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時かける少女  作者: 大橋むつお
29/90

29・プリンセス ミナコ・11

時かける少女・29 

『プリンセス ミナコ・11』        


 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子みなこは、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になっ。てしまった……今度は2013年の大阪から始まった。なんとミナコはプリンセスに!




 墜ちたヘリコプターに乗っていたのは、全部人形だということが分かった。


 つまり、実物のヘリコプターをラジコンにしたようなもので、ミナコ放送のそれに良く似せてあるがニセモノであることが判明した。


 ローテ・クレルモンの人形が乗っていたことは、数台のカメラに写っており、クレルモン家にも疑惑の目が向けられたが。


「そんな、見え透いたことを当家がやるわけがないし。理由もない!」


 クレルモン公はきっぱりと否定した。


 爆発物が仕掛けられていたわけでもなく、女王やミナコが乗った車を狙ったものでもなく、ひどく悪質な嫌がらせであろうと思われた。


「犯人は、海の上のクルーザーからコントロールしていたようですが、事件後、CU国の港に入って、車で逃走しています」


 女王はテレビのボリュームを落とした。


「わかりました。調査はそこまでにしましょう」


「やはり……」


「たぶん。国際的なテロでないことが分かれば十分よ」


「では、発表は?」


「国際的テロの疑い。マスコミもそう見るでしょう。曖昧な表現がいいわ」


「承知しました……」


 ダニエルが姿を消すと、マスコミの取材を終えたミナコが戻ってきた。


「お祖母ちゃん、あれでよかったかしら?」


「その前に、きちんとお辞儀」


「あ、はい女王陛下」


 ミナコはぎこちないお辞儀は、テイク3までやって合格。


「ミナコが飛び出したときはびっくりしたわ」


「すみません。軽はずみでした。ローテの姿が見えたのでつい……」


「世界のジグソーパズルは、日本ほど単純じゃないの。今は、それが分かればいいわ。インタビューも自分の軽はずみを恥じていることが、共感を呼んだようでけっこうでした」


「ありがとう、お祖母様」


「疲れているでしょうが、今夜は歓迎晩餐会です」


「はい」


「課題を一つ」


「なんでしょう?」


「ローテと仲良くなる……」


「いきなりですか?」


「とっかかりができれば、合格。それが、ミナコパズルの最初のピースよ」


 女王は、軽く微笑んだが、ミナコには、とても重いことに思えた……。



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