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旧アケミと共に異世界アドベンチャー……  作者: ウッドスチール
第2章 女神は、わが子の為に……

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63話 戦うのは……

 朝、朝、窓から朝日の零れ日が、カーテンの隙間から部屋に

入って来ていて、部屋の惨状を照らしている。

 「セーイラさん……

媚薬のせいとはいえ、何も覚えていない。

 俺は床から立ち上がり、シャワーを浴びに浴室へと向かう間に、

  『おはようございます! 食事は?』

呑気な声で言う部屋に、

 「ビデオとか撮っていないだろうな!」

『凄かったですね! 撮ってませんから……

  明美の作った部屋だから、撮ったと確信するが、

 「俺は約束があるから、ナルエたちには、パン、ジャム、スープ、

   スープは、肉より野菜を多めに、後は、ピザでも仲良く食べて

    昼まで、映画など見せて、ゆっくり過ごしてくれと」

 『分かりました、コック長に伝えておきます』

   

 シャワーを浴びながら、沙良も知っているのだろうか?

109人も嫁にすることを、沙良を其の中に入っても良いと

ナルエたちが言っていることを。

 ただ、婚約者がいるが、無能で行方不明と聞いていたが、

恭子から冒険者家業をしていると聞いた。

 王子で冒険者は在り得ない話ではないが、無能は無理だろう。

沙良とクラスの皆でドラゴンの討伐をした時の映像がある。

 その映像で、恭子と沙良が話している場面はあるが、

会話は収録されていない。

 沙良が、冒険者を新たな婚約者にしたのだろう。

調べれば直ぐ分かるが、調べる気はない。

 沙良は明美を王子様と言うくらいゾッコンだが、大統領の娘なので、

立場上、名のある者を夫にする義務がある。50年過ぎれば、

相手は老衰で亡くなるので、沙良も我慢して夫婦を演じるのだろう。

 シャワーの栓を止めて、シャワー室から出て来てから、バスタオルで

体を拭いていく。

 脱衣場には服が用意されていて、折れた統星剣も自己修復して、

鞘に入れられて置かれている。

 トランクスを履き、デーパートパンツを履き、皮靴を履いて、

長袖のポロシャツを着て、髪は少しだけ整えて、

 「竜巳のこと言えないよなぁ……

 鏡で顔を眺めているが、薄いんだよなぁ、体毛も、明美の

眷属のせいかもしれないが、親父は明美の眷属だが、

髭は普通に生えてるし、体毛は胸毛、腹毛は産毛であるが、

男らしいから、22歳になった自分と比べて、良いなぁと

眷属になった時期が問題かな。

 本当は親父は若くなるが、仕事の関係でなっていない。

母さんは22歳くらいになっていて、夜の街を、クラスの母親と

一緒にナンパされに行っている。

 もちろん振るわけで、ナンパされた数を競っている。

  トラブルもあるが、魔法や拳で解決している。


 脱衣場から出てから、部屋を見渡して、

  「自由が無くなったな……

 剣ベルトに統星剣が入った鞘を繋げて、

    「俺の粗が分かって、別れてほしいなぁ」

 呟くと、

  『慰謝料が大変ですね』

 部屋が言うので、

    「無一文になっても、力があるから……

 扉が開いて、廊下に出る時に、

  『なっても、付いて来ますよ』

 言うので、「……そうかもな」

  笑みを浮かべて廊下に出ると、

   「体、大丈夫?」

 あんたのせいで、部屋が大惨事になったんだろと

言わないで、「大丈夫です、アレタとの会う時間が!」

 微笑んでいるセーイラさんが、

  「私が渡した媚薬の件は言ってあるから、

    私から電話をしてから、来るように言っておいたから」

 アレタに話したのって驚いていると、

  クスクスと笑って、「パレスによ」

   セーイラさんが言うので、

 「そうですか……

 疲れたなぁ今のでと思っていると、

  「さあ、行こうか、100%安全な旅に!!」

パティ―さんが告げるので、

 「お願いします」

   俺は言って、パティ―さんがゲートを詠唱して、

  ゲームが開催される会場に繋がる歪の中に、

 俺1人が入って行った。



 心地よい風が流れている観客スタンド、屋台、そして

朝食の準備に入っている勇者隊。

 アレタが来る前に、自分も朝食を取るために、簡易椅子を出して、

テーブルを出して、釜飯を食うために、卓上かまどの中に固形燃料を

置いて、その上に釜を置いて、インスタントの御飯、具、汁を

入れて行き蓋をして、着火ライターで固形燃料に火をつける。

 「遠回しで、此方を見てるか……

 ロックティラ、光悦たちが、俺に気が付いて見ているが、

此方に来る気配はない。

 

 20分過ぎて、蓋から湯気が出ているので、蓋を開けて、

シャモジで釜から御飯を掬って、茶碗に入れてテーブルに置く。

 御茶も用意して、戦場となる広場を見ながら食べて行く。

  食べ終わったのを見計らって、

 「ツカサ!」

ロックティラが此方に来るので、

  「何か?」

 フルーツゼリーのカップの蓋を取りながら言うと、

    「手合わせを頼む!!」

 俺にガイア・ソードの入った鞘を見せながら言うので、

  「先約がある! 昼から変なのが来るだろ?」

怪訝な顔をして俺を睨むロックティラの横から、

 「お兄ちゃん!!」

   歪から現れたアレタが元気よく挨拶するので、

 「デザートを食べ終わったら……

微笑んで言うと、

 「僕にも!」

   ねだるアレタに、

    「こぼすなよ!」

 ヨーグルトゼリーの入ったカップを渡して、木のスプーンも

渡して、嬉しそうに食べているアレタを見ながら、俺も食べて行く。

 それを見ながら不機嫌な顔をするロックティラが、

  「先約とは、魔族の子に?」

 威圧を掛けているのだろうが、アレタは全く気にせずに食べていて、

 「お兄ちゃんの世界では、ガラスではない透明な物があるんですね」

あのおばさん、俺のことをアレタに色々喋ってるなと思いながら、

  「植物系から作る透明な容器だよ」

 言ったところで分からないだろうけど、

そうかと頷いてるのが微笑ましく、ナルエたちの間に子供が産まれて、

 アレタみたいに育てばいいなっと思いながら、

  「そうじゃないだろ!!」

 声を上げてしまったので、驚くアレタやロックティラに、

   「考え事していたから……

 笑いながら言うと、

  「お兄ちゃん! お父様とお母様が、2時後に来ますので……

 俺の言葉を無視して言うアレタに、

   「アレタのように、パティ―さんに?」

 首を横に振って、「馬車で!」

  「そうか……

 馬車の立派さを見せたいのだろうかと考えながらアレタに

言うと、アレタも食べ終わったので、空のカップをアレタから貰い

皮袋のゴミフォルダーに入れる。

 家に帰ってから、ゴミをまとめて物質変換魔法が出来る箱に入れて、

オイルに変える。変えた物は、親父が電気屋を経営しているので、

仕事で使用する車のオイルとして使用して、経費節減をしている。

 流石に、ガソリンは税金などがあり、車の買い替えまで

1回も入れないと怪しまれるので、普通にガソリンは入れている。


 「まずは、準備運動だな」

俺は皮袋からモニター付きのラジカセを出してテーブルに置いて、

 SDカードをスロットに入れて起動させるとレオタードを着た

女性が現れて、

 「この人を見ながら、真似をしてラジオ体操第1を!!」

戸惑うアレタも、「う、ううん」と返事をして、

 呆気に囚われているロックティラ達を無視して

  音楽と共に、レオタードを着た女性が動くので、

   同じように動きながらラジオ体操第1が終わったので、

 ラジカセを片付けて、テーブルも片付けて、

  地面に腰を下ろして、開脚して上半身を地面に付けて行く。

 アレタも同じようにするが、「上手く、開かない!!」

  「無理するなって!……

 アレタは120度くらいは開いてるので、

   「そのまま、体を前に倒して……

 「お兄ちゃんみたいに、地面に着かない!!」

嘆くアレタに、「俺だって、最初は無理だったから……

 軽く上下に動かしているアレタの格好は、魔族の女性の正式な

格好であるビキニアーマーである。

 向かい合っているので、どうしても足を開いているとボトムが

目に付くので、俺は目を閉じて行っている。

 今度は、お互いの両足を合わして、手を繋いで、俺が背中から倒れると

アレタは前屈して、その逆をと何回かして、次に……

 2人で行えるものも入れながらストレッチを終わらして、

ずっと見ていたロックティラが、

  「俺と……

    暇だなっとロックティラを見てから、

     「アレタと稽古だから……

 ガイア・ソードのグリップを握り締めて、

  「人族だろ! 魔族を教えるなど!!」

 ロックティラが睨みながら叫ぶので、アレタは俺の後ろに隠れて

怯えながらロックティラを見ている。

 俺は、テーブルに立て掛けていた鞘に入った統星剣を左手に持ちながら、

 「先生じゃないから、誰だってやることしか教えられない!」

   「だが、魔族だぞ!!」

 目を鋭くして言うので、

  「関係ないな! 俺が教えると言った!」

 鞘からガイア・ソードを抜いて、襲い掛かるロックティラに、

横に流れて、統星剣でガイア・ソードの刃を真っ二つに斬り落として、

 「ば、ばかな、神の剣が……

   「俺の剣も、神の剣だよ」

 驚くロックティラの後ろから首に向けて、柄の頭で殴り、

地面に倒れ出すロックティラに、

 「暫く寝てろ!!」

   ドサッと地面に倒れて、気絶したロックティラを見た後に、

 光悦たちが来るかと見渡して、来る気配が無いので、

  「今度はランニングしようか……

アレタに言うと、「剣を振りたい!!と、言い出すので、

 「剣は?」聞くと、

   「あああぁぁ!!! 持って来るの、忘れたぁぁあああ!!!」

 嘆くアレタの声が、光悦たちにも聞こえて笑っている。


 アレタは背が小さいので、俺が所有している剣で、アレタに

合うのはどれが良いかと

 ダイモーン・ソード、ブロンズ・ソード改、神魔剣、短剣などを

並べて、アレタは目を輝かして並んだ剣を見ている。

 食事の用意も終わっていないが、男性陣に後を頼んだ女性陣が此方に来て、

アレタの近くで、並んだ剣を見ている。

  ロックティラは地面に倒れたまま放置されている。

 

