11話 見ないで下さい……
ティーナ姉さまに頼まれ
私は、ギルドの建物の裏にある広場の
右側にある馬小屋に来ていた。
馬小屋には、馬が1頭しかおらず、
他はアス村に行ってるのだろうか……
馬を管理してる人がいないので、あたりを見渡していると、
ちょうど、干し草をかき集めている人がいたので
「すみません、馬車の準備する方、どこにいますか?」
私に振り向き、眺めて、
「うん? ワシがそうだよ」
ピッチフォークを土に刺しながら言ったので、
「受付嬢のティーナさんから、
馬車の準備をしてくださいと
言われたので、ここに来ました」
私の様子を見ながら、
「今、すぐかい?」
「はい、すぐにです!」
「分かった、準備に取り掛かろうか」
作業を止めて、馬小屋の左側の建物へと係りの人は向かった。
その後を、私も続いて行った。
建物の中には、4輪の馬用の荷車が何台かあるが、幌がついていないので
「テント用の帆を雨に濡れないようにしたいので、
荷車に幌を付けれますか」
「出来るよ。今は、わし1人だから、お嬢ちゃん手伝ってくれるかい」
「はい、ティーナさんに、
手伝うことを伝えてきますので、準備をお願いします」
ティーナ姉さまに、荷車に帆を付ける手伝いを言いにいったら……
「手伝うのぉぉ……私の手伝いはぁぁ……1人なのよぉぉぉ……」
「もう人も並んでいないし、手伝いは要らないと思うけど……」
受付の部屋を眺めながら言い、
ティーナ姉さまは涙を浮かべながら
「あんみつ、あんみつ……今度おごりなさい、それで貸し借り無しよ」
「貸し借りは無いと思うけど、スーパー(マーケット)で……」
「ダメよ! 私たちは王族よ……お店に直接、買いに行きなさい!!!」
「スーパーも最近は高級なの置いてるし……」
立ち上がり、私に右手の人差し指を突き出して、
「王族である貴方がスーパーで買うんじゃありません!!
いいですか、他国の人に見られたら何と言われましょうか
わかりますか!!!」
突き出してるのを、右手で払いながら、
「ええ・・と、私の世界には来れないので、何と言われてもいいと思うし、
お義姉さまが遊びに来た時に、
スーパーで、
アイスクリームあるだけ全部買ってたじゃない!!!」
少し後ずさりして、
「あ、あれは、高級品だからいいのよ……
ティーナ姉さまは、しまった! と言う顔をしたので、
私は、勝ち誇ったという笑みを浮かべて、
「と言うことで、スーパーで買ってくるわね」
私は裏口から出て、受付のある窓の方に振り向くと、
窓から、こちらを見ているティーナ姉さまが悔し涙を
流しながら眺めているのが見えて、私に向けて、
「今度は絶対に勝つ!!」と叫び、
「次も私が勝つ!!」私は心の中で叫び、
窓の方を見ると、ティーナ姉さまは、姿が見えず、仕事に
戻ったと思って、馬小屋の方へ向かった。
馬小屋の前で、荷車に幌を被せるための幌骨の木を
準備して、係りの人は、私が来たので……
「じゃ、始めようか」
私は頷き、すぐ近くの柵に、
ローブをかけ、紺のベストもかけて、
白のブラウスの長袖を、肘まで折り曲げながら、
「それじゃ、お願いします」
作業はスムーズに進み、幌を被せるだけとなり、
少し休憩のため、井戸へ水を汲みに行って、
その水を、木のコップに分けて……
木のベンチに、係りの人と私は座って……
「おいしい……井戸って、街の食堂や宿にはありませんよね」
「井戸は、男爵の所か貴族のところだな。
他では禁止にしてるからな。
水は男爵の所から買うか、
雨水を貯める貯水槽や湧き水などを、
魔術師が管理して売ってるくらいだよ」
木のコップに入っている水を見ながら、
「男爵や魔術師の所しか買えないと、値段も……
係りの人は、私の来ている服などを興味深く見ながら、
「井戸の管理をしたいのと、毒物の混入を防ぐというのも
あるから仕方がないよ……
ここの井戸は、マスターが、どうしても作りたいと言って作ったんだよ……
男爵と揉めたこともあったがね」
周りを見ながら、
「マスターは、すごいですね」
「ああ、冒険者の健康も考えたいし、風呂も入って疲れを
取らせたいのもあったから、この王国の冒険者ギルドでは
贅沢なところだよ」
