58話 お見合いと離脱……
子供たちとの蜂蜜取りも終わった午後3時から、
何でも屋の第5応接室で開催された、俺のお見合い……
「秋人さん! 急に御見合いなんて!!」
ソファーの背もたれにもたれて、ぶっきら棒に言う俺に、
「ソラス、ソラスの娘さんの前で……
俺の隣に座っている秋人さんが困った奴と言う感じで言うので、
「14で御見合いなんて!!」
「普通だろ、むしろ遅いくらいだ!!」
俺は立ち上がり、
「秋人さんの世界、此の世界じゃない!!」
「ナルエさんの前で失礼ですよ」
金髪の髪を撫ぜながら俺を優しく見るアキナさんの目が
怖いので、俺はソファーに深く腰掛けて、
「振るけど!!」
テーブルの上に在るコップに手に取り、グイっと中身を飲んで、
ガチャと皿にコップを叩きつけるように置いて叫んだ後に、
「まずは、不機嫌な奴の紹介からするか?」
ソラス、ソラスの娘と何故かいる舞姫【ありす】がクスクス笑っているが、
秋人さんは続けて、
「我が国、ソリュート王国の第7護衛騎士団、団長を務めている
ツカサ・ヴィラ・ホウジョウ・フォン・ミーグ・ツゥ・サンライト」
紹介されたので、お辞儀をしてから、
「ソリュート王国、神界での名前です。
ソラスさまの御嬢様の元の世界では、北条つかさです」
ソラスの娘は、ソラスを見てから、
「私は、この世界に召喚されて、母が此の世界を創造した神で
あると言うことを、今日、初めて知りました。
両親は離婚しているので、母方の姓を使っています。
須賀田愛栄です」
ソラスの娘は御辞儀をして、俺に微笑むので、
「離婚したのは?」
俺の言葉に、
「長期の仕事が入ったから。
離婚した方が得なのよ……
ソラスは話した後に娘の方に顔を向けて、
「男1人で、小学2年生から立派に育ててくれてたわ」
自慢の娘よと言う表情で言うので、
「……そうですか」
この場合は父子家庭になるから、旦那さんは大変だったなぁと
思いながら言うと、
「貴方の御両親は?」
ソラスが聞いてくるので、
「電気屋を経営しています。
最近は、ネットの配線工事や200Vの工事が多いです」
「将来は……?」
舞姫【ありす】が聞いてくるが、お前は本来いたら
いけないんだぞと思いながら、
「後を継ぐ予定です。資格を取るために父の仕事を見ています」
ソラスの娘と舞姫【ありす】は顔を見合してから、
「騎士団長をしていますけど、そちらは?」
ソラスの娘が恐る恐る聞くので、
「退団します。危険な仕事をしていますので、
両親も心配していますから」
剣士としての俺を好きになりかけているなら、
これで諦めると思ったのが間違いで、
「母から、アリスから聞きましたが、
いろいろな世界に冒険者として行ってますよね」
ソラスの娘が聞いてくるので、
「小等部4年生から、いろいろな世界に行きました」
「10歳から?」
「誕生日を迎えていなかったので、9歳です」
沙良が亡くなった後に、コンビニで1番くじを引いている
転生した沙良に出会って、沙良を守るために、
明美の眷属になったのを思い出していると、
「ご両親には?」
「内緒にしていますが、親ですから危険なことをしているとは
感じているようです」
秋人さん、アキナさん、レイーナさん、セーイラさんは黙って聞いている。
ソラスは、俺が電気屋を継ぎながら冒険者をしていくのは
分かっているだろうが黙っている。
ソラスの娘と舞姫【ありす】は困った顔をしている。
俺の力を知っているために、ミューブル王国の王にもなれる
力もあるし、この世界を支配する力もある。
それが、街の電気屋をするのだから期待外れである。
お見合い不成立を目指して、
「ナルエさん、今日、僕と初めて会いましたね。
貴方のウインライム法皇国の勇者、勇者隊の方を
殺した時に」
舞姫【ありす】は驚いているが、
「仕方がないことです。平民にエンリー司教が剣を
向けたのです。この国の勇者である貴方が守ることは
普通ですので……
淡々と言うソラスの娘に、
「あの時は、貴方も殺すつもりでした」
「でも、蘇生はするつもりでしたよね」
王都から何時までも戻ってこない勇者隊を心配して、