 「綺麗……

 シン・ケイサム海洋国の勇者である上杉しょう子が言うと

「私たちが使う剣と、見ただけで此方の方が……

  カレンガールド国の勇者隊の1人ユーリンスが溜息交じりに

ロングの髪を触りながら呟き、

 「団長の剣は、神の剣が……

 ロックティラの近くに落ちている折れたガイア・ソードを見ながら

センシーラが嘆くので、

 「角度、振り下ろすスピードで、斬り落とすことが出来たけど、

   君たちが秋人さんから貰ったガイア・ソードの方が上だよ」

  慰める感じで言うと、

「どんな物を使おうが、使う者の技量で、カバーできるってことだろ」

アドラーが鎌を構えながら此方に歩きながら言うので、

 「朝稽古でもするんですか?」

べルール、センシーラ、美鶴たちが道を開けて、

 アドラーが俺の所に来ると、

「良い剣ばかり揃えて、お前の嫁に、どれを贈るんだ!」

  俺を覗き込むように言うアドラーに、

 「貴方、良い人です! 僕を、お兄ちゃんのお嫁さんって!!」

喜ぶアレタに、ブスッとする女性陣を尻目に、

 「まぁ、俺が神族になった記念のダイモーン・ソードかな」

アレタに鞘から抜いたダイモーン・ソードを見せて、

 「神秘的な剣! これを僕に!!」

柄からアレタに渡して、アレタ用に剣が小さくなって、

 「凄い! 小さくなった!!」

周りが驚く中で、 

  「冒険者や、騎士団の見習い騎士が、初期に購入する剣だよ」

 アドラーは言うが、明美によって、俺たちにタダで渡された

ダイモーン・ソードは、使用者によって長さなど変わるように改良されている。

 このことは、所属しているギルドのメンバーでも知っている者は少ない。

竜巳が使用する短剣タイプは、明美の師匠に制作された物と思っている。

 アドラーは、所属ギルドではナンバー1の実力者であるので、

  俺たちのダイモーン・ソードのことは知っている。

 「で、でも、何で知ってるんですか? おばあちゃまでもないのに」

俺のことは教えてないのと、ガクッと肩を落とすアドラーは、

 「君の……まあ良い! つかさはギルドの後輩だ!」

 周りは驚くが、光悦は知っているので話していると思ったが、

「そうなんですか! おばあちゃまが言ってました!」  

  アドラーに尊敬の眼差しで言うので、良いことを言ってるんだと

思ったアドラーは胸を張っていて、

 「お兄ちゃんに連敗、連敗の、弱虫アドラー、ナンバー2と!!」

「何時言ったのかな……

  怒りマークが額に浮かぶアドラーに、

   「昨日、家で、おばあちゃまが神界のことや、お兄ちゃんと僕と

     おばあちゃまと嫁ぇズの皆様と住む豪邸などを

      さっきのように見せてくれたの」

 豪邸は明美の家だろう。使用人は100人いるが、明美が

住んでいるのは俺たちの世界なので、ギルドに行く時に使うか、

転生エリアに遊びに行く時に使用するくらいで、寝泊まりは殆どしない。

 その為に、俺たちクラスメートが自分の家のように使うことを許可している。


俺とアドラーは皆様から離れて、

 「俺たちの正体、あの子に……

  「パレスからだろ……

 「先輩は、パレスとは?」

   「モルモーラと対峙しない、関わらないと話した帰りに

     偶然会って、正体を聞いて……

  「そうですか、あのおばさん、俺と……

 「テロの件で目を付けられたのか?」

   「たぶん、アレタを利用して……

  「魔王に嫁いだ嫁の母親だしなぁ……

 「本体との結婚も確定……

「お前って、玉の輿じゃないか!」

  「恋多き人でしょ!」

    「そうだが、最近は分身使って本体は……

 「俺に近づいて、アレタを使って、周りを……

「ソラスから聞いて、109人のことを聞いたうえでもなぁ……

     「俺って、転生して逃げれます?」

 「無理だろ、追いかけて来るって!」

   「俺以上の人いますよね」

 「明美の上位準眷属って、まだ分かってないんだ」

   「一応、下級神扱いでしょ」

 「下級神が、俺と同等ってのが在り得ないの」

   「そうなんですか?」

 「知らなかったのか?」

   「聞いただけですが……

  「諦めろ! お前は、女性を惹きつける運命の星なんだよ」

 「沙良だけで……

   「それが1番無理だわ」


 俺とアドラーが話している間に、豪華な馬車が俺たちの直ぐ近くに止まり、

馬車から魔族3人が降りてくる。

 アレタの両親に、パレスの3人である。

アレタは両親を見ると、

 「お父様! お母さま!」

   叫びながら駆け寄って行くが、

 「アレタ! 剣を鞘に!!」

   俺の声にハッとして右手に持っているダイモーン・ソードを

 見た後に、

  「ああぁぁ……

 叫びながら、俺の所に戻って来て、俺から鞘を受け取り、

ダイモーン・ソードを鞘に入れていると、3人が此方に来て

 「君が、アレタの恋人か?」

父親が俺に言うので、

 「妹ですね、50歳でしょ!」

アレタの年齢を聞いて、ビックリしている女性陣は置いといて、

 父親は腰を下ろして、アレタに向き合い、

  「アレタ! 彼は人族だ、魔族のように生きられない!」

その言葉に、アレタは俺に振り向いて、

 「100年後……

   目に涙を潤ませながら俺に言うので、

 「人族は平均60歳、俺は14歳で、あと46年だな……

涙を流すアレタに、母親が近づいて、ハンカチで涙を拭いている。

 俺は地面に片足を着けて、アレタの顔を見つめて、

クスッと笑って、

 「俺は人族から神族になった!」 

母親は俺に振り向き、父親は斜め上から俺を見ていて、

 パレスは微笑んで見ている。

  「神族?……

 俺をジッと見るアレタに、

  「そうさ、最低1000年は、何があっても生きるつもりだ!」

 アレタに向けて宣言すると、アレタが笑顔を見せて抱き着いて来たので、

  「両親が見ているから……

悲しい涙が、嬉しい涙になって泣いているアレタを抱きながら

 両親を見渡してから、

  「アレタの両親と話があるから……

 アドラーに顔を向けて、アドラーは頷いているので、

  「俺の先輩と剣の修行をしてて……

アレタを俺から離して言うと、えぇぇ!!という顔をするけど、

 「アレタとの此れからを話すから……

言うと、納得したのかアドラーに向けて、

 「おじちゃん! 稽古お願いします!!」

   アドラーに向けて言うので、

    「アレタより年上だけど、お兄さんと言ってほしいなぁ」

 アドラーは苦笑いしながら言うが、女性陣は50歳以上なのと

若々しいアドラーを見ながら驚いている。アレタの両親も驚いている。

 アドラーに連れられて、アレタは戦場となるフィールドに出て行き、

剣の稽古に入って行った。

 女性陣は何時の間にか居なくなり、ロックティラも気絶から目を覚まして、

折れたガイア・ソードを持ち帰って行く時に、鞘に入れれば再生されるから

と言って、鞘にガイア・ソードを入れて、朝食の準備が終わったテントの方に

向かって行った。

 俺はテーブルと椅子を4脚を皮袋から出して、アレタの両親、パレスが

椅子に座り、俺も椅子に座り、

 「私は、ディセノ・ギル・レナール……

父親は名乗り、母親の方に顔を向けて、

 「妻は、エリータ・キル・レナ―ル・フォン・パレス」

軽く御辞儀をする母親に続いて、

 「貴方の妻になるベイベラよ」

俺はガクッとなりながら、

 「話し相手でしょ!!」

   ほほほっと、右手を口に添えて微笑んでいるので、

    「で、此処まで来る間に、おばさんに聞いてるはずで、

      何か質問ありますか?」

 義母のパレスをおばさんと言う俺を睨みながら、

  「我々も、街に住み出してから、ミューブル王国の、

    神ソラスの件、魔王陛下が此の地に屋敷を建てたかを……

 「それで?」

俺は余裕で返すと、

 「娘が、君と結婚すると喜んでいたから、義母から聞いて……

パレスに向けて、父親は怒り顔を見せた後に、

 「義母が、神ソラスさまの上の存在とは……

溜息をするので、

  「そこまで話したの?」

パレスに聞くと、えぇっと言うので、

 「おばさんの件は、おばさんと話します」

「おばさん呼ばわりは、止めてほしいわぁ……

可愛い子ぶりっ子するパレスに少し笑ってから、

 「アレタは、俺を英雄と見ています」

「英雄ですか?」

  母親が聞いてくるので、

   「ええ、俺の姿がカッコよかったんでしょ、

     それで、お兄さんなら、さらに婚約者なら……

アレタとアドラーの稽古を見ながら、

 「親戚一同は、君を嫌うだろうし、義姉は君を殺しに来るだろうね」

無理だけどねと言う顔をする父親に、

 「魔王の妻ですか?」

魔王の第1王妃

 イサベラーサ・ラゲイル・ファースト・ラッタクリーム・イン・パレスが、

母親の姉であり、パレスの娘である。

  「そうだよ! だが、私自身はレナール家の今後を考えれば、

    娘との結婚は、直ぐにしてほしいね」

 俺の心理を探るように言う父親に

  「駄目神の戦略で、今回のゲームに参加する女性陣109人を

    娶ることになってます」

 呆れた感じで、

  「神ソラスさまを駄目神ね、109人も聞いたことがないね」 

 母親も頷いた後に、

  「其処に、娘が?」

    聞いてくるので、

 「兄として慕っているうちは良いですけど、俺に本当に恋に落ちた時に、

   俺の周りにいる女性たちを見て……

   「受け入れるか、受け入れないか……

 俺の態度を見ながら父親は、ため息交じり話して、

 「そうです、悩むのなら、アレタには別の人を……

父親は椅子の背もたれに背中を着けて、

   「……兄のように接するか」

 俺は頷いてから、

  「それが、今は良いと思っています」


 休憩か、稽古が終わったのか、アドラーとアレタが此方に来てから、

  「あなた方の娘さん! 良い剣士になりますよ」

 アドラーが両親に言うと、

  「お兄ちゃんより動きが見えるから、弱い!!」

 アレタが言うことに頬をピクピクしながら、

   「人族のレベル22にしてるから……

 内心怒っているが、我慢しているアドラーに、

  「僕! フェイスおじちゃんの若い時より上のレベル45だよ!」

 レベルを持ち出して、アドラーは弱いと言い、更に、魔王の息子

第4王子のファインダーロペス・フォウ・ダ・ラッタクリームの名を

 出して言うので、

  「先輩は、本当はレベル250だけど、人族に合わして来てるから」

 アレタに言うと、両親はアドラーをジロジロ見出していて、

  「お兄ちゃんは?」

 首を傾げて聞いてくるので、

    「レベル3だよ! 失格勇者だから……

 アドラー、両親、アレタが俺を睨んで、

  「バレていても、言うか?」

 「それで、騙された!」

   「そうね、分かっていたら、109人の前に

     娘を紹介するのに!」

 「嘘言わない! 本当は!!!」

アレタが俺に顔を近づけて言うので、

 「言うから……

   アレタが離れて、「レベル120だよ」

 納得したアレタは、

  「失格言わない! 最強と言うこと!!」

ビシッと言うので、

 「最強は、先輩で!!!」

   アドラーに振ると、

    「此の世界でのレベル22に言うかぁ!!?」

 困惑するアドラーに、

  「経験や、技量は上じゃないですか!!」

 「そりゃ、上だけど……

レベルがあっても、こればかりは超えられないので、

 「最強で!」

   アドラーは、「俺が……

 言い出したら、

「お兄ちゃんが最強! おばあちゃまが、

  おじちゃんは、ナンバー2と言います! 

