40話 待ってますわ……
ジース王国の王都ジースの王宮では、昨日の夕方に
ダァーツ帝国が、ジース王国に侵攻することを、
冒険者ギルドの通信石を使って宣言したのを受けて、
ジース王は、王宮伯12人を緊急に呼び、会議室で
対策を練っていた。
そして、
ダァーツ帝国の侵攻の報告があった深夜に、
リーフ街の冒険者ギルドより、
ドラゴン討伐に向かった第2近衛騎士団壊滅の報が、
王都の冒険者ギルド【コネクション・ウイズ・アザーズ】に入り、
会議室にもギルドにいる兵から伝わっていた。
日が移り、1台の馬車が正門に着き、門番兵が駆け寄った時に、
馬車の扉が開かれ、
「私は、第2王子セーヴィフだ! 遅くなった!
父上たちは!?」
門番兵Aは「王子! 王や王宮伯は、第5会議室です」
「ここから遠いが……
王宮の方を見てから、馬車の中にいる女性に向けて、
「エリ、君は兄上の婚約者のナーラサの所に行って、
勇気つけてやってくれ!!」
その言葉に頷き、
「あなた、わかったわ」
セーヴィフは、近侍と共に第5会議室に走って向かった。
従女のペリーネに手を添えながら、馬車から降りて。
「ナーラサは何処にいますか?」
警備兵Bは、「昨日の昼から、パクオット王子の部屋です」
「私たちが出て行ってから、動いていないのね……
ペリーネいくわよ」
「はい! 奥様」
私たちは、パクオット王子の部屋に向かって歩き出した。
第5会議室では、
「3000の兵とは、国境騎士団は500、周りを集めても
2000もない……
俯き加減で言い、
「ドラゴンの足止め失敗が、この戦争の引きがねかね」
両手を上げて嫌味のように言い、
「それは、1つに違いないが……
落ち込むように言い、
「元々、帝国は、いずれは侵攻してくる国なのは分かっていたはず……
今頃言うのは遅いと言う感じで言い、
「対応が遅い!!!」
激しく言う言葉に、誰もが目を見開き、
「その為に、奴隷兵を増員したり、奴隷同士で子供をつくらせて、
最強を目指すという計画は進んでいたんだ!!」
円卓の上を手で叩きながら大声で叫び、
「第2が壊滅とは……この国は、翼の生えたトカゲごときも倒せないという
レッテルを貼られ、帝国以外の国も、この国に戦争を仕掛けてくるぞ!」
円卓に座る者たちを見渡して言い……
ジース王は、会議が開かれてる間、皆の意見を聞くばかりで、
発言をしていなかった。
扉を叩く音がして、会議室にいる全員がその方向を見て、
扉が開きかけて、セーヴィフ王子と分かると、
「「「 王子!!! 」」」
と歓喜が上がり、セーヴィフ王子は、開いている椅子に座り、
「今の状況を教えてくれ!!!」
王宮伯Aは、「わかりました」
椅子から立ち上がり、
「不確定の情報が、ギルドに入りました。
その情報は、ドラゴンの足止めの依頼を受けた冒険者たち7人が、
足止めをせずに、リーフ街に戻って行ったそうです」
「それは、どこから……」
「ええっと……
資料を見ながら、
「ダァーツ帝国の冒険者ギルド【ウイング・ホープ】からです」
「うぅむ……帝国の管轄下に入ってると思われるところからか……」
「王子! リーフ街のギルドからも、第2近衛騎士団が、足止めに失敗した
ドラゴンに、アス村に行く途中で壊滅されたそうです」
「最強の……
セーヴィフ王子は、目を丸くして驚き、
「たかが、トカゲに……嘘だろう!」
冗談と言う感じで王宮伯Aに言うと、
「何回も確認しました。その足止めに失敗した
冒険者パーティー【アポロ】、【ウイング・オブ・メッセンジャー】が、
壊滅した第2近衛騎士団を発見し、生き残りの者と共に、
今はリーフ街に滞在しています」
セーヴィフ王子は、急に立ち上がり、
「ウイング・オブ・メッセンジャーと言ったか!!!」
「はい!」王宮伯Aは迷わずはっきり返事をして、
セーヴィフ王子は手を振って近侍を呼び、耳元で、
「兄上が生きていた。ナーラサに伝えてくれ!
