90話 家族そろって……
新年を迎えての降臨の儀や新年を祝う園遊会も終わり、
魔王である私は、妻たちと共に、春奈(神ソラス)が創った世界を
ミューブル王国の港町【ロブシェリル】の海が見える高台に建てられた
屋敷を中心に、人族、獣族、そして宇宙と旅行をしている。
その屋敷は、魔族対人族のゲームで、港町【ロブシェリル】を得た時に、
春奈の要望で建てた屋敷である。
その時の魔族対人族のゲームは、話し合いで魔族の勝利となった。
春奈が好きな場所であり、私と一緒に住みたいという要望もあり、
ミューブル王(今の王の前)に春奈はお願いしたが、最初は神と言っても
聞き入れてくれなかったが、ミューブル王国を建国した初代王と妻であり、
春奈の友人である神ミューラが現れ、ミューブル王を説得して得られた
のが真実である。
神界の春奈の家で、30年前と変わらぬ姿の初代王と神ミューラと再会した。
私は、春奈の娘のキューイル、瑠衣、ナルエを紹介し、
明美は、つかさ、竜巳、美里、キューイル(竜巳)付きの3人を紹介した。
つかさとナルエは、修道院で待つ者たちと一緒に、八百屋で購入した
フェニックスの肉を食するために、一足早く帰って行った。
普通なら、つかさ独りで帰らすが、キューイルによって、
死の一歩手前まで行く状態から帰還できたため、今回だけは黙って見送った。
食事も進み、キューイルが、ミューブル王国の建国の話を聞きたいと
言い出したので、春奈ではなく私が改めて、
「ミューブル王国の初代王であり、私の曾祖父であり、
キューイルにとっては、高祖父にあたる」
キューイルは、初代王と神ミューラを見ながら、
「2人は、どうやって知り合ったのじゃ?」
その問いに、「人族の大陸で…… 笑みを見せながら言う神ミューラに、
「此処で、ソラスと一緒にモニターを見ていた時に、
サラウンドに一目ぼれして、
紛争中の人族の大陸に降り立ったのよねぇ……
明美が詳しく話すので、「1000年前なのに、成長しないのか?」
「先生! 時間軸が違いますよ!……
頬に右手を添えながら、「そんなことも分からないんですかぁ……
明美が嫌味っぽく言うのに釣られて、春奈たちは笑っているが、
ミューウエーヴ、エルウイーナ ブランストの3人は、分かっていない
だろうにと思いながら、
「冗談だ! 分かっている!!」 少し怒り気味に言った後、
「お前が生徒かぁ、転生先を変えたい!!」と、心の中で思いながら
鍋からフェニックスのもも肉や野菜をガバッとタレが入った受け皿に
入れて、明美から目を逸らして食べていると、
「続きを聞きたいのじゃ!」
「サラウンドさまの息子、
ラッタクリームさまから始まった魔族の大陸の統一を……
キューイルは急かすように言い、ナーナナは統一に向かった話を聞きたい感じで、
「そうだね、まずは、僕が人族の大陸に行ったのは……
曾祖父が語り始めたので、私は箸を止めて聞く準備に入った。魔族であるのに、
なぜか、ミューブル王国の初代王であり、ラッタクリーム王国に名が変わる前の
サイクロメール国の王でもあった。ミューブル王国の初代王と聞いたときは、
目が飛び出るくらいの衝撃で、ミューブル王国の前王も、私同様に驚いていた。
「妻や妾の間に、子が出来なかったからなんだ……
「種なしだったんですか…… もも肉をキャベツで包んで、箸で挟み、
明美の口に入れながら美里が言った言葉に、曾祖父は顔をしかめながら、
「医者、魔導士に見てもらい、それは無かったよ。相性が悪いことが
大きかったようだ……
「我々、魔族は、排卵日は100%じゃ!!」
「200歳の時の子が、一番バランスが良いと言われていますね」
曾祖父に言わずに、竜巳に向けてキューイル、ナーナナは言うので、
「竜巳は人族で、100歳も生きられないぞ!!」
