幕間3 リーフ街……
朝食を終えた俺たちは、テントの片付けをした後に、
今日の目的地【リーフ街】に向けての準備に入っている。
馬を箱車に繋げて、商人たちが馬車に乗り込むと
ゆっくりとリーフ街に向けて出発した。
俺たちはリュックサックを担いで馬車の後を追いかける。
魔物も出現しなかったので順調に街道を進み、
リーフ街の時計台が午後2時を指す前に到着した。
リーフ街はリーフ男爵が治める街であるが、
外壁などを見ても王都より大きいんじゃないかと思うほど
向こう側が霞んでいる。
「凄いな……
俺の呟きに、
「そうだな、ジース王国発祥の地だけある」
俺の方に近づいて小声で言うトーラントの言葉に
初代ジース王の父親リーフと母親の神メホーラが
住んでいた土地だけのことはあるなと感心していると
「リーフ街には馬車を止める場所が無いそうだ!
雇われども! テントの準備!!」
王都の商業ギルドマスターのテードルが声を上げて言うので
王都より大きいのに馬車が入れないのかと驚いていると、
テードルの御付きが、雇われた者たちの女性陣に声を掛けていて
承諾した女性たちがテードルたち商人と共に
リーフ街に入って行ったので、今日の夜に泊る宿で女性たちと
ニャンニャンするのだろう。
テードルの御付きがリストォラにも聞いてくるので
「殿下と共に過ごしますから」
断ると、「お金を弾みますが……
言われても断って、御付きは諦めてテードルの後を追った。
雇われの者たちのリーダーをしているテードルの配下の
ザッツアックが今後の予定を話してくれた。
内容は、テントを張って明日まで過ごすこと。
食事は、前金で払っている御金からリーフ街の食堂で
食べること。
「食事の材料は十分ありますが?」
カードルがザッツアックに聞くが、
「許可が下りなかった」
その言葉に肩を竦めていた。
「なぜです?」
俺が聞くと、
「魔物が嗅ぎつけて来るといけないそうだ」
「それくらい俺たちで……
「揉め事は良くない、此処の商業ギルドとの
交渉に影響する」
「何の交渉ですかな?」
俺の言葉を制してザッツアックが言うことに
カードルが質問すると
「アス村の権利についてだ」
「それで、女性陣を?」
トーラントも話に加わって先程のテードルと共に
リーフ街に入った女性たちで、リーフ街の商業ギルドに
色仕掛けで交渉をスムーズにする為かと
「嫌だけどな……
ザッツアックに聞くと、眉間に皺を寄せて
吐き捨てるように言うので、
「恋人でしょ! リスねぇとパクにぃのように……
ケンタがザッツアックに寄り添って歩いている女性との
関係を俺たちに例えて言うと、苦笑いしつつ、
「主人には逆らえないよ」
ザッツアックが言うので、トーラントが
ザッツアックに近づいて何か一言いった後に、
「そのつもりだ!」
2人は拳を軽く当てて笑っていた。
俺は其の間、遥か西の方のダァーツ帝国を見ながら
「丘の山の向こうに……
初めて行くダァーツ帝国で製作されている
ドラゴン・カッターを御金が無いが買いたいなと
思っていると
「王子……
ザッツアックが俺に言うので、バレているし今さらなので
「なんです?」
「ダァーツ帝国に今から向って下さい」
耳を疑う言葉を言うザッツアックに、
ベターラ、リストォラたちが驚いているので、
「なぜ?」
「テントを張っていて気が付かなかったと……
俺を殺すのを諦めるので逃げてくれと言うので
「俺も冒険者だ! 完遂したい!!」
「王子が強くても……
ザッツアックがトーラントを見た後に
「数で勝ちます! 此処までは味方です!!」
俺を睨んで語気を強めて言うが、
「アス村では敵同士だな」
「……王子」
それでも俺は罠と知って受けているので逃げるわけにはいかない。
ザッツアックは苦虫を噛んだような顔で自分の提案を
受けてくれないのかと言葉を発するので、
「なぜ心代わりを?」
カードルがザッツアックに聞くと、魔物が襲ってきた時に
ザッツアックたちを助けたこと、先に逃がしたこと、
的確な指示で魔物を倒したことで、俺がジース王国の王になれば
未来が明るいと感じたらしい。
俺が王に成らなくてもリストォラとの間に子供が産まれて
其の子が王に成れば未来が開けるのではと思っての行動らしい。
「買い被りだな、俺は無能だよ」
「王子、貴方を無能と言う者は、主人も私たちもいません!!!」
ザッツアックに言うと反論されたので、
「明日の夜か?」
「えぇ、薬を使って寝かしてから……
俺を殺す計画を聞くと、
睡眠薬で眠らしてから襲うと言うので、
「テントを張ったら自由行動で良いか?」
明日は明日の風が吹くと言う感じで言うと
ザッツアックは頭を掻きながら、
俺を大物だと言う目で見据えてから
「はい、殿下。 明日の集合は8時でお願いします」
地面に跪いて俺に言うので、
「分かった! 俺は冒険者のパクオットだ!」
他の者たちも跪いているのでクスッと笑ってから
ザッツアックに言うと、
「それでは今まで通りに……
「立ってくれ!!」
王都からの関係で行くと言うザッツアックに
地面から立つことを許可をして、ザッツアックに右手を出すと
一瞬驚いたが、フッと笑ってからザッツアックも
右手を出してくれたので握手をした。
「それじゃ、テントを張った後は自由行動だ!!」
全員に号令をすると
「「「「「 はっ! 殿下!!! 」」」」」