昼と同じなら、兄上の部屋にいるだろう」
「わかりました」
と礼をして、会議室から出て行った。
私は、「どうした! 急に立ち上がって、何を話していた!!」
私の方に振り向き、
「父上、兄上の生存が分かりましたので、王宮に来ている
ナーラサに知らせようと思いましたので……
私は目を閉じて、
「そうか……パクオットが……
王宮伯Aが、「おおぉぉお!! パクオット王子が……
戻りましたら、結婚を……
他の王宮伯たちも喜び叫んでいた。
その光景を見ていて、ナーラサが来ているのは聞いているが、
ウーレン共和国から騎士団を出させるのに使えないかと
考えていた。
パクオットの部屋には、ウーレン共和国のマーラ家のナーラサ
と侍女のリザーサが、うす暗いなか椅子に座りながら……
「パクオットさま……
テーブルの上にあるコップを持ち上げながら、
「お嬢様、リンゴジュースを……
首を横に振って、
「いいえ、リザーサ、生きてると聞くまでは……
「お嬢様……
私は不通になったスマートフォンを両手に持ちながら、
この世界に来ている明美に、僅かな希望を持っていた。
扉を叩く音がして、リザーサは、扉に向かい、
扉を開けて、
「エリ夫人! こんな時間に……
リザーサを後方に下げるように、
エリと侍女のペリーネが部屋に入ってきて、
「ナーラサは!?」
リザーサは、私の方を見ながら、
「お嬢さまは……ずっと……
「そんなんでは、やつれてしまいますわよ!
椅子に座っている私を呆れた感じで言い、
横に居るペリーネに、
「ペリーネ! 何か食い物を持って来て!!」
「わかりました」
ペリーネは頷き、部屋を出て行った。
ナーラサの向かい側の椅子に座り、
「あなたって、一度も会ったことが無い王子を心配して、
よく来るわね!」
嫌味のように言う私に、
「エリ夫人!……
ナーラサの侍女のリザーサは叫び、
「エリさん……私は生まれた時から、パクオットさまと
結婚することは決まっています! 一度も会ったことはありませんが、
心配して来るのは、おかしいですか?」
悲しく言うナーラサに、
「別にぃ……個人の自由ですから……
冒険者という変な職業をするような王子の婚約者には、
相応しい方ですわね」
目を細めてニヤッとしながら、悲しんでいるナーラサに言い、
「変な職業ですか?」
その目の鋭さに、私は少し怯えながら、
「魔物などの討伐は、兵や奴隷にさせるもの。自ら行うなど
我が夫の兄として恥ずかしいですわ」
ナーラサは、惨い言葉を受け流すように、右手に持っている
石を強く握りしめていた。
それに気が付いた私は、
「その右手の中にある石は?」
「生まれた時から、持っていた石ですわ」
「見せてもらえます?」
石を渡さられて、
手に持った石をいろいろな角度で眺めながら、
「不思議な石ですわ。 光の加減で様々な色に変化
するなんて……」
ナーラサに石を見せながら、
「どこで、手に入れたんです?」
目を閉じて、下を向きながら、
「わかりません。母は、生まれた時からとか
言ってましたわ」
その石を眺めつつ、
「あなたって、転生者!?」
突然、変なことを言う私に戸惑いつつ、
「転生者……? エリさん??」
「わからなければ良いですの……
頭の中で、
「ナーラサは、転生者で、事故か病気かで、この世界に来た時に
神から貰った物に違いないわ。記憶は消されてるのね」
と呟いていた。
ペリーネが、パンや果物を籠に入れて部屋に戻って来て、
「今、廊下で、パ、パクオット王子が!!
生きてることを聞きました!」
その言葉に、部屋にいる私たちは、
「パクオットさま……
頬に涙を流しながら言うナーラサを見ながら、
「しぶといわね!
優しい微笑んで言った後、
「義姉上、すぐ結婚しなさいよ!」
喜びに満ち溢れたナーラサに向けて言った後、
「お嬢様……
涙を流して喜んでいるナーラサの侍女のリザーサを見ていると、
その時、石が光だし、壁に光を当てて、
昼間のような明かりの中、食事をしている者たちを映していた。
その光景を見ていた私たちは、
「何これ? この石、映写機なの?」
「お嬢様……パクオット王子ですよ!」
ナーラサの侍女のリザーサが、映し出されている映像に
パクオットを的確に指を指して言っているのを
不思議に思いつつ、
ペリーネは持っている籠を床に落として……
「パクオットさまなの……
頬を染めて、その目は潤んでいて、恋人が生きていたように
ペリーネは両手を口に添えながら、
「でも本物なの……」 日に焼けて、王子と言うより、
一流の冒険者の顔をしていて、ペリーネが疑問に思うのは当然よね
と思っていると、
「お嬢様! 1週間前に送られて来た写真よりも、
更に、凛々しく……
ナーラサは、侍女のリザーサの口に手をやり、
すみませんと頭を下げて黙り込み、
私はナーラサに聞こうとしたら、映像から声が聞こえ出したので、
私たちは、その映像を何も喋らずに、じっと見ていると、
「あッ、パク、私のパン取らないでよ!」
「明美、皮袋から何か出せ!!」
「ピ。ピピピ……ピ」
「シルヴィアには、あんパンね」
「このパンとあんこという物の相性はいいですな。お茶がうまい」
「アイスという冷たい物は、ここで出したいですね」
「このわらび餅っていう食べ物は、ダイエットに良いかな」
「エィシア! 私のは健康に良い抹茶というわらび餅よ」
「ダイエットとは無縁な私は、プリンよ!何個でも行くわよ!!」
「お義姉さま、また太りますよ!」
「エリナが作ってくれた弁当は学校用だったのに!!
