60話 会場は……
日が傾き出して、空を赤く染まり出す前に、港町【ロブシェリル】から
王都【ブレーリト】寄りの人族対魔族のゲーム会場となる
大平原が目に入って来たが、
「なんだ! 王都に行く前に寄った時は……
後方からの馬車から声が上がり、俺も巨大な建造物に
「観客スタンド? あれは魔族が建設中の……
観客スタンドの隙間から見える海側にある魔族の砦を確認をし、
陸側にも建設中の砦があるのを確認をした後に、
「シンジロウ……
御者席に座っている俺の右側に座っている進次郎に声を掛けると、
「あれって、しっか、ツカサたちの馬車だろ……
その言葉に、観客スタンドの近くに止まっている馬車があるのを確認をして、
「追い抜かれた? 何処で??」
つかさの馬車とベルローズ王国【勇者癒し騎士団】の馬車が3台の
計4台が、勇者隊の馬車の列から外れて草原で休憩を取り、
そこから出発しても、港町【ロブシェリル】までは
街道は1つしかなく抜かれるはずが無いので言うと、
「近道でもあるのか?」
パーセントは地図を箱車の中に置かれている箱から出して
確認をしていると、観客スタンドの方から何かが飛んで来るので、
「全員!! 停止!! 盾や防御魔法で!!!」
俺は大声で叫ぶが、
「は、早い!!!……
パーセントが叫ぶと、飛んできた物? は俺たちの斜め上を
通り過ぎる時の衝撃波で馬車は揺れて、馬も暴れ出すので手綱の操作で
馬たちを抑え込む間に、馬車の列の最後尾を通り過ぎた物は
急旋回して此方に向かいながら速度を落として、
ゆっくりと俺たちの馬車の近くで着地した。
それは、此の世界ではゴーレムと呼ばれる物で、頭部はヒサシから
2つに別れた角状の突起物、手の腕部分には爪が折りたたまれた状態で
収納されていて、背中には翼があり、頭身が3頭身の緑のゴーレムで、
「勇者隊の方々ですね、お待ちしておりました」
丁寧に言うが、驚かすように来たので、
「驚かすな! 安全運転で来い!!」
俺の怒鳴り声にビックリして、
「つかささまが、驚かせて来いって言いましたから」
あのヤローと思いながら、
「ツカサたちは、なぜ、もう着いているんだ!!?」
緑のゴーレムに聞くと、
「ゲートで来ましたから……
ゲートとは、A場所とB場所を隣同士にして、部屋から部屋へ行く
感じにする魔法で、
「太古の昔に失われたと聞くゲートか?」
パーセントが御者席から降りながら言うと、
「この世界ではそうなんですか、そのゲートです」
緑のゴーレムが言うのを聞いて、
「便利な物があるなら言ってくれ!!!」
嘆くパーセントを無視して、
「ツカサの所に行ける?」
その声の方に振り向くと、緑のゴーレムが、
「ありすさま、シャドウさま、パティーレイスさまに……
自分たちの名前を言ってくれたことに顔を見合して
微笑んでいる2人に、
「ゲートの歪が発生しますので、其処から……
緑のゴーレムが右手で指す所の空間が歪だして行くので、
「ありがとう……
ありすは、緑のゴーレムに御礼を言って歪に歩き出すと、
「俺も行く! あいつに言いたいことがある!!」
叫ぶ浩二は、かずえを連れて歪に入って行った。
残された俺たちは、緑のゴーレムを見ながら、
「お前は、味方か敵か?」
完全に治っていないエイリーが問いかけると。
「どちらでもありません! 会場の建設の為に来ただけですから」
ありすとのやり取りで味方だと思っていたが、
どちらでもないと言うことに困惑していると。
「貴方は、アキトさまの所有物なのですか……
シャドウが微笑みながら秋人という聞いたことのない
名前を言うが、何処かで聞いたことのある名だったので、
「ウエスギ・アキトが来ているのか?」
自分で言って何を言ってるんだと思いながら
「神か召喚以外で来れるわけないのに……
右手で頭を搔きながら言うと、緑のゴーレムが
俺に近寄って来て、
「アキトと言う名で、召喚された方と思っただけでしょ?」
「そうかもな……
優しい目でフォローされたので、俺は照れながら左手で頭を
掻いていると、緑のゴーレムは集まっている者に対して、
「ソリュート王国の王、上杉秋人さまの妹君を
ジェニュイン・マスターに、ナンシーリエットさまをマスターに
存在しているセント・ギア【ドラゴンシリーズ】の
グリーンドラゴン【ナツメ】です」
名前がズバリ当たっていて、凄いとか言ってほしかったと
スッゴケている間に、色々な単語が出て来て、
「ソリュート王国の王と言ったのか?」
ロックティラが眉間に皺を寄せながら緑のゴーレムに聞くので、
「はい! 我が王の提案で、ソラスさまの夫婦喧嘩の戦いの合間は、
港町【ロブシェリル】の方も参加してもらい
大いに祭りを楽しもうと屋台などを建設中です」
観客スタンドの裏側には屋台が建設中で、
10台以上が並んでいる。
「夫婦喧嘩と言ったのか?」
パーセントが眼光鋭く緑のゴーレムに聞くので、
「ええっと、馬車を駐車場に今から案内しますので
付いて来て下さい!!」
冷や汗を掻いているような感じで慌てて言う緑のゴーレムに、
「何でも屋で会った女性たちは神ソラスの友人、ミューブル王国の
ティーナ閣下もだな、そして、アキトは従者と聞いているが?」
そして、ナルエ、キューイルは神ソラスの娘、キューイルは
魔王の娘でもあるが、さすがに混乱するのでロックティラも言わない感じだが、
「この世界と違う世界のソリュート王国の王であります。
アキト陛下の御后様たちです」
違う世界の王が此の世界に何の用事で来ているのか、
「神の王が? この世界を獲るつもりで来ているのか?」
「何でも屋で聞いたと思いますが、ソラスさまの依頼で
来ただけで、ついでに、つかさ様の御守もしています」
明かに何度も聞くのって言う感じで言う緑のゴーレムに、
「ミューブル王国を支配してるだろう!!」
ロックティラが剣を構えて叫んで言うと
「いろいろと干渉されないためですよ、行きましょう!!」
案内するために背を向けた緑のゴーレムに、ロックティラは
襲い掛かるのと同時にレベル30でと声が上がるので、鑑定士が
調べていたのは分かったが、俺と同レベルでロックティラとも
同レベルである。
不意を突いた卑怯な行いなので、
「ロックティラが!!……
俺は叫ぶが、緑のゴーレムに背後から剣を振り下ろしたロックティラは
手ごたえありと笑みを見せるが、斬った緑のゴーレムは残像であった。
残像に驚いているロックティラへ、
「左だ! 背後を突け!!!」
俺は、昔に男だと思っていた女の子と赤毛の女の子に、
稽古をつけられた時の動きと似ていたので叫ぶと、
ロックティラは俺の声が聞こえたのか、俺の指示通りに動くが、
ロックティラの剣を左腕で受け止めた緑のゴーレムが、
「なぜ襲ったんですか? 敵では、味方でもないですが」
「……未知なるものに恐怖を感ずることは」
ロックティラの体が震えているのが分かるが、
「騎士として最低ですね」
少し離れて右拳でロックティラの腹を殴り、遥か向こうの
土の上に投げ飛ばされたロックティラを見た後に
「さあ! 行きましょう!!」
手を上げて合図をする緑のゴーレムに、
「全員! 戦闘準備!! ゴブリンと手を組む奴を排除だ!!!」
セイパレール国【勇者騎士団】の団長
ギルヴェザン・セプター・スティーソンが熱く叫ぶので、
馬車から勇者隊たちが降りて剣を構え、魔導士は魔法を唱えて行くが、
女性陣は参加しないので賢明だと思い、
「熱くなるな! 」
聞いてねぇ!