ザッツアックたち、トーラントたちが右腕を曲げて
右拳を胸の前に持って行き、俺に向けて承諾の言葉を言って
テントの作業に入って行った。
作業も終わり、まだ日が射しているのでリーフ街の
冒険者ギルドに行くことにした。
行くのは、俺とリストォラ、トーラント、ベターラの4人である。
カードルはケントの魔法の練習に付き合うので馬車の所に留まり、
ザッツアックたちと模擬戦もするそうだ。
リーフ街に入る西門の詰所で入街料を4人分払って中に入って行った。
入街料は小銅貨1枚(日本円で1000円くらい)である。
街に入ると東側に馬小屋がありアクセルソレルホースが
柵の中で干し草などを食べている。
アクセルソレルホースは魔物であるが人に飼育された魔物である。
魔物なので、テードルが使用している馬より食事が安く済み、
体力もあるので多くの場所で活躍している。
少し歩くと此の街の地図が貼ってある掲示板を発見して
眺めると、今から行く冒険者ギルドの建物が街の10分の1を
示しているので、
「奪いたいのが分かる……
「えぇ、リーフ男爵から守り通した神が降臨した地」
冒険者ギルドの土地を摂取すれば膨大な土地が手に入り
建物などが新たに建てられ人口も増えるので税金の収入も上がる。
その思惑に抵抗した冒険者ギルドが未だに存在していることに
ベターラは神が降臨した土地と言って両手を合わしてから目を閉じて
其の土地を守った冒険者ギルドマスターに感謝の念を
送っているのかも知れない。
そのギルドマスターに会えるか分からないが、会いたいと言う
気持ちが昂る中で、冒険者ギルドに向けて歩み出す。
道沿いには露店が立ち並び、王都より活気ついているのが分かる。
「凄いなぁ……
「そうだな、ダァーツ帝国との貿易が上手く言ってるからか?」
その光景に驚いている俺にトーラントがリーフ男爵と
ダァーツ帝国の関係を含みながら言うので、
「直接、取引したいのも分かるな」
「上手くいくか?」
その関係を壊すためにジース王は王都の商業ギルドを派遣して
ジース王国とダァーツ帝国は友好国では無いが、
リーフ領が間に入らない貿易をすることのメリットが大きいと
判断して、アス村の権利を習得するために王都の商業ギルドは
リーフ街の商業ギルドとの交渉に入っている。
アス村は資源の宝庫と言う感じなので
リーフ街の商業ギルドも簡単に権利を渡さないだろう。
「お色気で……
トーラントが聞くのでニャンニャン作戦で行くかもと言うと
「2割取れれば良い方か?」
「じゃないか、ジース王国と戦いなくなければ……
フッと笑ってトーラントが言うので答えたが
ダァーツ帝国がリーフ男爵を手の平で踊らせて、時期を見計らって
ジース王国に反旗を行わせる。
其の隙にジース王国にダァーツ帝国が攻め込み、
ジース王国を占領する可能性もあるなと思いつつ俺には関係ないかと
露店で果実を見ているリストォラとベターラに歩み寄り、
「買うのか?」
「栗はどうですか、アス村に行く間に……
リストォラが俺に栗を見せるので、
「1袋いくらです?」
「小銅貨で3枚だね、見かけない顔だね」
露店のオジサンに袋詰めされているのを見ながら聞くと
俺たちの顔を見ながらオジサンが答えるので、
「王都から初めて来ました」
小銅貨18枚をオジサンに渡して言うと、
「ダァーツ帝国から?」
その言葉に苦笑いしてから
「ジース王国の王都です」
俺が言うと、謝るような感じで
「ダァーツ帝国から冒険者、騎士たちが来るから……
オジサンが言うので、
「近いとはいえ、どれくらいで?」
トーラントが聞くと、
「毎日だね、ウエーザー山脈に行く途中で寄るという感じだね」
ジース王国の北に位置している未開の地と言われるウエーザー山脈。
此処から巨人や魔物が出現して俺たちの国や町に襲来する。
その為、ウエーザー辺境伯爵が監視をしている。
冒険者ギルドもAクラス、Bクラスが集まっている。
冒険者にとって稼ぎが良いのもあるだろう。
ジース王国はAクラス以上は居ない。Aクラスは
罪を擦り付けられて、ジース王国の奴隷となり騎士団に
入れられるからである。
ウエーザー辺境伯爵の所は、
ウエーザー山脈があるために例外になっている。
「で、騎士団は?」
トーラントが聞くが、
「男爵と相談だろうね。ギルドを……内緒な」
オジサンはウインクをして言うので、トーラントは
金貨1枚(日本円で100万円くらい)を渡して、
「い、要らない……
戸惑うオジサンに
「余所者の俺たちに話してくれた御礼だ! 遠慮しないでくれ」
トーラントが言うと渋々受け取り
「内戦はコリゴリですから……
「俺たちもさ」
オジサンの気持ちに同調しながら露店を後にして、
「消されるかもと思って渡したんだが……
「そうか、俺たちに簡単に……
トーラントが御金を渡したのは、余所者である俺たちに
リーフ街の内情を教えたためにリーフ男爵に消される可能性も
あるので、此の街から逃げれるだけの御金を渡したと言うが
オジサンは分かってないと思う。
俺たちは栗を割って中身を食べながら歩いて行くと
此の街の冒険者ギルドの建物が見えて来た。
柵の向こうに門があり、その門から入って少し歩くと
建物の玄関についてから其のまま扉を開いて中に入って行く。
玄関ロビーは広く右側の壁の方から声が来るので、
俺たちは其方に向かうと受付嬢が冒険者と揉めている。