   最強は、お兄ちゃん以外禁止!!」

  ビシッと言うので、

「こんな言われ方するなら、レベル22で来るんじゃなかった!!!」

大声で泣いているアドラーに、 

 「大人は泣かない! 劇のパンフレットに書いてありました!!」

クチナの主催した劇のパンフレットや看板に

 書いてあったなぁと思い出しながら、

  「大人だって、泣くときは泣くわぁ!!!!」

 否定しながら涙を流すアドラーを見ながら、

  俺や両親は笑っていた。アレタは更にアドラーに罵声を浴びせて行き、

俺もそうだが、子供には敵いませんと改めて思いました。



 ニコール邸の玄関のドアノッカーが叩かれているので、

執事のキーパーが扉を開けて、

 「ニコール卿は?」 

クライトトップ伯爵がキーパーに聞くので、

 「旦那様は、魔王陛下の所に滞在しています」

「まだか……

  唇を噛みしめながら、目線は玄関の地面のレンガを見ながら

 不在なことに怒りを覚えているようだ。

  「奥様達だけでも会わしてくれないか?」

シバーケ伯爵がキーパーに尋ねるので、

 「まだ、起床していませんが……

「事は一刻を争う!!」

  クライトトップ伯爵が扉を開けて、キーパーは後退り、

   「旦那様は……

 「メンバー表があるだろ!!」

クライトトップ伯爵がキーパーに詰め寄り言うと、

 「朝から……

私が、玄関ロビーから2階に上がる階段から見下ろしながら、

 やり取りをしているクライトトップ伯爵とキーパーに叫ぶと。

  「奥様……

 「モルモーラか、すまない服を……

起きたばかりで、薄手のネグリジェを着ているだけだったので

 クライトトップ伯爵とシバーケ伯爵は手で顔を隠して玄関ロビーの

床を見ながら、

 「ガウンを! 私で良いなら聞きましょうか?」

キーパーは衣装部屋に駆け出して、ガウンを取りに行ってる間に、

 私は玄関ロビーに下りて、2人から少し離れた所から、

  「昨日の花火の余韻を思い出しながら、窓から海を見ていたのに」

悪戯ぽく言うと、

 「騒がして済まない、真夜中に此処へ来ようと思ったが、

   失礼な行為と思い、今なら良いと考えて来た!」

 クライトトップ伯爵が迷惑して済まない感じで言うが、

「朝食も此れからですよ!」

  朝食後に来てほしかったと思いながら呟くと、

  「ニコール夫人! 私も同じ考えで……

 シバーケ伯爵が告げて、

    「旦那様が不在なのを知っていて……

  呆れた感じで言うと、

   「ゲームが明日からなのに、不在なのが……

 キーパーがガウンを持って来てくれたので、受け取り羽織って、

  「立ち話もいけませんわ、応接室に……

 私が手招きをして、2人を応接室に移動させる途中で、

キーパーに、応接室の周りに誰も来ないようにと注意して

 応接室に向かった。


  応接室のソファーに向かい合いながら座り、

 「私の息子が、人族の男に殺された!!」

クライトトップ伯爵が大声で喋るので、

 「大声で言わないでください」

   「済まない、バード・メールで命の水を注文している」

 「何を言ってるか、分からないのですが?」

   私が言うと、ひと呼吸してから、

 「祭り会場で、パレス夫人が息子を煽り、人族の者と

   戦わせて、人族の者が一撃で息子の命を絶ったそうだ!」

 シバーケ伯爵と私は黙って聞いていて、

「最初、息子の悲報を聞いた時は、息子が人族の者を発見し、

  なぜ居るのかと討論となり、レイドル卿の立会いの下、

   1対1の戦いが行われるはずが、息子が仲間と共闘して

    人族1人に対して複数となり、キューイル様が人族に加勢して

     息子を倒したと聞いたが……

 「事実は、後から聞いたことですね」

   私が確認するように言うと、クライトトップ伯爵は頷き、

 「パレス夫人が、人族の者と貴方の息子を戦わせて、

   何をしたかったのか……

私の問いに、分からないと言う顔をしているので、

 「つかさの技量の再確認に、貴方の息子で調べた」

「ツカサ? サンライト・サーバンと聞いているが?」

  クライトトップ伯爵が戸惑いながら言う名で、

 私はクスクス笑った後に、

  「偽名でしょ! 私に勘繰られないために」

 「なぜ、貴方に……?」 

   「つかさが、ゲームに出れなくなるから……

 「意味が分からないが?」

シバーケ伯爵も同じように分からない顔で、私の顔を見ているので、

 「元々、ミューブル王国の勇者は、ゲームに参加できないの」

はぁ?となる2人に、更に、 

 「本来、来る人と変わって来たから……

「ええっと、私の息子を倒したのは、

        此の国の、いや、何でも屋の……

 恐る恐る言い出すクライトトップ伯爵に、

  「この街にまで、噂が来てるわね」

 クスッと笑って、2人を見渡していると、

   「グレックマンバが行商たちを襲った時に、一撃で……

 シバーケ伯爵が聞いた話を私たちに言うが、私たちも聞いている話で、

「でも、たった1人、1万の兵がいるのよ、メンバー表に在っても

  黙認するけど……

   私が言うと、

 「そんな男が……1万で、我が町の、私の部隊を!!」

クライトトップ伯爵が参加を熱望するが、

   「オーガ衆ね、過剰だわ! 相手300人よ!」

呆れて言う私に、

 「屋台で、神の剣を人族が受け取った!!」

シバーケ伯爵が歯ぎしりしながら言うので、

 「秋人から聞いてるわ! テコ入れよ!!」

 2人は、またも、ハァ?となって私を見るので、

   「勝てる要素ゼロよ! 希望を持たせないと…… 

 2人から目を逸らして言う私に、

  「天の勇者! 天の制裁で!!」

 クライトトップ伯爵が光悦の唯一の魔法のことを言うので、

  「ただの石落としよ! その為に旦那様は!!」

「それは聞いているが、魔王陛下の道具で……

  光悦の天の制裁対策で、ソラスの旦那に会いに行っている。

 光の壁系のアイテムだと思うが、

  「使うかしら、今回は遮るものが無いわ」

 前回の人族対魔族のゲームは、山脈を中心に双方が陣取り、

相手の砦まで行くのが大変で、光悦は覚えたばかりの天の制裁を使って

魔族側のアンデット、総司令官で来ていた猫族の者を死亡させた。

 その後、命の水で総司令官は蘇ったが、レベルなど下がり隠匿している。

ソラスの旦那は、総司令官を務めた猫族の者に侯爵の爵位を授与している。

 

 「使うはずだ! 今回はウインライム法皇国の法皇か皇太子が

   総司令官のはず!!」

 「聖女じゃないの?」

最近の人族の総司令官は、聖女であるソラスの娘のナルエが務めている。

 獣族とのゲームでは、人族は獣族と戦わない条約を結んでいるので、

ゲームで戦うのは魔族のみである。

 聖女であるナルエは、ソラスの娘であるので聖魔法はレベルが低いが

強力で、人族の勇者、騎士たちに神の加護を与えて、魔族と互角の戦いを

展開しているが、実は、魔王が、転生後にソラスとの間に出来た子だと

知っているので、戦略もあって、ワザと負けている。

 極めつけは、聖女には傷一つつけるな! 他の奴は知らないが、

聖女に怪我をさせた奴は、死刑だ!! と言い放っているので、

ソラスの旦那が、聖女を第5王妃にするのかと噂になっていた。

 聖女を娶ると、魔族の大陸が消滅する可能性が、ゲームの契約上あると

分かったので、なぜ其処までと思う者たちは、キューイルに似ている為と

結論付けた。ソラスの旦那は、王子、王女たちの中で、キューイルを溺愛して

いることは、王宮の者たちは知っている。それがキューイル暗殺計画へと

幼いキューイルに襲い掛かったが、キューイルは遊び相手と思って

刺客たちと遊んでいた。

 その為に、この街のソラスとソラスの旦那の愛の巣の屋敷に住まわせた。

 

 「ミューブル王国には教会が無い! 情報では、総司令官で参戦し、

   ソラス教を普及させる足掛かりにするつもりだ!」

 クライトトップ伯爵が理由を告げるけど、

  「各地にある商業ギルドの建物が、教会を兼ねてるとは

    知らないわね……

 呆れた感じで言う私に、

  「私も此の地に来てから、神ゾウラスト、神ソラス、神ソラットが

    同一で、商業ギルドのマスターをしていると知って、

     更に、キューイルさまが娘とは……

 シバーケ伯爵が考えたくないと言う感じで言うので、

  「今回のゲームは、キューイルの旦那をどちらが決めるかで、

    ソラスったら、人族側が勝ったら、私が選んで、キューイルが

     認めたら、文句なしよ!って、聞いた時はビックリしたわ。

      ソラスの旦那が先鋭部隊を、武器も新しく作って……

 不思議そうに私を見る2人に微笑んでから、

  「ソラスに言ったわ、私、寝返ろうかって!!」

 フフッと笑って言い終わった私に対して、2人はソファーから立ち上がり、

絨毯が敷いてある床に跪いて、

 「モルモーラさま! 神ソラス様とは……

冷や汗を掻きながら、顔を下げながら言うクライトトップ伯爵に、

 「友達よ! 貴方の息子は、屋台にいた私の友人が蘇生するから……

その言葉で、

 「屋台の娘は、モルモーラ様とは?」

   シバーケ伯爵が聞いてくるので、

 「友人よ! 此の世界での最強の勇者、つかさが参戦できなかった時の

   保険に、人族の為に神の剣を用意したの!」

私の説明で、屋台に居たセーイラの行動に納得した感じで、

 「……もし、負けた場合は?」

   シバーケ伯爵が聞くので、

    「魔王を私たちで、どつきまわすわ!!」

 肩を竦めて言う私に、2人は乾いた笑いをしていて、

  「まぁ、魔王軍とキューイル軍で戦うことになるから……

 冗談ぽく言う私に、

「キューイル様側に就いて、魔族の大陸を統一します!!」

  クライトトップ伯爵が冗談交じりで言うので、

   「資金がいるぞ! 何処から?」

 シバーケ伯爵も冗談ぽく喋ると、

  「神が何人もいて、いるのか?」

 「タダはまずいだろう!!」

   「キューイルさまの応援の為なら!」

 私を見るクライトトップ伯爵に、

  「キューイルと相手の子の子供は、私たちの子供とは言うけど」

 真面目に言うと、

    「それが見返りですか?」

  「……そうよ」

 私はソファーから立ち上がり、

   「2人とも立ち上がりなさい!」 

 2人は立ち上がり、

  「今の話は、旦那様には……

 「知らないのですか? ニコール卿は?」

クライトトップ伯爵が聞くので、

   「知らないわ!」

 「でも、何時かは……

   シバーケ伯爵が聞くので、

    「ゲーム後には言うわよ!!」

 ニヤッとしながら言うと、

  「もしよろしければ、私の孫の婚約者に……

 クライトトップ伯爵が聞いてくるので、

  「キューイル?」

 「モルモーラさまとニコール卿の……

   シバーケ伯爵が応接室の扉を開けながら、

    「ゲーム後に、ゆっくり話したいですな!」

      言うので、

 「まずは、ゲームに勝たないと」

私が言うと、クライトトップ伯爵が

   「……勝ってください!!」

     私たちは部屋から廊下に出たので、

 「魔族側の勝利を!!」

   私が言うと、2人は頷きながらも笑っていて、

 私が先頭になって歩き出した間も、今日の屋台の商品や、

  息子の婚約者に真実を知らせないといけないなどと

   2人は話をしていて、玄関ロビーでは、私たちが来るのを

    待っていた屋敷に仕える者たちが並んでいて、

  「旦那様が居る時に、訪ねて来て下さい」

 私が会釈しながら言うと、2人は戸惑いながら、

   「息子と共に……

 「購入した武器を見せに……

2人が私に語って、

 キーパーが2人を玄関の外に共に歩いて、玄関の前には

2人がそれぞれ乗ってきた馬車が待機していて、2人は自身の馬車に

乗り込み、ニコール邸を後にした。

 

