2話 受付嬢は……
私の名前は、ティーナ。冒険者ギルドで受付嬢をしています。
3日前、アス村にドラゴンが襲い、ギルドマスターのツヴァイセルが、
アス村へ救援に向かうために、冒険者ギルドの職員30人いる内、
20人を連れて向かいました。
なので、受付嬢は3人いるんですが、私1人で、1人で、
受付をしています。それだけ、私は優秀と言うことです。
依頼掲示板の方から、3人の冒険者が、私がいる受付カウンターに、
来たので、私は3人を見渡して、
「いらっしゃいませ! 冒険者ギルド【スラヴァ・リーフ】へ、ようこそ!
何回か、当ギルドで依頼を受けてますよね!」
私は笑みを見せて挨拶をして、銀髪のショートボブの可愛らしい女の子が、
私を見て、なぜか苦笑いしながら、
「……ええ、ここを拠点にしてますから」
と言って、依頼の紙を私に手渡してくれました。
赤髪のツインテールの女の子は、
「私たちは、先に食堂に言ってるわ」
と言い、男の子を抱えながら、
なぜか逃げる感じで、ギルド内の食堂へ向かいました。
この場から離れる2人から、銀髪の女の子に向き直して、
「ギルドカードの提示をお願いします」
銀髪の女の子が、皮袋からギルドカードを出して、
カウンターに置いて、私は書いてある内容を見て、
種族 神 ランク SSS以上 名前 アケミ・ソリュート・……
「……ランクはFですね! アケミさんですね!
名前を憶えていなくって、ごめんなさいね!」
なぜ、偽造した画面を見せないのと思いながら、嘘のランクを言い、
「Fランクですし、1週間ぶりに村から出てきましたので、
受付のあなたとは初めて会いましたから、
謝ることはないですよ!」
すました顔で堂々と言うので、暴露しようかと喉まで出るが、
「ありがとうございます。 依頼内容の説明を致します」
と冷静に対応して、掲示板に貼っていた依頼内容よりも
詳しい書類を机の引き出しから出して、私は説明を始めました。
「ドラゴンの足止めは、王都から騎士団が来るまでです。
ですが、ドラゴンが何処にいるか場所もわかりませんので、
居場所を探すのも含まれます」
偽装Fランクさんを見ると驚いて、カウンターに手を置き、前のめりになって
「居場所が、わからないの????」
と言うので、
「はい、ここから北にあるアス村が襲われ、壊滅状態になり、
その後、その場を飛び出し、どこに潜伏しているかは未確認です。
各ギルドに通信石で確認しても、特定も出来ていません」
お手上げねと言う感じで、
「・・・ギルドでも特定できないのに、探すには無理があるわ」
更に、困った顔を見せなさいよと、追い打ちを掛けるように、
「申し訳ございません。
普通は、ギルドの情報は、冒険者、見回りの職員や、
他のギルドからの情報で、特定できるのですが、
今回は出来ていません……」
「まさか、ドラゴンが擬態魔法か変化魔法を
持ってるっていうの……」
困ったように言い、偽装Fランクさんは考え込んでいて、
「その可能性は高いと思われます。まだ、1頭だけなので
対応は出来ると判断して……
ジース王からの依頼を出していますが……」
私を見ながら、
「……村を襲ったドラゴンの現状は分かりましたが、
他の動きは、どのようになってますか?」
私は地図を取り出して、カウンターの上に広げて置き、
説明を始めて、まずは、隣のダァーツ帝国との国境線を
指でなぞりながら、
「帝国側の門は、すべて閉鎖されています。
帝国内のドラゴンの生息地のドラゴン山脈から
処罰を与えるためにドラゴンが出てくる気配もなく、
ドラゴン専門の冒険者パーティー【サァブデュゥードゥ】は、
帝国で拘束されていて、身動きが取れない状態です」
「・・・群れから出たドラゴンは、仲間でもないし、人が傷ついても
関係ないのは、いつも通りだろうけど、サァブデュゥードゥが
来れないのは痛手ですね。この国の弱体化も狙ってる……か?」