私の言った言葉に、冷めた目で全員が私を見るので、
「何か可笑しいことを言ったか?」
魔族は500年、人族は125年と言うが60年、獣族は50年で、
エルフは1000年と言われているので、間違ったことは
言ってないはずだが、
「親父! 俺は上位準眷属で、神の1人なんだ!!」
竜巳が言ったことが、直ぐ分からなかったので、
「今、なんと……
私が首を傾げて言うと、
「あなた! 間違って此処に連れて来たけど、本来は神以外は
居られない場所なの……
春奈が答えてくれたが、私は周りを見渡して、明美は髪の色が銀髪で、
目も金色で、人間ではなく神なのは間違いない。美里は神や天使と融合して
神の力を使うから分かる。春奈は私を転生させた者なので神である。
神ミューラも神である。キューイルと瑠衣は、春奈の血を引いているので
神と言える。竜巳は、女性になったりするし、魔族のみが使用できる
闇魔法を使うが、魔族ではないので、神と言うなら納得できるが、
「ナーナナ、3人と曾祖父は?」
私の疑問に、
「ナーナナは竜巳の眷属で、私の上位準眷属で、
ミューウエーヴ、エルウイーナ ブランストは……
「ねぇ! アーンして!!」
美里が明美に催促するが、
「今、喋ってるし、美里も食べなよ!」
「明美の食べてる顔が可愛いんだもん!!」
不満顔で言うので、「これで最後!!」
明美は、シイタケを口に入れられているので、
「竜巳の眷属で、明美の上位準眷属よ! 瑠衣の所属部隊の方や
屋敷の方の何人かは、美里や竜巳君の眷属ね……
春奈が答えてくれたが、「で、曾祖父は?」
「サラウンドは、私の眷属で神よ!」
神ミューラが言った後に、「私もだけど、ミューラも眷属や準眷属化を
人に施すことが出来ないのよねぇ……
春奈が困った感じで言うので、「どういうことだ!?」
春奈を見て言うと、春奈と神ミューラは明美を見ていて、
それに気が付いた明美が、
「ソラスには、助けてもらってるし……
笑みを見せて言ってから、エールをひと口飲んだ後、
「ミューラの眷属にって言うから、力を貸してミューラの眷属にしたの」
私は、それを聞いて、
「私を!! と立ち上がって言うと、
「あなた! ナルエが生まれなくなってしまいますよ!!」
春奈が言うので、「そ、それは困る!!」
私と春奈の会話で笑いが起こり、
「帰ったら! 先生を私の上位準眷属にしますよ! 妻たちも……
応接室のガラススライドドア越しから見える池を眺め、更にその向こうに
広がる海を眺めながら、
「英雄となり、国を建てて、双子の1人が……
「父上、外を見ながら、何をブツブツ言ってるんですか?」
私が応接室にいる息子たちを見ないように、独り言を言っているのが
我慢ならないのか、エルタンスが言うので振り返り、この応接室には、
妻たち4人、そのうちの1人、春奈は、商業ギルドのマスターの姿では
なく、この世界を見守るソラスの姿で居て、他の妻たち3人と、お揃いの
デザインのドレスを着ているが、4人ともドレスの色が違っている。
改めて春奈を見ると、ナルエ、キューイル、瑠衣が春奈似なのが良くわかる。
ラッタクリーム王国から来た息子たち18人、その内の娘2人は、
竜巳と共に居る娘2人の傍にいる。
そして、前世の娘、瑠衣と共にいる美里。
竜巳が呼んだため、つかさが来ていて、私の来世の娘ナルエも来ている。
これだけの人数のため、ソファーを隣の部屋に片付けて、
私以外は床の絨毯に腰を下ろしている。
私は、ひと通り見渡した後、ブスッと座っているファインダーロペスの
隣に座っているエルタンスに、
「国の公務もせずに、何しに来た!?」
私の言葉に、「1ヵ月かかる宿題を出して、議会を閉会しましたので……
エルタンスは笑みを見せて言うが、
「それ以外もあるだろう……
