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時かける少女  作者: 大橋むつお
77/90

77・スタートラック・17

時かける少女・77 

『スタートラック・17』        




☆……三丁目の星・5


 ミーシャが狙撃されてしまった……!


 ミーシャは、ソ連のスナイパーによって心臓近くの動脈を撃たれ、即死状態だった。

「コスモス、ナノリペア! バルスはスナイパーを追え! ただし殺したらあかんど……」

 マーク船長は河内弁で怒鳴った。

 

 即死でも、脳は数分間は生きている。マーク船長は、ミーシャの胸に直接電子注射でナノリペアを注入した。それも周りの人間には気づかれずに。

「……マーク船長、ミーシャの鼓動が戻ってきた!」

「オレの処置は内緒にな。この三丁目星の医療技術じゃ治されへん傷やったからな」


 ミーシャは病院に搬送され、奇跡的に命を取り留めた……ということになった。


 スナイパーの方は、ロイド犬のポチが先導し、バルスが人間離れした能力で(もともとアンドロイドである)追いつめて腕をへし折り、奥歯に仕掛けた自殺用の毒薬を奥歯ごと抜いて掴まえた。

「殺されるより、痛い!」

 スナイパーは泣き言を言った。


「モロゾフ君。君の仲間は何人ぐらい日本に潜伏してんねん?」

「……!?」

「名前当てたんで、びっくりしてるんか。おれはな、顔見ただけで、お見通しなんや……メンバーは……分かった」


 マーク船長は、アナライザーで、スナイパーの心を読み取ると、コスモスのCPUを通して日本中にいるアンドロイド、ガイノイドに指令した。


――全ての工作員を確保し、後楽園の会場まで連行せよ――

――腕の一本ぐらい、へし折ってもいいか?――

――あかん、無傷で連れてこい――


 そして、十時間をかけて(なんせ、新幹線も無い時代である)米ソ中の工作員三百名あまりが後楽園に集められた。所持しているピストルはモデルガンに、ナイフはゴムに変えられていた。むろん歯に仕込んだ毒薬は龍角散に、所持している毒薬はグラニュー糖に変えてある。

 では、ミーシャを狙撃したモロゾフが、なぜ、腕をへし折られたか?

 バルスは「緊急を要したので」とシラっと言ったが、バルスがミーシャをオシメンにしていることは明らかだ。


 そうして、連行された工作員と、米ソの大使(なぜか、その日のスケジュールをSJK観覧に変えられていた。中国は、まだ国交がないので工作員のボス)同席の中、SJKのコンサートが行われた。

 むろん一般席も一人百円という格安で一般客に開放され、数万人がひしめいた。


 その日は、特別に米ソ中の国歌から始まり、それぞれの民族音楽を含め、二十曲余りの曲を歌いあげた。


「ほら、みなさん、こんなに良い笑顔をなさっています。わたしたちは、難しい政治のことは分かりません。でもみなさんは音楽を通じて、こんなに一つになりました。ステキです。ありがとうございました!」


 ウオーーーー!!


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!


 後楽園球場は満場の拍手になった……。


 それからJポップは世界中に広がり、派生系を生んだ。ロック風、コサック風、京劇風、さまざまなものが生まれ、人々の心は、世界的規模で多様化しながら一つになった。


 そして、二年後には核兵器が廃絶されて冷戦は終わり、銀河連邦でもまれに見る平和な惑星になった。


「ほんなら、あとは、あんたらで上手にやりや」


 そう一言残し、ファルコン・Zのメンバーは三丁目星を後にした。


 むろん、ミナコとミナホの卒業公演は世界中三十カ所で盛大に行われ、数千万の人々が直接に、数十億人の人がラジオやテレビ、レコードで、それを聞いた。

「あとは、陽子。あなたに頼んだよ!」

 陽子とミナコ、ミナホが抱き合う像はお台場に三十メートルの像になってつくられ、『友愛の三天使』の名を付けられた。


 除幕式は、元内閣総理大臣鳩山一郎がテープを切った。


「まあ、鳩ぽっぽで幕がしめられたんだ。ちょっと緩いけど、めでたいこっちゃ」


 ファルコン・Zは、次の星をめざした……。



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