51話 良いの……
女性の魔族が、街に入って良いと言う言葉に、俺たちが
喜んでいると、角が渦巻き状になって頭に着いていて、
切れ長の目で、パンツを履いているだけの男が、
「キューイルさま、ニコールさまの許可もなく……
キューイルという女魔族は、男に振り向き、
「我は魔王の娘! 文句あるか!!」
「で、ですが……
御付きで付いてきている周りの魔族を見渡し、
「酒を飲まして、娼館に入れてくるのじゃ!!」
「「「 はい!! 」」」
返事をして、酒を買いに行く女魔族を見て、
「きょ、許可しますから……
「最初から言うのじゃ!!」
買いに行こうとした女魔族が戻って来たのを確認して、
私たちの方に向き直し、
「改めて聞こうか? お前たちは何者じゃ!?」
私は、北条君、松本君の前に出て、
「人に名前を聞くときは、あなたから言いなさいよ!」
魔族の男が、
「魔王さまの第4王女さまに向かって、人族ご……
私は、キューイルさまの従者の1人で、従者のまとめ役をしております
ラムータ・キル・レイドルです」
急に態度が変わり、私たちに挨拶をするラムータに、
驚く魔族たち、門の周りに集まってる人族や魔族たちは、
「ラムータさま……人族に……
「こんな青臭い物に……
「食う為のエサに……
「魔族が今まで……
「何者なんだい……
「面白い…… 門番だけじゃなく、ラムータもか!!!」
キューイルと言う女魔族は嬉しい顔で叫び、
「我は、魔王メガーデスティーの第4王女、
キューイル・フォウ・ツ・ラッタクリーム、
お前は……」
私が言おうとしたら北条君が先に、
「俺は、北条つかさ! この勇者隊のリーダーを
している」
腰に剣をぶら下げ、鎧は、前腕と足の脛に神鋼製を
着けているだけで、皮靴にパンツに、エリの付いた長袖のシャツに、
手袋をして、最近は髪を伸ばしてワイルド感を出している。
「ほう……胸には着けないのか?」
「アンダーシャツがチェーンメイルだから、これ以上は
過剰装備になるから着けない……
「お前は……
北条君をスルー気味で私に話しかけてくるので、
「私は、神崎美里! 主に回復を担当してるわ」
私を、ちょっと見るだけで、松本君の方に行き、
「お前は?」
「俺は、松本竜巳」
北条君と同じ格好で、優しそうな顔で、頼りなさそうな感じだけど、
自分の力量は分かっていて無理をしない。
「黒くないな!? ダーク系の魔法を使うものは、
世界で一番の魔法の才能があり、頂点に君臨する!!」
その証拠の黒い体でないとな!」
松本君は、私たちに確認するように見るけど、
「この世界では……
キューイルも黒いから……魔族は……
魔族の方を見ると、ダークブラウンかブラックの体色なので、
「この世界で頂点の者って……
「そうじゃ!! タツミは、肌が日には焼けているが、
黒くない! なのにダーク系を使いこなす!」
松本君を見ながら話すキューイルに、
「私たちは、召喚時にスキルで貰ったから……
「父が研究中の召喚か……
ラムータが、私たちに、
「人族、獣人たちの召喚術より高度な召喚を、今研究中で、
あと数か月後に、我々も召喚する予定です」
「……まあ、いいか! タツミ!」
松本君の前に両手を合わして、
「手を見てくれるか?」
良くわからずに、少し屈んで、両手を合しているのを
見ると、
松本君に素早く体を密着して両手を背中に回し、
唇を合してキスをしていた。
唖然としている私たち、松本君も驚いた顔をして、
松本君の唇から離して、
「口を開けんか!!」
松本君とキューイルを、ラムータが勢いよく分かれさせて、
「キューイルさま!! キスすると言うの……
「婚約、結婚の証だろ! 我も知っている!!」
「なぜ!! 人族ですよ!!!」
「タツミ以上のダークの魔法の使い手はいるか?」
「……」
私は、「いいかな? 松本君以上の使い手はいるけど……
「ほお! 我が見て、体に電気が走るか?」
それって、つまり……
「松本君! おめでとう!!」
呆れ気味に言ってるのを、
「まだ……俺はさ! 1人で……
松本君を上目遣いで見てくるキューイルは、
「我と一緒は嫌か?」
「まだ……14で……お金も……
「我も14だ! 問題ない!! 我は次の魔王じゃ!
