32話 奴隷……
近衛騎士団の馬に騎乗した騎士たちの中から、
1人が出てきて、馬を走らせて、こちらに向かって来ていた。
幌馬車から降り立った、私たちは、
「来るね!」
「明美は隠れていなさいよ! その恰好は、
ここでは場違いだから!!」
私は自分の服装を眺めて、
「仕方がないでしょ! シルヴィアとの契約の時に、
服装がすべて吹っ飛んでしまったから……」
頬を膨らませて、恭子を見るが、
私を馬車の後ろに行きなさいと手を振って
示して、
「もう! 隠れてまぁぁあす!!」
私はしぶしぶ後ろへ向かった。
私たちの幌馬車の所に来た騎士は、
「お前ら、ギルドの依頼を受けた者たちか?」
と、馬から降りずに言い放ち、
応対のため恭子が前に出て来て、
「はい、そうです。ただ……ドラゴンは、私たちが
足止めをしようと向かう前に、ドラゴン山脈から来た
ドラゴンと共に帰ってしまいました」
「本当か!?」
「はい、ですから依頼は完了できず、報酬も受け取らず、
今からリーフ街に戻って、ギルドに報告をしに行くところです」
「分かった。ここで動かずに待っていろ!!!」
と言い放って、近衛騎士団の方へ戻って行った。
向こうに行ったので、私は隠れていた所から出てきて、
パクオット(以下パク)を見て、
「ねぇ! パクの顔を見ても気が付かないんだね!」
呆れた感じで、
「まあ、私は、王宮にほとんどいないからな」
「殿下は、冒険者として動き回ってますので、
仕方がありません」
「それに、同行する私たちも大変ですよ!」
とリストォラ「以下リス)とカードルは、言い終わった後、
笑っていた。
それにつられて、私も笑っていると、
先ほどの騎士が戻ってきたので、私は、また幌馬車の後ろに
隠れて、幌馬車の前で止まった騎士は、馬から降りて、
私以外を見渡して、咳ばらいをして、
「お前ら、全員、逮捕する!!!」
その場に居た全員が呆気にとられて……
ツヴァイセル(以下ツヴァイ)が、
「理由は!!」
「理由!?
剣を抜き、全員の顔を剣の切先でなぞりながら、
「お前らは、王の勅命を完遂せず帰って来たからだ!!!」
「勅命!? まて!!!
ツヴァイは騎士の剣を掴み、
「ギルドへの依頼書には、王からの願いであり、勅命ではない!!!
依頼が100%出来ないこともあるのは、誰でも知っている!
最初から勅命として出せばいいはず!!
だが、
どこのギルドも掲示板には貼らん!!!」
怒り心頭のツヴァイに、
「王の依頼は、どのような形であれ、勅命である!!
わからんかぁぁぁぁぁ!!!!」
その言葉を聞き、パクが剣のグリップを握り、
騎士に向かおうとすると、恭子が手で行く手を遮って、
「何を!!」
「冷静になって!! 何があっても、私たちは負けないし、
あなたは、もう明美の眷属で、私と同じくらいの力があるんだから、
落ちついて……
恭子がパクを説得している間に、私は素早く騎士の前に出て、
左手を額に向けて、
「あなたの名前は?」
「ワタシノナマエハ、【ルイタ・パァルツグラーフ・セコ】デス」
「今から、このボールを騎士団長に渡しなさい!」
ルイタは、私の手の中のマジックボールを眺めて、
「コレハナンデスカ?」
ルイタにマジックボールを渡し、
「これは、ドラゴンが私たちに、お詫びとしてくれたものです」
「ドラゴン……」
「さあ! 行きなさい!!!」
「ハイ、ワカリマシタ」
ルイタは馬に乗り、近衛騎士団の方に戻って行った。
ツヴァイは、服を気にしている私を見ながら、
「ミウラにした、奴隷魔法か?」
スカートをめくって破れていないか確認しながら、
「ええ、あれよりは軽い奴よ! 騎士団長にボールを
渡せば解除されるわ!!」
ツヴァイは、私を見ないように向きを変え、恭子が、
「破れていないわよ!」
「そう、良かった!」
ケイトが、私と恭子の所に来て、
「何を気にしているんですか?」
と聞いてくるので、
「戦闘向きじゃない服でしょ。だから破れていないか
見てるのよ」
恭子はケントに説明をして、
「……そうよ。これは、今日の夜に、両親とホテルで食事をするための
服だから、破れやすいのよ!!」
予約したことを思い出しながら言い、
「両親と……晩餐会に出るため?」
「違うよ! 両親と3人だけよ! そのために作ってもらった服なの。
けど、このままだと、キャンセルね」
両親に怒られるなっと思っていると、
リスが私の所に来て、服を見ながら、
「食事のためですか……私も着てみたいです!」
リスを眺めながら、
「着ることは、これから多くなるわ……??