不満顔で言うと、
「それも、私に就く者がしていますので……
ハチミツ入りのレモンをひと口飲んだ後、私をじっと見ながら、
「父上たちが旅行をしていますので、私たちも……
「旅行か……」
旅行の荷物も最低限にして、息子たちは来ているが、
来月からの結婚式ラッシュが、娘のラーシカから始まり、3月の終わりには
ファインダーロペスとエルタンスの合同結婚式で終了となる。
その準備で、婚約者との話し合い、婚約者の両親との話し合いで、
旅行などしている場合ではない。その中で、シーナッツとナーシカは複数の男と
婚約中で、誰を第1夫君にするかが問題であり、この時点でも
まだ決まっていない。
「シーナッツ! ナーシカ! 夫となるべき者たちと、結婚に向けて
話があるだろう。昼食をとった後、すぐ戻りなさい!!」
私が竜巳の両側に座っている2人に言うと、
「父さま! 私はタツミさまの嫁に来ました!」
「シーナッツお姉さまと同じです!」
その言葉に、竜巳は天井を見上げていて、
「姉たちよ! その愛は幻じゃ! 本物じゃないのじゃ!!」
竜巳を椅子代わりに座っているキューイルが、シーナッツ、ナーシカに
振り向きながら叫び、続いて、
「キューイルの言う通り! それに、竜巳の部屋のベットの下には、
エロ雑誌や漫画が隠してあって、動画もエロ動画ばかり見て、
子役の美咲に、芸能人の綺麗なお姉さんを紹介してもらって、
気に入った方を奴隷にして、あんなことやこんなことを帰ったら
しようと思う最低な男よ! 諦めなさい!!!」
怒涛のように言ったナーナナの言葉に、つかさは大笑いをしていて、
暴露すんなと頭を抱える竜巳、美里は瑠衣と笑って話をしている。
息子たちは聞きなれない言葉を言ったナーナナに困惑していると、
「まぁ! そこの魔王が倒れるまでだ!!」
つかさが笑いながら話し出して、その言葉に不愉快な気持ちで、
つかさを睨む息子たち。そして、
「倒れるまで…… ナーシカが睨むように言うと、
「俺たち人族の勇者は、魔王討伐で召喚されている。わかるだろ……
つかさは、ニヤッとして周りを見渡していると、
「あなた! 此処にいる全員と戦うの?」
ナルエは心配顔で、つかさに言うと、
「戦うわけないだろ!……
つかさは竜巳の方を見てから、「慕われているんだ! キューイルたちのように
付き合えば良いだろう!」
「簡単に言うな! 別れるのに辛くなる……
つかさに食ってかかるが、
「俺のように、帰る奴と一緒にならなかったお前が悪い!!」
ナルエの肩に右手を置き、体ごと引き寄せて、左手でナルエの顎を
少し上に上げて、ナルエは目を閉じて待っている。
つかさが顔を近づけて唇を重ねて行くのを、
私はガラススライドドアの方に向きを変えて、
2人を見ないようにして、つかさを今すぐ殴りたいのを我慢しながら
右手をグッと握り締めて耐えていた。
私以外が、つかさとナルエを唖然と見ていたなか、
「竜巳! 帰るまでに子を作り、お前の血を残すんだな!」
つかさが叫んだ後、つかさ達が応接室の扉に行こうとすると、
「ツカサ君! 帰るまでに、王の孫を見せてくれるの?」
イサベラーサが髪を右手の人差し指で巻いたりしながら聞くので、
つかさは振り向いて、
「孫? 人族と魔族とでは無理だろ!」
つかさは他種族間では無理だと、はっきり言うが、
「タツミ君には子をと言うのに……
「キューイルは駄目神の子だ! 他種族間でも出来るだろ!!」
つかさは、自分が言った失言を変えずに言い切るが、
「タツミ君が神なのは知ってるの?」
年甲斐もなく可愛く言うツリーナに、
「神だと!? だったら今すぐ帰らしてほしいね!!」
眉をつり上げて言うと、
「王が倒された後でしょ!…… 言った後、クスッと笑うエリスーノは、
「ナルエさん!
