第8話:ドメイン破壊を阻止せよ!山奥SEOのサイト構造と内部対策
深夜の校舎を駆け抜けた末、レンと篝ショウ、そして駆けつけた仲間たちはようやくブレーカー室の扉へたどり着く。
鍵は掛かっていないが、扉には「立入禁止」の張り紙が目立つように貼られている。
サブディレ連合の策略だろう。
篝ショウ「行くぞ、レン!」
レン「おう!」
扉を開くと、中には配電盤が並び、ブレーカーのスイッチがずらりと並んでいる。
その奥で怪しげに光るモニターの前に立つのは、神山レイジの腹心である霧生という男。
痩身でキツネのように目が細く、パソコンを素早く操作している。
霧生「フフッ、よく来たな。だがブレーカーを戻してもムダだぜ。こっちのシステムは ‘ドメイン破壊プログラム’ を発動中でな」
レン「ドメイン破壊プログラム……?」
霧生「要するに、この学園そのものが ‘検索圏外’ になるよう細工してんだよ。学内のサイト構造や内部リンクをメチャクチャにして、検索エンジンに ‘存在しないも同然’ と判断させるのさ。山奥SEOだろうが何だろうが、ドメインごと終わりだ」
篝ショウ「ふざけんな……! オレたちが地道に作り上げてきた ‘信頼’ を根こそぎ消す気か!」
霧生は冷ややかに笑い、モニターを指差す。
そこには連鎖的にエラーを吐き出す画面が見える。
内部リンクがめちゃくちゃになり、重要ページへのリンク切れが多数発生しているようだ。
レン「なるほど、サイトの重要なページが404エラーを吐いてる状態か……検索エンジンから見れば ‘価値のないサイト’ と判断される可能性が高い。ひでぇ手口だ」
篝ショウ「だがな、オレたちは ‘少ないけど大事なページ同士をきちんとつなげる’ ってサイト構造を大切にしてきたんだ。テメェらの妨害なんかに屈するかよ!」
レンは思い出す。
堀内先生が常々言っていた「サイト内部対策」の重要性——パンくずリスト、カテゴリー分け、内部リンクの正確さなどを整えておけば、こうした妨害にもすぐ復旧できるはずだ。
仲間たちが慌ててパソコンに向かい、内部リンク修正を試みると、続々とページが正常表示に戻っていく。
霧生「なんだと……復旧が早すぎる……!」
篝ショウ「お前らが混乱させようったって、オレたちは ‘山奥SEO’ でしっかりサイト内部を作りこんでるからな。
地味だが、こういうときに力を発揮するのさ!」
霧生が動揺する一瞬の隙をついて、レンと篝ショウはブレーカーを一気にON!
「バチッ……!」 という音とともに校舎中の照明が戻り、夜の闇が消え去る。
霧生は悔しそうに拳を握るが、そこへ駆け込んできた仲間たちに取り押さえられた。
レン「ドメイン破壊なんて卑怯な真似、絶対許さねぇぞ!」
明るさを取り戻した学園。
しかし、まだ神山レイジ本人は姿を現さない。
篝ショウは暗い表情を浮かべつつ言う。
篝ショウ「本丸はまだ先にいる。奴を止めねぇと、この学園の未来はない。オレたちがやるしかねぇんだ」