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5話

夏芽さんが厄介事に絡まれていた日から何日か経過して今日は土曜日となった。


僕は今日も平和で退屈な日々を過ごしている。

土日は1日空いている。

彼女の冬柳さんとお家デートが出来るかな?

なんて浮かれていたら彼女は佐渡とデートがあるから無理だと言って断られた。

ならば日曜日ならばと聞いてみたら友達とショッピングとか行ってたので会えない。

金曜時点でお家デートをまだ2回しかしてないので早速約束である筈のお家デートは週に4回するって条件は叶わずって状態だ。

 別に絶対守る様なもんでもないんだろうけど何だかな〜って気持ちになる。


これで僕の方から今日は無理とか言ったら逆ギレされそうな気がするのは不公平だと思うのは気の所為だろうか?


部屋でネットサーフィンでもしてダラダラと過ごすのもありかも知れないけどそれだと余りに悲し過ぎる。

せっかくの土曜日、学校に行かなくていい自由を謳歌出来る日なのだ、映画でも見に行こうか?あるいは特に意味もなく街をぶらつこうか?

 

散歩なんてのは特に意味もなくするものだし陰キャだからとて外に出てはいけないなんて決まりはない。


僕は外に出かける事にした。

 

とは言ってもお金はかけたくない、電車なんて以ての外だし自転車で行ける範囲だと近所のショッピングモールくらいだろう、あそこは大きな複合施設だし映画館もあるので行くなら丁度良い。


てな訳で僕は外に繰り出した。


自転車を走らせる事数十分。

目的のショッピングモールへと着いた。


目的の場所はとりあえず本屋だ。 

そう思って歩き出すと見知った顔の人間を見かけた。


(あれは…冬柳さん……と佐渡か…)


どうやら2人がデートしている所に偶然居合わせてしまったらしい。 

2人の邪魔をする様な野暮な真似はしまい、まあ単純に下手に出会して厄介事に足を突っ込みたくないだけだけどね。 


そう思い回れ右しようとした所で横から強く手を掴まれ強めに引っ張られた。  

気づけば壁際に追いやられ誰かが壁ドンみたいな体勢で僕を睨み付けていた。

  


「へ……?……あっ…」


目の前にいたのはクラスメイトの女子。

名前は確か桜田凪咲。

冬柳さんが所属する1軍陽キャグループの1人。


茶髪で耳にはピアスをしてアイシャドウとかのメイクもバリバリ決めてるギャルだ。    

派手な見た目だが美少女と言っても十分通じるルックスをしている。

つまりはかわいい。



「アンタ…あの2人になんか用な訳?」


「へ?いやいや、なんも用なんてない!今回れ右しょうとしてた所!」


「本当に?アンタもあの2人がマジで付き合ってるのか気になって後をつけようとしてんじゃないの?」


「へ…?桜田さんは後をつけようとしてたんですか?」


「…………はぁ!?ちっ違うし!わっ!わわ私はただ!」


「ただ?」


「うっさい!アンタには関係ないでしょ!?」


「で、ですよね~、じゃ僕はこれで失礼します」



厄介事に巻き込まれたくないと思った矢先にコレだ。

何してたのか気にならないと言えば正直嘘になるけど平和な休日を捨ててまで掘り下げる価値は無い。

とっとと退散しようと思ったのだが服の裾を引っ張られ


「ちょっと待ちなよ」


と、待ったをかけられた。



「な…なんですかぁ…?」


「はぁ…露骨に嫌な顔すんなし…アンタもつきあいなよ!」


「は?なんで僕が!?」


「うっさい!どうせ暇なんでしょアンタ!?男一人でぶらついてんより女と一緒の方が有意義でしょ!感謝しろ!」


「えぇ…」



そんな横暴極まる謎理論で僕は桜田さんと一緒に冬柳さん達の後を追う事になった。



2人はとても仲良さそうだ、佐渡の腕に抱きついてその豊満な胸を押し付けたり眩しいばかりの笑顔を咲かせる冬柳さんを見ていると心にチクリと来るものがある。

自分が思ってるより冬柳さんの事を意識してたって事なんだろうな…。

しかし相思相愛にしか見えない距離感だ…。

あれが演技だと言うのだから女はマジで怖い。

しかし演技と分かっていても来るものはやっぱり来るのだ。

しかし僕が思ってたよりもショックを受けずに済んだのは隣にいるギャルのお陰なのは多分……間違いではないだろう。

横に僕より更にダメージを受けている人がいると冷静になれる…的なヤツだ。

尾行した事で分かった事…いや、追う前からそうなんじゃないか?とは思ってたので確信に変わった事が一つ出来た。


それは……。



「あぁ…あんなに近づいて……!」


「肩!肩当たってる!!」


「手えぇ!!手を握んなよぉ!!」


「顔が近い近いよぉ!!」




冬柳さんと佐渡が手を握ったり微笑み合えばその一挙手一投足に一々反応しているのだ。

誰がどう見ても佐渡にラブなのが丸わかりだ。  


デートだと聞かされて居ても立っても居られなくなり、こうして尾行までして2人を監視してるのだろう。

お疲れ様な事だ。  

こう言った手合いの場合、無駄に行動力はあっても2人の中に割って入る度胸は無かったりする。



「もういい?じゃ僕行くね?」


「はあ!?アンタそれでも男なの!アンタ等の憧れの雫が男といちゃついてんのよ!?もっとこう!なんかないワケ!?」


「なんかないワケとか言われても……イケメンとイケ女同士仲良くて大変良い事じゃないかとしか?」


「かぁ~枯れてるわねぇ〜そんなんだからアンタ達は草食系男子とか言われんのよ?理解してる?」


「ほっといて下さいよ!」


「大体女の子と一緒にいてアンタ無反応過ぎるのよ!もっとウブな反応しなさいよね!」


「ウブな反応なんてやろうと思って出来るもんじゃないって…め…めんどくせーな〜」


「め…面倒くさい!?この私といて?…ぐぬぬ……大体アンタ何しにこんな所来たのよ、アンタみたいのは家で漫画とかゲームなんじゃないの?ふつー」


「失礼な!オタクだって外出くらいするわ!」


「ほほ~?」


「今日初めて話したレベルだけどムカつくな!このギャル!」


「アンタも最初敬語だったクセにいつのまにかタメとかナメてない?」


そんな感じでぎゃ~ぎゃ~と2人して言い合いしてたら



「あぁ!!2人を見失った!!?」


「僕なんかとじゃれ合ってるから!」


「シャラップ!誰がじゃれ合ってんじゃい!」


「はぁ~…もういいや、でアンタ結局マジでなんか用あったんでしょ?」


「映画見ようと思ってて」


「ふ~ん、じゃアタシもそれ見るわ!」


「へ?アニメだよ?」


「別に良くね?アタシ別にアニメとか偏見ないタイプのギャルだよ?」


「ギャルが自分の事をギャルと認識している!?」


「人を宇宙人みたいに言うなし!」



こうして俺は何故かクラスメイトの1軍ギャルである桜田さんとアニメ映画を見る事になったのだった。


何故?


自分でも良くわからない。

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