「シンジロウ!! ツカサたちを呼んで来てくれ!!」
「お、お前は!!?」
「緑のゴーレムを守る!!」
御者席から降りて緑のゴーレムの前に立ち、
「パーセント! 行こう!!」
馬車を動かす進次郎が離れ行くのを感じながら、
「戦う相手が違うだろうが!!」
剣を構えるが、
「折れた剣で戦うんですか」
あっと、またやったなと思いながら、
「あぁ……この剣でな!!」
「守られる言われは、ありませんが?」
「お前が戦わない為に……
緑のゴーレムにとって、この数など動作も無いこと、
緑のゴーレムが動けば勇者隊は壊滅する。
だから、俺が相手になってる間に、つかさ達が此処に来れば
つかさの威圧で収まるはず。
「敵の味方をするのか?」
圭一が俺に剣を向けて言うので、遠くの観客スタンドの方を
チラッと見ると、此方の騒動に無関係に作業は進んでいて、
「敵、味方、どちらでもないと言ってるだろう……
「ロックティラが死んだ! そいつにな!!」
大二がバトルアックスを構えて言うので、
「不意打ちで負けて、文句も言えまい!!……
俺は目で緑のゴーレムに行けと合図をして、
「時間稼ぎを!!!」
攻撃魔法が怒涛のように来るが、折れた剣で撃ち落とす間に、
圭一たちが来るが、俺の剣圧で此方に来れないように牽制する間に、
攻撃魔法が来るのに対応が出来なかったが、バリアーが展開されて
防ぐことに誰もが俺自身も驚いている。
「天の勇者の新たな魔法か?」
叫ぶ者の間にも、哲史が後ろから俺の影から現れて
「ロックの仇!!」
俺じゃないけどと思いながら、迫りくる大二と挟撃されて
此処までかと思った瞬間、哲史、大二は弾き飛ばされていて、
「右手薬指の指輪の効果か!!」
その声のする方に向く間も魔法の攻撃は休みなく
来るが、その攻撃をバリアーによって防いでいる。
魔法攻撃が止むと、先程、声を上げた勇太の教育係りのアドラーの剣に
圧倒されながら受け流していると、
「何処で貰った!!
「アケミからだ!!!
折れた剣の先から光の刃が形成されて、アドラーを吹き飛ばして、
まだ来ないのかよと、観客スタンドの方をチラッと見ると、
秋人さんは見ているが、他は気にせずに作業が進んでいて、
「はあ、はぁ……ツカサじゃないんだぞ……
「たった1人に!!!」
誰かの声が上がるが、
「リザートマン3人に負けた俺が……
2月に行われた獣族対人族のゲームで、ありすが襲われた
現場に向かう途中で、リザートマンたちが道を塞ぐので、
俺が戦うと言って、ロックティラとナルエを、ありすの方へ
向かわせた時に対峙したが、3人の攻撃に敗れて
気を失ってる間に、リザートマンたちは倒されていたが
誰に倒されたのか分からなかった。
レベル的には、大二たちは劣っているが、これだけの
攻撃に耐えている自分に驚いている。
魔法攻撃が止むと、複数の騎士が俺に襲い掛かって来るので、
剣圧で弾き飛ばし、またかと、
自分の影に剣を刺すと、声が上がり、左腕から血が流れている
哲史が姿を現し、右足で哲史を蹴って吹き飛ばし、
またかと魔法攻撃が襲って来る。
「先読みが出来るようになってるな」
頭の中に声がして、「アキト兄ちゃんか?」
「記憶も大分蘇っているな」
「あぁ……ツカサを此方に!!」
クソがぁ!! 祐樹の水魔法のウォーター・ジェルに包まれて、
騎士たちが襲ってくるが、
バリアがウォーター・ジェルを破壊して、俺は剣圧で騎士たちを
弾き飛ばして、
「これ以上は、手加減できないぞ!!」
俺が直ぐに倒れないから、更に熱くなっている奴らを
殺さずに出来るか? 馬車から此方を見ている女性陣たちは
つかさが来ないことを話しているようで、
これだけやっている俺に、誰も惚れてくれる奴がいないのって
悲しくなりながら、
「ツカサを!!!」
「浩二と言う奴と揉めてるな……
「アキト兄ちゃんが!!!
「指輪取れば、妹の眷属の力が解放されて……
「……魔素を使い果たせろ!!!」
何処の団長か確認が出来ないが、大二たちは距離を取り、
俺の魔素が無くなればバリアーが形成できなくなるので、
魔法が使える剣士も魔法で俺に当ててくる。
「男女の力なんか使いたくない!!」
「おいおい、かわいい妹を、そんな風に言うなよ」
「キスされるまで、男だと思っていたんだ!!!」
「まだだ!! 緑のゴーレムにも当てろ!!!」
何処の団長か分からないが号令を出しているので、
何処に居るんだと緑のゴーレムを探すと、
ゆっくりと歩いている姿を確認して、
飛んで帰ればいいだろうがと緑のゴーレムの所に
向かいながら、魔法弾を消し去り、
「何やってんだぁあああ!!!
ゆっくり振り向く緑のゴーレムが、
「光ちゃんが守ってくれるから」
「お前も手伝え! コウエツと言え!!」
嫌そうな顔をする緑のゴーレムが、
「指輪を左にするなら……
「取れないんだよ!」
俺のバリアー内に入った緑のゴーレムは、
「明美さま自体が、友達のままか、恋人かで揺れてるのかな」
指輪を見ながら言う緑のゴーレムに、
「初恋は終わったんだ! 今はナルエが好きで……
俺の魔素の残量なら、とっくに大二たちに
倒されているのにと思いながら、
「蘇った記憶は封印してほしい!!」
「ソラスの娘に振られたのに!!」
ジト目で言う緑のゴーレムに、
「告白はまだ! 蘇生できるか?」
「私は……セーイラさまに!」
セーイラさんと聞いて、全属性を使える彼女なら安心して
目の前の全員を倒しても蘇生してくれると
「よし!! 魔法攻撃が止まったら行くぞ!!」
「10秒後に……
魔法攻撃が止み、大二たちの攻撃の途中から
魔法攻撃が本格的になると大二たちは引き、
また、魔法攻撃が止むとの繰り返しをされているので
魔法攻撃の止む時間を正確に言う緑のゴーレムが、
「アドラーさまだけは……
アドラーと言われ、身長より大きい大鎌を構えている
アドラーを見つけて緑のゴーレムに頷くと、
緑のゴーレムは腰を落として、右腕を後ろに引き、
右拳に光が集まり出していて、目も光出して、
魔法攻撃が止んだと同時に大二たちが向かって来る方向に、
「ボルテック・マグナム!!!!」
叫びながら右拳から放つ光の玉は、回転しながら
土煙を上げながら突き進み、大二たちを吹き飛ばした。
血の雨が地上に降り注ぐ間に、
「馬車の屋根で……
「ナツメが参加したからな……
緑のゴーレムの攻撃を避けて、馬車の屋根にジャンプして、
更に其処からジャンプしてアドラーに襲おうとしたが、アドラーも
同じ考えで、空中で俺の剣を大鎌の柄で受け止められて、俺たちは
離れて地面に着地したが、俺の方は着地が上手く出来なかったので、
次の動作に入るのが遅れたので、アドラーの大鎌が来ると思ったら、
「味方同士の戦いは終わりだな」
大鎌を肩に担ぎながらニヤッと俺に言うアドラーは、右手を差し出したので、
俺が右手で差し出した手を掴むと、
アドラーが俺を引き上げるように立たせてくれる間に、
地獄絵地図のようになっている草原を見渡して、
「あぁ……蘇生をしてもらわないと」
俺が言うと、
「馬車の方も、失神した奴や、魂が抜けた奴や、泣いてる奴や……
アドラーは馬車の方を見ながら言うので、
「トウラマにならなければ……
「これくらいで成っていたら戦場じゃ……
呆れた感じで言うアドラーに、
「獣族とは立ってるだけ、魔族はアンデットだから……
「それでも何人かは死んでるんだが……
無傷で終わるゲームは皆無だが、今回参加した200人弱が
たった1発の攻撃で亡くなることは今まで経験が無いので、
「……いい経験になったんじゃないかな」
俺はクスクス笑い、アドラーも釣られて笑っていると、
「どうするんです! 魔族のゲームの前に壊滅させて……
シャドウが此方に来ながら言うので、
「セーイラさんに……
笑みを見せて言うと、
「なぜ、その名を! 王都で会ったんですか?」
「昔、世話になったんです!