やけ食いだぁ!!! もっと持ってこい、酒じゃ酒じゃ!!!」
「私は、恭子の松花堂弁当よ。味が薄味で、食材を生かしてるわね」
「この甘いチョコは、みんなに食わしたいなぁ」
「このお茶と言うのは、饅頭と言うのによく合うな」
「ボブ……何個目?
お前ら、もうすぐ日が登って、戦いが始まるのに、食いすぎで
動けなくっても知らないぞ!!!」
「大丈夫、大丈夫。お兄ちゃん……ちらし寿司はおいしい?」
「生の魚を捌いて乗せるか……生で食えるんだな……
この映像を見ていた私たちは、
「何これ……なぜ元の世界の食べ物が……」
フラフラとしながら後退する私に、
後ろからペリーネが支えてくれて、
「パクオット王子に群がる女たちは……
自分の敵と言う感じで言うペリーネに、
「あなた……好きだったのね……
ペリーネは、顔を斜め下にして頷き、
ナーラサの方を向くと、
ナーラサの侍女のリザーサの
「無事が確認出来て良かったです!!」
と言う喜びの言葉を黙って聞いているナーラサに、
「お嬢様! 生きていたんですよ!
何で睨んで見るんですか?」
と叫んでいるが、黙って見ているナーラサに付き合うのも
飽きたので、私は映像を指しながら、
「これは、どこですの!!?}
ペリーネが私から離れて、
「聞いた話では、リーフ街にいるそうです」
「リーフ男爵の?」
「はい!」
「ペリーネ! 今から馬車を用意しなさい!!
今すぐ、リーフ街に行きます!!!」
急に言い出す私に戸惑いながら、
「奥様……なぜですか?」
私は映像を見ながら。
「転生者は、ものすごい武器になります。
あれだけの食材を持っているのは、
この世界のどこかに、異世界へ行く扉があるからですわ」
「異世界???」
キョトンとするペリーネを無視して、
「わからなくてもいいです。準備しなさい!!」
語気を強めて言う私に、
「は、はい!!!!」
とビックリしながら、扉を急いで開けて、
馬車の準備をするために廊下を走って行った。
ナーラサに近づいて、
「あなたも一緒に行く?」
睨みながら映像を見ていて、振り向かずに、
「私は、ここで待っています」
「そう……それじゃね!」
私は部屋を後にした。
2人が立ち去り、映像が映し出されているのが続いているなか、
お嬢様が椅子から立ち上がり、画面を睨みつけて、
「明美! 聞こえる?」
「聞こえるよ! 食ってるところ見るなんて、
いっつも、変なところしか映さないのね」
「……そうね」
「神界の夜店で買ったものだから、しょうがないかな?」
「そうね……明美!」
怒りのオーラが体からあふれ出しているお嬢様から少し離れて、
「恭子さまも、勝人さまも……
「この前もあったし……聞きたいんだけど!?」
お嬢様の髪の色がストロベリーゴールドから、真っ赤な赤髪に
変わり、「お嬢様! 此処で本当の姿に……
焦って言う私に、
「変わったら何なの? 何が問題でも?」
目の色も赤に変わり、私を魅了しながら口を重ねて、
私は離れた口から、「何もありません、お姉さま……」
沙良お姉さまは、フッと笑い、映像の方に目を向けて、
「明美! あなたの横に居るのは、パクオット王子?」
その声に反応するパクオット王子は、
「どこから声が?」
明美は天井を見上げたので、全員が見上げて、
「あれか? 歪があるな……」
席を立つ恭子さまは、「明美! 今まで避けていたのを
どうするか……」と言って、男性に話をしてから立ち去って行った。
立ち去って行くのを見送ったパクオット王子は、
「避けて? この聞こえてくる声は?」
「ナーラサさ! ウーレン共和国のマーラ家の……
勝人さまが言った後、椅子から立ち上がった騎士が、
「王子の婚約者の!!」と驚いて言うのを、
「沙良の婚約者って、パクなの!!?」
と明美さまも驚いていて、
「さて、俺も仮眠をとるよ!」と席を立ち、
男性に話をして、立ち去って行って、
「お兄ちゃんは、逃げないよね」
と、その男性を見て言い、
「うぅん、逃げないよ!……
天井を見上げて、「君とアケミの関係は?」
その男性の問いに、沙良お姉さまは優しい目つきで、