揉めている奥に座っている受付嬢の方に俺とトーラントが
向かうと、その受付嬢は俺たちに気が付いて、
「いらっしゃいませ! 冒険者ギルド【スラヴァ・リーフ】へ
ようこそ! 私はルーソアと言います」
ニッコリと微笑む受付嬢に、
「俺はパク、此奴はトラ」
偽名を言うと、「ギルドカードは?」
聞いてくるので、「無くしたから……
「そうですか? 再発行しますか?}
ギルドカードはパクオット・ナールと書かれていて、
辺境の地とは言え、王子だとバレるといけないので
無くしたと言うと新たに製作すると言うので
「王都で……
トーラントが言うと、
「此処には?」
それ以上は聞いて来ない受付嬢から聞かれたので、
「見学です、武器などを……
答えると、揉めている受付嬢の所に行って、
「席を外すから」
「了解!」
俺たちの案内をすることを言うと
揉めている受付嬢は軽く承諾して
受付嬢はカウンターから此方に来る間に
「見かけない顔だな」
揉めていた男が聞くので、
「此の街には初めて来ました」
答えると、その男は俺の身なりを見ながら、
「長いのか?」
「10歳から……
「そちらの兄ちゃんは?」
「騎士失格を押されて、3年ですね」
冒険者稼業歴を聞くので答えると、トーラントにも聞いて
クスッと笑って答えるトーラントに、
「先輩に向かって……
言い出す間に、
「おい! ミウラ!! 終わったか?」
食堂と書かれている壁の向こうから声がして、
其方に向かいながら、
「出せないと! ムクバードを依頼より多く倒したのに!!」
愚痴を言いながら食堂に入って行った。
「お騒がせしました。それでは案内します」
受付嬢が俺たちに詫びを入れてからギルド内の案内が始まった。
まずは、リストォラたちが居る玄関ロビーに戻り、
「改めまして、冒険者ギルド【スラヴァ・リーフ】で
受付嬢をしていますルーソアです」
受付嬢が自己紹介をするので、
「パク、トラ、リス、ベタだ」
俺からトーラント、リストォラ、ベターラを紹介すると
「略すより、偽名を考えた方が良いですよ陛下」
陛下と言うので驚いていると、受付嬢がリストォラの前に行くと、
「王妃さま、見えてなくても不意に見える場合がありますので……
スカーフをリストォラに渡して、
「首に巻いてくださいね」
リストォラは戸惑いながらスカーフを首に巻いているのを
微笑んで見ている受付嬢に、
「なぜ、陛下や王妃と!!?」
トーラントが鞘から剣を抜き受付嬢に向けようとすると
「納めなさい、沙良の部下の
トーラント・ニアル・ジルバーク・フォン・ウーレン」
受付嬢の目が黄金色に光って言うと、
「ワカリマシタ、ルーソアサマ」
跪いて言うトーラントを見たベターラが
「トーラントに!!」
怒りの声を出して杖を構えるが、
「剣を向けたから、貴方も……
杖を床に置いて跪いて、
「シツレイシマシタ、ルーソアサマ」
ベターラが言うので
「お、お前は……
震えて声を出す俺に、
「今は知らない方が良いですわ、陛下」
微笑んで言う受付嬢に
「なぜ、陛下と?」
「フフッ、其のうちね」
質問をするが、受付嬢は答えずに
「トーラント、ベターラ、沙良には今のことは言わないように」
「「 ハッ! ルーソアサマ!! 」」
地面に顔を近づけて言うと2人は立ち上がり、
「トーラント、大丈夫か?」
「何が!?」
俺はトーラントに体をくっ付けるようにして耳元で
奴隷のような感じで受付嬢に従っていたので聞くと
何事も無いように聞くので、
「受付嬢に跪いて……
「可笑しなこと言うなよ、離れてくれ!!」
今起こったことに対して知らない感じで、気色悪いからと
トーラントが右腕を動かすので離れてから
ベターラにも小声で聞くと、
「何を? 殿下?」
ベターラも知らない感じで、そう言えば
大声を出していたにも関わらず
誰も来ないので、普通は騒動があれば来るだろうと
周りを見ていると
「陛下! 時間を止めていました。この世界の神メホーラも
止まっていますから、陛下と王妃さま以外で私の力を知る人は
3人しかいませんわ」
黄金色の目で俺たちを見るので、其の言葉でトーラントを見ると
息もしていない。時計の針も止まっている。
受付嬢の巨大な力に怯える俺たちに、
「私たちは保険です。未来から若いころの陛下を
見に来ただけです。安心して下さい」
優しく言う受付嬢がフッと笑うと、
「それでは、掲示板の所に……
リストォラも俺も時間が動いたことを感じて
顔を見合していると、
「ぼうっとして、どうした?」
トーラントが言うので、
「いや、行こうかリストォラ!」
「は、はい、陛下!」
俺はリストォラに一緒にと言うと殿下ではなく陛下と言うので、
「殿下だろ!」
「す、済みません」
何時も言っている殿下だろと訂正してくれと言うと
謝るので、
「東の大陸で王に成るのかな」
「大統領になってくれよ」
小声で言うとトーラントが耳元で言うので
「先は分からないよ」
「お前なら成れる!」
明日も分からないのにと言うと、トーラントが俺の背中を
叩いて言うので、俺はトーラントを睨みながら、
「けど、ナーラサ、いや沙良には会いに行く」
「沙良って……
「私は言ってないわ」
俺の言葉にトーラントは戸惑い
ベターラは立ち止まって戸惑い言うが
「早く来て下さい!!」
掲示板の前に居る受付嬢が催促するので
後から考えようとトーラント、ベターラも