アケミ、キョウコ、ミサトと遊んでいた時に」
シャドウは驚き、アドラーは、
「悪魔に、赤鬼、破壊神と……
なんなんだ、その2つ名と思いながら、
「記憶は封印させてもらうけど……
「そういや、宇宙空間で泣き叫んでいたガキが!」
俺を見ながら言うので、そうですよ、美里が暴走して地球が
破壊されて、神関係のみが生き残って……
「悪い思い出は消したいと?」
シャドウが俺を見ながら言うので、
「違いますよ! ミサトが星を破壊して、ソラスたちが
スター再生プロジェクトで始動した時から、
俺の第2の人生のスタートです。
ミサトが星を壊した記憶も、アケミたちと行った
異世界冒険の記憶も失ったのが、今の俺ですから」
今の自分を語った俺に、
「明美が好きなのに、ナルエに迫ってるから消したいと」
アドラーが笑いながら言うので、
「ミサトやキョウコの名にならないんですか!!?」
少し怒りながら言うので、
「明美から結婚指輪を……
俺の右手薬指を差して言うが、
「指輪あるんですか?」
不思議に言うシャドウの言葉に、進次郎は目が治った時に
俺の指輪が見えたりするスキルを得たからと分かって、
「神から貰った指輪があるんですよ」
見えてない指輪の所を左手の人差し指で指しながら言うと、
「それで、攻撃を……
怒涛の攻撃に耐えた俺の行動に納得したシャドウは、
「先程の攻撃で、馬車の方も馬が……
馬車の方を見ると、俺たちが戦っていた場所からは離れていたが、
緑のゴーレムの攻撃の余波で馬も倒れているので、
「馬もか……
緑のゴーレムの攻撃の破壊力の凄まじさに呆れながら、
「シャドウの方の騎士団は?」
「列から離れて回避していますが、100台の運搬は……
シャドウ入れて11人しかいないので、何度も往復するにも
時間が掛かるので、
「蘇生した後だな……
アドラーが地獄絵地図の方を見ながら、
「また、戦いになるかもな?」
「タツミさまに、奴隷にしてもらえば……
ミュー・クラッホーン魔導国の勇者隊を、シャドウの奴隷騎士団に
してもらった竜巳にと言うが、
「いや、久しぶりにセーイラさんの魔法を見たいから」
俺の提案に、
「竜巳の師匠だからな……
アドラーが言うので、
「そうだったんですか!! 教えてもらわないと!!」
シャドウが我が師を見つけたりと喜んでいるが、
セーイラさんって、口調は優しいけど、言ってる内容がエグイし、
人の欠点をビシバシ言うから、
「人生の汚点請負人」
「会ったらいけないブラックリスト」
小声で、2人で言っていると、
「あら、私の名が聞こえたけど……
俺たちは、声のする方に振り向くと、ニコニコと笑っている
セーイラさんが、パティーさんと一緒に来ていて、
「見事な蘇生魔法が見えるとな!!」
セーイラさんにアドラーは言いながら、俺にも何か言えと
催促する目を見て、
「何時までも若い! 娘がいるなんて思えません!!」
なぜかシャドウは地面に座り込んでいるのを見ていると
セーイラさんが
「ありがとう、あ、アドラーさん」
俺に言った後にアドラーに話しかけるので、
「は、はい!!」
ビクッと返事をしたアドラーに、
「ギルドに行ったら、義妹の師匠から
修理代がまだって……
セーイラさんは可愛い顔で言ってるが、アドラーは引きつっていて、
「この依頼が終われば、お金がまとまって入りますから!!」
「そうなの、利子は獲るそうよ!!」
崩れ落ちるアドラーから、
「忘れたいの? 私のことも?」
何時から聞いていたのかと冷や汗をかいている俺に、
セーイラさんが顔を寄せてくるので、
「今まで忘れていて、初めて会うと言うことで……
苦笑しながら言うと、
「私に会ったら、私の息子ってどう!?」
支配かなにかで認識させるんだろうなと思いながら、
「それじゃ、アケミと結婚……あ……
ニコニコしているセーイラさんが、
「やっぱり好きじゃない? 明美ちゃんのこと」
反論だ! 反論だと
「セーイラさんの息子になったら……
「なったら?」
「セーイラさんと結婚できないじゃないですか!!」
嬉しそうな顔をするセーイラさんは、
「私って、光ちゃんってタイプじゃないから、息子も嫌よ!」
息子なら良いと言っておきながら嫌と言うので、ガタっと地面に
崩れて、世界最強はセーイラさんじゃないのかなと思いながら
数分後、気を取り直して、俺たちは、セーイラさんがロックティラ達を
蘇生させる様子を見ながら雑談し、亡くなった者たちが蘇生後、
俺たちに食って掛かる者たちをセーイラさんが奴隷魔法を掛けた後に、
俺たちはセーイラさんから命令権を与えられて、
俺、アドラー、シャドウの号令の元、緑のゴーレムが駐車場の方に
ゆっくり歩いて行くのを、俺たちは馬車と共に追いかけて、
人族対魔族のゲーム会場に到着した。
私、ローズマリーは、ベルローズ王国の王女として生まれた。
私には4歳年下の弟がいる。次期王として教育され、剣の才能もあり、
次期王への道は順調であった。
私は10歳になれば、他国の王子か、近し者か、自国の貴族に
嫁ぐことになる。国がより発展するための道具として……
たまたま、弟の剣の修行を見ていた時に、指南役が私に剣を渡した。
初めて持った剣は私には馴染むもので、羽根ペンより重い物を持った
ことのない私だったのに、その剣は丁度いい感じの重さで
弟の真似をしたら、空気を斬る音がして、
「やはり、王女さまは、剣士として優れた才能を持っています」
弟は指南役の言葉に唖然となり、その後、剣の修行はしなくなった。
私は剣の修行が楽しくなり、遠征して魔物や動物を狩るようになる。
だが、父は私の行いに難色を示すが、母のおかげて剣の修行を続けられた。
魔王が神たち3人に願い、相手の国の街や村を奪うゲームも
100年くらい続き、ベルローズ王国の村がゲーム会場になった時の
相手は獣族で、ゲームが開催される1週間前に、
人族の25か国が集まり、其処でカーディオン王国のロックティラと
初めて出会った。
私は、王族で王女であり、他の騎士のように、獣族を魔族を倒すことは無い
指揮官としてゲームに参加をした。
参謀は私の従者のメアリーが務めた。
メアリーも私に次ぐ剣の才能があり、弟はメアリーを我が妻にと
言ったが、私の従者として結婚はしないと告げて弟は振られている。
この時、私は12歳であった。
父が勧めて来た男を木刀で倒しては、父は男の両親に謝っていた。
王なのに……
ロックティラと闘技場で剣を交えて、自分より強い男を初めて知った。
ロックティラの活躍で、ベルローズ王国の村は無事守られた。
私は、自分より強い男を好むことに気づき、
ロックティラのことを思うようになる。
国が違えぞ、私は王族、ロックティラは平民であるのが
最大の障害であった。
ゲーム会場で何度も再会しては、剣の指南をロックティラに
してもらい、デートではないが至福の時であった。
ただ、私は王女としての立場を捨てる勇気がなかった。
ウインライム法皇国が勇者召喚を行うことになり、
勇者召喚に成功すると、各国が勇者召喚をし出して、
勇者召喚祭りになって行く。
ベルローズ王国も1年後に勇者召喚を成功したが
魔導士系であり、毒を専門にする3人だったので、
国が乗っ取られないように勇者特権を与えていた。
特権は、議会での発言は出来るが、決定権は与えられなかった。
3人は男であったため、身の回りの世話は女がしたが監視役である。
私がロックティラが結婚したことを本人から言われた時で、
失意のどん底であった。
王女の立場を捨てられなかった私に、
「この世界って、一夫多妻制でしょ」
人間じゃないと直ぐわかる黄金色の目、銀髪の髪の少女に言われて、
「平民で、妻がいる相手の所に……
「私のお義姉さま達は、平民の男に嫁いたけど……
「貴方、王族なの?」
ニコッとする少女は、
「そうよ! 今から、心配になってる平民の男の所に行くの」
「貴方の父や母は激怒しないの?」
私をジッと見てから、「好きだから、誰にも文句言わせないよ!」
「……好きだから」
少女が立ち去る時に、
「ロックティラが貴方を拒んだら、最強の男が貴方の前に現れるよ」
私は、ひと言もロックティラの名を出さなかったのに、
不思議な少女の言葉で、私は王族を捨てる勇気が出て来たが、
ロックティラに会っても言い出すことが出来ずに数年が経ち、
勇者3人を、ゲームに参加させるために結成された
勇者癒し騎士団に参加した。王族を捨てるために……
メアリーは、私の従者だが、付いて来たのは誤算であった。
メアリーには、私のコピー(ソラスさまが制作した私の偽物)の方に
付き添ってほしかった。
コピーは、父が勧めた男と結婚をした。
幸せな家庭を築くだろう。
私は、パメラと言う女性として、父、母、弟の前で跪いて、
参加できることの礼を告げる。
それは勇者3人の慰め者になると……
父、弟は私を見て驚くが、母には事前に話をしていたので、
「私も貴方を見た時、娘と同じ顔で驚きました。
神ソラスさまは、世界には同じ顔の人物は存在すると
言われましたが、あまりに似ているので、
貴方の素性を調べました」
父、弟は、母の言葉を静かに聞いていて、
「貴方はミューブル王国のプライム村出身ですね」
神ソラスさまが、私の為に用意した出身地で、
「はい、私の生まれた場所であり、剣を独学で学んでいました」
「……この騎士団は、男に奉仕する騎士団ですが」
私を心配する母に、
「女を団長にする騎士団という魅力、勇者3人は魔導士ですが、
騎士として鍛え上げて、私を超えた時に、私の処女を捧げたいと
思っております」
私は言いたくない言葉を言い終えると、
「伯爵に嫁いだ娘と同じ、自分より強い男か?」
コピーは私の代わりに剣を置いて、強き者に嫁ぐ夢を
諦めてもらった。そして、私は強き者に嫁ぐ夢を目指す。
こんなバカな考えの娘の言葉を待つ母の目には涙が浮かんでいて、
「そうです! 勇者3人が超えられなかった場合……
「鍛えて超えられない場合はあるのか?」
母には、あの少女の言葉を伝えてある。
「才能がなければ……
勇者3人が女に溺れている以上、これ以上は無いことを
誰もが分かっている。
「ロックティラを超える者の元に嫁ぐことを、お許し下さい!!」
玉座の間は騒然とするが、
「ロックティラを超える者などいないのにか?」
勇者の中で私を超える者はいない、ロックティラを超える者もいない。
それを超える者など存在しない人族の中で、
「その時は……
「私の娘じゃないのだ! 許しも無くいけばいい!!」
「ありがとうございます」
私が国を捨てて行くことに、涙を流しながら母が見ていたので、
「姉に似ているお前のせいだ! 普通は、お前を斬るが!!