 「つかさが、1万の兵を相手に、どうするか楽しみだわ」

   


 昼過ぎに、今回のゲームを観戦に来た人族の大陸の王や王子たちが

ゲーム会場の人族側の砦を真ん中にすると、観客スタンドが右側になり、

観戦に来た王たちの駐車場件テント場が左側になる。

 王たちの馬車隊は駐車場に止まり、直ぐにテント作りを開始したので、

美里の部下となった魔王軍第5騎士団の諜報部の兵たちが人族に化けて

手伝っている。

 王や王子たちは、ゲームに参加する勇者隊の会議用テントに足を運んで

会議用のテントで椅子を並べて座っている勇者たちを見ながら、

真向いの椅子の前に立つと、

 ウインライム法皇国の勇者護衛法皇騎士団団長の

エンリー・カーディナル・コーレットが、

 「全員起立!!」

   号令して座っていた勇者隊の勇者、騎士、魔導士が立ち上がり、

 エンリーが、「各国の王、王子に、敬礼!!!」を合図に、王たちに

向けて敬礼をして、「休め!!」と、エンリーが告げて、

椅子に座り、王たちも椅子に座り、法衣を着た50前の男性が

椅子から立ち上がり、壇上に上がり勇者隊を見渡してから、

 「短期間で立派な砦を完成させ、最弱と言われるゴブリンを

   打ち負かすことが出来ると、神ソラスさまも喜ぶでしょう」

 その言葉に、嫌な顔をする者、苦笑いする者など勇者隊の面々は

声を出さないが、

 ウインライム法皇国の法皇【プライム・ロペ・ノーズ・ファイヴ】

から目を逸らしている者が多かった。

 人族の大陸に渡って来るゴブリンは弱い、普通は、レベル10で

倒せるので、騎士の練習相手か魔導士の魔法練習の的という

レベルであるが、きちんと訓練された今回のゴブリンは強敵である。

 勇者隊の者の中で、レベル30が数人いるが、ゴブリンは最低でも

レベル30で、上はレベル45である。

 それが1万いるのである。

  「なぜ! 目を顔を背ける! きちんと法皇様を見よ!!」

 法皇を護衛するために結成された法皇護衛騎士団の

ロディア・カーディナル・カーターが、勇者隊が座っている

右側から声を上げて言うので、

 「カーター司教! 弱いと言っても数が多いのです。

   勇者隊は300人、不安なのでしょう」

 法皇は優しくカーターに語り、カーターは法皇に向けて

御辞儀をしてから、

  「真っ直ぐ見るように」

 カーターが言うと、仕方が無いなと言う感じで法皇と向き合い、

  「今回は、30か国の国から29か国が参戦しました。

    神ソラスさまも此の数に大いに喜び、次期法皇である

     聖女様と我が国の皇太子の子を神の子へ上位すると

      告げられました」

 その言葉は、ソラスこと駄目神が適当に言ったなと、勇者隊の誰もが

思いながら、俺を見るので、ナルエたちが居ないことが分かるから

 俺を見るなと手で振りながらも法皇の話が続き、

  「更に、各国の王子、王女の生まれてくる子に、神の加護を

    与えると約束してくれました」

 また、勇者隊が俺を見るので、見るなと手で振っていると、

どうやら俺の存在に気が付いたようだが、演説を優先するようで、

 「悪の神を信仰する魔族に打ち勝ち、誰も欠けることなく、

   7日間戦い、偉大なる神ソラスさまの力の偉大さを

    見せつけましょう」

 法皇は言い切って壇上から降りて行く途中で、

  「ねぇ! お兄ちゃん! ソラス様って悪なの?」

 アレタが大声で行ってしまったので、

 「今、神ソラスさまを悪と誰が言いましたか?」

   法皇が冷静な物言いで言うと、

 女性陣に囲まれて、法皇側からは見えないようにしていたが、

アレタは椅子から立ち上がり、俺は法皇を斬るつもりで

 成り行きを見届ける。

  「悪と言ったのは、おじさんだよ!!」

 法皇をおじさん呼ばわりしたので、勇者隊から笑い声が出て来た中で、

   「ま、魔族! なぜ魔族が!!」

 此の場に居てはいけないアレタを見て驚く法皇、

各国の王や王子たち、先程、勇者隊に注意していたカーターが

会議用のテントから出て行き、護衛騎士団を連れて来るようだ。

 「俺の妹だ! 妹に手を出すなら、斬る!!」

俺は椅子から立ち上がり啖呵を切ると、

 ポッチャリ体系の王子が、

  「魔族を妹だと!!」

 俺に言いだす王子に向かって、

    「妹じゃないよ! お嫁さん!!」

 アレタが言うので、 「100年後!」

  エエッと嘆くアレタの頭を手で撫ぜていると、

「お前の名は!!」

幾何学的な模様が入ったワンピース状の服を着る王が言うので、

 「ミューブル王国の勇者! 此の世界、最強の勇者!!

   サンライト・サーバンだ!!」

 小声で、名前違うよとアレタや周りが言うが、昨日から使ってるのと

小声で返していると、

 「コウエツ! こいつを殺せ!!」

光悦に命令をするナルエの自称婚約者の皇太子の言葉に、

  「指輪取れよ! レベル500に勝つ為に、本気を出す!!」

皇太子から光悦に振り向きながら挑発すると、法皇や王たち、王子は

レベル500と聞いて、聞き間違いかと言う感じで勇者隊に聞こうとしたが、

  「生憎、剣は修理中で素手に成るが……

 光悦も乗って来て言うが、

  「ロックティラ!! こいつを倒せ!!」

ポッチャリ王子の声で、光悦は言い切っていないのにと、ため息をしている。

 ロックティラを探すポッチャリ王子は、

此の場所にロックティラが居ないことが分かり、

  「人族最強が……

 絶望感が顔に出ているポッチャリ王子に、

   「勝てないのが分かってるから……

 すました顔で言っていると、護衛騎士団の騎士たちを連れて来た

カーター達が入って来て、全員が剣を抜刀して、俺に向けて剣を構えて、

 「悪の神に魅入られたお前を斬る!!」

   カーターが叫ぶ間に、美里率いる魔王軍第5騎士団の諜報部が

 駆けつけ、キューイルたちが駆けつけて、あっという間に鎮圧して、

  俺は何もせずに立っているだけであった。

 光悦も俺に顔を向けて苦笑いしていた。

 

 俺は壇上に上がり、アレタが俺の真正面の椅子に座り、その周りには

女性陣が陣取り、ロックティラ達も戻って椅子に座っている。

 法皇や皇太子、王子たちは後方に追いやられて椅子に座っている。

今回、30か国の内、15か国の王や王子が此の場所に集まっている。

 光悦、ナルエ、仁美を召喚したウインライム法皇国から法皇、法皇后,

自称皇太子と護衛騎士団が来ている。

 皇太子は、法皇の次という感じだが、任命は駄目神が行い、次期法皇には

ナルエと決まっているので、法皇の息子と言うことで、

息子は皇太子と言っている。

 ウインライム法皇国では、法皇の息子を皇太子と呼んでいるのは、ナルエの

婚約者と宣伝し、ナルエは此の世界に疎いので、皇太子が法皇になると言って

宣伝している。駄目神も承諾していると言っているが嘘である。

 駄目神が放置しているのは、俺とナルエを結ばせる間に、

変な虫が付かないようにするためで、その為だけに、ナルエを次期法皇であると

言っただけである。

 それを聞いた俺は、自分の世界だからって好き勝手にやってるなと

駄目神に言いながら呆れていた。

 ポッチャリ王子ことカーディオン王国の

第1王子【キャブルト・ド・シズマ】が、護衛騎士団と共に来ている。

 国の中に居ないで、現場にいることが好きな王子で、

人族の大陸で行われるゲームには、全て観覧しに来ている。

 人族最強の男ロックティラは平民出身だが、第1王子の

ひと言で、勇者隊の団長を務めている。

 貴族の騎士を差し置いての団長就任で、ロックティラを

毛嫌いしている貴族からは、ロックティラに落ち度があれば

第1王子を次期王から蹴落とそうとしているが、

第2王子、第3王子は、第1王子を応援しているので、

第1王子が次期王になるだろう。だが、王は次期王を決めていない。

 コンピーコム王国の

テールトゥル・テッド・コンピーコム・フォン・リシャールが

護衛騎士団と共に来ている。

 ミューブル王国の西側にある国で、文明的に数世紀進んでいる

感じの国で、人族の大陸で下水道設備がある国である。

 今回のゲームに勇者10人、騎士団20人の勇者隊を結成して、

ミューブル王国に送り出している。

 コンピーコム王国の政は、第1王子が次期王として仕事をしている。

ミューブル王国の第1王子【ジェイク・フォル・ミューブル】が

第1王女【リンゼン・ゼア・コンピーコム】と婚約中であり、

ミューブル王国の王に就任する予定であるので、王妃になる予定であり、

無事に子供が産まれれば、テールトゥルが祖父になるので、

ミューブル王国の政に意見を、息のかかった貴族を送り込む

つもりである。

 ミューブル王国側も分かっているが、国の繋がりと

経済を優先した結果である。

 コンバルド王国はミューブル王国の南側に位置し、

ブラストゥ・フル・ロジャー・コンバルド・フォン・カレンが、

護衛騎士団と来ている。

 コンバルド王国は勇者3人に、騎士団15人を勇者隊として

送り込んでいる。

 ミューブル王国の演習場所が国境付近にあり、山の上の監視所から

ミューブル王国の騎士団のレベルを見ている。

 監視所から1人の人物について報告が上がるが、多数の魔物を1人で

倒したなど在り得ないと思い放置したが、ミューブル王国の騎士団と

報告に上がった人物が模擬戦を行い、圧倒したと報告が上がるが、

夢でも見ているのかと監視所の兵に聞くと、全員が同じ夢を見るのですかと

逆に言われて、もう1つ監視所を建てる予定である。

 今回、その確認のために来ている。

スタンテッド王国は王が護衛騎士と来ていたが、ミューブル王国の

王都【ブレーリト】での出来事で、勇者たちがスタンテッド王国に

戻る途中で合流して、事情を聞いた王は、スタンテッド王国に

戻っている。

 他11か国の王が来ている。

 