掲示板に向かった。
受付嬢は掲示板を見ながら、
「この掲示板には、冒険者のクラスごとに分かれた
依頼書が掲示されています」
何処の冒険者ギルドでも同じなので受付嬢の話を聞きながら
掲示板に貼られている紙を見ると、コットンを叩いた物、
木の皮などで書かれた物、何処のギルドでも使用されている
竹紙は、大鉄貨1枚(日本円で100円くらい)なので、
この掲示板に貼ってある竹紙の依頼書は3枚だけ残っている。
「Aクラス、Bクラスは無いんですね」
掲示板にはCクラスまでしか張って無いので聞くと、
「我がギルドはCクラスまでで、Bクラス以降は
隣のダァーツ帝国かウエーザー市の
冒険者ギルドが担当しています」
受付嬢は話してくれたが、
「分ける理由は?」
トーラントが質問するので、フゥゥッと受付嬢は
溜息をついてから、
「マスターが決めたんです。で、高額の依頼が無いので
貧乏ギルドです」
ギルドマスターの行いのためと言うので、
「ギルドマスターに聞きたい! 居るか?」
その理由を聞きたいと思い言うと、
「新しく入る方の面接をしてますから……
「終わってから」
「聞かない方が良いですよ」
受付嬢が嫌そうな顔で言うので、どうやら理由は知っているが
言いたくないらしい。
「此の街にもAクラス、Bクラスの魔物や動物は来るだろう?」
トーラントが受付嬢に聞くと、
「その時は、たまたま此のギルドに来た方にお願いします」
「報酬は?」
「ウエーザー市の冒険者ギルドから出ますから」
「どうして?」
俺たちみたいに寄った者に依頼をするらしいが
タダでは誰もしないので何処からと聞くと出す所を言うので
理由はと聞くと、
「ウエーザー山脈から来る魔物ですから……
「どんな時です?」
未開の地のウエーザー山脈からと言う受付嬢に
ベターラが聞くと、額をピクッと動かして、
目つきも鋭くなり、言いたくないけどと言う感情が
現れているが、
「そうですね、2週間前にオークが辺境伯の領土に出現して
辺境伯が治める領土の各ギルドから討伐に向かいました。
18匹のオークに襲い掛かり5匹を倒しましたが
重傷、軽傷を含めて冒険者のパーティーは壊滅して
13匹は取り逃がし、また2匹が合流して
向かう先はリーフ街の方と分かり、我がギルドマスターが
冒険者を集い討伐に向かいました」
「それで?」
「オークと遭遇し、戦闘になりました。
ギルドマスター率いる冒険者たちは善戦しましたが
乗ってきた馬車を破壊されて、オークは逃亡……
「馬車が無ければ……
「はい、どうやらエク・オークが指揮をしてるようで
魔法も使い、地面を削り……
「頭が良いな」
「通信石で此方に連絡があった時に、1ヶ月前から
冒険者を始めた少年少女が受けると言うので、
私はFクラスで駆け出しで、死ににいくつもりと
強く言いました。
そしたら、赤髪の少女が、「たったの15匹!
軽く叩きに行きましょう」と言うので、私は甘く見るな!と
強く言うと、「オークごときで、叫んでいるの」と、
駆け出しのくせに、後の3人も、
「恭子!お前だけでするなよ」「残すから……
「オークの肉って」「まずいんじゃないかなぁ、薬なんかで
使えるかな」とか、討伐した後のことを言うので、
私は、カウンターを叩いて、死にたいなら行きなさい!
報酬は無しよと、言ってやりましたわ!!」
壁をドンドンと叩いて怒りながら言う受付嬢の姿に
「ハハハ……オークが可哀そう」
トーラントが渇いた笑みで言うのを聞いて
「冷や汗かいてる?」
「あぁ……結果は聞かなくても……
オークを討伐した少年少女の力はFランクでは無いのが
トーラントの動揺で分かる。その少年少女は朝になったら
消えた村の者たちだろうか?
「それで、其の子たちに?」
リストォラが受付嬢に聞くので、
「今日も来てますが、丁度運よく英雄のバムが現れて
オークを倒すことは出来ないが追い返すことは出来るだろうと
少年少女と組んで、バムが依頼を受けて向かいました」
「其のバムと言う人は?」
ベターラが聞くと、受付嬢は嫌そうな顔をして、
「女の敵です。すぐ触るので……
「でも……
「Aランクの冒険者ですが、酒癖も悪いので……
バムの説明をする受付嬢にベターラも嫌そうな感じで
言おうとすると、バムは酒癖も悪いと受付嬢が言うが、
俺からすると冒険者をしている男って言う感じで、
先程、食堂から聞こえた声がそうなのかと思うが
女性にとっては嫌がるか?
「それで、討伐に……
俺が其の後の話を聞きたいと言うと、
受付嬢は気を取り直して、
「信じられない話ですが……
俺たちに黄金色の目ではなくブラウンの目が嘘じゃないですよと
訴える感じで見て来て、
「信じるよ」
トーラントが言うと、受付嬢はフッと笑ってから
「バムも在り得ないと言ってましたが、オークを銀色の髪の少女が
動きを止めて、其の隙に赤、赤髪の少女が一瞬で倒したそうです。
私も聞いていて、動きを止める魔法なんてあるんですか?」
逆に俺たちに質問する受付嬢に、
「ええっと、氷の魔法で動きを?」
ベターラがオークの動きを止めたのは氷の魔法でと言うが、
「空中で止まったりしたそうですよ」
信じられますと訴える受付嬢に、カードルが此処に居れば
詳細が分かるかもしれないが、
「時を止めたんだな。オークの」
トーラントが言うので、時間を止める魔法か?
