それからの関係
カイトス領に帰ってきてから、数か月が過ぎた。
アルフェラッツ様からは、時々手紙が届くので、私も返事を返す。いわゆる文通ってやつ。
しかし、アルフェラッツ様のあの言葉は、どういう意味だったのかなぁ。
「そうですねぇ~。確かにどっちともとれますね」
あの会話のことを、侍女のナシーラに話してみた。
「そうでしょう? おまけに最後の“いい返事期待してる”ってのも、どっちともとれるのよ~」
「でももし侍女としてだったら、こんなに頻繁に手紙をよこすでしょうか? やはりお妃として…」
「そうなのかなぁ~、そうだったら、どうしよう…」
「アルフェラッツ様からの手紙は、どんな内容なのですか? 」
「あちらからは、元気ですか、とか、公務で行った所の花畑がきれいで私にも見せたいとか…」
はっ。言いながら恥ずかしくなっちゃった。
「エルラ様は、どのようなことを書かれてるのですか? 」
「寒くなってきたので茶畑の霜対策をしたとか、紅茶を使った新しいお菓子を開発したとか…」
「それって、まるで業務報告のようですけど…」
「だってだって、何書いたらいいかわからないんだもん~」
「まあ実際、エルラ様の毎日は、紅茶のことでいっぱいですからね」
「だって、特に今は冬至祭りの準備で忙しいし…。じゃあ、どんなこと書いたらいいの? 」
ナシーラはふぅっと軽いため息をつきながら微笑んだ。
「今のままでよろしいんじゃないですか? それがエルラ様なんですから」
なによ。教えてくれたっていいじゃない。