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第4話:篝ショウの卵焼き秘話!山奥SEOでE-E-A-Tを意識せよ

クマ事件から一夜明けた翌朝。


レンは登校すると、妙にいい香りが漂っているのに気づく。


風に乗って甘い出汁のような匂いが、廊下の方からやってきている。


気になって足を向けると、屋上へと続く階段で篝ショウが風通しのいい場所に腰を下ろしていた。


その手には小さなフライパン——そして卵焼き。




レン「おい篝、朝っぱらから何してんだ? そのいい匂い、卵焼きか?」


篝ショウ「ま、ちょっとした趣味だ。試作品を作ってんだよ」


レン「趣味? ヤンキー番長がお菓子みたいに卵焼き作るって……ギャップありすぎだろ」


篝ショウは特に隠す素振りもなく、出来上がった卵焼きを弁当箱に移すと、ひと切れを箸でつまんでレンに差し出す。




篝ショウ「ほら、食ってみろ。意外にイケるぜ」


勧められるままに口に運ぶと、ふんわりとして甘じょっぱい出汁の香りが口いっぱいに広がる。


レンは思わず目を見開く。




レン「……う、うまい! これ、店で出したら売れるんじゃないか?」


篝ショウ「そこまでじゃねぇけどな。昔から料理が好きで、卵焼きは得意なんだ。だけど ‘番長のくせに可愛い料理なんて…’ ってバカにされるのがオチだからさ、普段はあんまり人前でやらねぇんだよ」


そんな彼の横顔は、普段のヤンキーらしさを感じさせないほど穏やかだった。


すると、ちょうど通りかかった堀内先生がニコニコしながら声をかける。




堀内先生「これは良い香り! 篝くん、料理が得意だったんだね。実際に作っているプロセスを写真や動画にまとめて ‘一次情報’ として発信すれば、検索エンジンからの評価も上がるよ。いまは E-E-A-T が大切だからね」


レンは思わず聞き返す。




レン「E-E-A-Tって、たしか ‘Experience(体験)’ ‘Expertise(専門性)’ ‘Authoritativeness(権威性)’ ‘Trustworthiness(信頼性)’ の頭文字でしたっけ?」


堀内先生「そう。山奥SEOに限らず、オリジナルの体験や専門性がある情報は評価されやすいんだ。篝くんの卵焼きのように、実践を伴う料理記事は特に ‘経験と専門性’ が高いと認められやすいはずだよ」


篝ショウ「ま、オレみたいなヤンキーが料理記事書いても需要あるかは知らねぇけどな」


レン「いやいや、むしろ ‘意外性’ がいいんじゃねぇの? クマ撃退もそうだけど、誰も書かない情報って貴重だろ?」


篝ショウは少し照れたようにフッと笑う。


普段は強面だが、この瞬間だけは素直に自分の趣味を誇らしく思っているようだ。


そしてレンも思う——山奥SEOというのは、決して地味なだけじゃない。


むしろ自分の得意や好きなことが最大限に活きる世界なんだ。



彼らの学びは、クマ撃退だけでなく卵焼き作りという意外なところでも続いていくのだった。

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