の背中に乗るので、その重みで
俺は地面に押しつぶされて、
「明美さま成分、補充!!」
ウットリしながら言うので、
「そこに居るだろう!!」
苦しい態勢だが明美を見つめながら言うと、
「光ちゃんの体に染み込んだ明美さま成分が、
光ちゃんの体で熟成してから染み出る成分が
私に合うんですよ!!」
ムラサキが甘い感じで言うので、
「改修しろ!! 此のド変態を!!」
明美に向けて言うと、
「ムラちゃんの性能維持の為、未だに続いていますので
光ちゃんは諦めて下さい」
未来の明美が諦めろと言うので、
「諦めるな!!!」
「人間でしたら、結婚したいくらい好きです!!」
ムラサキが言い出すので、
「俺は好きじゃない! 生身が良いんだ!!」
「未来の明美さま! 私を人間に出来ます?」
「出来るけど、今のムラちゃんが光ちゃんは好きだから」
恐ろしいことを言い出す未来の明美に、
「好きになるかぁ!!!」
俺の叫びに、「私のこと嫌いですか?」
涙は出ていないが、ムラサキが言い出すので、
「明美が作ったから、嫌いではないから、もう! どいて!!」
「そうですか!!」
嬉しそうに言って俺から離れてくれたので、
地面から立ち上がると、フェイスマスクが真ん中で割れて、
ヘルメットの両内側に収納されて、人間の顔を見せるムラサキが、
「私のファーストキスを光ちゃんに!!」
目を閉じて待っているムラサキの頭を右拳で殴ってから、
「出来るかぁああ!!
俺にしがみついていた時に、キスしていただろう!!」
「口同士で!!」
「明美!! やっぱり改修しろ!!」
困った感じで未来の明美が、
「無理!!」
「しろよ!!」
「私も無理」
明美も言い、「私たちとキスした後にムラサキとしてるよね」
未来の美里が恐ろしいことを言うので、
「美里さま! それは何時? 最初は!!?}
未来の美里に聞こうとするムラサキに、
「此処で、お前を!!」
フェニックスの剣を鞘から抜くと、
「パクオット! 後頼みます!!」
空へと逃げるムラサキに、
「逃げるな!!!」
剣圧を届かないが飛ばしていると、
「ムラサキと光悦の関係って此処から?」
明美ズに聞くパクオットに、
「前から狙っていたみたいだけど……
「記憶が無かったから?」
明美が言ったことに俺が言うと、
「そうかも、写真を見せたら興奮してたから」
「なるほど、まぁ、明美が作った変態だが、
嫌いでは無いな、好きでもないけど」
明美の言葉で、俺に一目惚れなのかと思いながら言うと、
ムラサキが突然戻って来て、
「好きになって、私の処女を!!」
「ロボットだろ!!」
「人間に!!」
「それは却下!!」
「浮気するよ!!」
「すればいいだろう!!」
「輝太にしよ! 光ちゃんには劣るけど!!」
「そうしてくれ!!」
「でも、処女は光ちゃんに!!」
「だから、ロボットだろ!!!……
明るくなって来た空の下で、俺たちが言い争うをしているのを
パクオットたちは笑いながら温かく見守っていた。
下水道の歩道を暗闇の中を警戒しながら歩いていると、
外からの夜の光が入ってきているのか、
闇の暗さが薄くなって来ている場所にある部屋の前に止まり、
「修理用の素材置き場兼休憩所か?」
「だろうな……
ダルザニアも肯定するので、此処が罠の場所かと
フッと笑ってから、
「今まで出てこなかったが……
スライムの反応が大量にあるので、普通なら逃げるが、
「後ろからな」
ダルザニアが部屋を見ながら言うので、
「入りますか、地獄へ」
俺が部屋に入ると、ダルザニアも入り、部屋の中央で
俺とダルザニアは背中合わせになり、鞘から剣を抜いて、
中段に構えて、壁の向こう、地面、スライムの気配が
何時でも襲い掛かれると言う感じで、死へのカウントダウンかと
ゴクリと唾を飲み込むと……
(オール1を目指しなさい!!
(社会に出れば学校の勉強なんか
役に立たないから授業は寝てなさい!!
(アニメの道を!! アニメ街道を進め!!
(今日は太郎週間よ! (仕草、声の張り、宿題よりこっちが大事!!
(テストで100点‼!? 白紙で出しなさい!!
(私の教育方針に口を出すな!!
(コスプレしたくない!!?
(良いわよ! 何処まで耐えられる!!?