魔導書にも書かれていないはず。出来るなら神以外いないだろう。
その銀髪の少女が、俺と王宮で会った少女に間違いないと思いながら
目の前の受付嬢をジッと見てから、
「君は、神なのか?」
受付嬢の目は黄金色に変わっていて、周りも止まっているので
思ったことを言うと、
「眷属です! 未来から昔の私に憑依してるけど」
口元に人差し指をつけて受付嬢が言うので、
「少女の名は?」
「フッ、其のうち分かるわ」
勿体ぶりながら言うので腹が立つが、
時間を止められる相手に勝てるはずも無いので
「分かった……一瞬で倒すならギルドでも……
少女に会ってから直に聞くことを言うと時間が動いたので
少女たちの力がFランク、いや規格外なら王都でも話題になるはず
なので受付嬢に聞くと、
「バムに俺が言うなと言ったのさ!」
女性と共に俺たちの所に来た男性が言うので
「貴方は?」
「このギルドのマスターのツヴァイセル・フルツ」
俺に右手を差し出しながら言うので、俺も右手を出しながら
「コメットです」
名前を言って、ギルドマスターと握手を交わした後に、
「なぜ、言うなと?」
肩を竦めてから
「神様が倒してくれましたと言えるか? バムも
広めたら終わりと思ったようで、俺と受付以外には
言っていない」
ギルドマスターが言うので、言ったところで神が本当に居ると
俺も思っていないし、言われても時間を止めることなど考えないし、
言ってる者の頭が狂ったとしか思わないだろう。
たが俺は、目の前の受付嬢の行いで分かっているので信じる。
「そんな話を俺たちに言って良いんですか?」
ギルドマスターに聞くと、
「君が信じると思ったんだろう、ルーソア」
受付嬢に聞くので、
「なぜか、この人たちには……
御免なさいと言う感じで顔を斜め下にして目だけを
ギルドマスターに向けて言うので、
「そうか、優男、女性2人の名を聞きたいが」
怒らずにトーラントたちに名前を言ってほしいそうで、
「俺は冒険者でAクラスのトーラント……
自分の名を言うトーラントがベターラに目で合図をして、
「魔術師のベターラです」
ギルドマスターに御辞儀をして言った後に
「リスです」
俺がリストォラに左手を向けながら言うと
ギルドマスターに向けて御辞儀をした後に
「俺の横に居る女性は、明日から此のギルドで受付をする
ティーナ・ウエスギ」
ギルドマスターが胸が大きい女性の名を言うと、プルンと
胸を揺らして御辞儀した後に、
「王都で服問屋をしているウエスギ家のティーナです」
「ウエスギ?」
王都にウエスギと言う名の店は無いはずで、東の大陸に
行っている間に出来たのか? 問屋をしているなら
ジース王の許可が居るはず。そう簡単に店を出せないはず。
それにウエスギと言う名前は、東の大陸で似たような名で
エスギ、ウスジなら聞いたがあるなと考え込んでいる俺に、
「ウーレン共和国からジース王国の王都に3年前から……」
胸が大きい女性が言うので、
「ウーレンじゃ大きな店で、ジースに支店を出してるとは
知らなかったなぁ」
取ってつけたように言うトーラントの補足に
「ウーレンとの結びつきを強くしたいと言う思惑だろうな」
ギルドマスターが、王都【ジース】に支店の許可をした
ジース王の真意を言うので納得していると、
「パクオット殿下は、このギルドに何用で?」
ギルドマスターが俺に言うので、
「殿下? 俺が……
違いますよとアピールするように言うが、
「Aクラスの冒険者は此の世界に多くは無い……
俺を観察するように見て言い出すギルドマスターは、
「気になる奴は調査をしている」
「調査をして……
「王都に行くなと言うな」
「それは……
「知っているだろ、殿下なら」
「奴隷か?」
「そうだ、後は男爵との衝突時の時に
一緒に戦ってもらう仲間集めだな」
調査によって俺の身分や
多分、トーラントたちの素性も知っているのだろう。
そして、このギルドにAクラス、Bクラスの依頼が無いことも
分かった。冒険者をジース王国の奴隷にしない為に。
このギルドマスターは相当なやり手で、
一国の王に成れるくらいの素質がある。
「ルーソア、そろそろ夕食の時間だ!」
「そうですね」
窓から外を見ると暗くなって来ているので、
ギルドマスターが言い出すと受付嬢は外を見ながら返して、
「冒険者や街の方が来るが、ティーナも顔見世で
手伝ってくれないか」
「私、箸より重い物は……
胸が大きい女性が困ったように言うが、
「剣や盾よりは重くないから」
ギルドマスターが大丈夫と言うと、ギルドマスターに
胸の大きい女性がフッと笑ってから、
「お見通しね」
「何が?」