勇者3人の子を産んで、国の為に尽くせ! ハハハァァアアア!!!」
高笑いしている弟を制して、
「パメラと言ったな……
父はどうやら本物の娘と分かったようで、
「騎士団長が貴族の爵位が無いのはおかしいかろう」
弟がエッとなっていて、
「パメラ・ヴァリー・ローズ・リフ・レインを名乗るがよい」
「あ、ありがとうございます」
父の優しさに、私は目から涙を流しながら礼を告げた。
私が勇者癒し騎士団の団長としてゲームに参加し出して、
2年後、
魔族対人族のゲームが引き分けに終わった後の船の中で、
ロックティラに正体を明かして求婚したが、
「私は貴族では無いので、複数の女性を得ることなど出来ない!」
諦め切れずに、
「何もかも捨てて……
「なぜ今なのです!? 偽名を使って、団長として参加して、
今までにも言うチャンスが在ったでしょう!」
私は、その言葉に言い返す術はなかったので、
「今のことは、忘れて下さい……」
私は用意された船室に戻った後に、自分の弱さに
声を出さずに泣き崩れた。
朝日が入って来る船室で、泣き崩れた顔を鏡で見る私は、
少女の言葉を思い、いえ、言葉を聞いた時から、
ロックティラのことより、振った後に現れる最強の男に
嫁ぐことを願っていたことに気づいて、
「嫌な、おんなぁ……
鏡へインクの入った瓶を投げつけた後に、
割れた鏡を見ながら、
「貴方に向けた想いを、少女が語った男に注ぎます」
私は、水が入った瓶から水をタオルに染み込ませて、
顔を拭いた後に、
新たなスタートの気持ちと共に寝巻から私服へと着替えだした。
私が求める者は勇者の中に居ると考え始めた時に、
ミューブル王国が勇者召喚に成功したが、半年後に開催された
勇者お披露目会で会っても、レベルが低く、最強の男では
無いと思って参加をしなかった。
各国のミューブル王国の勇者の評価は最低で、失格勇者と
言われるくらいで、行かなくって良かったと思った。
舞姫【アリス】が我が国に訪問した時に、護衛として
付き添っていた私に、
「ミューブル王国の勇者って知ってる?」
「ええ、最低で、剣も使えないとか……
私を見てフフッと笑う舞姫に、
「可笑しなことでも言いましたか?」
「ううん、私、その人に恋してるの」
頬を赤く染める舞姫の表情はゾッコンと言う感じだが、
「そうですか……
私には関係ないことなので不愛想に言うと、
「パメラって、強い男が好き?」
「騎士ですから、私より強い男が好きですね」
私の顔を除きながら、
「私の彼って、世界最強よ!!」
舞姫にとっては最低が最強に見えるのだと思って、
「……そうですか」
愛想笑いをしながら言うと、
「ああっ!! 信じてない!!!」
怒る舞姫には困ったが、此の時点で最強の勇者は
人族側では、天の勇者【コウエツ】でレベル30、
獣族側では、タイザール帝国の勇者【テルタ】がレベル40で
勇者召喚された中で最強である。
今年の2月に行われた獣族対人族のゲームで、基本立っているだけで
戦闘も無く終わるので、余興として、天の勇者と輝太との
模擬戦が行われて見ていたが、ロックティラと比べると見劣りした。
少女が言った最強の男は現れることなく、ミューブル王国で
開催されるゲームに参加した晩餐会で、舞姫の横に居る男に
興味を持った。
舞姫の所で話をする者は男のみで、他の者は誰も話をしに行かなかった。
ロックティラでさえ気にはしているようだが行こうとしなかった。
それは、男が舞姫に誰も近づけないように見えない壁で
守っている感じであった。
見ていて思ったことは、舞姫が男に体をくっ付けたりして
超甘えていて、見ている方が恥ずかしいくらいであった。
困り顔をしている男が、舞姫が以前言っていた失格勇者なのだと
分かったが、最強という感じでは無いが、近づいたら倒されると
思わせる力は感じたので、他の男からの踊りの催促を断り、
男をジッと観察していた。
天の勇者が男に近づくので、ロックティラと同等の力が
在るので、見えない壁があってもと思ったが、見えない壁の
気配はなく、男が天の勇者を招いたようだ。
天の勇者が突然叫び、ミューブル王が男のことを最強の護衛と
言う言葉に、私は男に近づいていったが、罵られたので決闘を
申し込んだが、
「ローズマリーと、お見合いの時間だから……
男が言うので、晩餐会の会場に向かう前に、神ソラスさまから
私の頭に、「晩餐会の後に、貴方が望んだ最強の男を紹介するわ」
と言われていたので、この男が私の結婚相手であり、
ナルエ、ありすも結婚相手であることが分かった。
男が複数の女性を妻に迎えることに、私は反対もしないで
なぜか受け入れて、
ありす、ナルエが私の為に、つかさとキスの見本を見せてくれた。
私はドキドキしながら、目を閉じて、つかさの唇と唇を合わして行き、
合わした後に、口を少し開けて……
余りに気持ち良かったので、私は服を脱ぎ出して暴走した。
そして、思い出して頬を染める私は、最強の勇者【ツカサ】と
馬車の中で向かい合って座っている。
先ほど、つかさの結婚相手となった私の従者のキアリーが
つかさの隣に座っている。
「ツカサが迷惑してるわよ、キアリー!」
馬車に乗る前に鎧を取ったワンピース姿で、
つかさの右腕に自身の胸を押しつけているので注意すると、
「ツカサァ……迷惑?」
つかさに上目使いで言うメアリーに、
「乗ってからずっとだから……
嫌そうな顔をするメアリーは、
「ツカサの腕で胸を押さえないと、揺れるから……
私もすればよかったと思う気持ちを抑えて、
「まるっきり揺れないから離れても問題ない!!」
この馬車の車輪には特殊なバネが装備されて、通常の馬車より快適に
過ごせるので家に居る感じであるが、
「えぇ……揺れるから……
キアリーは、つかさの腕にギュッと胸を押し付けて言うが、
「今後のことを話すと言って、何も……
つかさが言うので、キアリーは渋々離れて、
「私の初恋の人と結婚して、子を作って……
私に仕えていたから、男と話すのも仕事の話、
私の警備の話、偽名を使いだした後も、私の警備、
勇者3人の為の女選び、他の勇者たちの治療などで、
男と密会してる暇もなく働いていたので、
つかさを初恋と言うので
「俺を王都で見て……
舞姫の前に現れた時は、魔族の王女がサキュバスを倒したので
ただ来ただけである。私も見ていたが、つかさに恋を抱くことも
なかった。キアリーも恋に落ちることは無いと思うので、
「ソラスさまが結婚を勧めた時に初恋と……
私が言うと首を振ってから、
「リザートマンから舞姫を助けた時です」
つかさは、あの時かと私たちから顔を背けているが、
「ロックティラが……
「いいえ違います……
キアリーが言うのは、舞姫がいる駐屯地に、リザートマンが現れ、
味方のミュー・クラッホーン魔導国の兵がリザートマン側に寝返り、
舞姫をリザートマンに身売りする話を聞いた魔導士のシャドウが1人で
応戦したが、王都での出来事と一緒で、つかさを舞姫が呼び寄せて、
一瞬でリザートマン、ミュー・クラッホーン魔導国の兵たちを倒した。
その光景に、偶然居合わせていたキアリーは、つかさと舞姫が
熱いキスをしていた時に、ロックティラ、ナルエが現れて、
ロックティラがリザートマンを倒したことに、
