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この事件

 痴漢冤罪を疑われた宗助と真人はミルク婦人に連れられ審判をくだす宮廷騎士団が護衛する公民館て公開の裁判が行われる。そこでケイネスが宗助と真人に無罪を言い渡す。一方ケイネスはカレンの国の総理大臣であった。

 ケイネスは己の経歴に傷がつかないように漏れたリコルを暗殺しようと企てる。

 ※まだ改良します。お見せできる形になったちめ一応公開します。

 リコルは私がアンブラの美術館に行くと『なぜだか』引き留めた。リコルは頭を横に振り私の裾を引いた。私は最初彼女が何をしているのかわからなかった。『そうか、彼女は不法入国者だから入れないのか』と納得した。

「ここには妊婦の絵画があるだから行くのだ」

「妊婦はポリコレ的に良くないよ」

「君本当に犯罪者?」

「俺は君に大義があるから見方をしているだけで大義と女性の感情は1日で変わることのできることを知っている」

「でもポリコレには適任」

「ポリコレが怖くて女と付き合えるか!」

「声が大きい」

「しまったはめられた」

「あーあ、警官に見つかった」

「そんなこと言っている場合か」


 警官は私たちを捕まえるために走り出した。警官は警棒を持っていた。あれで頭を叩かれたら一撃で意識が天へ行くことになるだろう。

 警棒は私が見る限り長さが17センチメートルである。鉄の厚さは1センチメートルであった。腕のは異様に曲がって関節の力だけでなく筋肉が躍動していた。

「中に鉄を仕込んである特注の警棒だぞ」

 宗助は百合華を抱えながら市街地を駆け巡る。3番地の看板は青いカーネーションに彩られた下地に赤のバラを対照に描く絵である。私は彼が話していた、その三番地の看板があることに気がついた。

「右に行って」

 そこには石畳の道の端に漆黒の黒へ染まった借家の影に照らされた裏路地があった。私は後ろを見た。しかし、宗助の身体は確認するより先に裏路地へ入る。また、幸いなことに警官が追って来るより先に裏路地に入る事がてできたのは良いことであった。

 宗助はこの一瞬を無駄にしなかった。彼はボケッとに手を入れた。ボケットにあるゴツゴツした物を取りだそうとしたからだ。ゴツゴツした物はデスマスクから型をつくるシリコン製のフェイスマスクであった。

 それを被ると彼女にも同様のモノを渡した。シリコン製のマスクは少しゴム臭かった。しかし、リコルには嗅ぎなれている臭いであった。

 南中高度から西日に太陽が差し掛かるのが明らかになるときに、宗助と百合華はスーツ姿の会社員と若い女性の観光客を装い、街路樹から右に抜けて夕方の街へ同化した、夢を得るために。


 数から私の彼は私が話すより先に口が動いていた。彼女は大きな声を上げた。私は彼女のことをにらんだ。彼女は私と目が合うとすぐさま目を離した。私は確信した。下江瑠璃華は冤罪をした。