私は風呂と聞いて、シャワータイプかバスタブタイプか考えたり、
今まで行ったことのある中世タイプの世界を思い出しながら、
「この王国は、まだ全部を回っていないので、わからないけど……
いせ……他の街のギルドより高級なところだと思います」
少し笑みを浮かべて、係りの人は
「そう言ってくれると、マスターも喜ぶよ。
お嬢ちゃんは、貴族かい?」
飲んでいる水を口から吹き出しそうになり、
出さないように強引に飲んで
口を手の甲でしばらく塞いで……
「ち……違います……何で……」
「お嬢ちゃんが着ている服が上等な物だろう……」
「冒険者し、してますし、稼いでいますから……」
私の肌など見ながら
「冒険者のわりに、日に焼けてないな」
左手を右腕の二の腕に置いて、胸を隠すようにして
じろじろ見ないでとアピールしながら、
「魔法使いなので、魔法でケアしてますし……」
「杖を持っていない魔法使いは見たことないな」
「ええぇ……なくても出来るんです!!!」
と係りの人の顔の目の前まで、顔を近づけて言うのを無視して、
水を木のバケツから自分が使用してる木のコップに
柄杓で移して、
私は危ないので離れてから、係りの人は一気に飲み干してから、」
「ドラゴンは倒したのかい?」
係りの人の言葉を聞いて、驚いたように目を開き、
係りの人の方に振り向いて、
「今から、アス村に行ってから、探してから……
焦りながら言い、係りの人は冷静に、
「もう、わかってるんじゃないのか」
「わかってないですよ!!!」
私は目くじら立てて、係りの人を見てるのに、
係りの人は、しばらく目を閉じて、何かを考えてるようで、
しばらくして、目を開いて、私に向かって、
「他の冒険者のように諦めていない。 逃げるような感じもしない。
落ち着いている。 余裕がありすぎるよ。
それに、お嬢ちゃんから、とてつもない力を……感じるよ」
と発言した係りの人の口調は、私を優しく包み込んでくれる感じで、
係りの人の目は、優しく私を見てくれていて、
私は腰のあたりに両手で持っている
木のコップに目を移し眺めながら……
「……ドラゴンは倒していないけど、眠っています。
場所もわかっています。足止めは出来てますよ。
証拠は持ってきてませんが……」
「そうか……力のことだが……
ドラゴンよりもあるんじゃないか?」
「はい! あります。でも、Aクラスレベル以上は
力を出さないように押さえてるんです……よ」
「……だけどお嬢ちゃんの横にいると
出て無いんだけど、出てるという感覚を覚えるんだよ」
苦笑いしながら
「そんな人、初めてですよ……
バムでも、そこまでは見抜けなかったのになぁ……」
「亡くなったバムか……Sクラス以上とは思っていたんじゃないかな。
ドラゴンよりとは思わないだろうな……そんな存在は……
いや……そろそろ作業を再開しようか、お嬢ちゃん」
係りの人は立ち上がり、木のバケツの残った水を捨て、
木のコップを空になった木のバケツに入れ、私から木のコップを
受けとり、同じように木のバケツに入れて、
馬小屋に歩き出そうとした時に……
私は係りの人を見上げて、
「私の名前は、テンリ・アケミ……お嬢ちゃんじゃなく、
アケミって言ってください!」
「アケミな……俺は、ボブヒルト……ボブと呼んでくれ」
そう言って、馬小屋に向かうボブヒルトに、
ベンチから立ち上がり、微笑みながら
「……ボブ」
と呟くように言って、
ボブヒルトの後に続いて行って、作業を再開した。
良い雰囲気だったわね、
そ、そうかな……
これが彼の転生後……
あ、後から分かったのよ!
年上好みは昔からだけど、転生後までチェックしてるなんて……
クラス丸ごと異世界召喚されたからで……
スマホを眺めながら、あれ、こいつ、1ーFの南原じゃない?
じ、次回
第12話 ようやく……
そうなの?
ゲーム同好会に入っていて、明美も部員じゃないけど、
試作のモニターしてもらってるから……
そ、それで……話とかしてるだけで……
美里……詳しく聞かせてくれる?
ええ……私たちの攻撃に耐えられたら、結婚を認めましょう。
ただの,只の友達よ! ボブに比べれば……あっ!
馬車が、ようやく来たわよ! 浩太! あれに乗って逃げてぇぇぇ!!!




