表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/24

ある夜の別れ

星影さやかな夜。

冷たい空気が頬を掠めた。


背中合わせの兄が、言葉を紡ぐ。


「花蓮。兄妹はお互い運命の相手がいる。他にね。

だからこそ同じ家に生まれるんだ。そう考えると辻褄が合わないかな?」


「ごまかさないで下さい。

私の気持ちなど、とうに気付いているのでしょう?」


兄は答えない。


私は納得出来なかった。


満月を見つめ、山頂で夏草から夜露を払う。


「僕はこの刀で妃殿下をお守りせねばならない。

迷うことは許されないんだよ」


あまりにも冷静で、揺るぎない声だった。


「御奉公のお話は立ち消えになった筈です!

今さらなぜ……!」


悲しい予感が閃く。


この人は、もう家に帰らぬつもりだろう。

間違いない。


月明かりの中、兄はすっと立ち上がり、私を見据えた。


涼やかな瞳は決然とし、異を挟む余地などない。


黒い髪を後ろ手に結び、頬に微かな赤みが差している。


微風が吹き抜けた。


川辺の蛍が舞い上がる。


そして、二度目の流星が長い尾を引いた。


「どうか無事で……。

ご無理だけはなさらないでください」


私は願い事を変える。


強く、静かに。


顔を上げた先に――


彼の姿はなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