 俺は、もう一度、会議用のテントを見渡してから、

  「騎士団の編成は、秋人さんに頼んである」

 秋人さんを知らない王たちは、お互いの顔を見渡している。

  「参謀にはパーセント、進次郎にしてもらう」

 パーセントが立ち上がり、全員に向けて御辞儀して椅子に座り、

進次郎は此の場に居ないので、代わりに、団長の

バルル・シルバ・ラスマスが立ち上がり、同じように行って椅子に座り、

 「向こうは1万、こちらは300の内200である。

   圧倒的に不利だが、全員死んでくれ!」

 俺が言うと、王たちがどよめき、

  「勝つ気はないのか!!」

 皇太子が立ち上がり言うので、

  「敵が勝つと思った時! 俺、ロックティラ率いる

    神の剣を持って、へし折る!!」

 勇者隊から歓喜が上がるが、

  「神の剣!? 魔族を妹と言うお前が!!?」

 怒鳴るように言う皇太子に、

  「言っていなかったな! 神ソラスの眷属さ!!」

 「バカな!! 神ソラスさまが!! 私を眷属にしないのに!!!」

法皇が嘆きながら叫ぶので、更に追い打ちをかけるように

 「ナルエは、俺の嫁だ!!」

   「俺がお前から奪うからな!!」

 光悦が立ち上がり叫ぶので、

  「ナルエが、俺を捨てたら何時でも……

 光悦が不敵に笑いながら、

   「待ってられないね! 寝てるときに……

 「してる最中には、来るなよ!!」

女性陣は赤面し、皇太子は崩れ落ち、

 「お兄ちゃん! 何をしてるの?」

アレタが聞いてくるので、

   「大人になれば、分かるのじゃ!!」

キューイルが言うが、

 「僕より年下なのに、大人と言わない!!」

ブスッと怒るので、そういえば、50歳でしたねと女性陣も思いながら、

   「成長が違うのじゃ! 我は人族と同じ成長のスピードじゃ!!」

 この話が続くと、俺って媚薬で昨日はやられたが、体が出来ていない

アレタとする話になりたくないので、話題を変えようと、

 「総司令官は皇太子にする!」

皇太子がと会議場は騒めくので、

   「と言っても、偽だが……

 パーセントが、「どういうことです?」

  聞いてくれたので、良しっと思い、

「彼方は、キューイルの従者のラムータを仮の総司令官に!

  ニコールは砦に隠れて指示をすると聞いている。

   此方も同じにする」

王たちは、キューイルの方を見つめていて、情報源はと

 思っているようである。

 「砦に入れば……

 全員を始末するために動くからと言いたげなパーセントに、

   「向こうの作戦を知らなければ……

 「ニコールに目を着けずに…… 

全員が、ニコールの作戦が大体わかったようなので、

  「皇太子がやられて、相手の気が緩んだ時に、俺が攻めれば

    対応が遅れて、勝つ可能性が高くなる」

 「メンバー表に細工をすると……

パーセントが聞いてくるので、

   「ゲームは魔族が管理しているが、メンバー表の紙は

     駄目神が出す紙で書く」

 「細工など……

   パーセントが出来ないでしょうと言う感じで言うと、

    「ニコールの提案で、魔王が駄目神にお願いをして

      制作した」

  「と言うことは、ソラスさまは、こちらにも……

 3大陸の神は同一であるので、人族側にも同じ紙を渡すことは

魔王も分かっている。同じことをすることも。

 「眷属ですよね! 駄目神と言うのは可笑しくありませんか!!?」

法皇が言い出すので、

   「此の世界の管理者なのに、ナルエ、キューイルのことばかり

     考えていて、何かあると他の神に頼む!!」

 挙手するコンピーコム王に、手で合図をして、

  「今の物言いだと、聖女は……

 「貴方の考えた通り、駄目神の娘さ!」

   「では、キューイル様も、魔族の第4王女でしたね……

 コンピーコム王国の情報収集は侮れないと思いながら

コンピーコム王の発言に、キューイルが立ち上がり、

 「そうじゃ! 我もナルエ姉も母の子じゃ!!」

言われて、法皇が、

 「ま、ま、まさか……

ガクガクしながら言うので、

   「神ゾウラストは、駄目神さ」

 俺が言うと、法皇は地面に倒れて気絶した。

法皇が担架で会議用のテントから運ばれて行く間に休憩となり、

 キューイル、美里たちは会議用のテントから立ち去り、

王たちは集まって何か話した後に、何人か来た兵たちに王たちが話した後に

王たちは会議用のテントから立ち去って行った。

 王たちが兵たちに話した内容は、30か国会議(ミューブル王国は

俺たちが召喚されてから不参加である)で、29か国がミューブル王国を

占領し、分割する話が出ており、今の会議で、ミューブル王国は、

魔族の神に侵されていて、勇者隊も取り入れられてしまい、

このままでは、人族の大陸は魔族に裏から侵されてしまうので、

ゲーム後に、ミューブル王国に侵攻する決断をしてほしいと言う内容の

書簡を、獣族の大陸の鳥族の王都【バードフライム】の通信ギルド

【サンダー・インフォーム】の支部が港町【ロブシェリル】にあるので

各国に送るように兵たちに命令をしていた。

 獣族なのにと思われるが、秘密は絶対漏らさない、内容は聞かない、

国から見せるように命令されても無視し、かつては内戦まで発達した

くらいの通信ギルドであり、戦争、ゲームに参加しない

エル・エランドゥ国まで内戦に参加して、通信ギルドを支援した。

 その信頼の為に、魔族の大陸にも支部があり、従業員には魔族の者も

働いていて、人族、獣族、魔族が一緒に働く特殊な環境になっている。

 俺たちが知っているのは、竜巳によって奴隷となった兵から教えて貰った。

その後は、直ぐ解除して、兵に夜待ってますとか言って別れている。

 