ギルドマスターに意味深く言う胸の大きい女性に、恍けるように
ギルドマスターが言うと、フフッと2人は笑った後に、
「ウーレンの同郷だろ、食堂で話すと良い」
トーラントにギルドマスターが言うので、
「そうだな、ウエスギさん」
「そうですね」
頷く胸が大きい女性から俺たちに振り向くギルドマスターが
「何用で、此処に」
再度、このギルドに来た目的を聞くので、
「見学です」
答えると、「ルーソア、後は俺が……
胸が大きい女性をチラッとギルドマスターが見た後に、
「ティーナは俺の嫁と冒険者たちに言いふらしてくれ」
ギルドマスターのとんでもない発言に驚く俺たちから
「女嫌いのマスターが?」
目をパチパチしながら言う受付嬢に
「結婚はするだろ、とにかく冒険者の安全が大事だ!」
理由を言うが、胸が大きいだけの令嬢の方が冒険者の餌食に
なる感じなのに、ギルドマスターは逆のことを言うのは
何故かと考えていると、
「なるほど……
トーラントはベターラと目を合わして呟くので
「分かるのか?」
「えっ、何が?」
分かったなら教えてほしいがトーラントは惚けるので
「リスは分かるか?」
「私は貧乳ですよ!」
リストォラも分からないだろうが聞くと
何を言うのかと思うが、
「リスの胸は綺麗だよ」
リストォラの耳元で言うと顔を赤くして両手で顔を隠して
窓の方を向くのをギルドマスターたちが微笑んで見ているので、
「ど、どうしました?」
朝のリストォラの生まれたままの姿を思い出して言ったことに
リストォラ同様に頬が赤くなっている俺は動揺しながら言うと、
「2階の客室を貸すから、抱けよ!」
「そ、そそそそ……
ギルドマスターの言葉に更に動揺していると
「邪魔者は退散、退散しましょうか」
胸が大きい令嬢が言うので、受付嬢、トーラント、ベターラを
連れて食堂に行くので、
「俺も行く!!」
行こうとするとギルドマスターに肩を掴まれて、
「見学だろ、案内する」
苦笑いしつつ、
「はい……
俺は答えて、
「と言っても、時間も無いから武器を見せるくらいで、
客室もだな」
「客室は良いです! 別々の部屋で!!」
「両想いなら、俺の様になるな!」
見学場所と抱き合う為の客室を見せると言うので、
全力で断ると、好きな時に抱けと言うギルドマスターは
アッとなって武器のある部屋に行こうとすると、
「どうしてです?」
リストォラが上目遣いでギルドマスターに聞くので、
「駆け出しの時に助けてくれた女性と、言い寄って来る女性と
比べてな、未だに……
何を言っているんだと頭を抱えるギルドマスターに
「もしかして、その年で……
リストォラの鋭い指摘に
「ノーコメントだ!」
建物の端にある部屋の扉を開けながら
嫌な質問をするなと言う感じで言うので、
「どんな感じの女性ですか?」
「聞くのか?」
扉を開けて中に入るギルドマスターに続いて入ると
フルプレートアーマーも展示されていて、ジース王国の辺境の割に
品揃えは良い方だ。
陳列している盾、剣などにミスリルが使用されているのを見る前に、
「どんな女性だったんです?」
リストォラの問いにスルーしていたので俺が改めて聞くと
「銀髪の女性だよ、いい歳だと思うけど
それ以降は会っていないけどね」
「翼とか……
「さぁなぁ、来ていたのに……
銀髪と聞いてギルドマスターの恋の相手は少女であり、
オーク討伐の時に会えなかったことを呟くギルドマスターに
「貴方とはライバルだな」
「何の?」
惚けるギルドマスターの耳元で
「神なんだろ、少女は……
言うと、部屋の隅に移動して、
「お前もか、あの子はどうするんだ」
小声で同じ少女であることを確認した後に
リストォラとの関係はと聞くので、
「今のままですが」
俺の首の後ろからギルドマスターが右腕を回して
首を絞めるようにしながら
「俺のようになるな! 王子なら一夫多妻オーケーだろ」
「抱こうとすると……
「顔に浮かんで抱けないと」
ギルドマスターのように誰も抱くことのないまま
年を過ごすことになると注意されて、
更に俺がリストォラを抱けない理由をズバリ言われて、
「仕方が無いでしょう! 無能から有能に変えた女性ですよ」
「ほう、詳しく……
俺にとっての人生の転機になったことであり、
今まで忘れていても心の隅で少女を想っていたことであり、
恋敵に言いたくないので嫌がっていると
「男同士で……
リストォラが私の存在を忘れていませんかと
少し怒り気味に言うので、
「同じ趣味の殿下と此れから仲良くなと
話していたんだよなぁ、パクちゃん!」
ギルドマスターが言い訳を言うが、何がパクちゃんだ!