 私は彼から話を聞いた。彼は知らないと言った。彼は焦っていた。冷や汗ときもが冷えたショックで頭がどうかなったのだろう、彼は突然笑いだした。

 私はとうとう逃げられなくなり彼女の頬を叩いた。彼女はなにくわぬで私を見た。私を見る目は冷たかった、しかし、前を見たとたん冷たい目は冷ややかな畏怖に変わる。

 私はそれが何か分からなかった。後ろを見ることができなかったからだ。後ろを見れば宗助を助ける気持ちすら消えてしまうと恐怖してしまったからだ。

 私はそれでも恐る恐る後ろを振り返った、生じ殴られる恐怖とは当たっていたのかもしれない。その顔はいびつなまでに歪んだ鬼の形相であるからだ。

 パンパンち膨れあがる32センチメートルの腕はパンプスしているからか膨れ上がり達磨の斜頸をしていた。


「この世には天才と呼ばれている人たちがいます。見る目のある人はどんどん自分の進路を決めます。能力のある人間は成長しますよ」

「ようするにその人にとって都合のいい人間であるということですよね。」

「要するに自分だけが良ければ良いってことでしょ。人良ければ全て良しと言うことでしょ」

「頼むから能力を持っている人たちやこれから努力して行こうとしている人たちを貶める発言をしないでくれ」

「同じ人間の中でも着く役割が違ってくる」

「必要とされている人間と人間的に良い人は全く違いますから、能力のある人は盗まれないようにしなければならない」

「それではお金なんて稼げません」

「大抵一つのことを極めている人は信頼できるだよ」

「では必要とされている人間とは誰ですか?」

「そりゃあ、能力のある人間ですよ」

「それでもヘボはつくりたくない」

「宗助さんが言うヘボはつりたくないとは何ですか」

「何とは、他人を貶めるような作品」

「を作りたくないと」

「そう、演出家は全員加害者ですから、謝るべきです。見てくれた人にも。少なくとも笑って許すされるべきではない」

 彼は何度も自分のことを「盗賊だ」と言った。その度に心臓が不整脈に締め上げられる感覚がした。

「子供たちに何を見せるかですよね」

「つらい現実を隠して何がたのしい。本当にプロフェッショナルとして働くなら辛い現実を見せたうえで夢や希望を見せるべきだ。でなければ働くこともできない。」

「まさか自分たちが居る文化が盗賊が盗んできた技術ででか来ていた技術を使って構築した産物であると言いたくない」

「夢や希望だけを与えて働かさせるのは、ただ、人を労働力としか見ていない畜生と同じだ」

「本当に子供たちへ何を見せるかですよ」

「人の労働価値を貨幣に変える仕組みは労働者意欲を楚々るが、社会のために動く大量の羊をつくるようになったからだ」

「だからヘボはつくりたくない」

「美味しい空気をすいながら、自由な社風で社会をつくる。それが俺の夢だ」

「会社は会うための社である」


 真人は身の潔白を証明するためにミルク婦人と宗助とこの場所に来た。私はマーク=リコルも一緒にくるべきだと言ったがそれはかなわなかったそれは彼が「リコルにはまだ早い」と止めたからだった。

「私は彼らだ密談をしているところを見ていました」

「証人として参加をお願いします」

「私はなにもしていない」

 宗助は言った。

「裁判を一時中断します」

 私は煙草を再三吹かしていた。私は振り返った。振り返るとそこには女性が立っていた。

 私は横目に話を聞いていた。護衛のため裁判官と別に護送される。

「護送します」

 しかし、私は休憩室ではなく宮廷騎士団と同じ事務室に行くことにした。

「楽屋で結構」

 私がケイネスに進言しようとしたいからである。彼に私は彼に宮廷騎士団と言われていた人たちがいる場所は壇舞台裏の楽屋ようだった。人は冷酷な人間だと感じたためである。私はより血が通う人がいる方向に行きたいからだった。

「私は彼に話を聞いていた」

 私は事務所に着いた。事務所は壇上裏の簡素な楽屋のようであった。私はセピア色の彼の指が発している指輪見ていた。

「どうされましたか」

 私は彼の指から目を離した。第二関節から背骨を見て彼の顔を見る。その顔はひどく頬がこけた男性出会った。

「いや、まさか最初に楽屋へ入ったのが私を連行した騎士団長様だとは思わないくてつい笑ってしまいました」

 私は下を向いていた。であるため彼の驚きの度合いを見ることはできなかったが、きっと驚いていだろう。

「私は確かに長をしています、マックです。しかしどうしてこんなことが可能でしょうか」

 私はするとすかさず指を見た。彼もようやくわかったのか自身の指に目線を合わせる。

「顎の骨格ですよ」

 私は自分の顎を触る。

「それよりも」

 欄を見ていた宗助は召し使いに呼ばれ彼に会いに行った。そこは宮廷騎士団なる数名が立ち会いにいる大きな屋敷であった。宗助と真人はミルク婦人ち連れられこの公民館に来た。