呼ばれたので、エリスーノの方を向くナルエに、
「あなたは、偉大なる我が王と神ゾウラストの子でしょ!!……
何を言われたのか分からないという顔をするナルエに、
「ほんと、神ゾウラスト似ね」
春奈とナルエを見ながら言った言葉に、つかさは不機嫌な顔をして
妻たちを見ている。竜巳は娘たちと、先ほど話に出ていた
エロ本を見ながら、掲載されているモデルについて話をしている。
美里と瑠衣は、スマートフォンを出して、通信をしている感じで、
多分、神界の春奈の家にいる明美としているのだろう。
応接室には、3つの空間が出来た感じで、今一番悪い状況は、
妻たちとナルエの所で、息子たちにナルエの正体を知られるのは
まだ早いので、どうしようかと考え中に、
「私は、この世界に召喚されただけ。なぜ、魔王と神の子になるのですか!?」
怒り気味に言うナルエに、
「次期法皇って、ゾウ、ソラスが任命するでしょう……
確認するように、エリスーノは春奈の方を見ると、春奈は頷いていて、
「可笑しいと思わなかった? 王を倒した後に帰還する者を
次期法皇にするのかって?」
春奈は、エッという感じで口を手で押さえていて、
「キューイルと同じ魔素の色を持っているわ。
だから、自分の娘を次期法皇にしたのよね、ソラス!」
微笑みながら言うエリスーノに、春奈は冷や汗を流していて、
「それだけで……私は、この世界の住人ではないのに、魔王の子など……
手を横に振って言うナルエに、
「私たちって、今日初めて会ったのに、あなたの名前を知っているのかしら?」
イサベラーサが意地悪そうな顔で言うので、
「タツミと話をしている娘たちに聞いたんでしょ!」
ナルエは、竜巳と一緒にいる娘たちの方をチラッと見て言ったが、
「王から紹介されて、自己紹介したじゃない!
ソラスと王の子って!!」
息子たちは騒然となり、つかさはナルエを見守りつつ隣に居て、
竜巳は娘たちに迫られていて、どうやら落ちそうな感じで、婚約者たちに
断りの話をどうするかは竜巳がすればいいだろう。
私は何も言わずに冷静を装い、妻たちの暴走を、どうするか考え中で……
「この人族の女が、父上と神ゾウラストの子供と言うことですか?」
つかさの隣にいるナルエを見ながらエルタンスは言うが、
魔法や武器の研究に没頭して、いつもは部屋に籠りっきりで、
めったに王宮の外に出ない、角が1つ額から出ていて、
頬から顎へとキュッと縛った顔たちで、細めの体格の第5王子ジャクトルが、
「もし、その女が、父さんと神の子でも、キューイルを見ての通り、
魔族の血の方が強く出る! 肌は黒色でなければならない!!」
召喚されて来たことより、私の子と言うのが大きく、状況によっては、
第4王女であれば魔王候補であり、エルタンスが心配するのは分かるが、
ジャクトルが言ったことで、この流れを止める案が出来たので、王宮に戻ったら、
私の武器のコレクションの中から、好きな物を1つやろうと決めてから……
「我が、この世界に生を受ける前も魔族であった! そこの人族の女が
召喚されて、春奈似だったので聞いたら、無関係であった。
ジャクトルが言った通り、肌も違うからな!」
エルタンスを見ると、納得している感じだったので、良しと思い続けて、
「お前らの母たちは、神である春奈を嫌っているため、
春奈似の人族の女を使って、春奈を虐めたかったんだろ……」
春奈の方を見ると、涙を流しながら「うんうん」と頷く春奈と、
私をきつく見る妻たちを交互に見る息子たちは、納得した感じで安心していると
つかさが私を見ていて、
「竜巳が来てくれと言って来たが、俺の、俺の……
ナルエが上目遣いで、つかさを見ているので、
「言いにくいんだが……
「言って、言って!!」
と言って、ノースリーブのワンピースの首元がVネックで、
カーディガンを着ているが、ボタンを留めていないので、胸を見せるように、