ミュー・クラッホーン魔導国の兵は、リザートマンに倒されたことに
したことを、木の陰に隠れて聞いていた。
つかさが消えてから、ナルエと舞姫が喧嘩し出して……
「そ、それをみ、見ていて……
つかさはビクビクしながら問いかけると、
「1人の男を巡って争うなんて、凄い男って! 私も入って
争いたい! そして勝って、ツカサに……
頬を染めて言うキアリーに、
「ソラスから話があって、渡りに船だったの?」
つかさがメアリーに聞くと、
「はい! 貴方を独占できないことは悔しいですが、
一緒に時を過ごせることに満足しています」
満足そうに語るキアリーに、
「なぜ、教えてくれなかったの! 直ぐミューブル王国に行くのに!!」
怒って言う私に、
「国への報告、騎士の補充、次のゲームまでの
資金作りの為の作戦もあります。
私だって、国を捨てて、殿下の子守を捨てて
行きたかったんですが……
職務を全うしてからというキアリーに、
「未来は強烈みたいだから、ゲーム後、今までと同じで
居ればいいよ」
つかさの言葉に
「その間に、109人の中から先に……
あ、その話かと、つかさは、
「俺の世界じゃ、結婚は18からで、子供は40からって
決まってるから……
「本当ですか?」
キアリーが嘘でしょと言う感じで聞くと、
「ソラスに聞けばいいよ! 40の時の子が
バランスが良いって、俺の国では推奨しているから」
魔族だと200歳の時の子がと聞くけど、クズ勇者3人は
子供を作って、他の国に俺たちの子を継がせていけばとか
言っていたので、さすがに、私でも嘘を言っていると分かるけど、
「ツカサは今は何歳ですか?」
「14歳! 8月で15になるけど……
「それじゃ、25年間、子を作らないイチャイチャをしましょう」
目を輝かして言うキアリーに、
「そうだな……
つかさは覚悟のないような感じで言った後に、
「止まったな……
先行している勇者隊の馬車には追い付いていないが、
つかさのスマートフォンと言う物で、ゲーム会場と勇者隊の位置、
私たちが居る位置を確認をして、丁度、勇者隊がゲーム会場と私たちの
中間になったので、此処からゲート【空間移転】を使って、
一気に勇者隊を追い抜いて、ゲーム会場に向かう。
第3回【お見合い】後のゲーム会場に向かう話し合いで、
途中からゲートを使って行くことになり、
最初から使えば良かったのではと聞くと、
「100台以上も、味方でもないのにする必要はないわ……
美里にとって、勇者隊は敵でも味方でもない、
どうでもいい存在みたいである。
「使えるようになったのが最近だから、魔素の使用量が多いけどね」
場所と場所を繋ぐには莫大な魔素がいるのかと思いながら、
「すごいな、敵の裏をかくのも容易いな」
「無理よ! 空間の歪が生じるから」
「なるほど……
歪が生じれば敵も分かるので警戒するだろうが、出る場所を考えて
使えば問題ないと思い、私が魔法を使えれば覚えたい魔法である。
そのゲートを使って、私たちは人族対魔族のゲーム会場に到着した。
私たちが王都【ブレーリト】へ行く前に訪れた時には、
敵の砦は建設途中であり、今までアンデットを使用していた魔族が、
今回は魔族の中でも弱いと言われるゴブリンが戦闘訓練をしているのを
発見して、今回のゲームに投入されるのが分かった。
そのゴブリンたちが闘技場のスタンドのような物を組んでいたり、
私たちが作る予定の砦の場所に、ゴブリンたちが砦を建設中で、
私たちは馬車から降りて眺めていると、美里たちも降りてから
歩いていた魔族と話をしている。
残りの勇者癒し騎士団の者たちも降りて周りを見ながら話をしている。
勇者たちは、御者席に座らせたまま待機と命令して、
「なぜ! 敵が我々の砦まで?}
つかさに聞いても、答えられるわけもないのに鋭い目で聞くと、
「今日中に完成させて、夜から祭りをするためさ」
「祭り? 敵と一緒にですか?」
勇者癒し騎士団は勇者3人の為の慰め者になるために、
商人の娘、武器屋の娘、村長の娘などで構成されていて、
戦える者は、私、キアリー、そしてレベルは低いが貴族の娘の
チャーリー・ロータス・スタインが、つかさに聞くので、
「そうだよ……
私たちは敵と一緒にと思って怪訝な顔をするが、
「俺たちが勝てば、ロブシェリルの子供たちの親の半分は
魔族の大陸に戻るから、思い出作りさ!」
思い出と聞いて、異種族間では子は出来ないが、唯一ロブシェリルの
魔族と人族の者が結ばれて子を得ている。
見渡すと、屋台もあり、字は読めないが、景品屋、食べ物屋が並ぶ感じで
子供たちは楽しめそうだなと思ったが、
「で、この巨大な観客席は?」
馬車の高さよりも何倍もあり、観客スタンドの裏側に
変な物体が板を打っているが、
「ゲームを見てもらうために、チケットを売ってる」
それって、私たちの戦いを見世物にすると言うことで、
「私たちが勝つんですよね。そんな光景を見せて……
ロブシェリルの兵が出ないので、子供たちの親は死なないけど、
仲間のゴブリンは倒されるわけで、思い出も嫌な思い出となるから
言うと、
「やさしいな……
フッと笑って言う言葉にドキッとする。
「チラシには……
つかさは、羊皮紙のスクロールを私たちに見せて、
書かれている文章は、圧倒的な力でロブシェリルの民を守る!!
我々の更なる力を出せるように応援を!! と書かれていて、
「なんですか、これ?」
キアリーが聞くので、
「ロブシェリルの民が来やすいだろ」
私もスクロールを眺めて、
「お金を取るんですか?」
「通しで、50クス(日本円で5000円)
ロブシェリルの民が2万人くらいだから、
食材費、人件費などの支払いで、赤字です!」
つかさの説明を聞いて、祭りを開くには、お金が掛かるが、
普通は、王命令の元、屋台を出す側が材料費を持ち、更に売り上げの
4割を献上するのが普通で、主催者側が赤字になることは無い。
「ツカサが負担する……
言い出したが、
「ツカサさま、お帰りなさいませ!!」
巻き角を頭の両側に生やしている魔族が挨拶をするので、
「ラムータ、其方の方は?」
魔族の横に居るゴブリンのことを聞くので、
「今回の精鋭部隊の隊長の
ガイル・バリ・トラリル・レイ・レーイックです」
「ツカサ・ホウジョウ・フォン・ミーグです。
ゲーム中、お世話になります」
ゴブリンが、つかさと握手を交わした後に
「ラムータ様から聞いてはいるが、手は抜けないぜ!」
つかさを見下すように言うゴブリンに、
「もちろん! 勇者隊を、これ以上ないくらい
壊滅してもらいますよ」
私は驚いて何かを言おうとすると、つかさが右手を上げて
制するので立ち止まり、
「全員、蘇生させてだったな」
ゴブリンの言葉に、私たちはエッとなって、顔を見合していて、
「そちらは最終日に蘇生しますから、限界以上で!!」
つかさはニヤッとして言うと、ゴブリンは右拳を出して、
つかさも右拳を出して、お互いの拳を軽く叩いた後、
「総司令官に任命されたニコールさまが知ったら……
フフッと笑うゴブリンに、
「陛下の所に、天の勇者対策用のアイテムを貰いに
行ってますから、我が神ゾウラストさまの御友人の
アキトさまに協力が出来るんですが……
魔族が言うと、
「駄目神と魔王の夫婦喧嘩に巻き込まれたんだ!