「ツヴァイさん! 同じ少女愛好家として!!」
何を口走っているんだとギルドマスターに頭を叩かれて
「私、私……年増で……
泣きそうなリストォラに
「君のような勇敢な女性騎士愛好家と言おうとしたが
君を見てパクちゃんは愛していると自覚して
間違えたのさ」
ギルドマスターがフォローをすると
「殿下……
涙目で見て来るリストォラに
ギルドマスターはキチンと言えと目で見て来るので、
「リストォラのことは好きだ!……
俺が言うと嬉しそうに見て来るリストォラに
「俺には……
言おうとしたら、ギルドマスターに頭を叩かれて、
「そ、そうだ! 此れも縁だ! 剣を上げよう!!」
地面に倒れた俺に、こいつ馬鹿かと馬鹿にした目で
見られた後にリストォラに振り返り、
此の場の雰囲気を変えるためにギルドマスターが言うと
「何で、殿下を?」
不審に思うリストォラに
「恋人もいない、結婚相手もいない俺の前で
ついイラっとしてな」
「殿下を……
少女のことが好きだからと言わせないために俺は頭を叩かれた
理由を誤魔化して言うギルドマスターに
怒りの目を向けるリストォラへ
「今が不幸なら、明日は生き残るよ」
明日、アス村での出来事を言うギルドマスターに
「そうですか、私も殴って良いですか?」
疑問を思いながら納得したと思ったら
誰かを殴りたいというので、床から起き上がる俺を
ジッと見るリストォラが俺めがけて突進して
俺の左頬にリストォラの右拳がヒットして、盾などが
展示されている所に飛ばされて、盾などと共に
崩れ落ちる俺を無視して、
「ええっと、君に合う剣を探そうか?」
引きつった笑みを見せながらギルドマスターが言うと
「殿下の好きな人を……
「アス村からの帰ったら教えるよ」
リストォラも俺に好きな人がいると分かり、
更にギルドマスターの好きな女性と同じだと分かって
ギルドマスターに詰め寄って言うので、諦めたギルドマスターが
戻って来たら話すと言うと、リストォラはフッと息を鼻から出してから
「どんな剣を?」
剣選びに移行したので、
俺は安堵して暫く寝ていることにした。
私はギルドマスターから鞘に入った剣を渡されて、
「俺が錬金師と鍛冶師に頼んだ鉄鋼でミスリル鋼を挟んだ剣だ」
説明を受けながら鞘から剣を抜くと
「輝きもあり、粘り気もあって、刃がミスリル……
今使用しているミスリルの剣より数段上なのが分かるくらい
凄い剣だけど
「タダで良いんですか?」
「あぁ、もし戻って来て男爵と揉めていたら……」
ギルドマスターが言うので、
「南の大陸に行くので……
「もしと言ったろ」
戻らないことを言うと、ギルドマスターはフッと笑って言うので、
剣を有難く貰うことにしました。
気が付いた殿下の所に歩み寄り、
「大丈夫ですか殿下?」
「大丈夫に見える?」
フフッと少し歯を見せながら言うので、
「見えますから」
ガチャガチャと盾などを体から除けながら
「まぁ、ムラサキの物体が打つかっても……
意味不明のことを言いながら殿下は立ち上がり、
「気に入った剣はあったか?」
私は殿下に鞘に入った剣を見せて
「これで、殿下を討ちます!」
宣言すると、
「どういう意味?」
「内緒です!」
殿下が聞いて来るけど言えませんと言って
殿下から顔を背けるとギルドマスターは笑いながら
「2階を貸すから、此れからのことを話し合え!」
言うので、
「私は奴隷で……
「フッ、だったら殴るな!」
「それは……
だって、殿下に好きな人がいるなんて思っていなかった。
ずっと一緒で、私以外の女性の影もなかった。
それなのに、何時から居たのと心から怒りが込み上げて
殿下を殴っていた。
私は奴隷である。奴隷が殿下を愛することなど
烏滸がましいことであります。
だから、殿下が求めて来ても拒否をしていました。
ですが、王都から此処までに想いが、アス村で此れから
起こることで強まり、昨日は警戒の為に服を着て
寝ないといけないのに裸になって添い寝してしまいました。
ただ、誰かに好きなら裸よと言われた為にしたかも……
誰だろう……村長の妻? 思い出せない……
今もギルドマスターに言われて奴隷の枠から
出れない自分を呪います。
シュンとしている私に、
「殴って気が晴れるなら何時でも殴ってくれ」
優しく言葉を言ってくれる殿下に
「分かりました……
微笑みながら言うと、
「食堂で夕食はどうだ?」
「タダですか?」
「同じ趣味同士だ! タダで良い」
ギルドマスターが私たちに聞くので、
殿下が御金はと聞くと奢ると言うので
殿下はギルドマスターと共に行くので、
私も付いて行きました。
少女愛好家という謎の趣味から殿下を救いあげて、
私だけの殿下にしてみせると思いながら
廊下の魔石電灯の光の中を通り、
食堂に向けて歩いて行きました。
俺は厚手のパンの層に幾重にも挟まれた肉、野菜にタレを掛けた
料理を食べながら、エールを飲みながら、バムと言う冒険者が
ウェイトレスに悪さをしているのを見ながら
冒険者の酒場だなっと感じていた。
リストォラはサンドイッチをトーラントとベターラの
アツアツぶりに何時か私もと俺を見ながら食べていた。
食堂での一時を終えて、2階に用意された部屋に
俺とリストォラは通されて、ベットには生まれた姿のままの
リストォラが俺を見つめながら乗っている。
「なぜ、裸に?」
「殿下の趣味を改善したいと……
その言葉を聞いて頭を抱えながら
「趣味じゃなく、初恋だ!!」
俺を無能から有能に変えてくれた少女に
恋心を持っていたことを告げると
「教えてください……
リストォラが初恋のことを聞きたいと言うので
出会いからトーラントから聞いた情報を混ぜて教えた。
「ウーレン共和国に行くのですか?」
「このまま南の大陸に……
俺はリストォラに背を向けながら言うと、
「ナーラサと結婚すれば……
ナーラサこと沙良と結婚をすれば、ウーレン共和国を裏で