つかさに迫っていて、はしたないので、ナルエに言おうとすると、
妻たちが私の周りに居て、言うなと言う圧力をかけてくるので
何も言えずにいると、つかさとナルエは、私たちの目の前で再びキスをした後、
離れて肩を寄せ合い、
「魔王! 人族とのゲームの時に、お前を俺の手で葬る!!」
その言葉に息子たちは、鼻で笑っていたりしていたが、
「その時はツカサよ! 我が愛するナルエを、お前から奪い返すぞ!!」
つかさに対して威圧感たっぷりに言ったが、「「「「 愛する 」」」」
と言う言葉に反応した妻たちは、何処からともなく木製のハンマーを持っていて、
私に容赦なくぶつけてくるので、
「春奈に! 春奈似だから!! 傍に……
その光景に息子たちは呆然としていて、つかさは笑ってから、ナルエと共に
応接室の扉の方に行くと、外に居る者が気が付いて、扉をゆっくりと
開かれて行くが、つかさは扉の取っ手を掴んで、扉を激しく叩くように
扉を壊して、廊下の方に壊れた扉が出ると、
「ラムータ! 獣族のスパイが紛れ込んでいるぞ!!」
屋敷全体に響く声に、私たちは廊下の方に振り向くと、つかさの所に
ラムータが駆けつけて来て、倒れた獣族の者を眺めて、
「この街に潜伏していた生き残りでしょうか? ツカサ様」
「多分な……アーガル国のカメレオン族か……
つかさは倒れた獣族を見ながら言うと、
「この屋敷にまで……
怪訝な顔で言うラムータが応接室に入って来て、
「陛下! 妃様! 神ソラスさまか、王女ナルエさまの近くに!!」
王女ナルエと言うラムータに驚く息子たち、ハンマーを杖代わりにしている
妻たちは笑っているが、
「どういうことだ! 人族の女を王女というのは!!?」
クルードットが立ち上がり、ラムータに向けて言うが、
「で、殿下!?」 息子たちが居るのを忘れていたラムータが
驚くのを無視するように、
「美里! 全員を守れ! サラウェル!!」
つかさの叫びに、
「つかさ様! と言って立ち上がり、顔に掛けている鑑定君マーク2が
光出して、「つかさ様のスマホに送ります!!」
その光景に、「私の娘は凄いでしょう!!」と、自慢するように言っている
春奈に、「ママ! お姉さまのおかげです!」と言われて、チッと舌打ちする
春奈に、
「駄目神! サラウェル! 明美が神界で改良したからだろ!!」
そう言われて頷く2人に笑みを見せた後、周りを見渡し、
「敵はレベル的に低いが、俺たちが感知出来なかった!
此処数日で大規模に捕虜にしてきたが、最後の手練れだ!
神の眷属の俺には役不足だけどな!!」
その言葉に、「ツカサ君! 私たちの娘のナルエに、危険な目に
合わせないでね」と、エリスーノが言うのを聞いて、息子たちは
驚き騒ぎ始めて、「心配ありませんわ! お母さまたち……
ナルエは頬を染めて、つかさを見た後に、
「お父さんより強力で、危険な目に合う方が難しいですわ」
笑みを見せながら言うナルエに、
「油断は禁物だ!
「分かってます! あなた……
つかさはナルエが気を引き締めたのを確認後、応接室に入り、
「サラウェル! セント・ギアで見回り中のべルール、センシーラに
潜伏している者の所へ!!」
「分かりました! 送ります!!」
鑑定君マーク2の智に右手の人差し指を当てて軽く押しているのは、
情報を送っているのだろう。頼もしい瑠衣の姿を見て、もう私が守らなくても
つかさや美里が守ってくれるので寂しくなるが、
「此処は魔族が治める街だ!」
叫びながら立ち上がるファインダーロペスとエルタンスに、
「竜巳に求婚しに来たんだろ! 密偵を倒すのは俺たちの仕事だ!
竜巳を口説けよ! 義兄たちよ!」
笑みを見せてから、廊下にナルエと共に駆けだして行き、すれ違うニコールに、
「良いところに来た! モルモーラに、港にいる密偵を!