今日と明日、最終日はドンちゃん騒ぎしようぜ」
つかさが言うと、ゴブリン、魔族が右拳を出して、
先ほどしたように軽く叩いて笑っていると、
「ローズマリー達がポカンとしてるけど……
ナルエが此方に来て言うと、
「サラウェルたちは?」
馬車の御者席に座っている魔族以外が居ないので、
つかさがナルエに聞くと、
「妹のお父さんが制作した武器を見に行ったわ」
「そうか、美里たちは?」
「ウインライム法皇国の皇太子たちが来るから偵察」
嫌そうに言うナルエに、
「婚約者だったな」
つかさの腕を軽く叩くナルエは、
「私には好きな方がいるって……
「天の勇者と言う噂でしたね」
キアリーが腕組しながら言うので、
「諦めさせるために言っていたけど……
「ナルエと結婚すれば、法皇の旦那だからな」
つかさが、肩を竦めてクスッと笑って言うと
「もう、終わった話! ローズマリーたちに、きちんと話して!!」
怒って言うナルエに分かったと手で合図してから、
今回のゲームについて教えられた。
今回のゲームは、いつものゲームと違い、神ソラス対魔王の戦いである。
魔王が1番愛している娘のキューイルの婚約者を神ソラスが選んだ者に
するか、しないかの戦いである。
神ソラス(人族側)が勝てば認める。
魔王(魔族側)が勝てば認めないと
決めた代理戦争であり、夫婦喧嘩である。
神ソラスは自身の娘のキューイルに、ミューブル王国に召喚された竜巳へ
嫁がせることを計画していたが、竜巳に紹介する前に出会ってしまい、
恋仲になり、その日のうちに結ばれるとは思っていなかったそうです。
魔王の方は、魔族として14歳はまだまだ幼年であり、
婚約者など不要であり、私の手から離したくないと言うことで
魔王が今回のゲームの賭けにすることは無いと叫びましたが、
魔王が100年前から続いているゲームを開催するにあたって、
神との契約で寿命を50年献上したので、後2年か、よくて5年で
この世を去るので、キューイルは兄妹たちと仲が悪く、暗殺などで
刺客が送り込まれたりしていたので、婿探しは無理でしょうと
神ソラスは言ったが、2年間の間に素晴らしい男を紹介すると
言って、魔王はまんまと乗せられて賭けは成立をした。
キューイルは、父親の魔王が数年で亡くなることは、魔王から
聞かされて悲しんでいたが、転生してキューイルの子として
生まれてくるから泣くなと言って、生まれてくる子には
父の名をと言ったキューイルは、良い旦那を見つけると言って
元気になったらしいが、見つけた旦那が、見た目が女の子って
魔王はどう思うのか、敵だけど心配してしまいます。
ゲームに参加できない竜巳たちを、今回は特例として参加させて、
確実に勝つと喜んでいた神ソラスに対して、つかさ達が、
「つまらない賭け事で動かないといけないの?」と、言い出したので
神ソラスは説得したが、キューイルが、
「勝っても、負けても、ダーリンと離れないのじゃ!!」
と言い出して、賭けもゲームの内容に入ってるからと言い出す
神ソラスに、
「お前を倒して、ゲームの契約も終了! サラウェルが
後を継げば良いわけだろ!!」
つかさが殺気ムンムンで言うので、秋人と言う神ソラスの友人が
「祭りみたいにして、楽しんでやらないか?」と提案して、
つかさ達は渋々承諾し、私たちが目にしている光景になった。
「魔王が残り2年か5年ですか……
キアリーが浮かない顔で言うので、
「魔族の1部が、獣族や人族と密会して、魔王亡き後のことを
話しているらしいが、俺たちは帰るので関係ないけど……」
つかさの言葉に暗くなる私たちに、
「全員、連れて帰るんでしょ!!」
ナルエが眉を上げて言うので、
「……あいつに頼むことになるが、当分は此処に居てもらう」
「と言うことは、ミューブル王国を?」
魔族が聞くので、
「何処かに村を作って過ごしてもらう」
それを聞いて安心していると、
「そのまま帰ってこないでサヨナラか?」
後ろから声が聞こえたので振り向くと、
ローブを腰の紐で絞めていて、サンダル?を履いた男が此方に来て。
「秋人さん! そ、そんなことはありませんよ!」
「目が泳いでいるぞ!」
その指摘に、つかさに私たちが詰め寄り、
一緒に居たくないんですかと、私たちが言い出すと、
「それで良いと言っただろ!!」
つかさが怒り出すと
「未来は決定している! 受け入れられるように稽古だな」
その声がする方に向くと、一目で格闘家と分かる女性が立っていて、
つかさは恐る恐る振り向いて、
「ナンシーさん、いきなり109人ですよ……
「お前の器が大きいからだ! 受け入れろ!!」
つかさの服の襟を掴んで言う格闘家に、
「そ、それ、秋人さんに上げます!!」
私たちはムッとするが、
「我々で十分! だが、明美に勝てたら考えたるが!!」
つかさは顔から汗が流れ出しながら、
「無理です!」と言った後に、つかさから格闘家は手を放して、
「俺たちも援助はするから、がんばれ!」
格闘家に言われた後に、つかさは空に向かって、
「未来の俺のバッカヤロー!!!」と、大声で叫んだので
私たちはクスクス笑っていると、格闘家が私たちの所に来て、
「あいつも戸惑っているが、お前たちを捨てることは無い!」
それを聞いて、
「ツカサの為に尽くさないといけませんね」
ナルエが言うと
「無理しない範囲でな」
微笑んで言う格闘家に、
「俺って尽くされてるかな?」
恍けた感じで言う男へ、
「何を言ってる! 尽くした愛の結晶が、私たちの娘だろ」
「お父と入りたくない! 勝人が来てるから一緒に入る!って」
悲しい顔で言うので、
「リーンも10歳だぞ! 好きな男と入りたいだろ!」
お湯を入れたバスタブか、大きな浴槽に入るのかと思う前に、
私より年下に見える格闘家に、10歳の子が居る方が衝撃で、
私たちは驚いていると、
「あの……私って、お母さんや、貴方のように……
ナルエが格闘家に聞くので、男を慰めていた格闘家が、
「ソラスの娘だが、125までだ! つかさは……
ゴブリンと魔族と話をしている方を見た後に、
「上位だが、20までで成長は止まって、不老で1000年以上だな」
ナルエは母が神なので自分も同じかと思っていたが違っているので
落胆しているナルエに、
「まぁ、俺は中位準眷属しかできないが、ナルエちゃんを……
男の言葉にナルエが顔を上げて、男を見ながら、
「で、何年です?」
「500年、つかさと同じ上位は妹がしてくれる……
つかさと同じ時を生きれることに歓喜するナルエから私たちに、
「つかさと結婚するということは、人を辞めて神と同等の者になる……
私は、それを聞いて恐ろしくなる。人を辞めると言うことは
父や母と違う人種になることである。
つかさのように、父、母、弟、孫の死を見て行くことであり、
信仰している神とは違う神に成ることは、化け物と言われるかもしれない。
そう考えて行く間に、つかさと一緒に居ると言う重みが怖くなる。
「あいつは、沙良ちゃんの為に人を辞めた大バカ者だけどな」
含み笑いをする男から、つかさを見つめながら沙良と言う好きな子が
居るのは聞いた。それでも私は、つかさと一緒に居たいと
想いたって婚約した。
ツカサをじっと見る。キアリーたちも私と同じように見ている。
人の形を少し押しつぶしたような人形? と、つかさが話をしていると
「つかさぁ! 結婚したんだって!!?」
体格のいい歳をとった男が絡んできて、
「田所さん! 間に合います?」
「余裕さ! 沙良ちゃんが喜ぶな!」
笑っている男に、「何度でも告白しますよ!!」
私はその言葉で、つかさに近づいて、
「サラとは……?」
私の言葉に振り向いた男が、
「神界の住人で、ブラドゥ・ナイトと呼ばれる狂気騎士さ!」
「それなら……
つかさより強い騎士の感じがしたので言い出したが、
「凄い別嬪ちゃんだな! これで満足しないのか!!?」
男に先に言われて、つかさの首に両腕を絡ませる男へ、
「沙良が来なければ何人いても満足しないぞ!