伯爵の養子なら社交界には出てるでしょ?」
困った感じで
「ええっと、養子と言っても、私は奴隷なので、
出られません! 明美さまが来ている服も着たことがありません。
いつも男性用の服を支給され着ています」
「これからは違うわ! パクの夫人として、
私の眷属として、立派にデビューさせるわ!
この国の男どもを虜にするのよ!!」
空に右手の人差し指を向けて、リスの肩に左手を置いて、
体を密着して叫んでいるのを
「まだ、星も出てないのにする芸じゃないわね」
「うっ! 黙って!!」
「一度、タガが外れると、秋人さまと同じで
男女関係なく増えるわね!」
「違います!!お兄さまも周りが寄ってきて、どうしようもなくです!!」
「あの、明美さま、離れませんか!?」
と、体全体が熱を帯びるように熱くなってるのを感じて、
「そうね、ごめんね! こんど夜にね!!!
「は、はい♡」
頬を両手で覆って、答えていた。
このやり取りを聞いていた男たちは、
聞かないフリをして、
近衛騎士団が留まっている方を見ていた。
近衛騎士団から、騎士が1人、馬に乗って
こちらに向かって来た。
先ほどの騎士と違い、近衛騎士団の団長という風貌を
漂わせるには十分すぎる光輝く鎧を着て、私たちの
前に到着した、
馬から降り立ち、騎士団長は、ヘルメットは無し、太腿、上腕のパーツは
無し、腹回りのパーツも無しの構成の鎧を着ていて、私の前で地面に跪き、
「アケミさま、何なりとお申し付けください」
その男に向けて、
「あなたが分かる範囲ですべて答えなさい!!」
「御意!!」と言い、
「まずは、王のギルドへの依頼の目的は?」
「今回、ドラゴンが、我が国ジース王国に飛来し、アス村を
襲いました。王は、ドラゴン討伐には、ギルドもAクラスの者を
集めるだろうと考え、王宮伯たちを招集し、会議を開き、決めたことは
ギルドに依頼を出し足止めをさせること、我々の騎士団に経験を
させることです」
ツヴァイが私の所に来て、
「質問できるか?」
「ええ……ツヴァイセルの問いにも答えなさい!」
「御意!!」
ツヴァイは
「今、Aクラスと言ったが、
依頼書にはランクが記されていないかったが分かるか?」
「……我が国には、Aランクの冒険者は少ないので、
ランクは書かないことになりました」
「で、他の国にも依頼を出したのは?」
「他の国には、Aラングの冒険者が多くいます。
今回、依頼を受けた【アポロ】、【サァブデュゥードゥ】など、
他国でも有名な方たちです」
「だが、他国に依頼を出すのは、この国の内情を教えること。
危険な行為をする理由は?」
「それには、答えられません!」
ツヴァイは、私に振り向き見たので、
「ボールに複数のことを込めたから……限界ね」とツヴァイに言って、
私は、騎士団長に左手を出して、
「あなたの名前は?」
「ワタシノナマエハ、【オーレン・グラアフ・ダーダック】デス」
「なぜ、答えられないの?」
「ソレハ、ワタシノ、イノチガ、ナクナルカラデス」
「そうなの……私は、この国の第1王子パクオットの
妻の明美よ!」
私に顔を向けて、
「パクオットオウジノ?」
「そうよ! あなたをパクオットが守ります!