支えている少女に会える。
「しない……国同士の繋がりの為だから……
「でも……
貴族、王族なら結婚相手は自分の意志で決められない。
それが普通だが、俺は無能であり、国から追い出された立場であるので
自分の意志で相手を選ぶ。
リストォラに振り向いて、戦闘での傷跡、シミなど、
俺と共に歩んで来てくれた歴史を刻む体を眺めて、
「アス村の件が終わったら、ダァーツ帝国の教会で式を挙げよう……
ベットに座って俺を眺めているリストォラに近づいて、
リストォラの顔を見つめて、リストォラが目を閉じるので
少女が俺にしたようにリストォラの唇に俺の唇を重ねながら
リストォラの体を引き寄せて深くキスをした。
キスを終えて、リストォラから離れてから、
「夜風にあたってくる……
リストォラに告げて、建物の裏口から馬車、馬小屋などがある
広場に出て、夜空を彩る星々を眺めていると、
「リスが頑張ってしてるのに、ヘタレね」
大きめの襟付きのチュニックを着ている女性が俺に言うので、
「アス村の件の後さ! 君は?」
「此の地を治めている男爵の娘……
「本当か? 受付嬢と雰囲気が」
リストォラの件はアス村の後と答えてから目の前の女性の
素性を聞くと、リーフ男爵の娘と言うが、受付嬢の
ルーソアと感じが似ていたために聞くと、
「さすが陛下ね」
「未来から何用で?」
「アス村に行くのかダァーツ連邦に行くのか見る為よ」
簡単に正体を言うが、連邦? 帝国だろと思いながら、
「決まってるんだろ」
「此処が分岐点、未来が変わるわ」
俺が其方に進むかで其の後が変わると言うが、
「意味が分からないな、アス村に行く」
もう決めているアス村に行くと告げると、、
「そう、明日、ドラゴンが来るから行かない方が良いわよ」
ドラゴン、ドラゴン山脈に居るドラゴンが
アス村に来ると女性は宣言をした。
「本当か?」
「本当よ、商隊から離れてダァーツ連邦に向かいなさい」
ドラゴンが襲う場所は、何時もダァーツ帝国内であり、
ダァーツ帝国の冒険者ギルド、騎士団は対ドラゴン用の
装備を備えている。
だが、俺たちは対ドラゴン用の装備は無いので、
この女性の言う通りアス村に行かない方が良い。
「君はどっちなんだ?」
「教えられないわ」
聞いても無駄だと思いつつ聞くと思った通りの答えで、
「最後に聞くけど、未来から来た理由は?}
「保険よ! 忘れているかも知れないから」
来た理由を聞くと、誰のことを言っているのか分からないが
女性は答えてくれたので、
「アス村に行く。少しでも被害を少なくする」
「そう、其れじゃ……バムと最後……
改めてアス村に行くと告げると
女性は俺に微笑んでから小声で聞き取れなかったが
何かを言って、此の場から去って行った。
朝になったら買えるだけのポーションを購入し、
ギルドマスターに、ドラゴンがアス村を襲った後の
支援を相談することを決めて、リストォラが居る
客室へ戻って行った。
はぁぁあ……
フッ……
2人ともどうしたの?
感謝してるが、パクがアス村に行かなければ……
天理に嫌われるようにしていたのに
お兄ちゃん、ツヴァイ、何を落ち込んでいるの?
生徒に手を出しいると言われ、
何時の間にか美女4人に居候されて……
結婚なんか50過ぎでするとは……
そんなことで!
そんなことって、良いか、前世は前世!
お兄ちゃんではなく先生だ!
来世を覗いたアケミが、スゥたちと結婚ねと
ツヴァイと初めて会った時に、此の人って!
前世のお兄ちゃんに会って、運命と思ったもん!!
……前世の御前が悪い!! 言い寄って来る女性と
結婚しなかったのが!!
何を言ってる! 記憶が戻ったなら、教師をしなければ
会わなかっただろ!!
教師をやりたかったんだ!!
なぜ、アス村に行くなと強く言えなかった!!!
前世と来世が私の為に争うなんて!!
争っていない!!
アケミがリーフ街に来なければ……カツトのバッチャロー!!!
俺のせいかよ!
次回
幕間4 襲来、そして……
美里たちは?
パク達と! 高校卒業して、やっとだもん
先生と生徒だしな
堅物!
勝手に家に入り込んで添い寝はしていただろ
先を行きたかった!!
これからは……
うん! で、パクに私が求婚される時って記憶あった?
あったよ! その先のことも知っていたから行かせた!!
教えてくれても……
未来視出来るだろ?
先を知るのは嫌いだから
それで株取引などは勝人の嫁にか?
そう、エリナの場合は覗くだけの未来視だから
そうか、う?
どうしたの? あっ!
しまったぁぁあああ! 結界を忘れた!!
歪が!! 早く着ろ!!
そんな! せっかく!!
下着は良いから!!
おひさぁ!!
マーチネルさん……
お父さぁああんんん!!!!
バムの息子に……
ど、どどっとうしたの、皆さん御揃いで!!
いつ見ても馬小屋以下ね!
厨房が小さいのは……
子供部屋も無いのは……
ワンルームマンションで何を!!
赤ちゃんも連れて
子育てを此方でしようと
貴方と過ごしながら
待て! 前世の俺と結婚はしてるが、俺はしてないだろ!!
そうそう
魂が一緒だから良いでしょ!!
そうよ
違う人生だろ!!
お父さん、僕、嫌い?
き、嫌いじゃないさ! 俺にとってライ、シーラァは
今でも息子、娘さ!!
大きい所に
厨房はギルドと一緒で!
俺は狭い家が好きなんだ!!
たまには戻るけど、赤ちゃんも含めて10人は住めないわ
お兄ちゃんの所で育てるのが……
つかさの所や沙良の妹も此方でしょ!
僕、此方で過ごしたい!
向こうの御父さんは?
仕事忙しくって相手してくれないもん!!
俺もだけど……
仕事量は少ないでしょ
あ、あるぞ! 暇はない!!
する時間はあるでしょ!!
夜の御相手を!
ドリームランドいったのは目の前の御父さん!!
子供を使うなんて……
此処は書斎だから、明美たのむ!!
子供には勝てない、お兄ちゃんのバカァアアア!!!!!