 テーブルには、水が入ったウォーターピッチャーを置いて、

喉が渇いた方に紙コップを渡して飲んでもらいながら、会議を始めたが、

コンピーコム王がアレタの横に座り、コップを持ちながら俺を見据えている。

 ポッチャリ王子は、カーディオン王国の勇者である大二の隣に座り

俺を凝視している。

 「明日の初日のことだが……

ホワイトボードに詳細を書いていくと、コンピーコム王が挙手をして、

 俺が許可をすると、

  「天の制裁をすると言うが、相手も……

ホワイトボードに書いてある最初の一手のことを言われて、

  「防御用のアイテムを使う為に、魔王に会いに行ってるので……

 ニコールが魔王に会いにと書いていくと、

   「俺たちに分かる文字で書けよ!!」

 ビルッド王国の勇者【アキヒト】が言うので、

  「スキルで貰ってないのか?」

 光悦、勇太以外の勇者全員が貰ってないと言うので、しかたなく、

此の世界の文字で書かれたホワイトボードの複写ボタンを押して、

日本語翻訳ソフトを介して、もう1つ出したホワイトボードに

日本語で表示できるようにして、

 「本とか読む時、どうしてたんだよ!!」

文句を言うと、美鶴が、

「翻訳係りの人と一緒に……

  首を傾げて上目遣いで話してきて、

   「駄目神からスキル貰っても良いが、

     2年後に帰るけど、どうする?」

 ホワイトボードに、石落としは開始の合図の余興の感じで

10メーターくらいでと書きながら言うと、

 会議場のテントは驚きの声が上がり、

  「帰れるの? マジで?}

 美花がウエーブのかかった髪を触りながら聞いてくるので、

   「本当だよ! キアリーたちから聞いてないか?」

 此処には居ないキアリーたちを探す美花たちから、

  「テントの準備で……

 仁美が言うのを遮って、

    「お兄ちゃんは、帰っても戻ってくれるの!」

 アレタが元気よく言うので、

  「召喚なしで……

 コンピーコム王が聞いてくるので、

   「眷属ですから……

  「世界を獲る気か?」

 眼光鋭く見て来るので、

 「獲る気はありませんよ! 他の世界で総騎士団長をしてますから」

それを聞いて、

 「日本と言う国から来てるんだろう!!?}

ポッチャリ王子が叫ぶので、

 「そうですよ! 眷属ですから、他の異世界にも行っていますから」

ホワイトボードに、どんどん書いていきながら言うと、

  「ミューブル王国は、勇者召喚で貴公を呼んだなら、

    なぜ、騎士団はいいとして、お前を出さなかった!!?」

 ポッチャリ王子が捲り立てて言うので、

  「ゲームに参加できない契約ですから……

 書き終わって、「直ぐ消すので、読んでください!!」

  俺が叫ぶが、「参加できない理由は?}

   ポッチャリ王子が言うので、

 「あまりに強すぎるから……

   「お兄ちゃんは、世界最強だもんね!!」

 嬉しそうに言うアレタを見ながら、

  「今回は、なぜ参加する?」

 コンピーコム王が聞いてくるので、言おうか言わないか迷っていると

アドラーが言えと合図をするので、

 「魔王と駄目神の夫婦喧嘩で、駄目神から出るように言われたので!」

紙コップに入った水を飲みながら言うと、

 知らない者たちから驚きの声が上がり、

  「神は同一、神が魔王と、私たちは何を信仰しているのか?}

 ウインライム法皇国【勇者護衛法皇騎士団】の団長の

エンリー・カーディナル・コーレットが在り得ないと言う顔をしながら

立ち上がり言うので、

 「人族の大陸はソラスとして、あなた方の救済に耳を傾けている」

俺を睨んで、

  「悪の神でもあるのだろう!!」

 自分の信仰していた神が、名を変えて魔族の神もやってますと

分かれば、エンリーの気持ちも分かるが、

 「今までに、何か不具合は在りましたか?」

考えるエンリーに、「使えない魔法をくれたけど……

 光悦がフッと笑いながら言うので、

  「威力は……

 エンリーは光悦を見て言うと、

   「アルテイラって言うリザートマンが使えるから

     聞いたら、神ソラットの許可がいて、何度か使用しようと

      したが、出来なかったとさ」

 光悦の話を聞いていたアドラーが、

  「だが、光悦の場合は、許可も大きさも自分で出来るだろ」

 アドラーの話で、魔族の陣地に落とした時のことを思い出した

俺とアレタ以外が頷きながら、光悦の言葉を待っている。

 「一応、ソラスの認可が必要とは書いてあるけど……

と言うことは、ソラスの許可を貰ったことになり、

 「聖女様がいるからか?」

自分の娘が居るから許可をしたのではと言うエンリーに、

  「山脈が無ければ、使用は出来なかっただろうな」

アドラーの発言に、

 「今回は平原だ! 使えないのでは?」

コンピーコム王が聞いてくるので、

  「此奴は神ソラスを信仰はしていない……

 アドラーの言葉に、

   「ソラス教に入った信者で、その恩恵で……

  天の制裁を得たと思っているエンリーに、

   「別の神を、明美って言う神を信仰している」

 アドラーが言うと、

  「ソラスさまの友人ですか……

 秋人さん達を、駄目神の友人と紹介していたので、

  その1人かと、パーセントが聞くので、

   「秋人さんの妹で、光悦の恋人です」

 「恋人じゃねぇ!! 嘘言うな! ツカサァァアアア!!!」

偽名で通すつもりなのに、本名を言うなと思いながら、

 「フッ! 光悦と同じで、恋人のように信仰しています」

俺の言葉に、

   「それなら、俺も同じだ!」

 光悦が信仰というならと納得して言うのと反対に、

女性陣から殺気のような視線が突き刺さるが気にせずに、

「違う神を信仰してますが、貴方は光悦をどう見ますか?」

 「コウエツは、我々と共に鍛錬して……

   エンリーが日々を思い出しながら言うので、

   「人族の大陸の為に戦ってきました」

 俺が言うと、そうだなと誰もが思い、

  「ソラスから違う神を信仰するのも手ですよ」

 俺の提言に

  「私は、神ソラスさまに……

 エンリーの動向に、ウインライム法皇国の勇者隊は黙って

  聞いている。

   「駄目神の友人なら、啓示も、そう変わりませんよ」

 「そうなのか? だが、君の神に就くことは出来ないな」 

   俺を敵視しているので無理だと思ったので、

    「身近な神ならどうです?」

 「身近な? 此の世界には……

   「我が神ソラス、獣族の神ソラット、魔族の神ゾウラスト

     以外で居るのか?」

 コンピーコム王が3女神の名を上げて言うので、

  「ミューブル王国は、駄目神の友人の神ミューラが興した国です」

 その言葉に全員が驚き、

    「この国に移り、神ミューラを信仰すれば……

  「気まぐれで、何処の大陸を優先とかありませんから」

 駄目神は、自分の娘を優先にしているけどねと思いながら言うと、

  「ゲームが終わったら……

 新たな神を信仰することで吹っ切れたエンリーを誰もが見ながら、

  「神ミューラさまが女性なら、王となった旦那さまは?」

 パーセントが要らないことを聞くので、

  旦那となった男性は、息子の代からミューブル王国の系列が

 記すられたので、男性の名は掲載されていない。

理由は男性にあって、此処で言うの不味いなぁと思ったが、

   「今の魔王の祖先……

 エッとなる会議場のテントは静かになり、

  「宮殿に訪れた際に、壁に描かれた壁画は……

神が男性に手を差し伸べている光景が描かれている壁画を

 思い出しているコンピーコム王に、

   「おじちゃん! 顔が青いよ!」

 アレタがコンピーコム王を見ながら言うが、

  「魔族の血を入れようとしていたのか……

 嘆くコンピーコム王へ、

 「神の血だろ! 1000年も経っている、薄くはなっているけど」

  「……そうだな」

俺の顔を見ながら納得するように呟いて、

 「さて、何か質問は?」

ホワイトボードを指で指しながら言うと、

   「日没3時間前に撤退とは?」

 シン・ケイサム海洋国の勇者【ユウキ】が挙手して

聞いて来るので、

 「勝利の鍵なので、内緒だ!!」

右手の親指を立てて、ビシッと決めて、

 「で、上手くいけば、明日の戦い以後は睨み合いになる!!」

「なぜ、言い切れる?」

  コンピーコム王が俺を見ながら聞くので、

   「ニコールが、モルモーラの言う通りの優秀な奴ならそうなる」

 「モルモーラ?」

 コンピーコム王が聞いたことのない名前なので、多分頭の中で

ハテナマークが浮かんでいる感じで、他の者も同じようなので、

 「皆! ボードの内容は覚えたか?」

   「「「「「 はい!! 」」」」」

女性陣は元気に返事をしたが、男性陣は返事なしであった。

 ホワイトボードに書かれたのを消して、神ミューラのことを

先程出したので、ホワイトボードに、ソラスの友人関係と

ナルエたちの関係を書いていき、

 「ちょっと待て! 我々を蘇生させてくれた可憐な彼女に

   旦那が居るのか!!?」

 セーイラさんの所に、昨日蘇生させてくれたとか書いて、

秋人さんの奥さんと書いていたので、エンリーの隣に居た

 チェンジャーが嘆くように叫び、

  「な、何人もいるのですか?」

    秋人さんとの関係でティーナさんなども奥さんと書いていた為に、

     パーセントが俺の横で確認するように聞いてくるので、

  「別の世界で国王をしてるから……

 「こ、国王ですか……

跡取りを考えれば普通のことなので納得した感じで、

   「世界を牛耳っているのか?}

 コンピーコム王が質問するので、

  「駄目神と一緒で管理はしてますが、ソリュート王国だけで

    精一杯で、統一は考えてませんね」

 腕組みをして、

  「その考えが分からないな」

 コンピーコム王の発言に団長たちが頷いていて、

 「力で抑えても無理なのは貴方も分かっているから

   ジェイクとの婚約で、

    ミューブル王国での発言力を増したいんでしょ」

 コンピーコム王は苦笑いしてから、 

  「確かに、何処の国でもすることだが……

 「ミューブル王国が他国から王子の后を招くのは

   初めてで、魔王が亡くなった後の混乱期を生き抜く為に、

    隣国とは手をと考えての婚約ですよ」

 俺とコンピーコム王の間だけの話になって来て、

  「なるほど、あの町の魔族の戦力は使えるのか?」

 「魔族の大陸から見れば、異端児扱いです。参加は

   してくれても、大幅な戦力にはならないですよ」

会議場のテントの中は静まり返り、

 「魔族の数は10000人、戦えるのは……

   「よくご存じで、戦えるのは4000人ですね」

「君は参加するのか?」

  「俺は他所者ですから……

 「勅命なら……

   「駄目神からの依頼なら……

コンピーコム王は椅子から立ち上がり、

 「団長クラスなら知っていると思うが……

会場を見渡してから、

   「他国の関係もあるが……

 俺をチラッと見るコンピーコム王に、

  「秋人さんと駄目神に……蘇生は無理ですけど」

 その言葉を聞いて、コンピーコム王が地面に顔を向けている光景に、

ポッチャリ王子や先程の書簡の内容を知っている団長クラスは、

俺とコンピーコム王のやり取りが、途中から来月ミューブル王国に

 攻め込む内容に変わっていることに気が付いて、

  お互いの顔を見合している。

「そうか、王でなければ、兵と共に……

   コンピーコム王は、一緒に行こうとする自国の勇者隊に

留まるように手で合図をして、1人で会議用のテントから出て行ったのを

 見届けてから、

  「光悦! ゲーム後は?」

 「俺か?」

   周りを見ながら、

    「ナルエが此処に留まるなら……

 「裏切るのか?」

   「魔王を倒すために召喚された! 何処でも良いのさ」

 確かにそうだが、

  「恩義とか、感謝とか!!?}

ポッチャリ王子が言うので、

 「殿下! 親元を強引に離れられて、無理やり勇者にされて、

   此処に居るのです」

 ロックティラが淡々と話すと

   「分かっている! ダイジたちに十分な補償をしている」

 それは、勇者たちは分かっているが、

  「だが、魔王を倒せるのは、目の前の男くらいだろ」

 零の元恋人の圭一が言いたくない言葉を言うのを聞いて、

   「だから、魔王が倒れるまで、此処に居るのが良いのさ」

 圭一の友人の十須が、光悦が言ったことは正しいことだと告げて。

  圭一は立ち上がり、俺に向けて、

   「俺も、レイをお前から奪い返す!!」

 宣言したことに、光悦、かずえと舞姫【ありす】の元恋人【浩二】

  が拍手をして、

   「向こうが盛り上がってますが、私、恋してませんので、

     嫌がらせをしていきますから、その時に優しくしてあげれば

      取り戻せるでしょう」

 俺が言うと、女性陣から「愛してないの? 「仲良く見えたけど……

  「私にチャンスあります? 「強いあなたが好きです…… 等など

 声が上がり、「お兄ちゃん! 僕とは100年後に結婚だよね!!」

  アレタが叫ぶので、会議用のテントは静まり、

   「約束だから! その時まで……

 「良かった!! 此処にいるお姉さん達と全員で何人になるの?」

   アレタの爆弾発言で、

    「アリス、カズエ、勇者癒し騎士団の人たちでは飽き足らず……

 浩二が椅子から剣を抜いて立ち上がり、

  「待て! 私の婚約者のサヴェンコフまで、お前にか!!?}

リオーダン王国の第1王子【エリナンデ】が、剣を抜きながら叫び、

 剣を俺に向けて、エリナンデは構えている。

  「此奴が召喚された理由知ってるか!?}

 アドラーが言い出すので、

  「先輩! 追い打ちをかけるのは……

 「敵わないのに、愛だよ! 相手してやれ!!」

   無責任に言わないでほしい。

    「召喚された理由を聞こうか!!?}

 パーセントは俺から離れていて、チャンジャ―が剣を構えて

  聞いてくるので、

   「今回、ゲームに参加した女性陣を娶る為……

 「全員逃げろ!!!」

   アドラーが声を上げて、会議場のテントから逃げ出す人たち、

 俺に襲い掛かる人たち、俺の前で動けない人たちで会議場のテントは

崩れて、「男の嫉妬って、怖いわぁ」 

 勇太が呆れながら言うと、

  「勇太も奪われたら、これくらいの気持ちにならないとな」

 「ワイは、女嫌やねん! ないわ」

   女嫌いの勇太だが、特に、恭子のことを嫌っている。

    だが、勇太の嫌いは好きだと言うことを、

     アドラーや俺は知っている。

   

「大丈夫か?}

  崩れたテントから顔を出して、咄嗟に皮袋から出した板状から

シェルターになった部屋に向けて言うと、

 「大丈夫だよ! お兄ちゃん!!」

 シェルターの扉を開けて笑顔で言うアレタに、

   「仁美たちは?」

 扉に仁美が顔を出して、

  「昨日からロボットは見るわ、これって核シェルターなの?」

 呆れた感じで言うので、

   「魔物から逃げる時用に購入したけど……

 「何処で購入したの?」

   奈緒美が扉から出て来て、シェルターを見ながら言うので、

    「上だけど……

 出て来た女性陣が空を見上げて、

  「神界のショッピングモールだろ」

 アドラーが此方に来ながら言うと、

   「貴方は持ってないの?」

 美鶴がアドラーに聞くので、

  「生憎、鎌の修理で、お金飛んで行くので……

 「先輩! 稼いでるでしょう!!」

俺の首を腕で絞めながら、

   「いくらかかると思ってるんだ!!」

 「どれくらい?」

   しょう子が聞くので、

  「君たちの世界では、1兆円以上かな、ハハハ……

 俺の首を腕で絞めながら悲しく言うので、

   「普通の魔石とかに……

 「ああっ!! 魔王とか倒せないだろ!