金も心配ない!!」
北条君は、「なぜあいつ……俺の方が強いのに……
などと呟いていて、魔族たちも、「うそ!
「魔族以外なんて聞いたことが…… 「私を好きなんじゃ……
「キューイルさま……このことが魔王様に知れますと……
松本君の腕に、自分の腕を再度絡ませながら、
「タツミの実力を見れば、文句も言うまい!
タツミ!! 門にいる者を立ち去ててくれ!!」
困惑しながら松本君は、
「過大評価しすぎだよ!
この中で一番弱いんだよ!!」
鎧のトップスを松本に押し付けながら、
「我よりもか?」
2人のイチャイチャぶりを見て、
「諦めろ! 俺たちより弱いが……
彼女よりは遙かに強い!!
応援する!!!」
「おい! 応援するな!」
文句を言っている松本君と北条君の間にラムータが割り込み、
「キューイルさまより強くと言いますが、あなた方は魔王さま
と比べると……
北条君は、私を見て、どう言おうか迷ってる感じで、
日も暮れて来たが、門の所に多くの人族や魔族がいるので、
「松本君! 見せて上げて! 北条君! 素直に!!」
私の発言に、2人とも頷き、
「ゴウ アウェイ ライト ナウ !!!!」
門から多くの人族や魔族が離れて行き、街の中に消えて行った。
それを見ていたキューイルは、
「無詠唱で! 我でもあれだけの人数は無理じゃぞ!」
「違うよ! 準備していたからさ!」
笑みを見せて、松本君を見ながら、「謙遜するな!」
北条君は、ラムータや御付きの者たちに、
「この世界では、怖いと思うのは、魔王じゃなく、
王都に何人もいるよ!」
「王都にですか……
「……あぁ!!」
暗くなってきて、門にあるランプに、係りの者が、
魔法をかけて、ランプが光だし、夜の街の時間が
始まるのを告げていて、
「私たちは宿を探すから、もし話があれば、明日の朝に……
「我の所に泊まればいい!!」
ラムータも、「あなた方について、もっと知りたいので、
どうか、キューイルさまのお屋敷に……
私たちは顔を見渡して、
「それじゃ、お言葉に甘えて」
北条は手を差し出して、ラムータと握手をして、
私と北条君は御者席に座り、松本君とキューイルは箱車の方で
愛を深めてもらおうとしたら、御付きの女魔族3人が同乗し、
こちらの計画が失敗に終わり、
馬車は、ラムータの後を、ゆっくり付いて行き、
キューイルの屋敷へと向かった。
お屋敷までの道のりは、商業地区を通りすぎ、人族の貴族や
上級魔族が住む地区も通り過ぎ、この街を支配している
上級魔族のニコールの屋敷を通り過ぎて、海が見える丘の上に建つ
屋敷に通じる道を進み、屋敷の門を通り、玄関の前にある
噴水を中心に左右に道が分かれ、右の方から回り、玄関の前に馬車を
止めて、私たちは馬車から降りて、ラムータが玄関を開けて、
屋敷の中へと私たちを導き、私たちは玄関ロビーに並んで出迎えている
魔族たちが服など何も着ていないので、北条君と松本君は、鼻から
勢いよく血を出して、倒れてしまった。
応接室のソファーに横になっている北条君やキューイルの太腿を
枕にして横になっている松本君を、私はソファーに腰かけて、
出されたワインを飲みながら、彼らが目を覚ますのを待っていた。
その間、私とキューイルは、
「松本君のどこが良いの?」
「タツが、勇者3人を奴隷にしたのを見て体が震えた!
