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episode3.全力

練習に心強い仲間が増え、プロという目標に着実に近づいてきている。そのとき、ひなから1つの提案を受ける…。

鳥のさえずりとともに目を覚ます。

昨夜はひながなぜ戸田の話していたのか、謎が深まるばかりだった。

しかし今まさに分かることとなる。


「涼くん!これからの練習に心強い仲間が増えるよ!」


昨夜のこともあったため、まさかとは思ったがそのまさかであった。


「涼くんの高校時代のチームメイトの戸田くんで〜す!!」


ガチャ

ドアが開く音がした。


「よぉ涼。久しぶりだな。」

戸田だ。

昨夜考えたみたいに、こいつは当時の恨みなどを持っていてもおかしくない。


「久しぶりだね…聞いたよ、プロ目指してるんだってね。」


「あぁ。それで、お前はどうなんだ?」


「俺?なんで急に俺?」


「…ひなから聞いたぞ。1度砕けた夢、諦めてないみたいだな。」


ひなからってことはやっぱり昨夜の電話は戸田をここに呼ぶために…?なぜだ?


「それで急に家まで来て、どうしたんだ?」


「ひなから涼は夢を諦めていないと聞いた。今おれとお前は目的が一緒だ。プロ入りすらしなかったおれから言われても迷惑かもしれないが、一緒に練習しないか?」


「涼くんとまた一緒に練習したかったんだって。それで私からお願いしたの。」

昨夜の電話はそういうことか。理解が追いついた。


「戸田は大学行ってるだろ。そんな暇あるのか?」


「毎日は無理かもしれない。けど無理にでも時間を作ってやる。」

やる気に満ち溢れた顔をしている。戸田、こいつは本気だ。


「よし、あの頃の夢を一緒に掴みに行くか。でも、大学で練習してるお前にとっては俺の練習場はしょぼいぞ、、、」


「練習の相方にプロ野球選手がいるし、そんなの関係ないな」


「今はプロじゃねぇ!」

高校時代と変わらない絡み。俺はこれが好きだった。


「おれは今日は暇だ。お前もやれるよな?」


「久々に熱が入るなぁ。よし、行くか。」


そして、実際に戸田と練習した。

戸田は高校時代と比べて、遥かに上達していた。そして、お互いの進路で学んだ練習をしたり、技術的な指導をし合ったり、とても有意義なものとなった。


「戸田、お前はプロになれる。絶対だ。」


「涼、変わらずお前のレベルは桁違いだ。あのころ見ていたように。なんで、通用しなかったかは分からない。だけど、これは断言できる。お前の才能は本物だ。」


「私の目から見ても2人はまだ希望があるよ。涼くん、戸田くん私は君たちを最後まで支えるからね!」

俺たちには高校時代、監督以外の指導者やマネージャーのような存在はいなかった。でも、今はとてつもなく心強い存在がいる。


「涼、また練習付き合ってくれ。」


「あぁ、また来いよ。じゃあな」


──ひなの家──

「たぶんね涼くんがプロ入りするにはね、どこかのチームに属する必要があると思うの。涼くんは、戦力外通告を受けた。この状態で、チームに属して試合に出ないと、成績が分からない。だからドラフトにかかる確率はとても低い。」


ひなの言うことは正しい。プロ入りをまた目指した時に俺も思ったことだ。


「なら最初の目標はプロ入りじゃなくて、どこかのチームに所属することだな。」


「涼くんならチームに属して、試合に出ることは簡単だと思うの。だからチーム、探ししよう?」


「今の練習も継続してやりたい。近くのチームいいとこあるかな?」


「近いところね〜。検索してみる。」

チームに属すると時間も多く取られる。これからバイトもする予定だし、今の練習も継続する。時間は足りるのか?


「あ!あったよ!隣町の社会人野球チーム!入団テストを合格できたら、加入できるみたい。」


「分かった。来週末か。行ってくる。」


──入団テスト当日──

「会場は、、、ここか。」

入団テストを受けなければ、絶対に通ることのなかったような道を通り、会場に到着する。

「ファイヤーズ入団テストの受験者ですか?」

受付の人のようだ。チーム名を見ずに応募したため今初めて聞いたが、どこにでもありそうだ。


「はい。そうです。」

応募用紙を渡す。


「えっと、小西 涼さんですね?この先に進み、準備が出来たらグラウンドへ向かってください。」


なにをやるのか、そういったことも一切書いておらず、スポーツウェア着用、野球道具持参としか書いていなかった。


そして、準備が出来た俺はグラウンドへ向かう。

グラウンドに入ると、周りにはレベルの高そうな選手が集まっている。

その中で見たことある顔があった。

古河(ふるかわ) 琉希(りゅうき)。俺の高校時代のチームメイトだ。控えピッチャーで、背番号10を着用していた。

「涼!お前涼だよな。お前も入団テスト受けるのか!」


「久しぶりだな、俺も受けるんだ。」


「お前、戦力外になったみたいだな。お前で戦力外ってことはプロの世界はそれだけ厳しいんだな。お前は入団テストのこと知らなそうだから教えてやる。この入団テストは、投手2人、野手2人が、入団できる。」


「ここには少なくとも50人はいるだろ。そんなに狭き門なのか。」


「そうだ。そしてテスト内容は、試合形式で2チームに分かれる。その中から最終的に投手・野手から1人ずつMVPが選ばれる。そのMVPに選ばれた人が入団できるんだ。」


「なるほどな。」


「チームはもう分けられている。俺とお前は別のチームだ。だから対戦することもあるかもしれない。今の俺はあの頃とは違う。対戦するときは残念だが、全力で行くぞ。」


──試合開始──

試合は進んでいく。俺には1打席回ってきて、ヒットを放った。そしてこれから俺の2打席目だ。対戦投手は────古河だ。


古河、俺を舐めるな。俺だってあの頃とは違う。戦力外通告を受けて、へこたれてたあの頃の俺とは…


「古河、全力勝負だ!!!」




続く













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