安心して話をして……」
「ハイ、イライヲウケルノハ、タコクデモ、
エーランク、ソノ、エーランクノモノタチヲ、
ドレイニ、スルタメデス」
「奴隷!? 【サァブデュゥードゥ】が、帝国に拘束されたのは、
奴隷にされないため?」
「ハイ、テイコクハ、ワガクニガ、エーラングノ
ボウケンシャヲ、ドレイニシテイルコトヲ、
オウガ、サケニヨッタトキニ、モラシタノデ、シッテイマス。
デスノデ、イライガ、タコクノギルドニ、ダサレタトキニ、
ワガクニノ、ドレイニサセナイタメニ、コウソクシタ。
【サァブデュゥードゥ】ノメンバーノヒトリハ、テイコクノ、
オウジナノデ」
私は、カードルに、「何か知ってる!?」と聞くと
カードルが、顎に手を当てて、しばらくして、顎から手を放して。
「私は、宮廷魔術師と言っても、何人もいる中の1人であり、
奴隷には殿下と同じで反対派です。王とは意見が合わず、
殿下と共に冒険者をしています。
ただ、囚人が奴隷の首輪をはめられ、奴隷兵として、
第1近衛騎士団に配属されているのは知っていましたが、
まさか、Aランクの冒険者を奴隷には初めて知りました」
ツヴァイが、
「刑を軽くなるために、力のある囚人が兵になり、
囚人兵と貴族兵の混合部隊の第1近衛騎士団とカードルたちは、
思っていたが……事実は、Aランクの冒険者を奴隷の首輪で奴隷にして、
多分、記憶も消され、囚人として兵につかせるといったところか」
リスが「それじゃ、私の両親は、Aランクの冒険者?」
第1近衛騎士団の秘密が分かって驚いているのを見て、
「多分な……」 リスの強さの秘密だったのだろうと思いながらツヴァイは言い、
私は、みんなを見渡して、
「つまり、依頼を受けた時点で、奴隷になることが決定の依頼と言うこと、
私たちは奴隷として、この国のために働くと……
勝人が、「どうする!
みんなを眺めて……
「俺は、ごめんだ!!」
「そうね、この国がどうなろうが関係ないわ。
来る敵は、叩く!!」と恭子は言い、
パクが続いて、
「明美に襲い掛かる敵が父だろうが、倒す!!!」
「殿下、親をですか……」
「カードルさま、明美さまに向かってきた時点で、
眷属である私たちは戦います」
「リストォラ!! そうだな……
私も準眷属……王よりもアケミさまに仕えた身、
アケミさまと共に生きるために戦いましょう!」
ケントが、「僕も、戦うよ! マンガをもっと読みたいから」
その言葉で、みんなが笑いだし、ツヴァイが
「フフッ……俺も戦う! 武器が無いけどな!!」
更に、私はクスクス笑って、
「もう……武器は貸すわよ! フ、フフフッ……」
全員が戦いの決意を決めて……
私は、奴隷にしたダーダック伯爵を奴隷解除して、
意識がはっきりしだしたダーダック伯爵に
パクが、
「ダーダック! 私のことは覚えているか!?」
パクを眺め、目をこすり……
「王子!!
後ろにいるカードル達を見て、
「カードル、それにリストォラ……ケント!!
まさか、依頼を受けたのは……アポロのはず……
「ダーダック! 依頼を受けたのは、私の妻の
明美たちだ!!」
パクが私達を手で指して、
「はぁ?? 妻というと結婚したと言うことですか?