王都外で待機している他の国の勇者隊が、王都に入って
調査されたりしたら面倒だからで、
「ゲーム開催地には行ってもらわないといけないので……
クスッと笑うソラスの娘が、
「優しい方ですね」
「……そうですか」
空いたカップに手を付けようとしたら、
「動揺してます?」
ソラスの娘に言われて、お見合い不成立を目指してるのに
好感度上がっていて困ったのが出たようだが、
「してませんよ」
ぶっきら棒に言ってから、レイーナさんが空いたカップに
ハーブティーを注いでもらって一口のんでから、
「アニスヒソップの甘い香りが口に……
「はい、少し刺激も……
俺が呟くのに続いてソラスの娘もニコッと笑って言うのが
終わってから、応接室は静けさが支配して……
「お見合いは不成立で良いのか?」
秋人さんが言うので良しっと思っていると、ドサッと厚紙の束を
秋人さんがテーブルに置くので、
「何ですか、それ?」
「お前への御見合い写真」
ざっと数えても50以上はある。ソラスの娘、舞姫【ありす】も
驚いている。
「さっきも言ったが、お前の年齢で相手が居ないのは
宰相のタレガも心配している。
我が国、ティーナたちの親戚、貴族からも、
お前の伴侶にと写真が贈られてくる。
今までは全て断っていたが、お前が15を前にして、
断るのも難しくなってきた。
それで、ソラスから話があった時に、
この世界に召喚されている間に、ナルエさんと
結婚させようとしたが……
「それじゃ、俺の気持ち関係なく……
「だから、こうやって席を設けている」
お見合い写真を手に持ち、本のように開いて見ている
ソラスの娘、舞姫【ありす】、ソラスが、
「立派な方が……
「王女も……
「勝てる勝てる、フフフッ……
それぞれ感想を言っている。
「ここで断っても……
秋人さんを睨んで言うと、
「そう言うことだ! 筆頭騎士のお前が、婚約か結婚をして
くれないと、未婚の騎士たちが結婚できない!」
ソリュート王国の未婚の騎士たちを人質にして言う秋人さんに、
俺はソファーから立ち上がり、
「旅に出ますので……
行こうとすると、レイーナさんが鞭を持って、女王さまが
女王様になって調教しましょうかと立ち塞がるので、
苦笑いしつつ、
『……急ぐ旅でもないので」
席に戻り、ソファーに座ると、
「ツカサさん、貴方がサラさんのことを
好きな気持ちは知っています」
ソラスの娘が言うので、舞姫【ありす】から聞いてるか、ソラスからと
思っていると、テーブルにソラスの娘が1枚の写真を置いて、
それは、俺が茶色の鎧を身に付けて剣を構えている写真で、
確か、去年のアメリカ最大のアニメイベントに参加した時の
写真で、岩崎の父親の関係者として参加した。
岩崎の父親の手伝いなど無いので、セント・ギアと言う
異世界のロボットのクチナが用意したコスプレをして、
会場で決めポーズを取りながら、対となる耳が長いエルフと
一緒に撮られていた。
学校には許可を貰って参加しているので、ズル休みじゃない!!
「この写真は?」
「父の同僚の方から貰いました」
「アメリカのロスで?」
「いえ、父が入院中に見舞いに来た方から……
頬を染めるソラスの娘に、
「召喚される前から?」
頷くソラスの娘は、
「この写真を見て、心がキュンとして、それ以来
貴方のことが頭から離れませんでした……
俺は写真を手に持ちながら、
「何か言ってませんでしたか?」
「私の旦那様になる方と……それから、あの、あの……
顔が赤く染まりながら言うので、
「ソラス、いや、駄目神! お前の親友か?」
ソラスに鋭く威圧たっぷりと叫ぶと、
「此れから起こる先で、此の世界で亡くなって、つかさ君の
世界に記憶を持って転生した方よ」
と言うことは、流れ的にソラ、ナルエと付き合うことは確定かと
ため息してから、
「分かった! だが、俺の心は渡さない」
ナルエをジッと見ながら言うと、
「貴方の心を私で一杯にしますわ」
「私も、私も!!」
手を上げて舞姫【ありす】が、ナルエに続いて言うが、
「ありすは友達だろ」
「ひっどい! キス何回もしてるのに!!!」