   明美に直して貰ってる奴は良いよな!!!」

    「こ、こんど直させますから……

 首を絞めるのを解除してもらって、

  「後輩! 頼むぞ!!」

 アドラーに言われてから、俺は立ち上がり、ポロシャツの

襟を正してから、仁美たちを見ると、

 「神様が言ったのよね……

   腕を背中に回して上目遣いで聞いてくるので、

 頭を手で掻きながら、

  「俺には好きな奴が居るけど、それでいいなら!!」

 半ば諦めた感じで言うと、女性陣は喜んでいて、

  「これで、予想通りだな」

 アドラーがフッと笑って言うので、

    「まだ、1人いるでしょ!」

  アドラー、俺と女性陣が、リオーダン王国の第1王子【エリナンデ】を

介抱しているプロールクト王国の王女

 サヴェンコフ・ワトソン・トイ・ルクㇳを見ながら、

  「……確かに」

    アドラーが言うので、

「未来は変わる! 全員を振るぞ!!」

  勢い良く右腕を上げて言うと、女性陣が黒いオーラを出していて、

 「女、怖いねん!!」

   勇太が言うので、「同意見です」

 俺が震えながら言うと、

  「屋台の準備あるので、手伝いたい方は……

 弱腰で言うと、全員が付いて行きますと言って、観客スタンドの方に

向かったのを、ロックティラ、ポッチャリ王子と大二が見ながら……


 「先程言っていたことは真か?」

ロックティラに確認するように言うキャブルト王子に、

  「真実です、殿下」

 ロックティラがキャブルト王子に険しい顔で言うのを見て、

  「神が魔王の嫁で、魔王が倒されることを望んでいます?」

 ムスッとしながら言う俺を無視して、

  「今のゲームに不満のある魔族と接触はして……

ロックティラ、俺は、この場から離れた方が良いと進言して、

 誰もいないベルローズ王国【勇者癒し騎士団】のテントの影に隠れて、

  「誰もいないのか?」

 テントは張られているが、奴隷となった勇者3人が住むだけで、

勇者癒し騎士団の者たちは、つかさと行動を共にして、

昨日から帰っていない。勇者3人は、観客スタンドの方にある

屋台へ食材を運んでいて不在である。

 「ミツルと同じで、、サンライトの妻に全員なりました」

つかさと言わずに、偽名を言ったのは、ホワイトボードに

 偽名で此れから言ってほしい、ゲームが始まるまでと書かれていたので

  言いたくないが、恩を売る感じで言って、

   「本当なのか? ロックティラ!?」

 俺の言葉は信じて貰えず、ロックティラに尋ねるキャブルト王子に、

  「ほ、本当です」

 言った後に歯を食いしばるロックティラを見ながら、

  「ベルローズ王国の王女だろ! お前に惚れていただろう!!」

パメラって、確かにロックティラに何度も言い寄っていたけど、

 ミューブル王国の宮殿の宴の後は、つかさの妻になったが、王女?

  「ただ剣が強い、騎士団長……

 「ダイジは知らなかったのだな。ベルローズ王国に居る王女は

   神ソラスさまが作り出した偽物……

 キャブルト王子は真実を告げて、

  「お前に、娶れと言ったではないか!!?」

 ロックティラには妻がいる。

平民出身であり、複数の女性を娶ることは、まずありえないが、

 「ローズマリーは、私を見る向こう側を見ていたので……

後悔の顔が出ているロックティラに、

「人族の大陸の最強の騎士だぞ! 

     女が幾らいても可笑しくないんだぞ!!」

  キャブルト王子が激しく叱咤するので、

   「彼女の幸せを……

 「王族だぞ! 今の王太子は愚者だ! お前の子が

   王に成る可能性が高かったんだぞ!!」

 捲し立てるキャブルト王子は唾を地面に吐いた後に冷静になり、 

  「過ぎたことはしょうがない!」 

 ひと息してから、俺を見つめて、

  「ダイジ! 奴を倒せるか?」

 「む、無理です」

地面に顔を向けながら言うのを聞いて、

   「レベル3の失格勇者だろ! 眷属だろうが、   

     お前の方が強いだろ!!」

 偽名を使っていてもバレているようで、

  「次元が違います。戦えば一瞬で俺が……

 「どうなんだ、ロックティラ!!」

   ロックティラに聞くなら俺に聞くなと思いながら、

    「神の剣を得ましたので、互角には……

 今朝、つかさに挑んで剣を折られているのに、嘘を言うロックティラに、

  「神の剣?」

 ロックティラは鞘から剣を抜き、剣をキャブルト王子に渡すと、

グリップを握りながら観察していて、

 「1本だけか?」

「べルール達に、計10本あります」

  キャブルト王子に告げるロックティラに、

   「他の騎士団は?」

 「我々だけです」

   剣を見ながら、

    「直ちに帰国! 帰るぞ!!」

 「殿下! なぜ?」

   剣を俺たちに見せながら、

    「魔王は、もうすぐ寿命で此の世を去る」

 ゲームで倒すのか、寿命かと考えていたが、

  やはり寿命かと思っていると、

  「それで、帰るとは?」

 ロックティラが聞くので、

   「この剣を研究し、複製が出来れば、

     人族の大陸の統一、世界を……

 確かにそうだが、

  「ゲームで戦うために!」

 ロックティラが言うが、

    「ゲームには奴が出て、勝利するのだろう!

      出る必要はない!!」

 「べルール、センシーラは?」

   「帰国させる!!」

 「ツカサの……

   「我が国の騎士だぞ! 私の命令が上だ!!」

 剣をロックティラに返して、ロックティラは鞘に剣を納めていると、

  「お取込み中、すみません」

 俺たちに言う青色のロボットが話に入って来て、

  「な、なんだ、これは!!?」

 驚くキャブルト王子に、

  「私は、セント・ギア【インディゴ】と言います」

 丁寧に御辞儀をするが、

  「何用だ!!?」

 ロックティラの方にロボットは見ながら、

  「ガイア・ソードを使いこなすために、

    王都の外で、ティーナさまと模擬戦をしてもらいます」

 ティーナと言えば、神であるが、最弱総騎士団長のレッテルを

貼られている人物なので、

 「ロックティラ! やる必要はない! 帰るぞ!!」

キャブルト王子が無視するように言うが、

 「つかさ様の指揮権に入っている貴方の勝手な行動は

   死を与える行為ですよ」

 俺たちは驚き、

  「ツカサと言う者で十分だろう! 他国の王子だが、 

    私の意見が上だ!!」

 キャブルト王子が言い出すので、

  「どうしても、帰るんですか?」

 困ったように言うロボットに、

 「神の剣は、我が国で使いこなす! ゴーレムどけ!!」

行こうとするキャブルト王子に、

 「ロックティラさん、ガイア・ソードを返してください」

ロボットが、ロックティラに手を出して返してと言うが、

   「ロックティラの剣もだが、我が国の剣だ!

     お前の物ではない」

 行くぞと合図をするキャブルト王子の背中に向けて

  ロボットは足を蹴りだして、俺たちには一瞬のことで

 見えなかったが、キャブルト王子の姿は消えていて、

  「殿下は……

 恐る恐る聞くロックティラに、

   「さぁ? 病気で亡くなったのでは、行きましょうか?」

 平然と嘘を言うロボットに対して、俺たちは何も言えないので、

  「あぁ、俺たちはツカサの騎士団に入ったのか?」

 質問を投げると、

    「ミューブル王国の騎士団です!」

 ロボットが言うので、

  「嫌だと言ったら……

 視線をロボットに向けて言うロックティラに、

    「蘇生されましたよね」

  「緑のゴーレムに殺されてな……

 「見返りもなくですね」

   「感謝はしているが」

ロボットは振り向いて、

 「この国に居れば、強くなりますよ」

   「ま、魔族よりは上がらない……

 ロックティラの言う通り、人族でレベル30は高い方で

上がっても40までと言われている。

 人族の限界と言われていて、勇者である俺たちも上がっても

40までとは言われている。

 獣族の最強勇者の輝太で40である。

  魔族にならなければ、これ以上は無理なことだが、

   「レベル100を超えた人と戦ったことないでしょう」

 「つかさは120だったよな」

両手を叩いてからロボットは、

   「あ、そういえばそうでしたね。

     何回も何回も倒されて、

      動きが見えるようになれば、50は超えますよ」

レベル50を超える、その言葉に俺もドキッとする。

 「倒されないといけないのか?」

蘇生させてくれるとはいえ、

  死の恐怖があるので嫌そうに言うロックティラに、

   「負けないと言う気持ちが大事です」

 右手人差し指を立てて言うロボットに、

  「剣を貰い、蘇生もさせてくれた、だが……

 「妻、息子さんも、此の国で生きればいいですよ」

ロックティラの家族も受け入れる発言に俺は驚きつつ、

   「良いのか?」

 半信半疑で聞くロックティラに、

 「家族を捨てて来て下さいなんて言いませんよ、秋人さまは」

   先ほど、つかさがボードに書いていたソラスさま関係で

 名が書かれていた秋人の名が出て来て、ロックティラは決心したのか、

「分かった! 此の国に骨を埋める!!」

  ロックティラとロボットは握手をして、会議用のテントが

 崩壊した場所に歩き出した光景を見ながら、

  「コウエツじゃないが、此処にいた方が良いな……

 思いながら、ロックティラ達の方に、俺は歩き出した。

 

 

 昨日に引き続いて、ロブシェリル・フェスティバルの2日目が

夕方から始まった。 

 港町【ロブシェリル】から4キロメートル離れているだけなので、

歩いて来ている者が大半である。道中にはロブシェリルの護衛騎士団が

魔物や動物から町民を守るために立ち並んでいる。

 明日からゲームが始まるが、誰もが負けるはずはないと言う気持ちで

祭りを楽しんでいる。

 昨日とは違い、人族の勇者隊も祭りを楽しんでいる。

正式に今回のゲームの総司令官になった北条つかさが、

 ゲームに参加する勇者隊の女性陣、つかさの横に居る

魔族の少女と共に祭りに参加している為である。

 前々から噂で流れていた、もし人族側が勝っても、ミューブル王国に

統治が変わるだけで、今まで通りという話の真実味が、魔族の少女の

存在で真実味を増している。

 観客スタンドの前のフィールドで行われるゴブリン達による騎馬戦に

勇者隊の男性陣も何組が参加したが、キューイルが竜巳と共に

参加して、優勝している。

 勇者隊、港町【ロブシェリル】の町民が楽しんでいる光景を

遠くから眺めている者たちにとっては……


  「愚かな……

 父上が明かり灯が照らしている砦の方を見ながら呟くと、

「人族の大地を魔族が我が物顔でいるなど神ソラスさまは許しません」

 私が激しく怒りながら言うと、

「悪の神と同一と言う戯言も、30年の月日で汚染されてしまっています」

  私の方を見ながら言う父上に、

   「ゲームに勝ち、悪の芽を摘み取ります」

 「勝てるのですか?」

   ロディアが私たちの方に来ながら言うので、

    「キャブルト殿下は?」

 エッとなるロディアだが、

  「頭を少し打っていますが、今は食事をしています」

 「ロックティラは?」

   「勇者隊の方に戻りましたが、皇太子殿下?」

 口を噤み目だけを細めている私に、ロディアが告げるので、

  「……総司令官に、偽ではなく」

 「息子よ! 焦るな! 失格勇者は明日死ぬ」

   「死ねば、ゲームは負けですが」

 コンピーコム王が此方に来ながら父上に言うが、

  「本名では書かないはず……

なるほどと納得したコンピーコム王は

 「サンライト・サーバン、誰にするんです?」

 レベル3の失格勇者は、テントでは威張っていたが、

   「コンピーコム王! 貴方の勇者で」

 父上がコンピーコム王に聞くが、

  「天の勇者で! 勝つのでしょ?」

 ニヤッとするコンピーコム王に

  「天の勇者は指揮には向かない!」

 「なぜです?」

   能力など優れている天の勇者であるが、   

    独断先行気味で、勝手に動くので、

  「指揮官ではなく、突撃の方が向いています」 

 ロディアが説明して納得したコンピーコム王は、

  ビルッド王国の王【マックトッサー・ジス・ビルッド】、

   リ・フレタ王国の王【スワィプ ・リ・ターンイン】が

此方に来ていたので、振り向き、

 「気になって見に来たのですか?」

コンピーコム王が此処から砦の方が良く見えるので聞くと、

   「魔族と共にいるなど、パーセントも可笑しくなった!」

 リ・フレタ王が砦の方を見ながら険しい顔で言うので、

  「今から失格勇者を、隠密部隊で……

 私が言うと、

  「護衛騎士団は……

 ロディアが言うが、隠れて他の部隊を連れて来て居る国はないが、

  「私が行く! 聖女もいるはずだからな」

 私がロディア他2人を連れて行く間に、

  