「」


 蘭の話が咲いていた。真人は宗助の捜索に一週間の期間を魔力に当てた。ケイネスは自分の両手に力を入れた。宗助から見れば動作は力んでいた。ケイネスの苦悶の表情は次第に笑顔へ変わっていた。

 まず、見たのは光だった。光はケイネスを包んでいるだけだった。しかし、産み出した光は私を包んだ。

「」

 終わると真人は前にしゃくれた頭を伸ばしているだけであった。宗助はパイプ製の煙草を手に持っておたいた。驚きは真人と同様に感じる。

 宗助は手を片方を右手の肘を抱え右手の人差し指で眉を何度も小突いてた。彼は超自然的現象を見て指を小突いていたのだ。

「君のことはわかった。そんなに私へマジックを見せたいのだな。」

 彼は笑みをこぼした。真人は宗助に心配の眼差しを向けられるが、私はみぶきもしなかった。

「君の企みが何であれ、ここにいるケイネスが百合華さんの一件を揉み消そうとした事実は変わらない」

 彼は考えるときの独特な腕組みを忘れなかった。たまにケイネスを見た。しかし、ケイネスはミジンコも動揺していない鉄の精神であった。彼も「しょうがない」と思ったのか大きく深呼吸をした。

「でははネタばらしをしよう」

 宗助はパイプ椅子へ腰をかけた。

「今回の事件の犯人はカレンの国民である」

 私は頷いた。

「事件の犯人が明確になっている事件は動機も単純になる」

 私は窓辺に近づいた。ケイネスはその真人の動作に肩をすくめた。それは彼が私のことを思っての行動ではなく、国を思っての行動であった。

「ケイネス総理大臣に警告しておきます。貴方は合理的判断をしたと考えておられるようですが、実は違います。例え国のことを思った合理的な判断であっとしてもいつかは間違えます。貴女が配慮するべきは国ですか。」

 ケイネスは私の顔を皺を寄せて見ていた。

「貴女がすべきことはまず謝罪をすることです。そして税金を国民に返してください、借金でもいいから、今すぐにです。3年以降とかは無しですよ。文句も無しですよ」

 私はケイネスが国の金で借金をしているのは明白であった。金は死ぬまで贅沢に暮らすため、国民が貯めた金を利用するためだ。

 彼は血の味をした唾を飲み込んだ。それは唇から出た血を飲んだ為だった。また、彼はか細い声で最敬礼のまま言う。そのかおは歪んだりゴムみたいに伸びていた。

「国家転覆だ」

 宗助は仰天した顔で彼を見つめていた。その時にはタバコを口から外していた。

「今なんと言った」

 また、彼はケイネスが言った言葉を自身で復唱するように命令した。宗助はその言葉を受け止め切れなかった。その言葉とはケイネスが言う国家転覆である。

「私に逆らいましたよね。逆らったと言うことは」

 役所には彼が入店した。宗助は『リコル=マーケットも連れて行くほうが良い』と言っていたが真人はそれを断る。私は久々にスーツへ袖を通した。滑らかで少し湿ったスーツを着ると何とも言えない高揚感がある。