怒る舞姫【ありす】に、「そうしないと帰らしてくれないから!!」
「今度、水浴びしてる時に呼ぶから……
左の手首にあるブレスレットを見せながら言う光景に、
「私も、このような素晴らしい関係を築きたいと思います」
決意は良いけどな、俺は元の世界に帰ったら、2人を
両親に紹介しないといけないが、気が重い。
沙良のことが好きなのは両親は知っていて、
俺が冒険者家業をしているのも知っている。
それは、両親たちが、俺たち子どもが心配と言うことで
明美に強引に迫って眷属になっている。
沙良を置いて婚約ぅぅうううとネチネチと
母さんに言われるのだろう。
「駄目神は満足か?」
ソラスに言うと、
「ナルエをリーダーに、108人と婚約してね」
何を言った、秋人さんも驚いている所を見ると知らないようで、
「それも、親友から……
額から汗が噴き出していて、
「そうなの、ナルエは承諾しているわ」
ナルエを見ると頷いていて、
「元の世界に帰ったら、不味いのでは……
「明美ちゃん達がいるから大丈夫よ」
「世間が……未来を、未来が……
震える俺の肩に手を置く秋人さんが
「妹も流れを変えることは出来ないと、判断してるだろう」
「それは、最初からこうなることが分かって、俺を選んだ」
「竜巳もだろうが、お嫁さんを貰うために召喚を利用した」
ソラスは頷いていて、明美と結託していたことが分かり、
「魔王に召喚されてきたら、打った斬ってやる!!!」
立ちながら決意をしていると、
「なんだ、109人もいると色々な貝が見れて良いな」
秋人さんが変なことを言い出すので、
「貝って……?」
ナルエや舞姫【ありす】は何となく分かって赤面しているが、
「そのうち分かる! いやぁ、使ってない貝ばかりで、ハハハ!!!」
アキナさん達が黒いオーラを出していて、
「あなた! 私たちのは使いすぎて、もう見たくないと!!!」
「あ、あのね、つかさに妻が多くいると良いことだよねっと……
3人に囲まれた秋人さんは拘束されて、
「つかさ君、難しいと思うけど、貴方なら109人を
きちんと見れるわ。がんばって!!」
アキナさんが出来ると言うが、
「沙良と結ばれるためにと思って……
俺の寿命は1000年はある。
ナルエたちは亡くなっているはずで、その経験を駆使して
沙良にアタックしようと思っていると、4つの柔らかい感触が
背中から伝わるので、離れて見ると、ナルエと舞姫【ありす】が
目を潤ましながら見ていて、
「あなたとサラが結ばれるのを手伝うわ」
応接室から出て行った秋人さんの叫ぶ声の響きが収まった
廊下を見ながら、俺は別の女が好きなのに、それでも良いと言う
変わった女が俺の横に2人いる。更に107人もそうなのだろうか。
負けたなと、2人の顔を見ながら、
「2人の人生を俺にくれ!!」
2人は、「「 はい! 」」と言って目をつぶり、
舞姫【ありす】とは何回もキスをしているが、
ナルエは初めてのキスを俺に捧げた。
昼間の出来事から数時間経ち、日が落ちて夜となり、
俺たちは身なりを整えて、ミューブル王国の王都【ブレーリト】の
ミューラ宮殿で行われる【勇者歓迎パーティー】に出席した。
どの国も勇者、騎士団長が参加したが、昼間の魔族の襲来で
スタンテッド王国の勇者や騎士たちは不参加で、
夜を待たずに、ブレーリトからスタンテッド王国の王都【インデット】へ
出発した。ゲームに参加せずに帰国することは命令違反になるので、
何かしらの処罰は言い渡されるだろう。
だが、魔族に襲われた精神的ショックの方が大きいようだ。
カーディオン王国の勇者【ダイジ】は、自分だけが出ないわけも行かず、
参加しているが、いつもの元気がなく、今回のゲームの後すぐに、
スタンテッド王国に行くそうだ。
そして、ベルローズ王国の勇者隊は団長のみが参加している。
勇者たちはテントに閉じこもって、昼間の魔族の襲来をオカズに
何かをしているらしい。
ミューブル王国の王のパーティーの開催の挨拶と、
王女、王子たちの紹介の後、舞姫【横山ありす】が1人で
大広間の中央で舞い踊り、俺たちは惜しみない拍手を送った。