(お母さんの事、異世界に行っても忘れないでね……
走馬灯のように母さんのことが流れたが、碌な思い出が無いなと
苦笑いしていたら、
「来るぞ!」
ダルザニアが叫ぶので、もし次の人生で、母さんの
生まれ変わりと恋人になるのも良いかもと剣のグリップを
強く握って、
「やってやるぜ!!」
俺の叫び声を合図に、四方八方からスライムが現れて、
スライムの核を剣で斬って行く。目の前の、足に絡みつくスライムを
服が溶けようが、皮膚が溶けようが、俺の視界に入るスライムを
片っ端から倒して行く。
ダルザニアも同じようにしてスライムを倒して行く。
スライムによって、剣が溶け、ボロボロになって行くが
強引にスライムを倒して行くが、スライムを外して地面に剣を
打った際に剣が折れたが、短いだけだと更にスピードを増して
スライムを倒して行く。
「ハア、ハァ、ハ……距離を置くか……
まだまだ現れるスライムは、俺たちのボロボロの姿に
限界と感じたのか、俺たちから距離を取って俺たちを見ている。
ダルザニアは地面に片膝を着いて息が荒く、
「行けるか?」
「あぁ……陛下から貰った力を使う」
俺の問いに、俺たちを嵌めた皇帝の力を使うと言うので、
「そんなのあるのか? 俺たちを……
言い出す俺に、
「テルタは部屋を出ろ! 此処は俺が……
入口の方を見ると、スライムたちが入り口を塞いでいるので、
「ダルザニアを残していけるか!!」
ボロボロの短くなった剣を捨てて、格闘家のように
ファイティングポーズをしてスライムたちを睨んでいると、
「此処は、俺の死に場所だ!! 生きろ!!」
地面から立ち上がるダルザニアは剣を捨てて、
息を整えるように呼吸をしているが、
「出ても、敵は居る! ダルザニアが居なければ……
「お前なら、1人で倒せる!!」
ダルザニアは無茶なことを言うので、
「ボロボロで、立っているのも……
「それでも、最強勇者だろ、生きて出て来るとは……
ダルザニアが話している途中で両膝を地面に着けて行くので、
「此処は、俺がやる! 休んでいろ!!」
「初めて会った時はダメな人間かと……
「ダルザニア! 師匠!! 死ぬな!!!」
俺は振り向き、両手を地面に着けて、息をしているのも苦しそうな
ダルザニアを見て、スライムたちを見渡して、
「此処までか……自爆技でもあれば、カッコいいのによ」
笑いながら言う俺の頭の中に、
『おじさま最高!! 「ツヴァイよりカッコいいよね!!
『あ、浮気!! 『助けなくって良いの?
『テコ入れが来るから……
陽気な幻聴が聞こえてくるが、最後は母さんの膝枕の中で
寝たかったなと、目から涙を流しながら、
「俺は、与田輝太! アニメが好きで、コスプレも好きで、
アニメに、玩具に没頭している母さんが好きな
息子だぁあああ!!!」
大声で叫んだ後に、入り口のスライムたちに向けて走るが、
足が縺れて地面に転んでしまって、
「クソ!!
両腕だけで進もうとするが、力が出ないので、
「母さん……
此の世界に居るわけもないのに呼んだ自分が馬鹿かと思いながら
地面に倒れていく俺の耳に、
「私の息子を! 輝太に代わっておしおきよ!!」
懐かしい母さんの声だけど、俺の名じゃなく月だろと
突っ込みながら倒れた。
鳥のささやきが聞こえるので、目を少しずつ開けると、
陽射しがきついと感じて、左手で遮ると、
「起きたか?」
ランニングシャツにパンツを穿いて、スニーカーを履いている
ダルザニアが俺に声を掛けるので、
「天国でもダルタニアに会えるとは……
フッと笑われてから、
「向こうを見て見ろ!!」
右親指で示す方を見ると、俺たちが通っていた下水道の周りが
破壊されて、スライムと戦っていた部屋は崩壊している。
向こう岸が見えない程の川の水が、崩壊した部屋や
地形が変わってしまった所に流れ込んでいる。
「……生きてるの?」
「気がついたら怪我は治ってるし、着替えもな」
俺が聞くと、ダルザニアが俺に向けて言うので、
「骨が見えていたのに……
ズボンが溶けて足の骨が見えていたが、跡も残らずに
治ってるのを確認して言うと、
「神ソラットさまが俺たちを……
空を見上げるダルザニアに、
「個人は無いだろ、フッ……
個人の願いや想いを神様が聞いていたら大変だと
思いながら言うと、
「そうか? 現に……
確かに、俺たちが助かったのは奇跡で、神様がいなければ
無理なことだが、だったら、入り口に戻った功たちも願ったはずで、
「生きてると……
俺の重い言葉に、ダルザニアは顔をしかめて、
「誰が助けてくれた?」
「さぁ? 着替え、ダルザニアだけ?」
木に着けていた背中を起こして、ダルザニアに聞くと、