だが、今回ばかりは、つかさも受け入れている!!」
格闘家の旦那が言うので、
「そうか! まだ沙良ちゃんと結婚したいのか?」」
つかさは強引に離れて、
「俺の寿命は1000年以上! その間に沙良と結婚出来るはず!!」
バカにしたような握手が格闘家、男2人から上がり、
「がんばろう……
ナルエが微笑んで言うと、
「あぁ、パートナーとして頼む」
ナルエに向ける優しい顔を見た時、言葉では言ってるが、
沙良と結婚が出来なくても、ナルエが傍に居てくれるだけで満足と
言う感情が伝わって来て、私もその中に入る者であり、
人を辞めても、つかさの傍にいるだけで幸せなのだと改めて感じて、
「ツカサ! ……
「どうした?」
「がんばろう……
一言だけ言って、格闘家の旦那に向けて感謝の一礼をしていた。
キアリーたちも同様にしていたので、
「どうしたんだ!? 美人さんたちは?」
男が言うので、
「決心がついたんだろ……
それだけで分かった男は、
「つかさ! 大切にしろよ!!」
ゴブリンと共に此の場を去って行った。
「つかさ! お客が来たぞ!!」
格闘家の旦那が叫ぶと、
「ようやくか、ナンシーさん! 馬車を駐車場へ!!……
緑の人形に、
「少し驚かせて、駐車場に」
「そんなことする必要あります?」
人形が喋ることに驚いていると、
「どんな反応するかなって……
つかさが、遠い所を見るように目を背けて言うと、
「光ちゃんが、ナルエさんにアタックしてるからですか?」
「誰が! 何で光悦を光ちゃんと」
もうすでに、自分の大切な者にと無意識に言ってるんだと感じながら、
私がクスクスと笑っていると、
「昔、光悦の親と交流があったからだ!」
格闘家の旦那の言葉に、つかさの顔は青くなり、
「と言うことは、恭子と……
「安心しろ! 記憶はない! 能力も封印されている!!」
安心出来ないのか、
「ほ、本当ですか?」
「……多分な」
それを聞いて慌てる感じで、
「光悦を抹殺! 転生エリアへ送り込め!!!」
つかさが、天の勇者を殺す命令を出すことに驚いていると、
「それは無理ですので、脅してきます!!」
と言って、人形は空を飛んで行った。
鳥でもない物が空を飛ぶ光景に驚いていると、
「なぜ!? コウエツを?」
ナルエが近づいて聞くと、
「秋人さん! 知っていたなら教えてくれても!!」
格闘家の旦那に強く言うと、
「お前が、そうゆう反応するから黙っていたが、
ナツメは、沙良は光悦の者だと言いたかったわけだ!」
くっと下を向いて、
「沙良を完全に諦めさせるために!!」
「まぁ、お前が逆ハーレムに入る気なら可能性はあるが……
格闘家の旦那が冗談のように言うが、
「複数の男に行かないようにしますよ!」
つかさは下を向いたまま、冗談の話に真面目に答えていて、
「独占欲の強いお前には、沙良は無理だよ」
何処からともなく椅子を出して座る格闘家の旦那に、
「明美が好きな男たちに嫁ぎたい女性だと知っています。
けど、その気持ちを俺だけに……
沙良と言う人物には好きな方がいて、更に、その好きな方は
複数の好きな男性が居て、その男性たちを沙良も好きになるという。
私は、つかさだけで十分だけど、沙良がそのままの状況で来ても
109人が110人になるだけである。
私は、つかさだけで十分だが、もしかして他の男性を好きになったら
今みたいに行かせないようにするのだろうか。
で、取り戻した私を更に愛してくれる?
それもいいかもと考えていたら、
「ツカサァァアア!!!」
元気よく舞姫【アリス】が、つかさに突進して行き、
つかさは舞姫を抱きしめて軽くキスをする。
私も剣、剣と修行の毎日で、男性とのスキンシップなど
したことが無いので、参考にしようと眺めていると、
「いい気なもんだな! ツカサァァアア!!!」
ミュー・クラッホーン魔導国の勇者【コウジ】が、
つかさを睨んで叫んでいる横に、かずえも立っていて、
「その様子じゃ……
「あぁ、聞いた!……
つかさに関して、舞姫が浩二に話すことは聞いていたので、
怒るのは分かるので、勇者隊の列から離れて急いで来たのかと
馬車を探すが無いので首を傾げていると、
「控室があるから、お前の言い分を聞こうか?」
つかさが浩二を誘うように手引きしていくと、
白きローブを羽織った18歳くらいの女性に、
「ありすだけでいいのに……
「閉じる前に来たから……
クスッと笑っている女性から、
「振られた男は怖いから、刺されないようにね」
優しそうに言うが、内容が怖い金髪のオットリ系の女性に言われて、
「全員来てくれる?」
つかさは情けない声で呼ぶので、私たちも観客スタンドの中に
用意されている控室に入った。
私たち15人が入っても十分な広さがある控室で、
つかさと浩二は向かい合って椅子に座り、
浩二が右拳で机を叩き、
「ソラスさまの眷属だからって、俺の恋人を取るんじゃねぇ!!」
浩二ってドス重い声が出せるんだと感心していると、
「未来で決まってる!」
つかさが軽く流す感じで言うので、
「サラが好きなんだろ!? そいつだけで良いだろう!!」
沙良と言う言葉で私たち女性陣は、つかさに振り向いて、
「沙良は死んでるんだ! 無理だよ!!」
エッと思いながら、つかさが嘘を言ってるんだと思いながら、
「嘘いうな! アリスがサラを迎えて素敵な生活をって……
睨んで言う浩二に、
「小4の時に病気で1度目は成功したが、直ぐ悪化して、
俺が……
つかさが涙を流しているので、今までのことが嘘なのと思いながら、
「病室で沙良に告白したが……
ウソ泣きじゃないのが浩二にも伝わって、
「振られた……委員長の女の子が好きだって言われて……
つかさは悔しそうに言うので、
「女に負けたのか!!?」
笑い出す浩二に、「言われた数時間後に息を引き取ったよ……
つかさが悲しく言う言葉に浩二も黙ってしまい、
「未来は決まってるが、全員が俺と共に生きる保証はない!」
「……そうだな」
浩二も下を向きながら言うので、
「あぁ、魔王が50年か、ゲームに出れない俺が裏から
サポートしかできない。
俺が皆のストレス発散になればいいと思って
ソラスから聞かされて承諾した」
魔王に関して舞姫がきちんと話をしていないことが分かり、
つかさが嘘を言っていることも分かった。
「あの……サラって子に、何度も言って振られたと聞いたけど」
かずえがボソボソと言うので、
「葬式の時に、何度も言ったからだよ」
冷静に言うと、
「……ごめんなんさい」
「謝ることは無いさ、昔のことだ!!」
よく嘘が言えるなと思いながら、つかさを見ると
悔しそうな顔をしているので、嘘じゃないのと思ってしまうが、
「かずえは、どうする?」
つかさが聞くので、
「コウジには悪いけど……
浩二が、かずえに振られた瞬間で、浩二は椅子から立ち上がり、
「ソラスさまに願って、眷属にしてもらう……
控室の扉の方に重い足取りで行く浩二に、
「決闘しような……
つかさの言葉に何も言わずに、控室の扉を開けようとすると
突然、扉が開いたので、浩二の顔が扉に当たり、
そのまま体ごと壁の方に飛ばされて、壁にぶつかり、
浩二は尻から床に落ちていた。
「つかさ! この前の写真、沙良さまが喜んでいたぞ!!」
黄色い人形が入って言った言葉に、
「クチナ! このタイミングで入って来るな!!」
つかさが大声で言うと、壁にぶつけられて倒れていた浩二が
立ち上がって、
「う、嘘言っていた、のか、よ!!」
額から血が流れながら言うと、
「嘘ではない! 沙良は亡くなったよな! な、な!!」
お願いだから空気読んでという感じで言うが、
「えぇ……
肯定を言うので、嘘じゃなかったと思ったが、
「転生して、生まれ変わった沙良さまに何回振られたかなぁ……
転生、生まれ変わりと言う言葉で分からなくなったので、
「詳しく話せ! 全員聞きたいみたいだがら!!……
浩二は血まみれになりながら言うので、
「クチナ! 今日こそ刀の錆にしてやる!!」
つかさが激怒しているが、
「今回は、何のコスプレしてもらおうかな!」
喜んでいる黄色い人形に、
「ツカサに勝てるのかよ!!?」
浩二が言うと、
「傷、治そうか?」と、手のひらを浩二の額に向けたと同時に
光が少し溢れて消えると、浩二の額から流れていた血が無くなり、
扉にぶつかる前の状態に戻っているので、
「魔法が使えるのか?」
「専門は治療だけど、ほとんどの属性が使えるよ」
黄色の人形の言葉を聞いて、キアリーが、
「レベルは?」
「レベル200! つかさより強いよ!!」
言い終わって、高笑いしている黄色い人形に、
「今は120だが、直ぐに追い抜いてやる!!」
つかさが怒り顔で叫んでいるが、
「俺の物になってくれ! かずえ達を奪い返す!!」
黄色い人形の力を借りるなんて、最低だなと思いながら、
「私のパートナーは、セーイラさま!
