35話 戦いの果てに……
俺たちは、馬車を奪って、アス村に向かっている。
途中、ボブヒルトが駆る馬車が、街道から離れて
止まっているのを見たが、先にアス村に入ることが出来そうだ。
鞭を打って走らせてる俺たちに、
先の方で多くの馬や馬車が街道から離れて
止まっているのが見えた。
ミウラが
「あれは、騎士団じゃないか!?」
俺も確認して、
「!……鎧とか着てるな
「おい! バム……前にい、石ィィ!!!」
地面に潜っている石に車輪が登り、片輪走行になった時に
俺たちは馬車を捨て、飛び出し、地面に着地した。
馬車は横転し、街道からそれて、坂になっていたため
壊れながら転がり、馬はその下敷きになり、動かなくなっていた。
その光景を見ずに、近衛騎士団の方へ進む俺に、
「おい! 馬車は借りたんだ!! どうするんだ!!!」
「ミウラ!! 奪ったんだ!!、返す必要もない!!!
合流するぞ!!」
壊れた馬車の方を見据えた後、
「ああぁ……」
と返事をして、俺の後に続いた。
ミウラの小心ぶりに嫌気を感じながらも、近衛騎士団の方に
歩き続けて、近衛騎士団の方も俺たちに気づき、
魔術師の1人が地面から立ち上がり、俺たちの方に
歩き出して……
「バムか、用事は終わったのか?」
恭子に殺され、神によって、この世界に生き返った俺には、
用事が何のことかわからないが、曖昧に、
「ああ……終わったから戻ってきた!!」
と答えた。
この魔術師は、第2近衛騎士団、副団長のマニピュレート伯爵である。
俺たちは、マニピュレート伯爵と共に、近衛騎士団の方へ
歩きながら、この状況を聞いた。
聞いた内容は、
ドラゴンを足止めの依頼を受けた冒険者たちが、
足止めもせずに、戻って来たこと。
ドラゴンは、仲間が迎えに来て、戻って行ったこと。
その確認のために、団長が、冒険者たちの方に出向き、
詳しい話を聞きに行ったこと。
我々は、団長が戻って来るまで、この場で待機をしていること。
俺は聞いた後、
「足止め……討伐……戻ってきた……どこから……」
と、ブツブツと考えていると
「さすがのあいつらも、ドラゴンには敵わないと言うことか!!
はははははははぁぁぁああああ!!!……」
ミウラは大声で叫んでいるので、周りにいる騎士たちが
不愉快を感じて睨んでいた。
ミウラには、困った奴だと思いながら、
「マニピュレート伯爵!! 団長はどんな感じだった!?」
「どんな感じとは?」
「戻ってきた冒険者の所に行く時の感じだ!!
マニピュレート伯爵は、思い出すように、
「とにかく会わねばとか言っていたか?」
「そうか……
俺は、あいつらが団長に、何かしたなと思っていると、
馬に乗っている騎士と、その後方から2台の幌馬車が、こちらに
来るが見えた。
マニピュレート伯爵が、
「馬に乗っている騎士が、この近衛騎士団の団長の
ダーダック伯爵です」
「後方の2台は……」
「ドラゴンの足止めの依頼をしなかった冒険者たちだ!!」
ミウラが、此方に来る幌馬車に、目を細めて、
「勝人と、女か? 後は幌の中だから見えねぇ……」
ミウラがもっと見たいという感じで前に行こうとするのを
「待て! すぐ来る。それよりも、マニピュレート伯爵! 話がある、
ミウラも来い!!」
近衛騎士団が待機している所から、3人で話が出来る場所に
移動して、
「今から言うことに賛同してくれ!!」
俺の唐突な発言に、
「賛同だと!?」
「バム……」
2人は驚きつつ、俺を見ながら言葉を待ち、
「団長も、カツトたちに付いて来た他の冒険者たちも、
アケミによって、洗脳され奴隷になっている!」
「奴隷だと!!」
睨みつけながら、マニピュレート伯爵が俺に叫び、
「そうだ!!マニピュレート伯爵……彼らが馬車から降りたら、
俺が奴らを斬る!!」
ミウラは焦った様子で、
「団長や他の冒険者も……か?」
「ミウラ……お前のように、奴隷から、いつ解放されるかわからん!
