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時かける少女  作者: 大橋むつお
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47・女子高生怪盗ミナコ・13

時かける少女・47 

『女子高生怪盗ミナコ・13』  


 



 浦安の海岸沿いを走って、町はずれの倒産した小さな造船所に三人を乗せた車は入っていった。


「池之宮家は、戦前は、ずっと海軍の宮家で通っていたね」


 倒産したとは思えない造船所の応接室で、トワイニングの紅茶を入れながら、お爺ちゃんが言った。この応接室は、元々の応接室の地下にある。そこの床のモザイク模様を、一定の順番で踏むことによって、地下への道が開けるようになっている。もっとも、この程度の仕掛けで驚くような、ミナコとミナミではない。


「はい、他の宮家軍人とは違って、大佐以上には昇進できずに、いつも前線の指揮官をやっていたそうですが」

「先々々代には、ガキの頃一度だけお目に掛かったが、ガラッパチで、誰も本物の宮様だとは思っていなかったな。在郷軍人のタバコ屋のオッサンの方がえらそうに見えた」

「どんな、人だったの?」


 好奇心旺盛なミナコが身を乗り出した。


「戦後、人から聞いたんだが、終戦前は、潜水艦の艦長をやっておられた。人間魚雷回天の搭載潜水艦のな」

「回天て、人間が乗る特攻魚雷だよね」

「辛い仕事だったと、父からは聞いております」

「ところが、宮様の潜水艦は、宮様自身が手を加えて、だいぶ違うものになっていた。水中速力35ノット。ワルター機関からヒントを得ているらしいが、今の潜水艦と比べてもひけをとらない」


 爺ちゃんは、そう言って、机の引き出しから二枚の白と黒の鉄板を取りだした。


「この白い方をカナヅチで叩いてごらん」


 ミナコが叩いてみたが、座布団を叩いたほどの音もしない。


「塗料が特殊でね、音がほとんどしない。これで潜水艦の中を塗っていたから、クシャミはおろか、モーターの音も外には漏れない。黒い方は外版だ、その塗料はアクティブソナーを吸収する。で、スクリューは、荒川の職人のオッサン達に削らせて、キャビテーションノイズを限界まで小さくした。で、それに載っけていた回天だ」


 爺ちゃんは、もう一枚の写真を出した。その写真の回天には、人間が出入りするハッチも、潜望鏡も無かった。


「こいつはリモコンで操縦するんだ。これが、そのモニターとコントローラーだ」


「これって、テレビとゲ-ム機のコントローラーだ!?」

「そう、遠隔操作で敵艦にぶち当てるんだ」

「噂では聞いていましたが、写真を見るのは初めてです」


「二人とも、こちらへおいで」


 写真を食い入るように見ていた二人に、爺ちゃんは声をかけた。

 応接の壁が動いて、さらに地下への階段が口を開けた。


「これは……」


「そう、先々々代が乗っていた、イ号007だ」


 黒い艦体の上には、四機の回天が載っていた。


「アメリカの公式記録じゃ、被害は4隻になっているがね、実数は10倍にはなる。こいつがいなきゃ、戦争は、もう、二か月は延びただろう。なんせ、原爆を積んだ巡洋艦を二隻も沈めとる。今でも、この記録とUFOの記録は、けして公開されることはない」


「お爺様、まさか、わたくしたちに、これに乗れと?」


「ハハ、こいつは、今は裏稼業のごく一部しか知らんが、記念艦。モニュメントだ。二人……いや、三人で乗るのは別の船だ」


 爺ちゃんが、また壁のモザイクを操作すると、イ号007の、さらに下にいく階段が静かに開いた。


 その階段を、つづら折れに降りると、目の前にとんでもないものが目に飛び込んできた……!



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