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【衰微のソノリティ】軒下の響き

 空を見た。もう振り始めて数分経つ雨が私達を校舎の軒下につなぎ留めていた。その事実に自然の偉大さを改めて痛感させられた。ふと隣にいる優子に目を向けると、数分前と変わらず、お人形さんのような綺麗で整った顔はじゃじゃぶりの雨の方を向いてピクリともしない。彼女は優等生という言葉が似合う良く出来た子だった。私はその対極にいる存在で住む世界が違う。それでも、自然を前にしたら私達の世界の差なんてちっぽけだった。「自然には敵わないわ。」どこか悲壮感漂う彼女の言葉が頭をよぎる。今日の避難訓練のとき1人ぽつりつぶやいたのを私は聞き逃さなかった。

「……ねぇ…」

 私が口を開いたのと同時に彼女は持っていたトートバックから折りたたみ傘を取り出し、私を一瞥し、傘を開いた。

「…」

 彼女は颯爽と雨の中に消えていった。

 いまや、じゃじゃぶりの雨は私だけのものとなった。


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