舞姫が王とダンスをし出したのを合図に、俺たちも男女ペアを
組んで踊り出した。仁美と踊った後に、食事が並んでいるテーブルに
足を運んで、テーブルに用意された料理を眺めながら、ワインを
ひと口のんだ後に、皿に盛りつけられたジャガイモに魚の卵を混ぜた具を
キャベツやレタスで掴んで丸めて食べていると、
「天の勇者さま、私と踊ってくれませんか?」
この国のリジャッタ王女が言い寄って来たが、
「すみません。昼のこともあり、体調が……
「そうですか……でも、魔族は追い返したと」
追い返したも何もメイドとして此処に居るんだよなぁと
ロックティラが大広間に入る前に教えてくれたが、
「えぇ……ただ自分の弱さを思い知らされました」
一歩も動けずに、魔族が魔族の王女に倒された。魔族は、ゲームでは
アンデットを使って参戦していたが、今回、サキュバスの力を
見せられて、レベルが同じでも敵わないと悟った。
「でも、9ヶ月前の魔族とのゲームは……
それは、アンデットでしたのでと言おうとしたが、
「コウエツ! 王女の誘いを蹴ることはないぞ!!」
その声の方を見ると、鼻筋が通っている顔で、髪も短く整えている
ビルッド王国の神戸明希人が、
「昼間のことは終わったんだ! 俺たちの勝ちだからな!」
ワインの入っているグラスをテーブルに置いて、
「勝利を、王女と踊って来いよ」
催促する明希人に、
「お前の方が絵になるよ」
逆に催促すると、王女は諦めたのか明希人の差し出す手に
手を添えて踊る方に向かった。
ワインを飲みながら、大広間を見渡して、
「あれが、総司令官のティーナ・ラミードか」
剣を持てない騎士で、爆乳の胸が目立っているドレスを着ている。
男の騎士なら頑張るし、あの胸に顔を埋めたい奴は多いなと
フフッと笑っていると、
「すいません! 空のグラスや皿を片付けますので……」
片付けていくメイドの顔を見ると、
「ナルエ、何やってるの!?」
俺を見た赤髪で目が碧眼のメイドは、俺の首を右手で掴んで、
バルコニーに連れ出すと、
「仕事中です。名前を呼ばないでください」
ナルエは右手で首を絞めて行くので、息が止まりそうです。
バルコニーのフェンスに右手でバンバンと叩くと、首から
右手を放して、「ハアァ……なぜ?」
「夫がボーイしてるから」
夫? ボーイ? そういえば、お見合いをしていて、時間が掛かるから
歓迎会には参加しないと兵から聞かされたので、失敗勇者が泣きついて
いるんだと思っていたが、
「……どういうこと?」
分からないので聞くと、
「ウインライム法皇国に帰らないから……
ナルエは手を振って去って行ったが、意味も分からず立っていると、
「メイドを連れ込んだのに、振られたか?」
ミュー・クラッホーン魔導国の勇者【コウジ】が前髪をなぶりながら、
俺の方に来るが、片目が隠れるくらいの前髪なので、
「切ったらどうだ!?」
「口元が見えないようにするためだ」
俺の横に来て言うので、
「詠唱だったな……
詠唱中の口元を見せないようにと言っていたなと
思い出すように言ってから、
「舞姫を最低勇者に取られた感想は?」
嫌味のように言うと、
「取り戻せばいいさ、魔族の王女に助けられた弱い勇者からな」
あれだけ泣き崩れたくせに、今は自信を取り戻している浩二に、
「そうか、その勇者と何処で会ったか聞いたか?」
「いや、この国の勇者披露会以後、別行動をしていて……
2月の獣族の大陸でのゲームには浩二、かずえは参加しなかった。
「今回は?」
フェンスに持たれながら聞くと、
「ミューブル王の強い要望でな、見返りはあるが」
フウッとため息する浩二に、
「見返りは?」
「この王都の美女10人を妾によこせとな」
ミュー・クラッホーン魔導国の王も女に囲まれる年齢でも
無いと思うが、舞姫にはそれくらいの価値があると言うことか、
「ミュー・クラッホーン魔導国に?」
「ゲーム終了後に俺たちと一緒にな」
浩二も呆れた感じで言うので、
「一緒には無理だろ……
「無理とは?……
首を傾げる浩二に、大広間の壁に舞姫とボーイが居るのを