 「あなた! 今すぐ魔族どもを叩きましょう」

法皇后が法皇に告げるので、

   「何処のです?」

 コンピーコム王が法皇后に聞くと、

  「宴をしている所に……

 ビルッド王、リ・フレタ王、コンピーコム王は険しい顔をしているが、

  「ロマリエの言う通り、悪の芽は……

 目が鋭くなる法皇に、

  「あそこには、我が勇者隊が……

 ビルッド王が苦言を言うが、

  「悪の神に取り込まれたのです、人ではなく物ですよ」

 「聖女も!!?……

   リ・フレタ王が告げるが、

    「テントには居ませんでした、聖女でしたら守られるでしょう」

 杖を天に捧げる法皇に、

  「本気なのか!!!?」

 王の威厳で吠えるが、

   「えぇ、悪の総司令官は居ないでしょうから……

 笑みを見せる法皇から目を離し、傍にいる自国の兵に目で

合図をしているコンピーコム王が、

   「人族が勝利をし! 税金の半分は来るのだぞ!!」

 「魔族が居なくなれば、誰が街を……

リ・フレタ王が続けて叫ぶが、

   「1か月後には、此処は我々29か国の国になるのですよ!

     今から邪魔な数は減らしませんと」

 「勝てないのが分かって言っているのか?」

   コンピーコム王が法皇に言うが、

    「ミューブル王国は弱国、弱兵、惚けましたか?」

 剣を持って来た兵からコンピーコム王は受け取り、

周りにいるウインライム法皇国の兵に緊張が走り、

 「その戦いで亡くなる全兵に対しての補償をどうするか……

「何を言っているのですか?」

  法皇も分からないようで、

   「コンピーコム王よ! 下がりなさい!!

     今、神ソラスさまより神託がありました。

      今から悪の神に染まった物を打ちましょう!!」

 その言葉に、剣を鞘から抜いて法皇に睨むコンピーコム王に

  「陛下!! お辞め下さい!!」

    コンピーコム王国の兵がコンピーコム王を止めに入って言うが、

 「何が神託だ! ソラスが言うわけがない!!」

騒動が激しくなったのでイオタルーディ王国の

 王【ラウダ・ラ・ナインディー・イオタルーディ】などが

駆けつけ、兵も集まって来る。

    「私の言葉が信じられませんか?」

 「あなた、此の物も悪の神に……

   法皇后が冷たく言うので、

 「そこで見ていなさい、悪の神の信者の最後を……

   詠唱をし出して、

    「生きて帰れなくなるぞ!!」

 コンピーコム王の言葉も空しく、神の天罰が発動して、

空から無数の光のシャワーが降り出したが、

 「な、光の矢が? わた……

   「あなた!! あっ……

     「法皇陛下を!! わぁぁあああ!!!……

 法皇、法皇后、ウインライム法皇国の護衛騎士団の兵たちに

降り注ぎ、コンピーコム王たちの目の前で死んでいった。

 その光景を見た皇太子は亡くなった法皇の所に戻り。

  「父上! お前が斬ったのか!!?」

 コンピーコム王を激しい怒りと共に見つけるが、

  「斬る前に、自身の魔法で亡くなった」

 剣を鞘に入れながら言うコンピーコム王に向けて、

   「神からの魔法が、神を信仰する者に……

 確かに普通はそうだが、

  「信仰していないから、死んだんだろ」

 俺が皇太子に告げると、

  全員が俺の方を見るので、

   「お前は? 誰だ!!」

 皇太子は叫び、

  「俺か、ミューブル王国で、何でも屋を開いている親父さ!」

 澄ました感じで言うと、

    「悪の神に染まった物か!!?」

 「おいおい、3か国の神は名前が違うだけで、同じだって聞いただろ?}

   右手人差し指を皇太子に向けて言うと、

    「戯言を……

 皇太子は近くにいる兵に目で合図をして、兵は剣を抜刀して、

  「一応言っておこうか、俺も神様だ!」

 ハァとなる皇太子以下が笑い出す中で、コンピーコム王が、

  「神ソラスさまの友人のアキトで良いか?」

 「つかさから聞いたか?」

   コンピーコム王は頷き、

    「29か国が1か月後に此処に攻め込むが、

      此処にいる全員を始末すれば、士気は上がるか?」

 「跡継ぎの問題もある……

   コンピーコム王は跪きながら言うので、他の者は驚いている。

    「ソラスは平等に見ている。どの神の名でもな」

 「だったら、父上は!!?」

   皇太子が俺に語気を強めて言うので、

    「ナ、聖女があそこに居るんだぞ!

      自分の娘が居るのに、自分の娘ごと魔族を

       倒してくださいと言われて、母親なら怒るだろ」

 コンピーコム王は頷いているので、

  「聖女が、神ソラスさまの娘なのか?」

リ・フレタ王が俺に聞いてくるので、

 「そうだ! 聖女にした理由を知ってるか?」

ソラスから聞いた時は親バカと思ったが、

 「私と結婚するために……

   皇太子が言うが、

    「ソラスが任命した聖女だ! お前などから

      守る為でもある」

 「迂闊に手を出せば……

ビルッド王がゴクリと唾を飲み込んだ後に言うと、

  「そうゆうこと、まぁ、聖女がお前を気に入ればだが、

    そうじゃなかったな」

 何時の間にか全員が俺に対して跪いていて、

  「天の勇者ですか?」

 皇太子は光悦なのかと聞くが、

   「この国の失格勇者さ! 壇上に立って説明をしていたな」

 全員が、つかさを思い出した顔をしたので、

  「とても、レベルが低く……

 皇太子が告げるが、

   「ローズマリーが、ロックティラを捨てて行くか?」

 ピクッと動く王たちは、偽名を使っても本物の王女と分かっていた

ようで、つかさのことも分かって来て、

 「偽装していたと……

   コンピーコム王が告げるので、

    「そうだ! 後は、勇者隊の女性陣を全て娶った!」

 その言葉に驚く王たち、騎士たちは、

  俺に顔を見上げて言いたげだったが、

   「力が全てだ! それだけの女性を受け入れるだけの懐の深さも

     持ち合わせているけどな」

 皇太子は右手を強く握りながら、

  「私が眷属になっていれば……

    言うが、

  「なったところで、聖女を娶る器じゃない!」

 「だったら、天の勇者は!!」

   来てほしくなかった言葉が出たので、困ったなぁと思いながら、

「光悦には好きな女がいる! 聖女も知っているから相手にしていない」

  「私が聖女の婚約者と言いましたら、聖女は天の勇者のことを……

 皇太子が晩餐会などでナルエのことを婚約者と言う時に、ナルエが

  光悦の名を出して、婚約者ではないと言っていた。

   「婚約者じゃないと言うために使っただけだな」

 「それでは、天の勇者は誰のことを……

皇太子は知りたいようだが、

 「直接聞けばいいだろ! あそこにいるから」

観客スタンドの方に振り向いて、右腕で指して言うと、

 「魔族などとは……

「フッ、そうか、明日聞けばいいな」

  「そうします……

 「全員立て!」

   跪いていた王たち、騎士たちが立ち上がり、

    「仮の総司令官を務めれば、法皇、王皇后を蘇生させる。

      俺の期待に答えよ!!」

 皇太子は深く御辞儀をした後に、全員が御辞儀をして、

  「氷などで保存しよけよ! 向こうに行く」

俺は此の場を離れて、俺を近くで待っていた今日のデートの相手である

 アキナと共に祭り会場に歩き出した。

  

 「秋人さん、蘇生させるの?」

アキナが俺と腕を組みながら聞いてくるので、

   「しないさ! ソラスは怒っていたから」

 「そうね、私でもそうするし」

カワイイ素振りで言うアキナにフッと笑ってから、

 「町民までするとは思わなかったけど……

皇太子の方を少し振り向いた後に、

   「29か国の戦いまでだからなぁ」

 「皇太子と王子と……

少し曇った表情のアキナに、

   「蘇生は出来ないが、何か考えるよ、お金かかるけど……

 ニコッと笑うアキナが、

  「それでこそ、私たちの旦那様ですわ」

 より体を添えて来るアキナに、

    「まずは、観客スタンドに来るお客さんの

      安全対策をしっかりすることだな」

 「はい……秋人さん」

   

 アドラーを見つけて、勇者の何人かが一緒に居るが、

隠し撮りは良いが、昨日も言ったが、1割は貰うからなと

アドラーに詰め寄ったり、セーイラの所では、つかさが女性陣全員に

景品のスマートフォンを当てて渡していたり、魔族の犬族が

剣を当てて喜んでいたりと、2日目も盛況の内に幕を閉じて行った。





 兄は行ったか?

あの、随分まえに行きましたが

 そうだったな、暇だな……

行けば良かったでしょうに

 俺を殺した、つかさになど会いたくない!

痛めつけられて、逮捕されただけでしょう

 で、明美は何時くる?

結局、明美に会いたいだけですか……

 で、何時?

波動がありましたので、ちょくちょく来ているのは

間違いありません

 魔王が呼ぶんだったな

ソラスから聞きましたので……

 私のことは?

ええ、まあぁ……

 つかさ達に……

口軽いですから


次回

 第64回 編成……

  あぁ、戦いか……

 怖気づいたのか?

  呑気に遊んでいたかった

そっちか?

 経験はどれくらいだ?

  ロックはどれくらい?

 参加したゲーム回数や魔物退治や動物退治……

俺もそうだな

  光悦はもっとだろ?

昔は逃げ回っていただけだから

 そうか、ツカサは?

  100以上は、数えていないけど

レベル120って……

  100からは上がるのが大変だから

俺は指輪を外せば!

 不正はよくない

不正じゃねぇぇええええ!!!!!







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