後を考えろ!」
マニピュレート伯爵は、団長を斬ることに戸惑いながら、
「?……理由は!!」
「奴隷にされているからさ! あいつらは、この騎士団を
自分たちの物にして、神の名のもとに、この国を奪うつもりだ!!」
「私を奴隷にして、この国を亡ぼす兵にされると言うことか!!」
「そうだ!!」
2人を見渡して、
「俺は副団長の横に着く、ミウラは、俺の後ろから少し離れて、
付いて来てくれ!!」
ミウラの奴隷解除には、不安があるからと考えての配置を告げて、
話が終わったので、騎士団の方に戻ると、
ダーダック伯爵やカツトたちが騎士団より少し離れたところで
停車し、その場所へ、俺たちは3人だけで向かい、
マニピュレート伯爵が
「団長! ご無事で!!」
その言葉を受けて、馬から降りていたダーダック伯爵は。
「副団長、今からリーフ街に戻り、王都に向かう!
おう……
その言葉が終わらない間に、
俺が、ダーダック伯爵に走り出して、剣で腹を切る動作に入る時、
「スリープ!! ミウラ!!! バムを止めなさい!!!」
が聞こえ、ダーダック伯爵の腹を斬り、左肩で団長を押し、
振り向いて、ミウラが俺を押さえるために来るのを
剣を構えなおして、剣先から首を刺し通して、
そのまま突進して、ミウラを地面に倒した時、
俺の背中に向けて来る殺気を感じたが、
反応する前に、左胸と首に剣が刺さりながら、
地面に倒されていく俺は、副団長が、
「リストォラ!!! 王子を殺せぇぇぇぇぇ!!!!」
と叫んでいるのを聞いて、マニピュレート伯爵の方に
目を少し動かして見ると、
恭子が、副団長の左頬に、右ストレートを浴びせて、
首が吹っ飛んでいるのが見えて……
「俺は……ま……た、キョ……
言い終わる前に……
一瞬の出来事で、近衛騎士団の騎士や魔術師たちは、
戸惑いながら、状況を確認して、決意したのか立ち上がり、
私たちに向けて、剣を抜き、走りはじめたり、魔法を詠唱している
時に、パクオットが
「ジース王国第1王子、パクオット・ビーコック・ジース!!!
私に、剣や魔法を向けるかぁぁぁぁああああ!!!」
騎士Aは、「王子……」
騎士Bは、「こんなところに、いるかぁぁぁぁ!!!!……」
騎士Cは、 「団長の弔いだぁぁぁぁぁぁ!!!」
魔術師Aは、「私の最高の魔法を受けろ!!!」
魔術師Bは、「最高の強化魔法を授ける!!!」
魔術師Cは、「カードルを超えた魔法を見ろ!!!」
カードルが、パクオットの前に出て来て、
「お前たちぃぃぃぃ……王子の顔を知らないのかぁぁぁぁ!!!!」
大声で叫び、近衛騎士団の魔術師たちよりも速い詠唱で、
「すべてを燃やす炎よ、紅蓮の炎よ、大地を燃やし、
爆発させ、破裂し、全てを無に還せ!!!
エクスプローォォォオジョン!!!!‥‥………
発動し、向かってくる騎士たち、詠唱をしている魔術師たちは
その場から炎に焼かれ吹き飛び、骨も残らず灰になって消えていった。
詠唱しているのが、カードルと分かった騎士や魔術師たちは、
回避して、地面に倒れるように滑り、難を逃れていた。
私は、ダガーを鞘に納めて、カードルの放った
魔法の方を見ながら、
「準でこれって、私も今までの動きと違っていたから……
明美が、ダーダック伯爵に、回復魔法をかけている方に目を向けて、
「これからは、力のセーブを考えないといけないわね」
ツヴァイセルが幌馬車から降りて、
ケントと話してるのが聞こえて来て……
「簡単に、近衛騎士団全滅ってありかよ!……
騎士や魔術師たちが居た場所を眺めて、
「魔法もけた違いだな。燃えたところの周りには、
火の残り火もなく、草などに燃え広がずに、綺麗な
穴が出来上がってるだけって……」
「師匠って、ここまでの魔法は使えなかったはず……」
ケントの言葉を聞いて、
「どういうことだ!! 教えてくれ!!」
「でも……
ダーダック伯爵を支えながら
体を起こしている明美の方に、
ケントが顔を向けているのを見て、
「アケミが原因なのか!?」
ケントが困っているので、私が代わりに、
「そうよ! 明美の準眷属になったからよ!」
その言葉に、
「準眷属? そんなもので変わるのか!?」
「ええ……多分、あなたも、明美の準眷属になってるわね」
ツヴァイセルを見ながら、確定してるように言い、
「俺が……?」
驚いたように、私を見ながら言い、
「明美が気に入ってるからよ!」