念話で頼む!」
つかさ達が玄関に向かったのを戸惑いながら見送った後、
ラムータによって拘束されている獣族を見てから目を閉じて
ニコールは、冥界の住人であり、神でもある妻のモルモーラに
送っているのだろう。
「陛下! 殿下たちが来ていると聞いて来たのですが……
目を開けて、応接室に入って来て言った言葉に、
「ニコールさん! 弟たちが来ている情報は伝えてませんが?」
ニコールに向けて言う瑠衣に、
「モルモーラに聞きましたが、サラウェル王女がタツミ様の屋敷に
向かい、此処に巨大な魔素が集まれば、殿下たちが来たことくらい
分かります」
肩をすくめて言うニコールに、「さすがですね。獣族の密偵も……
「あれですか……
廊下の方で拘束されている獣族をチラッと見て言った後に、
「相手が悪かったですね」 フッと笑って、
息子たちに礼をして、私に対しては跪いて、
「陛下! 神ソラスさまの命より、ミューブル王国での獣族の密偵を
殺さないのは、もう無理なのでは……
5月に行われる獣族対人族のゲームは、獣族対ミューブル王国のゲームで、
ミューブル王国のみと獣族は戦うので、その戦力などを探りに来ている。
港町【ロブシェリル】には、輸出入で来る魔族の商人たちの船に、
途中から侵入し隠れて来るが、つかさ達に発見されて拘束された後は、
記憶を変えさせられて、獣族の大陸に戻さられている。
が、つかさ達の目を盗んで侵入してくる者もいるので、
今回のようなことも起きる。
「無理? 殺さずに帰らすのは、いつでも殺せるからだろ……
先ほど、妻たちに負けていた私ではない、威厳を持ってニコールに言うと、
「捕虜の食事も……50人、
更に王都に向かっている者、王都で捕虜になっている……
ニコールは、この街での捕虜の食事は、ミューブル王国からではなく、
ニコールからでもなく、私が出すと言ったが、さすがに国費を使うわけにも
行かず、私費を出すことになり、思っていた以上に掛かっていたが、
「神界の八百屋などから来ている! 食費はタツミ持ちだ!……
竜巳の方を見て言った言葉に、娘に囲まれている竜巳が私を見ており、
「5月のゲームまでだ!……
これ以降は、獣族からの侵入者は来ないはずだと言い切ったが、
「娘婿にたかるのはどうかと思いますが……
ニコールは、ため息交じりに言ったが、
「ニコール! 神界の買い物は、自身の魔素でも払えるし……
キューイル、ナーナナを見た後、
「2人の魔素も使えるから、大丈夫さ!!」
「タツミさま……
ニコールが竜巳を尊敬の念を抱いて名前を言っていると、
「タツミさま! 私たちの魔素も使ってくださいね」
竜巳に寄り添い、微笑んでいるシーナッツとナーシカに、竜巳が頷いた後、
私の顔を見て、
「帰るまでだ! キューイル、ナーナナのように妻にした。
義母たちも良いだろ!?」
此処に娘たちが来た時から分かっていたことだったので、
妻たちは手を合わして喜んでいたが、戻ると言うことは、
私が倒されることであり、娘4人が未亡人になることでも
あるので、息子たちは不満な顔を見せている。私が王を退く場合も、
ファインダーロペスかエルタンスのどちらに就かせるかで問題に
なるし、今の騒動で、つかさとナルエが私に関係があり、その話を
した後には、竜巳と同じく問題になるだろう。
落ち着きを取り戻した応接室では、
「俺たちも行く! 場所を教えてくれ!!」
竜巳は、美里の隣に寄り添っているサラウェルに言うと、
「もう密偵の所には、全て向かっていますから……
行く必要はないと言ったが、美里が耳打ちされて、
廊下で拘束されている獣族の密偵に、明美によって改良された
眼鏡【鑑定君マーク2】を向けて作動させている。
今までは、目の前の人物などを鑑定か、遠くの人物などを調べるくらいの
機能であったが、改良されて、鑑定する人物などに付いた匂いなどから、
別の人物などの鑑定と居場所まで検索できる機能などが追加されている。
