42・女子高生怪盗ミナコ・8
時かける少女・42
『女子高生怪盗ミナコ・8』
渋谷で妙な事件が起こった。ガングロ茶髪のギャルたちが怪しい集団に襲われたのだ。
ところが、暴行もされなければ、なにを取られるわけでもなかった。
ギャル達が数名でたむろしていると、どこからともなく、ごく普通の若者たちが十人ほどで取り囲む。ほんの二三秒取り囲み、姿を消すと、ギャルたちは素っ裸にされ、ルーズソックスさえ身につけていない。髪は黒髪や地毛にもどされ、山姥のようなメイクも取られ、スッピンにされる。
周囲の人たちが「ええ!」「うわ!」「なんで!」とか声を上げ、JK達も気づく。
「きゃ!」「ぎょえ!」「なんで!」「ハズイ!」「分け分かんない!」
その直後、また別の集団がやってきて、学校の校則通りの制服を着せていく。JKたちは恥ずかしそうに散っていった。
同じようなことが、原宿や新宿でも起こり、ギャル達は一週間ほどで、姿を消してしまった。
「へえ、へんな追いはぎもいるもんだなあ……」
爺ちゃんは薩摩白波をチビチビやりながら、テレビのニュースを観ていた。
――それでは、ここでいったんコマーシャルです――
見慣れた女性タレントの長距離恋愛をテーマにしたJRのコマーシャルである。時間に間に合わせようと懸命にホームに向かう女性……ここまでは、いつものCMだった。
その後、彼女は走ることを止め、カメラに向かって話し始めた。
「これ見て、ガン黒茶パツにしてた子の頭蓋骨。かわいそうだけど、一人だけ標本になってもらった。ね、骨まで茶色になっちゃうんだよお。ちなみに、この子はアツミ。明日ハチ公前に置いときます。知り合いの人取りに来てあげてね。あ、それから同業者のミナコちゃん。これ観てるかなあ……観てたら、あたしの上いってごらん。待ってま~す。あ、こんな顔してるけど、ミナミです。じゃ、提供は、みなさんのJR東海でした」
スタジオは騒然となった。
――いま、不適切な映像・音声が流れました。原因は調査中です。分かり次第、視聴者のみなさんにはお伝え致します。くり返します……――
「おもしれえ、ミナコ、ご指名の挑戦状だぜ。どうする、受けるか、それとも布団被って寝ちまうか?」
「あたりき、布団被って……」
ミナコは布団を被ってしまった。
「しょうがねえな、おめえにゃ意地ってもんが……」
爺ちゃんが布団をめくると、ミナコの姿はなく、丸めた布団に『出撃中!』と書き置きが貼り付けてあった。
「本気になりやがったな。このオレが気配も感じなかったもんな……フフフ」
爺ちゃんは、残った薩摩白波をなみなみと注いで、気持ちよく飲み干した……。