「わからんなぁ……」
ため息交じりに答えて、
「そのうち、分かるわよ、フフ……」
と笑いながら、首を傾けた仕草に、ツヴァイセルは戸惑いながら、
巨大な穴を再度眺め、
駆け出しの冒険者の……アイス・ウルフに負けそうになった時に、
この魔法で助けられた……
「お兄ちゃんと同じ匂いがする……
俺の頬に手を添えて、俺を見る少女がキスをするのを、
「駄目よ! むやみには……
「メホーラ! したいしたい!!」
泣き叫ぶ少女に、
「泣かないの……
少女を抱きかけて、「あなたの仲間も、傷など治しておいたわ。
時期に目を覚ますでしょう」
女性を見上げて、
「あなた達は……
「ただの通りすがりよ! また会いましょう!」
と言って消えたが、まさか、神様だったとは……
その後、俺の力が急激に上がったが、色々とあったなぁ……
と空を見上げて、昔を思い出していた。
パクオット(以下パク)とカードルは、ダーダック伯爵の
治療をしている私の所に来て、
「明美! ダーダック伯爵は、大丈夫か?」
その声のする方に顔を向けて、
「パク……大丈夫よ! ミウラを奴隷にして
止めに入れたから、深くなかったし、
最悪、蘇生魔法をかければいいと思っていたから……」
「そうか……マニピュレート伯爵は、なぜ私を……」
カードルが、遠くに落ちている物を見ながら、
「殿下がいなくなれば、不安材料がなくなり、セーヴィフ殿下が
確実に王になれます」
「王になる気はないんだがなぁ……」
ダーダック伯爵は、気が付き、周りを見渡し、パクを見据えて、
「王子、近衛騎士団は……この状況は……
「ダーダック伯爵……お前を斬りつけた男を
倒した後、私たちが、お前を殺したと勘違いした
近衛騎士団の者は、私たちに向かって来た!!」
「王子に……
「私が王宮にほとんどいない、近衛騎士団の者と
会ったこともないのも原因だが……
カードルは、パクの悲しむ顔を見た後、
「殿下……名を叫び、聞いた後でも向かって来た以上……
ダーダック伯爵は、パクとカードルが、私たちの所為でと
思っていることを感じて、
「それは私の責任ですね。絵などで見せていれば……
パクは、重い口を開けて、
「……よって、カードルの魔法で、近衛騎士団は
全滅した」
私に抱えながら、ダーダック伯爵は周りを見渡し、
「残ってるのは、10人もいない……馬車や馬はいない、
あるのは、大きな穴だけ……
目の前に広がる巨大な穴を見ながら、
「カードルの魔法ではないでしょう。王子! 誰の
魔法ですか?」
カードルが困った顔をしながら、
「私も驚いているが、ダーダック伯爵、私の魔法だ!」
私は、ダーダック伯爵の顔を見ながら、
「カードルは、私の準眷属になったから、魔素量も
魔法の威力も、私の力を借りているので……
私が言い終わる前に、
「恭子ちゃん以来の眷属と、いつもの準眷属してるのね!?」
その声に反応して振り向くと、ティーナ義姉さまと
マーチネルが歩いて来ていた。
私は、ティーナ義姉さまに、
「近衛騎士団が来ましたら、帰るんじゃなかったんじゃありませんか?」
「帰るタイミングが無かったのよ!」
にっこり笑うティーナ義姉さまに、
「タイミングは難しいですね……
胸の周りにタオルを巻いて、胸が動かないようにしているのを見て、
「その恰好は、助けに来てくれたんですか?」
「心配はしてないけど、念の為と思ってね」
その気遣いに感謝を込めて、
「ティーナ義姉さま、ありがとうございます」
マーチネルは、私たちの会話を聞きながら、私の姿を下から上まで
見ていたので、私は気が付いて、マーチネルの方に振り向くと、
「朝、見たときと随分変わってるが、アケミか?」
その問いにティーナ義姉さまが、
「私の|義妹《いもうと》の明美ちゃんよ!
あの時はありがとうね!」
「? ……あの時? いろいろありまして、服がこれしかなかったので……」
その会話に割り込んで、
「明美! マーチネルは、ウエーザー山脈に行く前に
話などしたから知ってるが、そちらの女性は?」
「パク……
私は髪を手で触りながら、
「私のお兄さまと結婚したティーナ義姉さまです」
マーチネルは、その言葉を聞いて、
「ティーナの世界を……
その言葉を聞いたティーナ義姉さまは、
マーチネルの口を手で塞いで、
「それは、未来の話だから、黙っていてね!!」
「みら……い?