「まだ、港の倉庫に、ミューブル王国を調査しに来た密偵の指導者が
居ます。モルモーラさまに言えば、すぐ終わりますが?」
竜巳に行かないでもいいという顔で言うのは、息子たちの件があるので
解決するのが先決なのだが、
「我々の初めての共同作業じゃ! 1人くらい任せろじゃ!!」
「キューイルの言うとおりだ! 義兄たちも此方に用があるんだからな!!」
竜巳が言うと光出して、娘たちを包むよう広がり、光が収まると、
1人のキューイル似の女性が立っていて、
「「「「「 兄たちよ! キューイルやナーナナの気持ちを
尊重して、兄たちと嫁いでも良いが、
子は、兄たちの婚約者の寿命が終わってからじゃ!」」」」」
新タッキュールが言うと歓喜の声が上がった。
兄妹旅行の目的も達成できて妻たちと話をし出す息子たちに、
「全員で、倉庫に居る密偵を倒しに行く?」
美里が言うと、「全員ですか? 相手は3人ですよ!」
瑠衣が言うが、「私が何度も蘇生させるから……
「トウラマになりますね……
と言って、笑っている瑠衣に、「父上とは……
エルタンスが言うと、眼鏡を外した顔に驚く息子たちに、
「元魔王軍第5騎士団、諜報部所属、サラウェル・フラング……
その言葉を聞いて、
「鑑定では誰にも負けない、君しか使えない魔道具……
瑠衣の右手に持つ眼鏡をチラッと見て言うエルタンスに、
「降臨の儀の時に見せた映像で分からなかったの?
駄目神がフラングの養子になる理由を……
美里が呆れた感じで言うのを聞いて、
「父上と親密で……
「そうね……記憶を変えてるんだったわね……
美里が優しく語る間に、替えられた記憶が息子たちに蘇ったのか、
「この女性は、父上の前世の……
エルタンスは驚き、他の息子たちも驚いていて、
「で、さっきの人族の女性は……
ファインダーロペスが美里を睨むように言うと、
「魔王の来世の娘よ! あなた達の妹に当たるわね」
美里の言葉に考え込む息子たちを見ていると、
何処からともなく、「何時まで居るの!? 私がするわよ!!」
応接室に響く声に、「我慢の限界みたいだが…… ニコールが言うので、
髪がプラチナゴールドに変化した美里に驚く息子たちを無視して、
「ニコール! 此処は任せます!」
港の倉庫の近くへ繋げる道を作るために
空間に歪を発生させながら美里が言うと、
「帰りましたら、あなたを抱きたいですね」
真面目に言うニコールに、驚く我々を無視して、
「良いわよ……入れるのは無しね! 明美専用だから……
美里が微笑みながら言うと、
ニコールが美里に礼をした後、
「神ミサトさま! 王以下、私の命に掛けて守り通します!!」
「駄目神は守らなくっていいからね!」
その言葉に怒る春奈を無視して、
新タッキュール、息子たち、美里、瑠衣が
空間の歪に入って行って、港の倉庫に向かった。
私は、ワイングラスに入ったワインを飲んだ後、応接室を
見渡して、妻たちは娘や息子たちについて話をしている。
「娘たちの方は、婚約破棄で済むが、息子たち、
特にフェイスとエルタンスの婚約は破棄できないぞ!」
妻たちは私に振り向き、
「タッキュールさまも言っていましたが、結婚しても、子は婚約者の
寿命後ですから、タッキュール、いえ、タツミさまとの
結婚は問題ないでしょう」
ニコールが妻たちに変わって言うと、
「愛人枠でいいんじゃない? 喫茶店の店主の所に遊びに行って……
冗談交じりに言う春奈には困ったものだが、王族の者が頻繁に行っていれば、
王族の弱みを握られ、策略に使われる可能性が高いので、
「第4婚約者として行くしかないだろう……
ただ、王族にとっての第4と言うのは、王に成るもの、王に近し者
ということで、王位継承権1位と同じことであり、春奈が第4王妃となった
時は、春奈が消えたことで問題にならずに済んだが、今回は、息子たちが
考えれば良いことなので任せようと思ったが、