王子には、婚約者がいたはず!」
「父が勝手に決めたこと、私はリストォラと明美と結婚した。
もし、反対するなら、この国を捨てる!!!」
ダーダック伯爵は立ち上げり、パクに迫り、
「王子! ウーレン共和国のマーラ家のナーラサさまとは
どうするんですか!!」
「そんなもん知らん!!」
ダーダック伯爵は、ナーラサの名が出て困っている顔をしている
私の全身を見ながら、
「お前は?」
「あ、わたし? パクオットの妻のあ、明美よ」
「お前が……妻になど、ふ、ふさわ……
言葉を続けずに、更に私を眺めて、
「どこの国の貴族ですか?」
と言われたので、私がどのように言おうかと考えてる間に、
「神の国だ!! 明美は神であり、神の国の貴族だ!!!」
とパクが高らかと公言した。
「はぁ!? 神、神の国??? 」
と、半ば呆れた感じで言うダーダック伯爵に
「この国、この世界を創られた神だよ、ダーダック!!」
と、カードルが答えて、
「ハ、ハハハハハハアァァァ……大丈夫か!
神と初代王が会って、この国を創り、
以降は、王が神の言葉を聞き、私たちに伝えてきた。
神は王にしか合わない。そこの女が神なら
なぜ、王に会わない? 王以外では会わないというのが
初代との契約のはずだ!! そして次の王に神は、
第2王子のセーヴィフ王子と定め、王子はナーラサさまと、
結婚すると定められたのですぞ!!!」
ナーラサの名前が出て、恭子や勝人に振り向いたけど、
知らないよと言う感じで、アス村の方角を見ていて、
沙良の婚約者って……と思いながら、
パクがチラッと私を見てから、ため息をして、
「会ったことがない者とは結婚は出来ん!!」
「ですが、ウーレン共和国では人気があり、
何度も国民に選ばれて国王になってる名家の
お嬢様です!!」
私は、行くとこまで行くしかないと覚悟を決めて、
「政略結婚ね! パクの気持ちが大事だから、
それは後から考えましょうか!
ダーダック伯爵に、これ以上、ナーラサの名を
言わせないように殺気を込めた目線で、
「私たちをこれからどうするつもり!?」
私と横にいるパクの後ろには、いつでも戦闘が出来る
ように身構えてるメンバーを、ダーダック伯爵が確認して、
「アポロのメンバーを逮捕すれば、王子たちが我々と戦うのでしょうが、
戦力差があります。負けるのをわかって戦いますか?」
勝ち誇ったような笑みを見せて、パクを見下し、
諦めるだろうと考えていると、後ろにいるメンバーから
今まで感じたことのないプレッシャーを受けて、
もう一度、眺めると、
リストォラ、恭子、勝人が、全身から魔力がこもったオーラ
を発生さている光景を目のあたりにして、ダーダック伯爵は、
恐怖のあまり、体が震え、汗が吹き出しながら、
「か……勝てない! ば、バカな! 魔力で強化しても……
人間じゃない!!!」
パクがダーダック伯爵の傍に来て、振り向かずにダーダック伯爵に、
「負けるとわかっていて戦うか!? どうする!!」
パクの前で、ダーダック伯爵は跪き、
「先ほど言ったことは……
依頼を受けたのは、王子のパーティーと言うことにします!
ですが……み、まさ……皆さん、王都まで来てください」
その言葉を聞いて、パクが私を見たので、私は頷き、
「わかった。明美に何かしたらどうなるか……」
「分かっています!!!」
そして、私たちは、第2近衛騎士団が留まっている所まで
馬車に乗り込んで向かい、その間に、念話でティーナ義姉さまから、
連絡が入り、バムが第2近衛騎士団の所に向かっているのを聞いた。
王子と言っても、謁見などで会わないと……
パクの雰囲気で分かると思うけど……
冒険者稼業が長いから、王子とは分からないけどな。
ツヴァイとかにはバレてるけど……
ギルドのマスターは、すぐ見破らないといけないだろう?
私たちも、会って直ぐにバレてたみたいね、明美の所為で……
その話、詳しく知りたいな!!
え、ええと、
次回
第33話 捕まって……
お義姉さま達のつらい過去を……
裏で明美が関与してるのね。




