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第7話 前世で武神と呼ばれた男、闘技場に連れてこられる

 俺は二人の貴族をドロップキックしたことで決闘を申し込まれてしまった。


 二人同時にかかってきてもいいと言ったのだが嘲笑われてしまった。決闘する相手はヒルダ一人だ。へロルフの方は相手もしてくれなかった。


 ヒルダに与えられた職業は『聖騎士』らしい。名前からして武器と魔法を扱う戦闘系の職業に違いない。


 俺達は街にある闘技場に連れてこられ、観客席にはハッカとソリス、そしてへロルフがいた。


 俺とヒルダは闘技場のど真ん中で向かいあっており、ヒルダは槍を持っていた。あの槍は闘技場に備え付けられていた物だ。


「『無職』さんは武器を持たないのですの?」


 ヒルダはニヤニヤしながらそんなことを言う。


「武器はなんでも扱えるけど、別に必要ないかな」


「なんでも扱える? ふふふっ へロルフ聞いたかしら! 何のスキルも持たない人間が武器を扱えると言っているの!」


 ヒルダは観客席にいるへロルフに聞こえるように喋っていた。


「ふっふっふっ……姉上、早くそいつの鼻っ柱を折って現実を教えてやるんだ!」


「ええ、私がいじめてあげるんですの」


 なんだか楽しそうな兄妹だ。


「なんだか眠くなってきました~」


「ヒューゴは俺達のために戦ってるんだぞ。せめて起きてろよ」


 幼馴染二人はマイペースだ。


「馬鹿なやつだ。俺達に蹴りをかましたばかりに死ぬより酷い目に合うんだからな」


 へロルフは幼馴染二人に話しかけていた。


「ヒューゴは得体の知れない奴だ、幼馴染のオレですら、あいつの強さは得体が知れない」


「ふっ、世迷いごとだ」


「俺達が一二歳のときだ、村の近くでゴブリンが出現した」


「?」


 へロルフはハッカの言葉に首を傾げていた。


「何をしてるんですの?」


 棒立ちしてる俺をヒルダはおかしな目で見てきた。


「観客席にいる三人の会話を聞いているんだ」


「何を言ってるんですの? 大声で喋っているわけでもないのにこの距離で会話なんて聞こえるわけがないわ」


「体内エネルギーを使って聴覚を強化することで聞いているんだ」


「体内……へっ?」


 ヒルダは俺の言っている意味が理解できないようだ。


 この時代の人間は俺が知っている戦いにおける技術を知らないので無理もない。


 俺は引き続き観客席から聞こえる会話を聞く。


「コブリンキングは知っているか?」


「知らないわけがない、ゴブリンの最上位種だ。一流の冒険者や騎士でも一対一で倒すことが困難な存在だ」


「それをヒューゴは傷一つ負わずに倒した」


「ふははは! そんな馬鹿な話を信じられるわけがない!」


「見てれば分かるさ」


 そこでハッカとへロルフの会話が終わった。


 ゴブリンキングってなんだっけ。ゴブリンは前世からよく戦っていたから知っている。たまに魔法を使ったり図体が大きな個体がいるから、そのどれかだと思う。


「まあなんでもいいか……さて、始めようかヒルダ」


「気安く呼ばないでくださる!?」


 ヒルダは槍を構える。


 ヒルダは先程、スキルを得たばかりだ。なのにこの戦いにおける自信があるということは何の修行もしなくても行使できる力なのだろう。それでは、その力を見せてもらおうか職業とスキル一辺倒の世界における戦い方を。

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