「テルタの横に皮袋があるだろ」
その言葉で左の地面に置いてある皮袋を見つけて、
皮袋の口を開けて、服などが入っているのを確認して、
「? 封筒」
アニメキャラが印刷された封筒が皮袋に入っていたので、
封筒を手で取りだして、封筒を開けると手紙が入っているので、
取り出して見ると、
親愛なる輝太へ
貴方が此の世界に来る前から見ていました。
私は、貴方の母カオルの転生したガーデニアです。
貴方が今回の危機に合うことは前から知っていましたが
歴史を変えることは出来ませんので、貴方の友人を助けることは
出来ませんでした。
貴方が後2年間を此の世界でどの様に過ごすことも知っていますが
教えることは出来ません。
私は人族の大陸で過ごしていますが、貴方が人族の大陸に来て、
私とすれ違っても分からないでしょうが、私は貴方の姿を見て
微笑むかもしれません。
貴方の部屋での口上を聞いて、私を愛してくれていることに
嬉しい涙が零れました。
口上はスマホの着信ボイスにしますね。
貴方と再会できる日を心待ちにする母より
「……スマホって此の世界に在るの?」
手紙を読んで思ったことを呟く俺に、
「どうした? 涙を流して?」
「いや、読むか?」
涙を拭いて立ち上がり、手紙をダルザニアに見せると、
「字が読めないが」
日本語で書かれているから、
「俺たちを助けてくれた人からの手紙」
「そうか……
破壊された下水道の方を見るダルザニアに
釣られて俺も見ると、
「帆船、戦船か? 俺たちを?」
川に数隻の船が見えるので言うと、
「いや、下水道が崩壊したので来たんだろうな」
俺の問いに答えるダルザニアに、
「入り口だけだったのか?」
部屋を無事に出られたら、下水道の出口の岸辺に
出られるので、そこで手負いの俺たちに止めを刺す者が居るかと
考えていたが、崩壊した下水道の周りを見渡すと
騎士や魔導士の死体が無いので言うと、
「だろうな、もう少し此処に居て、行こうか?」
「何処に?」
「国だが」
「俺たちを嵌めた……
「証拠がない! 剣を捧げた身だ!」
ダルザニアが頑固に言うので、
「謁見の間で……
「報告をして終わりだ! 無いな」
勇者隊は壊滅で、ダルザニアと俺だけとなり、他国に報告はするが、
生き残る力が無かったで終わりだろう。
再編成されるかは分からないが、獣族対人族、獣族対魔族での
ゲームでは、俺とダルザニアだけの可能性は高い。
タイザール帝国に帰還した場合は、皇帝陛下が俺やダルザニアを
暗殺するための派遣だとしても、生き残って帰還した以上は
労いの言葉を言うだろう。
謁見の間は密室で、俺たちを殺そうと思えば出来るわけで、
殺した後で理由を考えれば良いだけなので、
「無事に出れるか?」
「皇宮に行くまでに皇都の民に姿を見せて行く。
皇宮から出てこなければ、陛下に対しての不満の声が出る」
ダルザニアの今回の行動は、派遣されて戻って来ただけである。
謁見の間で殺した理由を後から考えて発表したとしても、
今回の派遣のことは知られているので、納得しない民が
不満を言うだろう。そして、謀反を起こす可能性も高い。
それだけダルザニアの人気は高く、次期皇帝にと言う民も
いるくらい、皇帝より力が強く、民に愛されている。
「だと、良いけど」
フッと笑うと、ダルザニアも笑っていて、
生きて帰れる喜びを噛み締めていた。
クチナの代わり……
嫌なのか?
演劇とオタク館の準備で大変なのは分かるが
ギルド迄の護衛さ
転生してまで過保護なのは
確かに、獣族最強の勇者は伊達じゃなかったけどな、インディゴ
最後まで諦めない勇敢な男だ!
明美さまが、お気に入りの獣族最強の騎士
輝太を逃がすために生かすために
その護衛だ! 不満はない
ナツメ、お客さんだ!
ハリネズミの魔物か?
針に気を付けろよ
誰に……
油断は禁物
もちろん
次回
第71話 バレて、筒抜けで……
俺は観客席に……
なんで?
ナルエに……
夫婦でしょ
いや、あの……
沙良と一緒に会うから?
分かってるなら
私とは嫌?
つかさに悪いなぁっと
なんで?
俺は、ナルエ一筋なので……
光悦のこと、恋愛対象になってないわよ
俺の片思いで良いだろ!
私のこと嫌い?
アケミ、好きに決まってるだろライクだけど
ライク?
胸を押し付けるな!
ホック留めて
俺じゃなくても
着替えも終わったし、行きますか
旦那さま
……ナルエを奪うからな
照れて言うのカワイイ
つかさに、私を奪われないように夜は頑張ってね
テントに戻るから
私たちの体、どうだった?
……
つかさに、私たちのアツアツぶりを見せつけよう!!
夜は此処で!!
光悦の初めてを!
……逃げたい