「私は、前世の記憶を持って転生してきた者です。
あなたは、秋人さまに似ていますね。それと、もう1人……
「会っても居ないから、どうだか……
明美さまを見ながら言う男性に、
「そうですね……私は転生し、マーラ家のお父さまとお母さま
の間に生まれ、パクオット王子の婚約者として育てられました」
「私が3歳の時に……
明美さま以外の女性の方が、パクオット王子を見ていて、
「ですが、一度も会うことはありませんでした……
「それは、酷いな。どうしてだ!?」
男性はパクオット王子に質問をしたが、
「王宮から出て、剣の修行、冒険者としての活動ですね」
「ああ、そうさ! 君には悪いが、親が決めた婚約よりも……
隣に座る女性を見て言うので、周りの女性の方たちが、
「お似合いよ! 「愛されて!等と言われて照れているなか、
「リストォラさんですね。あなた方のパーティーの活動で、
2人の息の合った戦いも知っています。
私は知ってなお、あなたと
この世界では一緒になりたいと思いました」
その言葉を聞いたパクオット王子は、私たちの方を見上げて、
「光栄だが……私は結婚をした。君とは結婚は出来ない!!」
私は、沙良お姉さまを見ると目を閉じていて、
「お姉さま……
男性から、「で、アケミとは……?」
「お兄ちゃん! 私から言うわ……」
明美さまは立ち上がり、
「私とナーラサは、8歳の時からの親友で、
そ、その……私のことを愛してくれていて、
転生先で婚約者がいて、どこの誰それとかを
教えてくれなかったから……
「教えてくれていたら、私とは……
パクオット王子が明美さまを見て言うので、
「まさか……
私は、沙良お姉さまを不安げな顔で見ていると
「私は、明美の準眷属です。パクオットさまが
明美を好んだのなら、私も好むでしょう」
「だが、君は明美を……
「はい! 私は生涯、いえ、ずっと明美を愛します。
パクオットさまは明美と違う愛する者だと感じて、
パクオットさまと一緒になりたいと思いました」
「リストォラだけを好きだった私が、
明美を好きになったのと同じ気持ちか?」
「そうだと思います」
頬を染めて言う沙良お姉さまに、
「お姉さま……
涙を手で拭きながら呟き、さっきから扉の方で
聞き耳を立てているのを感じていたので、
扉の方へ行くと、扉が開かれ、
そこには、第2王子のセーヴィフとエリと男の3人が居て……
「あなた誰?」
と私に向けて言うエリに、
「私は、沙良お姉さまの妹リザーサです」
と言う答えに、
「? 妹? サラ……
先ほど会っていた私と今の私では、少し幼くなり、
肌も潤い、少し目が大きめの少女の姿に戸惑うのも分かるので、
「ナーラサさまの侍女のリザーサですが、
ナーラサさまが、本来の姿の沙良お姉さまになると
私は妹の杉本沙里になります」
「何を言っている?……」 映像の方に目を向けて、
「兄上……無事で……
「何が無事でかは分からないが……
「アス村に行ったと言う情報があり、ドラゴンに……
「……そうか、お前の顔を見れないが、ありがとう」
「兄上……
言葉と裏腹に、険しい顔でいるので、
「あら、パクオットさまが生きていたのが、
残念そうね……」
沙良お姉さまを睨みつけて、
「お前は誰だ! ナーラサをどこに!!?」
「あなた……こいつはナーラサよ!」
額から汗が流れ、化粧が崩れているなか怯える様に言い、
「こいつが? 赤髪の女が?」
先程あった、ナーラサさまと沙良お姉さまを頭の中で比べていると
思いながら、
「お姉さま! 私から説明をします」
沙良お姉さまの前に立ったが、
「もう隠す必要もありません。私はパクオットさまの妻の1人。
明美!! パクオットさま!!」
誰も居ない所を見る沙良お姉さまに、
「皆と食事をと思って来たけど……あと説明も」
いつの間にか、右手にレイピアを持ち、明美さまの
首に当てて、
「眷属にしないとか言っていたのに、どうして
眷属があんなに居るのかしら……
斜め下から眺める様に質問し、
「パクと会って、心境の変化かな……
微笑みながら答えている明美さまの