指さして、浩二も見ると、
「アリスも戻るが」
「最低勇者と此処に留まる気だろ、舞姫は」
浩二は右手を横に振って、
「王のお気に入りだ! 戦争になる」
「戦争ね……
最低勇者の実力を見てはいないが、ロックティラが言っていることが
正しければ、ミュー・クラッホーン魔導国は敗北だろう。
そうなれば、舞姫は堂々と最低勇者の所に居られる。
「あぁ……俺とよりを戻せば回避できる」
「……がんばってくれ」
かずえが浩二と踊るために此方に来たので、かずえと共に
浩二は踊る場に手をつないで向かった。
さて、俺もバルコニーから大広間に入り、椅子に座ってる舞姫の方に
向かい出す。
舞姫と話す為じゃなく、横に居るボーイと話す為に。
「舞姫! 何時も横に居る魔導士は?」
俺を優しく見る舞姫は、
「シャドウは、私に手を出したので、牢に入ってるわ」
常に横に居て、舞姫の親のように接していた魔導士が、
美しくなった舞姫の色香に、我慢できなかった気持ちは分かるが、
「一生を台無しにしましたね」
舞姫は頷いた後に、俺はボーイの横に並んで壁にもたれながら、
「仕事しなくって良いのか、失格勇者君」
髪や目の色などを変えてはいるが、魔族と相まみれた失敗勇者であり、
舞姫が召喚した最低勇者であり、親しそうに舞姫の横に居たので
間違いがないと思い言ってみたら、
「アリスの護衛だ! ナルエに振られた光悦さん」
この野郎、愛の告白を言う前から振られただと、
「夫と言っていたが……
怒りを込めながら言うと、失格勇者は働いている
ナルエを見ながら、
「母親のことは聞いてるな……
ロックティラから聞いているので、
「この世界の……
「婚約者にされて、魔王討伐後……
床を見る失格勇者に体を寄せる舞姫が、
「私とも結婚して、王様にね」
上目使いで失格勇者を見て言っているが、
「お前ら馬鹿か、魔王は後50年生きる。
ゲームで魔王と戦う可能性もない……
魔王が居るラッタクリーム王国の近郊でゲームが開催されないと
魔王も総司令官で出てこないだろう。
召喚された俺たちも、このまま年を取り、この世界で骨を埋める
可能性が高く、もう元の世界に戻れないことを召喚された者たちは
感づいている。
女勇者たちは、各国の王から貴族の男を紹介されていたりする。
仁美も法皇から枢機卿を紹介されているが承諾の返事はしていない。
この世界で生きていくことを考えた場合、俺もナルエと結婚して
子を作り、孫を見て死んでいくのだろう。だが、法皇の息子が
ナルエを狙っているために、今回のゲームに参加か観客として
此の国に向かっている。
ナルエを俺の恋人にすれば、法皇の息子は諦めるだろう。
しかし、ウインライム法皇国からは逃げないといけないだろうが。
「そうか、人族の大陸消滅覚悟で、魔族の大陸に行けばいいだろ」
真面目に言う失格勇者に、
「この大陸の人々を犠牲にすればだとぉぉおおおお!!!!!」
大声で叫んでしまったので、大広間は静まり、
「何を叫んでいる、天の勇者」
ミューブル王が聞いてくるので、
「貴方の国の勇者が、魔族の大陸に向かい、魔王を今倒すと!!」
ミューブル王に面と向かって叫ぶと、
「勇者? この王都から追い出し、今頃は土に還ってるはず」
嘘偽りなく言うミューブル王に、
「このボーイが、此処の勇者だ!!」
俺は左手で失格勇者を示すが、
「何を言っている? 何でも屋から派遣された騎士だ!」
ミューブル王の言ってることが分からないが、
「なぜ! 給仕をしている!!」
「お前らが暴走した時に、私を亡き者に動いた時に……
大広間の空気が冷たくなる感じで、
「この場に居る勇者、勇者隊を葬るために、この場に居る。
何でも屋の主曰く、最強の護衛だと」
「最強? 戯言を……此の場に居る俺たちを倒せると……
汗が額から流れ落ちるが、声を低くして強気で言うと、
「王よ! 最強の護衛と言ったか?」
凛とした声が響き振り向くと、
ベルローズ王国、勇者癒し騎士団の団長の
パメラ・ヴァリー・ローズ・リフ・レインが
ミューブル王の前に出て来て、ミューブル王に向けて
目を鋭くして睨んでいる。