「王にすればいいでしょう……
私の考えに反対するようにエリスーノが言うことに、
「元の世界と、此方の世界を行き来するから無理よ!!」
春奈が答えるが、「神界では時間軸が……
「ナルエの居る世界と此処は、明美によって時間軸を合わすから、
これからは同じ時を歩むわ」
イサベラーサの問いに答える春奈の言葉に、妻たちは悲しむ顔をするので、
「我々が考えることは、シーナッツとナーシカの婚約破棄の
理由をどうするかだ!」
その言葉に頷く妻たちは、床に座り、春奈が皮袋から出した、
タブレットに映るタッキュール達と密偵との戦いを見始めていた。
この街の至る所にある監視カメラによって見ることが出来る。
美里に何回も蘇生されている3人の密偵は、涙を流しながら、
「もう、死なさせてくれぇぇええ!!!」と、訴えている光景に、
「明日は我が身かも…… 冗談ぽく言うニコールに、
「……そうだな」と、私は笑みを浮かべて答えた。
「婚約者たちに此れを見せて、婚約破棄を迫りましょう!!」
春奈が言うことに、頷く妻たちに頭を抱えながら、
竜巳に任せるしかないなと再度思いながら、仲良く腕を組んだり、
ハイタッチしている竜巳たちの映像を見ながら、
「息子たちや娘たちが決めたことを、後押しするしかないな……
呟くように言った言葉に、妻たち、ニコールは微笑んでいた。
その後、竜巳、娘たちと息子たちは、ニコール邸で食事をして、
娘たちと息子たちは、暫くニコール邸に留まることになった。
ニコール邸になったのは、この街に居る魔族の訪問や息子たちの
婚約者が来ても、ニコールが上手く対応してくれるだろうと
考えた為である。
私は、つかさの妻たちと共に修道院で食事をした後、屋敷に戻り
妻たちと共に風呂に入った後、「今日は、1人になりたい」と言って、
書斎にあるベットにうつ伏せになりながら……
「ああ、あ、疲れた! ミサトに求婚しなかったのは、
闇魔法か、キューイルが嫁いだからか……
タツミよ! 娘、息子たちを頼む……来世の老後を……
ツカ、サ……ナルエは、渡さ……ん……
私は呟きながら、眠りに就いた。
何かしら、改まって?
王は転生した先でも、あなたと一緒になるのよね?
記憶は持たないけど、運命でね
王の死後、私たちも自害して、王の転生先に行くわ
イケメンじゃないし、酒ダルよ!
外見なんかどうでもいいのよ!
……そう、人間に転生するかわからないし、記憶もないのよ
それは、大丈夫よ
?
ソラスって、離婚してるよね
ええ、今度、今の仕事が終わってから……
私たちが、王と再婚するから諦めて!!
重婚は認められていないわ! 人間で、夫の所に行けるとは……
そこで、写真を取り出し、夫と3人の女性が居酒屋にいる写真を見せられて……
5年ごとに離婚、再婚すれば良いわけだし、王を説得させるわ!!
冷や汗を搔きながら3人を見渡して、
明美ちゃんから……
ええ、そうよ! 王宮の財産をすべて上げるって言ったら、教えてくれたわ!!
そう! だけど、今の生活より苦しいし、自害せずね、ね!!
25年我慢すれば! ツカサ君たちが、私たちを面倒見てくれるわ!!
意志が固いか、くそ! 私の老後の生活プランが!!!!
5人、何人になるの? まぁ、一緒に生活しましょうね!
次回
第91話 国境……
王宮の財産の1部上げるからって、計画したのに!!!
ソラスさま、此処からは、
私、セント・ギア、ドラゴンシリーズ、イエロードラゴンこと
クチナがお送りします。
次回からは、わたくしの息子が、主人公で、この物語を乗っ取ります
わたくしと息子との旅をお楽しみに!!
おい! 誰が息子だ! 恋人だろ!!
えッ! テルタさん、友達ですよ!!
息子って言っていただろう!!
友達ですよ! 友達との旅は楽しいですね!!
息子って!
聞き間違いです! 友達ですよ!!
あッ! 待てぇぇ!!!!
仲のいい親子ですな!