マーチネルは頷き、ティーナ義姉さまが口から手を離して、
パクに振り向いて、
スカートに手で裾を掴み、軽くスカートを持ち上げて、パクにお辞儀をして、
「ソリュート王国、第2王妃、
ティーナ・ソリュート・ウエスギ・デ・ラミードです」
パクもティーナ義姉さまに、
「私は、このジーク王国の第1王子、
パクオット・ビーコック・ジースです」
その言葉を聞いて、マーチネルは、その場で跪き、
「王子! 今までの無礼な振る舞いをお詫びします!!」
「私は、ただの冒険者だ! マーチネル!! 今まで通りで
お願いする」
「はい、わかりました!!!」
パクは、バムの死体を眺めて、
「マーチネル、お前の冒険者仲間のバムを
倒したことを、お詫びする」
「勿体ないお言葉です。私もティーナと共に
見ておりましたので、バムの行為は、
許しがたいこと、倒されることは当然です!」
涙を浮かべながら言っているマーチネルを、私たちは
強い女性だと思いながら見ていると、
ダーダック伯爵が
「王子! ソリュート王国とは? 聞いたことが
ありません」
ダーダック伯爵を抱きかかえている私を睨みながら、
「そういう国があると思っていればいい!
私の義理の姉になるのだ、粗相のないように!」
語気が殺気がこもってる感じで言うので、
「は、はい! わかりました」
パクって、子供だなっと思うけど、
「もう、離れてもいいかしら?」
ようやく気が付いたのか、
「は、はい……大丈夫です}
ダーダック伯爵は私から離れて、少しフラフラしながら
「王子の周りには、私を回復させてくれた女性は
王子の婚約者、カードルも着くとなると……」
と、子声でブツブツ言っていた。
遺体を土に埋めるために、穴を掘っていた勝人とリストォラは、
「穴は、こんなものか?」
「遺体も少ないですし、いいと思います先輩!」
マニピュレート伯爵の遺体を見ながら、
「そういえば、こいつはリストォラに、パクオットを
殺せとか言っていたな!!」
「はい……
2人が話している所に、カードルと私が来たので、
「カードル! こいつは、リストォラに叫んでいたが
なぜだ!!」
「奴隷の首輪をしているリストォラに命令をして、殿下を
殺すように……団長か副団長の命令には服従の機能が
盛り込まれた首輪なのでしょうが……
「眷属にしたときに、ついでに首輪の機能を
解除したから、この男は命令を実行したと思って、
亡くなったのかしらね」
恭子の魔素を込めた拳で、一瞬だったからと思いながら言い、
リストォラは、首にピッタリ着いている黒い首輪を触りながら、
「それじゃこの首輪は、ただの……
「そう……取りたかったらいつでも取れるわよ!」
リストォラは、首輪が外れるのを確かめたが、
「いえ、明美さまや勝人先輩に会えた記念に
これからも着けていこうと思います」
「たまには、洗ってね!」
クスと笑って、
「……はい」
近衛騎士団の生き残りと共に、掘られた穴に遺体を置き、
遺体に向けて花を投げて、
「さよなら……バム……」
「気が付いていれば……」
「お前らの親にどう言えば……」
涙を流しながら、それぞれがお別れの言葉を言っているが、
「生き返せられないか……」
パクは、隣に居る私に問いかけるが、
「パク……あなたに向かって来た人たちに……
力を込めて大声で、
「嫌よ!」
その言葉を聞いて、
「王子の婚約者……
「……神か」
ツヴァイセルが、全員を見ながら、
「相手を見た時に、どのような相手か、一瞬で見極められない者は、
遅かれ早かれ、死ぬ運命だ!! それに名前まで名乗ってるのにな!」
その言葉に、怒りを表す近衛騎士団の生き残りに、
「お前たち! この男が、強者か分からんか!!」
ダーダック伯爵は強く叫び、
「マスターって! 東の大陸のジャイアント・エレファントを
1人で……
恭子は、スマートフォンを見ながら言い、その言葉に
近衛騎士団の生き残りは、驚きの表情を見せながら、
ツヴァイセルを見ていて、
「仲間と共にだよ!……昔のことだ」
再度、周りを見渡し、
「お前たちは、この戦いで生き残ったんだ!
見極める力がある! 死んだ者たちの為にも生きろ!!」
とツヴァイセルは、強く叫び、
勝人とリストォラは、遺体に土を被せていった。
馬車の所に戻り、生き残った近衛騎士団と共に
リーフ街に戻ろうとした時、
上空に、8つの光の玉が現れ、そこから
8頭のドラゴンが姿を現して、地面に降り立った。
襲って来るから、仕方がないよね。
そうね……
王子や騎士団が納得してるからいいけど、
改変しても、流れが変わらないなぁ……
そんなもんよ……
次回
第36話 どちらに付く……
ドラゴンを配下にしたアケミさま!
我々は、あなた様に就いて行きます。
パクの方で!!
え! マスターで!!
依頼の斡旋しかしないぞ!