「せっかくの歓迎会が台無しだ! 王よ下がれ!!」
俺の後ろから声がして、振り向くと失格勇者が腕を組んで立っていて、
その姿を見たミューブル王は、「ワカリマシタ、ツカササマ」
失格勇者に一礼をして、自分の後ろの壁に向けて一歩下がった。
その光景に、俺たちが驚きの声を出してる最中に、パメラは
失格勇者の所に歩み寄り、
「なぜ、王が、お前の言うことを聞く?」
プレッシャーを掛けながらパメラが聞くと、
「簡単だ! 俺たち召喚された勇者の奴隷だからさ」
恐れも無く言う失格勇者に、
「お前は、此の国を支配したと言うことか?」
「半分だ!」
パメラをじっと見ながら言う失格勇者に、
「半分? 舞姫は知っているか?」
失格勇者の背に胸を押し付ける感じでいる舞姫の光景に
浩二は苦々しく見ている。
「ツカサ達が動きやすいようにするためだよね」
失格勇者の背に頭を付けてうっとりしながら言うと
「お母さんが言うには、本当のことを喋らせないため、
この世界に来る予定の勇者が死なないように代わってきたから」
いつの間にか失格勇者の左腕に寄り添っているメイドの格好をした
ナルエがパメラに話をしていて、
「お前は……
ナルエを一目で直ぐ分かる愛の力がないパメラは分からないようで、
「ナルエよ! パメラじゃなくローズマリー王女」
笑みを見せて言うが、
「私はパメラであり、瓜二つのローズマリー公爵夫人と、
間違えてもらっては困る」
戸惑いも無く言い切るパメラに、
「おばさんの名などどうでもいい……
絶世の美女を前に、おばさんと言う失格勇者に、
「お、おばさん……私は22だ!!」
美しい顔が、眉間に皺を寄せて怒り顔になって、失格勇者の襟を
掴んで、唾かかかる至近距離で言うと、
「この世界じゃ、行き遅れだろ」
更に煽る失格勇者から手を放して、左腕の手袋を脱いで、
失格勇者に投げつけて、
「今ここで、決闘だ!!」
落ちた手袋を拾う失格勇者は、
「パーティー用のドレスでやるのか?」
「お前ごとき最低勇者なら、これで十分だ!!」
失格勇者は、やるのって言う顔でパメラを見ていて、
「ティーナさん、どうします?」
爆乳キャラのミューブル王国の総司令官に困ったように言う
失格勇者に、
「つかさ君が本気を出せば、こんな会場は一瞬で粉々、粉々よ」
「バカを言うな! 魔族の王女が居なければ、こいつは!!」
魔族の王女がサキュバスを倒さなければ
失格勇者は死んでいたと言う話になっている。
その王女は王都に視察に来ていて、偶然、目の前で戦闘になったので、
仲裁の為に入って来たことになっている。
本当の理由をロックティラは知っているようだが、口を噤んでいる。
「レベル120の、120の、つかさ君が負けるわけないでしょう」
左手を口に近づけて言う爆乳キャラに、俺たちは騒然となり、
ロックティラもエイリーも顔を見合していて、
「神ソラスの親友の何でも屋の主人とお前は?」
ロックティラが睨みながら言いと、
「夫よ! 宮殿魔導士のパティ―も……
「それはつまり、神ソラスと同じ神と言うことか……
何を言っているか分からないが、
「そうよ! で、つかさ君は義妹の眷属よ」
「ソラスの眷属と聞いていたが……
「そちらの方が納得するでしょ」
ニッコリ言う爆乳キャラから、失格勇者に向けて、
「明日の出発する前に決闘をしてもらうぞ!
人族、いや、この世界最強の騎士、
ツカサ・ヴィラ・ホウジョウ・フォン・ミーグ・ツゥ・サンライト!!」
失格勇者は、パメラの前に出て来て、
「その名で呼ぶな! よく覚えたな」
「相手の名を覚えなければ、失礼だろ」
口を片側だけ吊り上げて失格勇者を見ているロックティラに、
リ・フレタ王国【勇者支援騎士団】の団長パーセントが、
「ツカサと言ったな! 分からないことだらけで
詳しく話してくれないか!!」
失格勇者にお願いするように頭を下げて言うので、
「俺よりも、美里! お前から言ってくれ!!」
空いた皿を片付けているメイドに向けて言うので、
「北条君! 自分から言えば良いでしょ!!」
「男が言うより、女が言った方が真剣に聞くさ!