自分の力で、愛の力で取り戻さないと!」
正論を言われて、
「そのセーイラさまに教わって、力を付けて、
お前から、かずえ達を取り戻す!!!」
拍手する黄色い人形から、
「私からもお願いするけど……
それを聞いて喜ぶ浩二から、
「此方に向かっていた勇者隊が壊滅したけど、
見に行かなくって良いの?」
壊滅と聞いて驚いていると、
「……次いでに言う為に入って来たんだけど」
コスプレと言う変な言葉より、此方の方が大事でしょうにと
怒りながら、つかさと私たちは控室から出ると、
遠くに見える血に染まった光景を見て絶句した。
進次郎とパーセントが椅子に座っている青年の所に居たので
俺が声を掛けると、
「コウジか?」
「此処に居たのか?」
進次郎とパーセントが俺を見て安堵の表情で言うので、
「あの光景は?」
「冗談なのに、光悦を狙ったためか?」
俺の言葉に続いて、つかさが言うので、
進次郎から
緑のロボットが馬車を駐車場に案内する時に、ロックティラが
背を向けた緑のロボットに剣で襲ったが返り討ちにあって、
地面に叩きつけられて死亡したので、敵討ちの為に女性陣を除いて
戦闘状態になり、光悦が1人で緑のロボットを守るために残り、
進次郎たちは、つかさに応援を求めに来たが、
緑のロボットが放つ光の弾丸で、勇者隊が壊滅したのが今の状況で、
「恐怖の為に襲った結果が、このありさまさ!!」
椅子に座った青年が言うので、
「……あのロボットは何処で?」
進次郎が言うので、
「俺たちの世界、此の世界じゃない世界で生まれた、
セント・ギアの中で、神の神器と言われる
ロボットだよ」
つかさが言うので、「と言うことは、神専用機か?」
進次郎が言うと、つかさは頷き、
「お前と親しいし、レベルが高いのも……
俺が聞くと、黄色いロボットがピースサインをしているので
言いたくないなぁと思いつつ、前髪を払って、
「神ソラスさまの親友のセーイラさまが、
お前に渡したのか、要らないだろう」
最強の護衛とミューブル王が言っていたので、
これ以上、装備を良くしないで、俺に贈呈しろも含めて言うと、
「セーイラさんの蘇生魔法か! 相変わらず綺麗だ!」
つかさが、俺の話をスルーして言うので、血まみれの大地の方に
振り向くと、巨大な魔法陣から光が溢れていて、光の粒がキラキラと光り
幻想的な光景に、うっとりしながら見届けていた。
生き返ったロックティラ達が状況が分からないのか、緑のロボットに
また襲い掛かるが、光悦が、勇太の教育係りが、
ありすの自称【親代わり】が対応し、
「セーイラ! 面倒だ! 奴隷魔法を掛けろ!!」
椅子に座っている青年が、
此処には居ないセーイラさまに
大声で言うので、
「ツカサ! この方はセーイラさまと……
つかさは俺に振り向いて、
「沙良、ミューブル王国に召喚された俺たちの主の
お兄さんで、セーイラさんを含めて6人の旦那さんで
30過ぎのおっちゃんです」
つかさが何かぶつかって、尻もちをついているので、
「痛いなぁ……
「ひと言多いんだよ! 遠い親戚の15歳のお兄さんだ!!」
フッと笑って、つかさを見ているので、
「結婚して、子持ちで15は無いだろう……
つかさが起き上がりながら言うので、
「神ソラスさまの、で、ロボットも……
黄色いロボット、緑のロボットを指して言う進次郎に、
「会場作りの為に呼んだ、秋人さんの所有物だよ!」
つかさが右手で青年を指して話すと、
「今回のゲームに使わせてくれませんか?」
パーセントが青年の前に跪いて言うが、
「つかさ達が参加するだけで、勝ちは決まっているのに要るのか?」
「ツカサさまを総司令官にしたいですが、ウインライム法皇国の
皇太子【ケティング】が、総司令官になる予定です」
「参加は出来るだろう?」
「失格の烙印を押されているので……
「クチナたちなら、此の国から発掘されたゴーレムとか言って……
「その通りです……
青年を見るパーセントに、
「ミューブル王国は勇者、騎士団を出さないのに、
貴重なゴーレムを出すか?」
と言われて、人族の大陸にはゴーレムは居ない、居るのは獣族の大陸のみで
数機あるのみで、太古の昔に作られた貴重な物であり、今までのゲームでも
見かけたことがない。
「ゲームに勝つ確率を少しでも上げられるなら、
貴方に出てほしいですが……
パーセントが遠回しに言っていた本音を言うが、
「100%勝てると言えるのは、俺の妻のパティーのみだ!……
青年は椅子から立ち上がり、
パーセントを見下ろしながら、
「強引にでも、つかさ達を出させるから安心しろ!!」
椅子から離れて行く青年に、「ありがとうございます」
跪きながら礼をしてからパーセントは立ち上がり、
血まみれの大地の方に振り向いたパーセントが、
馬車が動きだしているのを確認して、
「テントの準備を!……
つかさ、聖女、かずえ、ありすの方を向いて、
「手伝って貰えますか?」
「今は、総司令官だからな!」
つかさは、クスッと笑って言うので、
「総司令官、行きましょう!!」
パーセントが駐車場に向かい出して、つかさ達も動くが、
「コスプレしよう!」
「興味がないです!!」
「白衣なら……
「なぜタイトスカートを!? 金髪のウィッグ!!?」
「ズボンなんて破いちゃえ!!」
「おい! やめろ!!」
俺たちの後ろで壮絶な戦いが黄色いロボットと進次郎の間で
起こっているが、完全スルーして、俺たちは駐車場に向かった。
「お婿に行けなぁああいいいいい!!!!」
大空に進次郎の叫びが広がった。
あんな青二才に……
団長! どうしたんですか?
べルールか、どうした?
外を見ながら唸っているので……
いろいろと思う所がな……
そうですか
タオルを持って何処へ?
ツカサと一緒に沐浴に……
パメラも……
ええぇ……
次回
第61話 未来なんて……
良い格好して振らなければ……
ロックティラさま……
王女さま……顔が赤いですが?
妻も子供も要るのは知っています……
それは、つまり……
ロックティラさまの妻に……
王女を第2妻にしたのは良かったが、
はぁ? 私が王様?
これからの時代には、貴公のような者が相応しい!
第1王子は?
アキトさま、此の国を建国した初代王、王妃さまも承諾済みだ!
初代? 王妃?
我も助言するから、心配するな!!
過去に戻れるなら、
ローズマリーを振る前に戻りたいと願った




