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2話

学校ってのは退屈な所だ。

1日の半分は勉強に費やさなければならない、それが学生の本分だと言われたらそれまでだがその学生の大多数は勉強が嫌いなんだから退屈と感じるのは致し方ない…。

僕が退屈だと最も感じるのは授業の合間合間に挟まれる休み時間だ、予習やら復習やら友達と駄弁るやら色々と潰し方はあるけど僕は大体寝た振りして過ごしてる。

しかし本当に眠い理由(わけ)では無い、する事がないから寝た振りをしてるに過ぎない…まぁその寝た振りも飽きてきたので頬杖を付いてなんとなく教室の中を見渡す。

何が楽しいのかぎゃ~ぎゃ~と騒ぐ男子生徒達、キャッキャって喚く女子生徒達…。

代わり映えしない日常がそこにある。

そんな教室の中心でより目立つ集団、一昔前に流行った言い方をするならスクールカーストのトップに君臨する連中が彼等彼女等だ。

金髪や茶髪、何処かのメーカのアクセサリーをじゃら付けし、着崩した制服とどいつもこいつも派手な見た目で自己主張が激しい事この上無い。


しかしそんな中で事更に目立つのは逆に何も主張してない普通の制服の着こなしでいる1人の女子。

圧倒的な美貌とスタイルの良さから制服の改造とかメイクや髪色で自己主張せずとも他を抑え込む存在感を醸し出す1人の女子高生。


それが冬柳雫(ふゆやなぎしずく)さんだ。



黒髪で落ち着いた物腰の大人びた子で清楚なんて二次元でしか聞かない言葉がしっくり来る印象を人に与える。

オマケに巨乳でスタイルも良い。


前話の説明文を丸写ししたかの様な口上だがこれ以上の適切な文が思い浮かばないのだからどうか許してほしいね。


その人を惹きつける美貌から男子からの告白はとても多くすでに両手では数えられなくなる程の回数に達しているのだとか、しかしついに告白を成功させ、見事恋人の座を射止めた者がいる、それが今彼女の隣にいるイケメン君の佐渡健吾君だ。



高身長イケメンでサッカー部に所属し、成績も平均より上と文句無しの爽やかイケメンだ。


誰もがお似合いのカップルと持て囃している。



「おっ?また冬柳さんをみてるのか?止めとけ止めとけ!お前にゃ高嶺の花が過ぎるぜ?」


「別に見てね〜よ」


「強がるな!強がるなって!わかってるから!!」


「何がだよ…」



主人公の友達キャラのテンプレを気持ち良いまでにして話しかけて来たのはクラスメイトの加藤だ。

勝手にモテナイメンズなんてチーム名を結成して仲間意識バリバリで絡んでくる面倒くさい奴だ。



「冬柳さんめちゃくちゃ美人だもんなぁー、佐渡が羨ましいぜあのヤロー」


「そんな言うならお前も告白して来いよ」


「俺みたいなポンコツモブが告ってもやんわり断られるだけだぜ?俺、夢は見ない主義なんだ」


「わからんぜ〜?案外OK貰えるかも?」


「はっ!あの清楚って言葉が人間の姿になって現れた様な冬柳さんがそんな不誠実な事をするわけねーだろ!」


「………まぁ、そ〜だったら良いね…」


「くぅ〜俺もあんな別次元の美人の彼女欲しぃ〜!」



羨ましいくらいに都合の良い夢を見てるじゃん…。

まぁ夢をみるのは個人の勝手だ。


僕も彼女の本性を見るまではこいつの馬鹿話に気持ち良く乗っていられたんだけどね…。


現実は無常だ。

それはともかくコイツには僕と冬柳さんが裏で繋がってる事は絶対にバレたらいかんなぁと切に思う。

彼女の提案した学校では私達の繋がりは秘密にしょうって提案は両者の交友関係を考えれば確かに妥当だと言わざるおえない訳だ。


そんな事を考えながら僕達は冬柳さんの方を見る。



「もう!雫ったら!ちゃっかりこんなハイスペ男子彼ピにしてるなんて抜け目ない奴〜」


「ホントホント!やるときゃやるね!」


「もうっ!そんなんじゃありませんよ?私はただ佐渡君の誠実な心や真摯な態度に心打たれただけです」


「もう!雫ったらカワイ過ぎ〜」



「もう!からかわないで下さい!」


「俺、冬柳さんにそんな風に言ってもらえてとても嬉しいよ!」


「べっ別に私は思った事をそのまま言ってるだけですよ?」


「ふ…冬柳さん…やっぱり俺…君の事がとても好きだよ!」


「2人共ラブラブ過ぎ〜!ねっ?凪咲?」


「………だね…ラブラブだね…」


「かぁ~見せつけてくれるぜ!この熱々カップルはよぉ!」


「ここだけやたら熱いわ〜マジで!」


「……」


「それな!」


「それなぁ〜!」



わいわいと盛り上がるカーストトップの陽キャ連中達。

本当にテンション高いなぁ


「クソぉ〜俺もサッカー部所属でイケメンで頭良かったらワンチャンあったのかなぁ?なぁ!?どう思う?」


「うるせーな、お前の場合顔が良くてもそのガツガツした所で大無しなんじゃね?」


「ひでぇ…傷付きました!今日買い食い奢りな!」


「何でだよ!今日は予定あるから無理」


「モテない同盟の俺達に予定なんてないだろ?」


「予定あるのとモテない事に関係はない」


そんな何の益もない話をしてると予鈴がなりうざい友人は自分の席に戻っていった。


「はぁ…」


悪い奴では無いのだが少し面倒くさい奴だ。

冬柳雫さんと交流がある事がバレたら今以上に絶対に面倒くさい事になるのが透けて見える。


教室に担任が入って来て朝の朝礼が始まる、担任の下らないトークを適当に聞き流して次の授業に備える。

すると机の中に入れていたスマホが小さく震えた。

確認すると冬柳さんからラインが届いていた。


「今日帰りに軽く佐渡君とデートに行く事になったよ!帰りにタクちゃんの家によるから待っててね!」


なんて書かれていた。

イケメン彼氏とデートした後に僕なんかと会って彼女は何がしたいのだろうか?


僕には彼女の真意なんてこの先もずっとわからないままなんだろうな…。

おそらくは……ずっと…きっと


  


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