それに、ローズマリーと、お見合いの時間だから……
その言葉に驚いているパメラは、
「私は、それに……
「ソラスから聞いてるだろ……
ため息をして言う失格勇者に、
「か、歓迎会が、お、終わってから、
わ、わ、私が望む男を紹介と……
絶世の美女が、赤面しながら、噛みながら言う仕草に、
おおぉおおお!!!と、歓声が上がり、
「ジャンパー!! お前の執務室を使わしてもらう!!」
「ツカササマ、ドウゾ、ゴシヨウクダサイ」
ミューブル王が言うと、
「ナルエ! ありす、ローズマリー行くぞ!!」
失格勇者は3人に言うと大広間から廊下へと向かい出して、
「はい! あなた」
ナルエが嬉しそうに言って失格勇者に付いて行き、
「私との決闘は……
戸惑うパメラに、
「貴方の負けは決定なんだから……
舞姫が微笑んで言うが、
「勝負を……
「魔族に対して、動けなかった貴方が……
唇を噛みしめて何も言わずにパメラも付いて行った。
廊下から、
「この世界に、お見合いしに来たんじゃないのに……
失格勇者の嘆きが響き渡っていた。
大広間に残った者たちの中で、王、貴族たちは、失格勇者たちの
奴隷のように壁沿いに並び、俺たちを見ている。
「ダイジ、どう思う?」
「俺にも、こんな力があれば、昼間の……
スタンテッド王国の勇者隊が敗れることもなく、
この歓迎会に参加できただろう。
見ている感じでは、命令をするときだけ奴隷になる感じで、
今は、爆乳キャラのティーナ閣下が命令をしている。
ティーナ閣下は、つかさの仲間であり、つかさの剣の師匠で
あると、胸をプルプルさせながら言うが、別の師匠じゃないかと
思ったが、突然、強大な剣を出して、ロックティラに剣先を突き付けて、
「気が緩みすぎじゃない」
ただ、剣を見せてるだけなのに、動いたら終わりという状態で、
「もしよろしければ、私の師匠に……
冷や汗を掻きながらロックティラが言うが、
「妻が居るのに、不倫はダメよ!! 駄目よ!!!」
「違うわぁぁあああ!!! 剣だ! 剣だ!!」
ティーナ閣下は、剣を何処かにしまったのか剣が無くなり、
「つかさ君に10秒持てば、持てば、考えるわ、卑怯な手もオーケーよ」
ホホホと笑いながら、集まっているメイドの後ろに下がった。
つかさに勝つには、卑怯な手でしか勝てないと言うことで、
ロックティラはエンリー達と作戦を後から考えるようであるが、
俺もナルエを取り戻すには、剣を習う為には卑怯な手で勝つしかないと
悪魔のささやきが聞こえるが、聞くしかないなぁと思いながら、
メイドが集まってる方を再び見ると、ロックティラから
聞かされていた通り、昼間に俺たちを襲った魔族の姿に戻っていて、
その中に、魔族の王女に倒されたはずのサキュバスが、
美里と言われたメイドの隣に立っている。
「はじめまして、私は神崎美里と言います。
この国に召喚された勇者であります」
俺たちは黙って聞いている。
「私の後ろに並ぶ魔族は、
魔王軍第5騎士団【諜報部】の方たちです」
メイドの美里の後ろに居る魔族を見渡していると、
「俺のルックスで、全員落せるな」
明希人が小声で言うが、
「落とす前に倒されて……
大二が無理なことを言うなと注意すると、
「そこの貴方! 言いたいことがあれば……
美里は、明希人を右手で指して聞くので、
「僕の恋人にならないか? ビルッド王国で
不自由のない生活をしようじゃないか」
真面目な顔で言う明希人に魔族は顔を見合していて、
手ごたえありと踏んだ明希人は、
「魔族である君たちを怪訝する人たちを、王だろうが
倒すよ。君たちをビルッド王国の王妃に……
魔族たちが来ると予想して、手を広げて語ったが、
「私たちは、身も心もミサトさまに捧げた身、
弱いお前などに行くわけないだろう。
まだ言うなら……
軽蔑した目で明希人を見る目は光出していて、
「止めなさい! 時間が無いから続きを、続きを……
爆乳キャラが、サキュバスを制して美里に催促して、
「それでは、続きを……
助かったなと明希人に小声で言うと、顔から汗が流れていて、
ストリップショウをしなくって助かったとロックティラの方に
隠れに向かった。
「この魔族たちは、今日から私専属の部隊となりました。
リリウム・フォースを結成しました」
百合って、そっち系の人たちで、美里を慕う部隊。
俺たちを偵察しに来た魔族たちを取り入れるとは、
俺たちとレベルが違うのか。
「俺たちを襲うことは?」
エンリーが美里にぶつけるように言うと、
「貴方たちが私の敵にならなければ」
クスッと笑いながら言うが、美里、いや、ミューブル王国に
敵意を向けた者は、容赦なく消し去ることを意味している。