「なので、国境騎士団、辺境伯爵様の騎士団は、帝国からの侵略を
危惧し、動けない状態です」
「それで、王都の騎士団が出ることになったんですか……」
私は左手に持っている、2枚の依頼の紙を見ながら、
その紙から、応対している受付嬢の方に顔を向け、
さらに、カウンターの奥を見ながら、
「他の受付嬢や職員などいないけど、どこに行ったんですか?」
答えは分かっているけど確認のために聞いて、
「昨日、アス村へ救援に向かいました。ギルドマスターも向かいました。
回復魔法を使える冒険者の方、町の魔術師なども向かいました。
アス村からの避難民を迎える準備もしています」
私は、頭の中で、
「この2枚の依頼書は、避難民をリーフ街で見るために、
冒険者ギルド【スラヴァ・リーフ】から出ている依頼で、
ギルドの方たちが対応してるし、冒険者も、
参加してるはずだから、これ以上は不要のはず・・・
王都からの騎士団を待った方がいいということになるわね。
それじゃ……」
私は決心して受付嬢に、
「この依頼は受けずに、王都の騎士団の到着を待って、行動を共にするか、
掲示板で別の依頼を探すか、仲間と考えるわ」
と受付嬢に言って、食堂の方へ行こうとしたとき、
受付嬢が、私が着ているローブを手で掴んで、
「明美ちゃん、あなたのチートな力で、パァぱぁーっと、終わらしてください!」
と、急に言い出し、
「そんな力は.ありません!」
きっぱりと受付嬢に言ったが、受付嬢は、目に涙を浮かべながら、
「お義姉ちゃんは、悲しいわ。力があるのに無いというなんて、
人々が困ってるのを見過ごすつもりなの?」
私に志願する受付嬢に、
「見過ごすつもりはないわよ。騎士団が来て、一緒に行動するつもりよ!」
これ以上は嫌よという感じで言って、
首を横に振ってから、
「それじゃ遅いわ、あなたの、あなたの力で、すぐやって……ねぇ」
さらに、ローブを強く握って言い、
「さっきも言ったけど、力はないわよ!!」
勘弁してほしいよと言う感じで言って、
これ以上言っても無駄だと感じた受付嬢は、
ショルダーバッグ(アイテムボックス型、盗難防止付き)から、
スマートフォンを出して、電話を掛け出し、
「秋人さん、私ティーナで……」
と通話しだしたので、慌てて私は、スマートフォンを受付嬢から奪って、
通話を切って、
「やればいいんでしょ、やれば……ティーナ姉さま!!!」
怒りながら私は言い、ティーナ姉さまは、
「さすが、私たちの義妹、頑張って倒してねぇ♡」
満足な顔をして言うティーナ姉さまがいる
受付カウンターから、重い足取りで食堂に向かい、
食堂の入り口で、受付カウンターの方をチラッと見ると、
ティーナ姉さまは、
右手を出して、Vサインをしているのを見て、
「さっさと恭子みたいに逃げれば良かった」と
私は、思うのでありました。
直ぐ、帰る予定がぁ……
食堂で何か起こるの?
次回、
第3話 男って……
私は、お兄さまだけよ! 他は男じゃないものよ!!
そう言ってるわりに、何話か後で……
え!
下記は、今回の設定ね。
設定書
通信石
ギルドに設置された通信機。携帯用もあり。ギルドのみの特権で、王など貴族は持っていない。
だが、ギルドを情報機関として契約や編入して活用している国もある。
通信機同士は連絡は可能だが、携帯用はギルドにある通信機との間しか出来ず、
他の通信機とは通信は出来ない。
世界に1万しかなく、修理や新たに作ることは出来るが、ブラックボックスの
部分が複製できないので、数は多くはならない。
スマートフォン
神界で使用されているスマートフォン型の携帯。どこの異世界にいても使用可能。前は、念話でしていたが距離が離れると聞こえないなどの問題があり、異世界で開発されたのを使用して、便利だったので、神界で分解、研究により、改良され、発売になり、瞬く間に普及した。