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時かける少女  作者: 大橋むつお
85/90

85・さよならアルルカン・1

時かける少女・85スタートラック

『さよならアルルカン・1』     


 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子みなこは、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になってしまった……目覚めると、今度は西暦2369年であった。ファルコン・Zでの旅……ベータ星のターベで反乱が。



 ターベの反乱は四:六で、反星府軍の旗色が悪くなったところで終わった。


 ベータ星内のもめごとは、ある程度のところまでいくと国王がタオルを投げる。けして片方を殲滅するところまではやらない。

 長年のベータ星の歴史の中で、ベータ星人が身につけた知恵である。

 最初は、母星のガンマ星と同じく共和制をとっていたが、争い事が絶えず、その度に多くの犠牲者を出し、星府の方針もコロコロ変わり、ガンマ星につけいる隙を与えてしまった。それが今のガンマ星との戦争になっている。


「ラムダ将軍。あなたが、このベータ星を思う気持ちは、わたしも星府も同じなのです。ただ、やり方が違うのです。わたしたちは、あくまでベータ星とガンマ星の共存を……将軍は、禍根を断つためにガンマ星との決戦を主張しています。そこだけが違うのです」

「わたくしは……」

「ベータ星を繁栄させることで、手を取り合いましょう。ベータ星人同士が戦って、ただでも少なくなってきているベータ星の若者の命を危険に晒すことは避けましょう」

「殿下……」


 これで一件落着である。王室という権威が間に入ることによって、敗北した者も誇りを失わずに済む。そして、いくらかの意見や条件を勝った方が飲み、丸くおさめるのである。

 こういう権威のあり方が優れていることは、地球でも、タイや日本で立証されている。


 今回の場合、問題は、ガンマ星であった。


 どうやら、ガンマ星は、ベータ星の水銀還元プラントに興味があるようだった。副産物としてできる金のことを嗅ぎつけ、それを我がモノにせんと虎視眈々の様子である。


「先帝ご葬儀に臨席した地球の大使が……」

「承知しています、将軍。手は打ちつつあります。ほんのしばらくわたしに任せてください。そして、それがダメなら、星府と話し合い、必要な処置を講じてください」

「しばらくとは……?」

「僭越であるぞ、ラムダ」

「よいのです、ゼムラ大臣。一週間と思ってください。おそらくうまくいくと思います。成否いずれにせよ、これは国王としては越権になります。記録には残さないでください」

「殿下は、まだ女王に即位されておられません。王女の行動記録は、今までとったことがございません」

「ありがとうゼムラ大臣。では、三日は連絡をとりません。万一のときには帝室典範にのっとり妹のアンに皇位を」

「殿下……!」

 大臣と将軍が同時に声と腰を上げたが、王女は笑顔で、それを制した。


「本気ですか、王女!?」


 マーク船長が悲鳴のように言った。


「この三日間は、ただのマリアと思って。あなたたちと力を合わせなければ、この銀河の危機は救えません。そう、たった今から、わたしは予備役のマリア中尉です」

「中尉? 王族の人間なら、訓練中に大尉にはなっているんじゃ……」

「内緒だけど、シュミレーション戦闘で、間違えて味方の一個大隊を全滅させちゃったの。で、頑固なラムダ将軍が、大尉にしてくれなかったの。成功したら大尉にしてもらうわ。みなさんよろしく!」

 ミナコたち、クルーは驚いたが、マリア王女……マリア近衛中尉は、さっさと自分の荷物をキャビンに運び入れた。


 さよならアルルカン作戦が始まった……。




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