表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

すれ違い

 

 

 私はアルフェラッツ様に、別室に連れていかれた。

 

 

「どうぞ。座って」

 

 言われるままにソファに腰かけた。

 

 

「さて、エルラ。君には驚かせられっぱなしだよ。夜会の日は急に帰ってしまうし、危険な場面に剣を持って現れるし…」

 

「ごめんなさい…。でも、アルフェラッツ様だって…」

 

「僕が、なにか? 」

 

「フォルキーナ王女のことです…」

 

「そのことは、さっき話したように、秘密裏に動いていたからね。話すわけにはいかなかったんだ」

 

「そうじゃなくて…、王女とは幼馴染だったって、それでおふたりは、その…」

 

「ああ、そうだったのか。誰かが君に話したんだね」

 

 アルフェラッツ様は、私の隣に腰かけた。

 

 

「王女とは長年、会っていなかった。王女がわが国に来たのは、本当に国同士の単なる交流で、王女は使者としてやってきたんだよ。

 でも、クピアス王子の計画を知ることになり、王女にも協力してもらったんだ。計画にかまけて、君に手紙も書けなくてすまなかった」

 

 

 お手紙がなかったのは、そういうわけだったんだ。

 

 

「でも、おふたりがご結婚されれば、国同士の利益になりますよね」

 

「まあ、それはそうだけど。でも王女にはちゃんと国に想い人がいるんだよ」

 

「そうなんですか…」

 

 それを聞いて、胸のつかえがとれるように感じた。でも、私のお転婆ぶりが、今回のことでバレてしまったなぁ…。

 

 

「まだ、何かある? 」

 

「あの、アルフェラッツ様は、私のような者が…、その、いいのでしょうか? お側にいても」

 

「私のような、とは、どういうこと? 」

 

「女なのに剣を振り回して、おまけに田舎育ちだし」

 

「女剣士など、いくらでもいるし。田舎育ちでどこか悪いのか? 」

 

「その…、ふさわしくないのではと…」

 

 すると、アルフェラッツ様の表情が曇った。

 

 

「それなら、僕のほうこそどうなんだ? 僕は、君に側にいてもらうことで、君を不幸にするんじゃないか? 」

 

「えっ? 」

 

「ルクバートに聞いたよ。アスメディク家にいる時に、ホームシックになったって。薬菜園で会った時に痩せてたように感じたのは、そういうわけだったんだね」

 

「ホームシック! 」

 

 

 そっかぁ、私、ホームシックだったんだ。

 

 それで泣きたくなったり食欲がなかったりしたんだ。どおりで、カイトスに帰ってから、元気になったわけだ。

 

 

「堅苦しい王宮で暮らすのは、君にとって幸せなのか? 」

 

「そんな、そんなこと…考えたことなかった…」

 

 と、思わず言ってしまった。だって本当にそんなこと、考えたことなかったんだもん。

 

 

 アルフェラッツ様はため息をついた。

 

「僕たちふたりとも、ちょっと考える時間が必要かもしれないね」

 

 

 その言葉に、ふたりのあいだに何か、すれ違ってしまっているものがあると感じた。でもそれが何なのかはわからない。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