「それにしてもこういうときに宗助がいたらな」

 役所のなかはそれなりに清潔感が整っていた。いや、どちらかと言うと病的とまで感じるほどであった。

「次のかたどうぞ」

 私は整理券を券売機から貰う。券売機は旧式の大きな升目に必要最小限の事項しか書かれていなかった。

 どこか寒気ご感じられた。

「整理番号が105番の東雲真人です」

 私はどことなく威厳を持ち答えた。

「では真人さん、今回はどのようなご用件でしょうか」

 私は口ごもりながらも答えた。

「リコル=パーティさんのことを覚えているでしょうか」

 私は恥ずかしくなりながらも言う。

「リコル=パーティーさんですがそのような女性は存在しません」

 私はその対応にため息をつきながらも、前へ金を投げた。

「不在外国証明書を発行してください」

 受付の女性は眉を潜めた顔をした。

「不在外国証明書は不法に入国されたお客様に対する帰国措置です。認知されているのならばまだしも、二つ返事で発行できるものではありません」

 私はそこで煙草を吹かした。改めて私がしていけないことは、自分よりも知識が多く、また受付という業務に慣れていない人を探すことである。

「どうにか発行して頂けないでしょうか」

 私は横にいる人を見た。彼は彼女は女性であった女性は或用紙を書いていた。用紙は事務職員として働いている通りすがりの女性であった。

「身分を証明してくださる人がいれば構いませんよ」と言っているように聞こえた。

 私は彼女に対して肘をかけたり、耳の裏を掻いていた。

 私はもう手札が無いように感じた。しかし、コツコツと歩いてくる人がいた。

「十万出しましょう」

 私に目が飛び出るという体験があるとすればそれはこの瞬間である。私は常に平常心を保とうとしているが、今回ばかりはだめであった。

「ミルク婦人」

 私は驚愕した。私の目の前にいるのは前日に罵った『痴漢をされた』と言っていた初老のおばあさんであった。

「ミルクとはまた大層な名前ね」

 能力がないことは明らかである。しかし、どうして彼女はこんなにも威圧的と思えるのだろうか。そこには限定的とはいえ智恵が込められているからだった。

「良心でここに来た」

 私は改めて握手を応じるように彼女へ求めた。ミルク婦人へそれに応じた。その手は宗助とは比べ物にならないほど分厚く固かった。

「どうにかお願いします」

 私はミルク婦人の助けを得て目の前に居座る堅物の心を動かせないか心の中で模索していた。

「そんなこと言われましても」

 事務員の女性は手を大げさに動かしていた。しかし、私は知っていた。カレンの国はとても人を大事にすること故意でなければ一時的に帰れることをである。

「困ります」

 彼女はきっぱり断った。私はしょげた顔をしたが一歩も引くことはなかった。つまり彼女の提案に同意しなかったのである。

「発行は可能性ですよね」

 私は念押しして語気強く言う。空の雨模様はすっかり消え空には夕日がさしていた。夕日は雨上がりの水を空に写していた。また、空に映していたのは虹であった。

「あっもうこんな時間だ」

 事務員の女性はキョロキョロと見回していた。女性は他のどうきたちのことを見渡している。時間だけが刻々と迫っていた。しかし、時間は無慈悲にも沈黙の中過ぎていったのだ。

「発行があと一時間早かったらできていたでしょう」

 用務員は肩を落とした。

「それは事務員である。貴女が決めることですか」

 ミルク婦人は逆上し壁の端まで体を乗り出した。

「落ち着いてください」

 私は婦人をなだめた。婦人は私の後ろで息を震わせながら椅子に座る事務員を睨みつけていた。

「そうね、私が焦っちゃダメよね」

 そう言うとミルク婦人は懐から四角く白い塊を口に含み深呼吸をし、心を落ち着かせた。

 彼女はにらみつける目になると瞬きをしなくなった。それどころか真人が知らない電話番号に電話をかけてた。

 「パオ市長」と聞こえた気がする。市長はこの国の中枢を担う職業である。権力者と大金持ちが対談した。以下はミルク婦人とパオ市長の通話記録である。

「はい、パオ市長」

 ミルク婦人の目はどこか優しく、そして麗しかった。

「パオ市長こんにちわ」

 ミルク婦人はその美貌を上手く使い舐めるような声で言う。

「ミルク婦人どうした」

 パオ市長は自重気味な声で言う。

「どうてことないけれど、私のことを覚えてくれていると思って」

 パオ市長はミルク婦人の言葉を聞くとお尻をふりたくなる。

「故意ではなく不法に入国させられた女性を保護しているのだが、帰国されるために不法入国届出書を発行してほしい」

 彼は即答した。

「いいとも」

 力付く答えた。


[第二部]