「今の段階では、私たちの味方で良いですか?」
パーセントが確認するように聞くと、
「味方? 誰が?」
美里が考えながらブツブツ言うが、
「違うんですか、此の国の勇者でしょ!!」
「勇者って誰?」
美里は言っている意味が分からないようで、
爆乳キャラに確認してから、
「何でも屋所属の魔導士です。追い出された時に辞めました」
「それじゃ、依頼さえあれば、俺の恋人にも……
おい、大二、お前、ゲーム終わってから責任取るために
スタンテッド王国に行くんじゃなかったのかと思いながら
美里を見ると困った感じで、
「男の人に言われるのは初めてだけど……
大二は受け入れてくれるのかと期待する感じだが、
「明美が、大、大、大好きなの、ごめんね」
言葉を聞いて崩れ落ちる大二を見ながら、これで心落ちなく
スタンテッド王国に行けるなと思っていると、
「今回のゲーム、何でも屋に依頼すれば、ツカサは来るんだな」
ロックティラが大広間に響くように言うと、
「依頼されてるから、行くわよ」
「誰に!!!!」
「この世界の神、ソラスから……
可愛く言う美里の言葉に、言葉が出ない俺たちは、
暫く立ち竦んでいた。
爆乳キャラが大広間を後にした後に、王たちは奴隷を解除されて
何事も無いように食事をしたり、踊ったりしているが、
俺は、そんな気もなれずに床に敷いてある絨毯の上に座り、
美里が言ったことを復習するように呟いていると、
「コウエツ、パメラって、どうなると思う?」
仁美が胸元を見せながら、俺と同様に座って聞いてくるが、
「強い奴が好きだと言っていたから……
「婚約者になるの……かな」
疑問のように言うことも無い、確定だからと、
「婚約指輪でも嵌めて来るんじゃないか」
ナルエも同じだろうなと思うが、まだチャンスはあるはずと
思いながら、
「でも、ナルエって、何処で会ったんだろう?」
仁美が言うことに、ありすは、お披露目会で会ってるだろうし、
失格勇者の本当の力も見たんだろうが、ナルエは、
今日が初めてであり、パメラみたいに、その場で
惚れたわけでもなく、
「本人に聞くしかないだろう……
「……そうね」
頬を染めながら言う仁美に、俺は気が付かなかった。
この歓迎パーティーの最後を飾る料理が運ばれて来て、
テーブルに置いていくメイド(魔族の女性)が、
床に座っている俺たちに、
「明日は、皆さん、ゲーム会場へ移動するんですから、
しっかり食べてくださいよ!」
明希人がメイドに、
「君は出るのか?」
「私は、あなた方を調査するのが任務ですので、参加はしませんよ!」
テーブルに料理を乗せ終わると、大広間から出て行き、
美里が、急須を手に持ちながら入って来て、俺たちを見ながら、
「座ってないで、立って食べて下さいね!
勇者様のほとんどが日本と言う国の出身と聞いたので、
日本と言う国の料理で、寿司という食べ物を、
料理長が、一生懸命に作りましたから……
お前も日本人だろうと、クスクスと笑ってから、
「立つ気もないから、お皿に分けてくれないか?」
美里は困った子供を見る様に見てから、大広間にいるメイドや給仕に、
美里が命令をして、俺たちは久しぶりの日本食を食べた。
エンリーや各国の騎士団長、王子や王女たちは、
戸惑いながら食べていて、おいしいと感じたのか、
立ち上がり、テーブルの上の寿司桶から鉄火巻きや
マグロの握りなどを、食い漁っていた。
勇者歓迎パーティーも終焉を迎えて、
「君たち勇者や勇者を支援する方たちに
神ソラスの加護があらんことを,
勝利の報告を待ち望む」
ミューブル王から終了の挨拶が話されたが、
会場近くでは、ゴブリンを確認しているので、相手はゴブリンで
あるが、相手としては弱いと思うが、サキュバスのように
負ける可能性が高いなと、俺たちの気持ちは重くなる。
そのまま終わるかと思ったら、
美里が王族や貴族は再び奴隷にして、俺たちの前に出て来て、
「何か質問がありましたら、1つや2つは答えましょう!!」
美里が周りを見ながら言うので、パーセント、ロックティラたちが
質問を浴びせたので、美里は怒りだして、
ロックティラ達を風魔法で吹き飛ばし、
「これくらいの魔法も防げないのでは、魔族の勝ちね!!」
美里は吐き捨てるように言って、大広間を後にした。
第2回【お見合い】
早速、誓いのキスを、濃厚で……
お互いをなぁ!!
濃厚って?
ローズマリーさんって……
頬にキスとか……
ありすちゃん! 見本を……
次は私ね! 見ててね!!
は、はい!!
次回
第59話 戦いの場へ……
ツカサさま……ハ、ハァァ……
ふ、服まで……
体全体に稲妻が……ハァ……
なぜ、お前ら迄……
私は退散するね
まてぇぇ!! 駄目神!!!




