21話 録画の準備、そして、出会い……
ウエーザー山脈の麓に着き、広大に広がる森を
高台から、
俺たちは、幌馬車から降りて見下ろしている。
恭子が、森に隠れているドラゴンを見つけて
「勝人! 森の木々に溶け込むように擬態魔法で
眠ってる!!」
恭子が指で指している所を見て……
「あれか、昼まで眠ってるんだよな……明美!!」
明美の方に体を向けながら叫んだが、明美は
アクセルソレルホースのスピルに、木のバケツに入った水を
地面に置いて、飲ましていたので、
再度、大声で
「眠ってるんだよなぁぁぁ!!!!」
明美は気が付いて、俺の方を見てから、
「ええ、そうよ」
「よし、擬態魔法を解除してくれ!! 一気にカタをつける!!!」
だが、その決意を遮るように……
「待って!! 眠ってるドラゴンを倒しても動画としては、つまらないわ!!!」
恭子が言うが
「俺は、危険がない方がいい!!! 前に撮った、ドラゴンで十分だろう!!!」
と力強く、右拳を恭子に見せて言い、
「前は、前よ!! CG風に加工するけど、大きさも違うし、
無理よ!!!」
「どうせ、見る奴らにはわからないんだ!!! 怪我したくねぇ」
「怪我しても治すんだから、頑張りなさい!!」
明美もこちらに来て、
「せっかく制作したのにぃぃぃ、剣の性能を出せずにぃぃぃぃ、
終わらせるのはぁぁぁあ、いやぁぁぁああよ!」
おねだりするように、上目づかいまでして、エリナのように……
「わかったよ!」
「フ、フフッ……ありがとう」
気を取り直して、もう一度……
「解除して、一気に行くぞ!!!」
恭子が、また
「待って!!ビデオカメラの設置が、まだだから!!!」
それを聞いて、
笑いだしてる明美を睨みしつつ、恭子に
「そういうことは、先に行ってくれぇぇぇぇ!!!!……」
俺を使って遊んでるだろうなと思いつつも、
こいつらには勝てないんだからと思いながら、
「疲れたなぁ……さっさと設置しようぜぇ!!」
明美が、ビデオカメラを皮袋から出し、三脚を出して
恭子と設置場所を決めながら話していると
明美が、4、5km先の街道が森の中に消えていく
境界線に止まっている馬車を見つけて
「ねぇ……あれって、馬車があそこで止まってる?」
「よく見えるなぁ……魔法か?」
「そうよ、感知したっていう感じだけど……」
恭子が、1台目のビデオカメラを設置しながら
「まずいわねぇ。ここに来るには、あの街道しかないから、
私たちが、どうやって来たとか、どこで追い越したとか
聞かれたら……」
「ワープで来ましたって言えないしなぁ……」
「あの人達の所に行って、追い返してくるわ!
その間に設置、終わらしておいてね」
明美は、この場から、
幌馬車が止まってる街道から少し離れた
木の枝の上に瞬間移動をした。
周りを見渡して、降りている人数は4人で、幌馬車の中には
人がいないので、4人で来たようだ。
リーダー格の男は、剣と盾を持ち、鎧はポールドロンとキュイラスで
後は、ダブレット、長ズボン、手袋、ロングブーツで、
あどけなさを残しつつ、引き締まった顔で、年齢は私より上。
剣士は、髪を短くしているが女性で、格好は、男と同じである。
目は切れ長で、クールな印象の顔で、私より年齢は上で、
私の方がスタイルは上よ!
ローブを着た男は、魔術師で、堀の深い顔で痩せている。
最後の1人は、杖を持ってるので魔術師で、ダブレット、長ズボン、
ブーツで、腿まであるマントを身に付けている。年齢は私より下で、
10歳くらい。ローブを着た男の弟子だろうか。
4人が話してるのを聞くと……
「この森の中にいるのですか? 殿下」
「ああ……カードル。村を襲ったドラゴンの匂いが……な」
剣を鞘から剣を抜き、剣を森の方に指して、
「ドラゴンを倒す!!」
その言葉に困った剣士は、
「殿下、我々は居場所の探索であり、討伐ではありません」
「何時また、村や都市を襲うか分からないんだ!
それに、この剣は、あいつの炎を斬れる!
リストォラとカードルの援護で勝てるはずだ!!」
剣士に、リーダー格の男は剣を見せて言うが、
「殿下! 奴に魔法は効きません! それに
リストォラの剣も砕け散っています……
ローブを着た男は、刃が無い剣を見せながら言い、
更に、「殿下の剣も、このように……
剣士はローブを着た男の言葉に続いて、
「近衛騎士団を待って、一緒に……」
「待つ必要はない。この剣で倒せる!!
その剣のようにはならない!!」
「サァブデュゥードゥのように、ドラゴン対策の装備を……
「お前たちは援護だけで良い!」
と、はっきりと言うリーダー格の男に、
「殿下を死なせたくありません!!」
と涙を流しながら言う剣士を、リーダー格の男は抱きしめて、
「あっ!」
と声を漏らし、リーダー格の男を見る剣士に、
「ドラゴンには遅れをとらん!!
倒せないまでも、羽は……
剣士はリーダー格の男のことが好きで、戦ってほしくないから、
何とかしようと言ってるみたいだけど、勝人のように、
リーダー格の男が言ってるのが、おかしくって、
思わず笑いだしてしまったので……
「誰だ!! そこにいるのは!?」
居るのがバレて、隠れていても仕方がないので、
木の枝から降り立ち、4人の前に姿を現して……
「あなた達の装備では、ドラゴンは倒せませんよ!
見たところ、商隊と共に来た冒険者で、この国の
王族の方?」
「聞いていたのか。そうだ!! お前は?」
「私は、魔術師で、東方の出身よ」
「杖を持っているので、魔術師だな。それにしても、
幼さを残した可愛らしい顔、銀髪の髪が風でなびく時の
ふんわり感、ローブから見える脚の曲線美、今まで会った女性の中で
一番の美しさだ!!!」
褒めてもらうのは嬉しいけど、剣士が私を睨んでいるので……
「お世辞がうまいですね」
「違う!!! お世辞ではない!!!!
私と結婚しろ!!!」
今、なんて言ったのか、私は把握できずに、その場に立ち、
「「 殿下!!!! 」」
と言う2人と、私と同じように、
マントを見に付けている子が、把握できずに立っていた。
設定書
ヴァリータ・デ・ラ・ロサ・ブリジャンテ(輝くバラの杖)
天理明美が、アス村で制作した魔法の杖。
長さは80㎝くらい。バラの花の形をした台座に
直径8cmくらいの魔法石が乗っているシンプルな杖。
柄部分にも数個の小さい魔法石が埋め込まれていて、
大気中の魔素を取り込めるようになっている。
特長
初級レベルの魔法を最高レベルで放つことが出来る。
台座に乗っている魔法石から光の刃を出して、槍として使用可能。




