表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時かける少女  作者: 大橋むつお
27/90

27・プリンセス ミナコ・9

時かける少女・27 

『プリンセス ミナコ・9』         


 昭和二十年四月、前月の大空襲で肺を痛めた湊子みなこは、密かに心に想う山野中尉が、沖縄特攻で戦死するまでは生きていようと心に決めた。そして瀕死の枕許にやってきた死神をハメた。死と時間の論理をすり替えて、その三時間後に迫った死を免れたのだ。しかし、そのために時空は乱れ湊子の時間軸は崩壊して、時のさまよい人。時かける少女になっ。てしまった……今度は2013年の大阪から始まった。なんとミナコはプリンセスに!



 空港が見えてきて、ぶったまげた。滑走路が三本もあって、どう見ても関空よりも大きい!


 ミナコ公国は、リヒテンシュタインよりは大きいが、ベルギーよりは小さいと聞いていた。ミナコでも分かるジャンボジェットの他に、それよりでっかい飛行機が一杯いて、離発着する様は、壮観だった。


「さあ、ここからは営業用の立ち居振る舞いでね。真奈美ちゃん、いい?」

「はい、承知しました!」


 真奈美は、ローファーの踵を鳴らして敬礼した。


「それは、ナチスの敬礼。間違っても人前ではやらないでね……奈美子さん、よろしく」


「はい、陛下」


「イテ!」


 真奈美は、お母さんに、頭をポコンとされて、思わず地が出た。


「じゃ、いくわよ」


 ミナコはびっくりした。


 タラップに出たとたん稲光のようなフラッシュ。同時に軍楽隊の演奏。お祖母ちゃんの手を取るようにして、タラップを降りる。レッドカーペットが彼方のリムジンまで続いていて、飛行機の中で覚えた人たちが、ずらりと並んでいる。


 で、テンパッテしまった。


 男女の区別と、多少の老若が分かるだけで、誰がだれか、ぜんぜん分からなくなった。欧米人の顔は、やっぱり同じに見えてしまう……ミナコ自身も似たような顔をしているのだが、子どものころから見た顔は、日本人ばかりである。


「大丈夫、わたしがプロンプターをやります」


 ダニエルが、ささやいてくれた。


「ボンジュール、プライムミニスター・アクリル・ド・エポキシ」から始まった。


 一言二言返ってきたが、たいがいサンキューで間に合った。


「こんにちは、レディー・ミナコ」


 と、最後の女の子が日本語でかましてきた。


「こ。こんにちは」


 口が勝手に慣れ親しんだ言葉を発した。


「大阪でいらっしゃいますのね?」


「あ、あなたは?」


「ローテ・ド・クレルモンと申します。いずれ、また……」

 

 ほんの二言だったが、気圧されてしまった。だれだろう、あのすみれ色のワンピースは?


「ミナコが、王女にならなかったら、この国の王位第一継承者になるフランスのお嬢ちゃんよ」


 お祖母ちゃんの女王が、リムジンの中で不敵な笑みを浮かべながら言った……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