間近で見た時に、目の奥にある黒き天使を見て、
我はこの者に付いて行こうとな」
「そう……魔王になるんでしょ? 人族と一緒は……
松本君の頭を撫でながら、
「ダーク魔法を使うから問題ない! 我が崇拝する黒き神も
認めてくれるはずじゃ!!」
私は頭の中で、
「人族、魔族、獣族が、それぞれ崇拝する神って、全部私って
ソラスさんが王都を出る時に教えてくれたけど、黙っていよう」
と、考えながらワインを飲み、キューイルを見ながら、
「ええ……そうね! 松本君もいい人が見つかって良かったわよ!」
「そうか…… 私に笑みを見せながら松本君の髪を撫でていて、
「でも……14歳だよね、魔王は……
「父は、今年で450歳じゃ! 私は320歳の時に
生まれた子じゃ!」
私は、頭の中で計算して、
「130歳? でも14って……
「すまぬ! 言い方が間違っていたな。受精したのが130年前で、
130年間、母の胎内にいて、出て来たのが14年前じゃ!!」
「……どんな母親なの?」
「母親の顔を我は知らぬ……父が言うには、我が生まれた時に、
母は父の目の前で、消えてしまったそうだ!!」
「どんな感じの人だったの?」
キューイルは、魔王の言葉を思い出すように少しずつ、
「天使で……我が黒き神の姿に……大変美しい……
我も母の顔に似ているようだ!!」
良く見ると、確かに神ソラスに似ていて、この街での買い物に
私たちが行くことになったのは、自分の娘に、北条君か松本君を……
いや、最初から松本君は決まっていたそうだから、
キューイルの婿にするために、召喚を利用したなと……
「ねぇ……キューイルは、兄妹の中でどれくらい強いの?」
「我は、1番最後に生まれたが、兄や姉よりも強く、父は、
王になるための条件だった、第4だったので喜んでいた」
「第4? 普通は長男や長女でしょ!」
「王になるには、男子で4男、9男、女子で4女、9女、
と決まっていてな、その条件の者が一斉に戦い、勝った者が王に
なる決まりじゃ!!」
「と言うことは……1番強いあなたが……
「そうじゃ、王に1番近く、次の魔王じゃ!!
兄上や姉上たちは、我に比べると弱すぎる!」
整理すると、
1年前に、この世界に来る予定の階段でのあの2人が、
召喚されて、勇者となり、あの村の魔物を討伐しに行ったら、
あの勇者たちに出会って、付きまとわれながら、この街に
来て、門の番兵に倒されてしまうんだろう。
倒されて問題になるのは、この世界じゃなく元の世界で、
学園内での行方不明なので、当然、学園長が辞任になる
可能性が高く、補償などの話も出るだろう。
そこで、異世界で冒険者をしている私たちに、変わりに
行かせ、この世界の平行世界を創らない程度に、秋人さん達にも
来てもらい、天理の準眷属である松本君に、自分の娘を会わして、
付き合いさせて、その後、結婚してもらうという計画を
立てたと推測する。
結婚……あくまで予定であり、変わる可能性が高いが、
変わったからといって、世界の流れは変わらない。
キューイルが松本君意外と結婚しても、魔王にはなるだろう。
成らなかった場合は、成るルートと成らないルートが発生し、
平行世界が出来る可能性が高いが、その可能性は低い。
キューイルは、神の子であり、この世界で、彼女を倒せる者は、
先ずいない。ソラスの準眷属であるが、その力は天理の準眷属で
ある私たちより弱い。ソラスと天理の力の差といってもよく、
ソラスも言っていたが、自分よりも上のランクの神である天理の
準眷属か眷属になることは、まず死ぬことなく人生を謳歌できるし、
どの世界に行っても、他の神の準眷属や眷属に倒されることもないので、
親として安心できる。
と考えながら、瓶に入ったワインをコップに注いで飲んで、
松本君とキューイルを眺めながら、
「ねぇ……なぜ裸なの?」
「我ら魔族は、基本は服など着ぬ! 人族や獣族は
身に着けているから、会う時は仕方なく着るだけじゃ!」
「魔物系の魔族は、体毛があるから無くてもいいけど、
あなたは、私たちと同じ人族タイプでしょ! 丸見えだから、
松本君も気が付いたら、また倒れるわよ!」
「……そうか、仕方がない……
と言って、松本君の頭を上げて、クッションを頭の下に置き、
脱いで床に捨てている水着の鎧を着けて行く間に、
扉が開き、メイドが入って来て、食事の準備が出来たことを
伝えに来た。