隣に居るパクオット王子を見ながら、
「そう……準じゃなく……
明美さまは頷き、2人は離れてセーヴィフとエリを睨んで、
「久しぶりだな、セーヴィフ」
「兄上……いつ来たんです?」
明美さまの方を見て、「私の妻の明美の力で来た」
セーヴィフとエリとおと、近侍が明美さまの方を見て、
「妻……その少女が……
エリは、明美さまを見て、「う、うそ、あ、在り……
怯える様に目を開き、指を指そうとしたら、急に眼を閉じて行き、
「眠らせたから、後から介抱してあげてね」
明美さまはニヤッとしながら言い、セーヴィフはエリを見てから、
明美さまを睨んでいて、明美さまはパクオット王子の前に出て来て、
「奴隷、殺し、パクをどう見ているんだ!」
「兄上は立派な方で、ナーラサと結婚し、
ウーレン共和国の大統領になり、私はジース王国の王となり、
共に協力しながら……
「嘘を言うな! 奴隷にして操り人形にするつもりなんだろう。
何人も差し向けて殺そうともしたな」
歯を食いしばりながら、目は明美さまを睨みつけながら聞いていて、
「で、私は阻止するために、私設騎士団をパクオットさまに
付けました」
「な!…… 目を大きく開けて沙良お姉さまを見上げ、
「アス村、此処でも、私の知らない所で……
王にも大統領にもなる気のない、父に王の資質は
無いと言われ、冒険者として生きていく……
「私は、次期王と言われるが、剣も人材も兄上に劣る……」
哀れな男を見る様に明美さまは、
「それで……親、兄弟の暗殺はよくあるけど……
劣るなら、努力しなさい!」
明美さまに詰め寄り、「どうやってだ!! お前が俺の嫁になれ!!」
バチィィと部屋に響き、沙良お姉さまは右手で、セーヴィフの頬を
叩いて、床に倒れたセーヴィフを冷たい目で、
「人を使うだけで自分では動かない男が、明美が靡くわけが
ないだろう」
「沙良……気絶した人に言っても……
近侍がセーヴィフを抱きしめながら、こちらを見ていて、
「回復魔法を掛けたから、時期に目を覚めるでしょう」
「優しいのね……
沙良お姉さまに肩を少し上げてクスっと微笑む明美さまに、
「あなた方は……
「検索は無しよ……
「せっかく来たのだから、父にと思ったが……
「時間が無いわ……国境での戦いを利用するから、
計画を……
パクオットさまを見ながら明美さまが言った後、
「沙良! 沙里! 行くわよ!」
と空間に歪を作りながら言い、
「まずは、眷属よ!!」
「と、パクオットさまとの結婚式です!!」
歪には入って行く私たちに、
「来月はお兄さまとの結婚式で、落ち着いてから……
「あら、スケジュールじゃ、マリーっていう子の……」
「予定は未定よぉ!!!」
パクオットの部屋に静寂が訪れて……
ベットに横たわっている私は目を覚まして、
「私は…… ぼんやりしながら、近侍のシーズルが近づいて、
「旦那様…… 私に水の入った吸い飲みを渡し、
私は口に着けてから、周りを見渡し、
エリも椅子に座り、寝ているようで、
「ナーラサは?」
「出て行きました。パクオット王子と……
「そうか……
吸い飲みを見ながら、
「あの者たちを、私は……
「旦那様……
寝ているエリを見ながら、
「エリが気が付いたら、彼女も会議に……」
「会議にですか……
私はベットから立ち上がり、
「エリの力が居る……
自分で動かない者が……と言われたことを思い出したが、
「私は私…… と呟き、
シーズルに向き直して、
「国境の我が軍は敗れるが、第1近衛騎士団を
ナーラサの国に攻め込む案を出す!!」
「そ、それは……
「世界を、世界を取れる力が、目の前にあるんだぁ!!
ナーラサを、いや……沙良を私が兄上から奪う!!」
私は扉を勢いよく開けて、休憩中の会議室に向かった。
沙良、明美ちゃんの結婚式よかったわね
うん、私との結婚式は、もっと派手にするわ
パクちゃんとでしょ?
パクとリスと明美と私……美里も、で……
美里ちゃん! 星を壊す勢いで、フフッ……パクちゃんが青ざめて……
次回
第41話 国境にて……
俺たちは、私たちは、我々は、白きドラゴンに……




