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時かける少女  作者: 大橋むつお
42/90

42・女子高生怪盗ミナコ・8

時かける少女・42 

『女子高生怪盗ミナコ・8』       





 渋谷で妙な事件が起こった。ガングロ茶髪のギャルたちが怪しい集団に襲われたのだ。


 ところが、暴行もされなければ、なにを取られるわけでもなかった。


 ギャル達が数名でたむろしていると、どこからともなく、ごく普通の若者たちが十人ほどで取り囲む。ほんの二三秒取り囲み、姿を消すと、ギャルたちは素っ裸にされ、ルーズソックスさえ身につけていない。髪は黒髪や地毛にもどされ、山姥のようなメイクも取られ、スッピンにされる。


 周囲の人たちが「ええ!」「うわ!」「なんで!」とか声を上げ、JK達も気づく。


「きゃ!」「ぎょえ!」「なんで!」「ハズイ!」「分け分かんない!」


 その直後、また別の集団がやってきて、学校の校則通りの制服を着せていく。JKたちは恥ずかしそうに散っていった。


 同じようなことが、原宿や新宿でも起こり、ギャル達は一週間ほどで、姿を消してしまった。


「へえ、へんな追いはぎもいるもんだなあ……」


 爺ちゃんは薩摩白波をチビチビやりながら、テレビのニュースを観ていた。


――それでは、ここでいったんコマーシャルです――


 見慣れた女性タレントの長距離恋愛をテーマにしたJRのコマーシャルである。時間に間に合わせようと懸命にホームに向かう女性……ここまでは、いつものCMだった。


 その後、彼女は走ることを止め、カメラに向かって話し始めた。


「これ見て、ガン黒茶パツにしてた子の頭蓋骨。かわいそうだけど、一人だけ標本になってもらった。ね、骨まで茶色になっちゃうんだよお。ちなみに、この子はアツミ。明日ハチ公前に置いときます。知り合いの人取りに来てあげてね。あ、それから同業者のミナコちゃん。これ観てるかなあ……観てたら、あたしの上いってごらん。待ってま~す。あ、こんな顔してるけど、ミナミです。じゃ、提供は、みなさんのJR東海でした」


 スタジオは騒然となった。


――いま、不適切な映像・音声が流れました。原因は調査中です。分かり次第、視聴者のみなさんにはお伝え致します。くり返します……――


「おもしれえ、ミナコ、ご指名の挑戦状だぜ。どうする、受けるか、それとも布団被って寝ちまうか?」


「あたりき、布団被って……」


 ミナコは布団を被ってしまった。


「しょうがねえな、おめえにゃ意地ってもんが……」


 爺ちゃんが布団をめくると、ミナコの姿はなく、丸めた布団に『出撃中!』と書き置きが貼り付けてあった。


「本気になりやがったな。このオレが気配も感じなかったもんな……フフフ」


 爺ちゃんは、残った薩摩白波をなみなみと注いで、気持ちよく飲み干した……。



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