「やあ、リコル」

 私たちは廃墟にいる。先ほどから警察へ『お世話』になったのだから私は何か『お礼』をしなければならないと感じていた。しかし、睡眠は必要であったので機能は9時に寝た。

 起こす人はいなかった。私は自力で起床し自力で朝食の用意されている一階へ赴いた。朝食は鶏肉のとトマトのソテーと牛肉にアボカドのおつまみとアモーンドと大豆を焼き塩に焼き塩を振りかけた小鉢が一つである。以上により私はとても満足のいく朝食を堪能した。

「おはよう」

 宗助はどこか苛立たしい気がした。

「政府に問い合わせたけれど、リコルと言う人物は確かにいた。しかし、マーケットと言われる人物はどこにもいないと言われたんだ」

 そこで彼女が起きてきた。リコルに私が話していたことを聞かれていないか心配であった。彼女は普通に階段を降り、普通に朝食へかぶりついた。その時宗助が新聞を勢い良く閉じた。 

「ありがとう、先ほどは起こしてくれて」

 私は彼が話しているようにも見えた。にっこりと話したところリコルは満面の笑みであると見えた。

 宗助は「みんな聞いてくれ」と言う。私やリコルに緊張感が走る。それは私にとっては食後のはなしであった。しかし、リコルにとっては食事中の話である。

 宗助は自身の新聞を半分に折った。

「真人、君には話しただろうがリコルにまだ話していないね。これから空港に行く、そしたら私が受領書を持って空港のキャビンアテンダントに話すから指示された搭乗機に乗る。そうしたら日本に向けて出向するだろう。」

 登場する機体のチケットを一枚手をヒラヒラと手に乗せた。それを食べ終わったリコルの盆の中に入れた。盆にあるチケットをリコルは手で掴むと私服のポケットの中に入れた。

 彼女が寸手のところであった。リコルは下を向きもじもじとしていた。「私行きたくない」と言う。宗助と真人は不思議そうにしていた。

「だってあなただけではなくてカレンの国の人たちとうちとけられるかもしれない」

 私は女性をなりゆきから彼女の髪を撫でた。

「君がやるべきはここから逃げることだ」

 彼は新聞をたたむ。

「君を虐待したんだぞ、それなのに君は」

 私はリコルの髪をなでたくしあげた。

 宗助は私が話していた彼女へのプレゼントを私へ渡した。こぼれ日の光が影になるところから宗助は春の陽気を思い出した。そういえば私は彼に何も誕生日プレゼントを渡していないことに気がついた。スマホを見る。私は彼に4月13日は彼の誕生日であると記録していた。どうすれば良いだろうか、よりにもよって今日がその当日なのだ。

「受領書は納税局から頂いたが、あとは帰るだけだ。本当はこんたなことしたくなかったけれど、帰るまでは買うのは控えていたがな。ボクには彼女がいるから君の気持ちには答えられないけれどね。」

 私は紙をヒラヒラ折り曲げた。この紙に政府の権限が不要されていると思うとなんだか笑えた。宗助は真人に咎め立てた。「それはいわば人の信頼、人からいただいた大切な、信頼を模したししょうしょだ」と言われた。私はげんなりしてその発行された紙を見た。

「まあでも、これで改めてリコル=マーケットの悲願は達成できる」

 私は彼女をチラリと見た。しかし、リコルの目は泳いでいた。私にはまだ、決めかねていると見えた。

「私にはお家がないの」

 宗助はリコルの話を傾聴した。すると、パイプで覆われた中の薬草を燃やして大きな息をつく。

「家がないということは住所不定であると」

 私は同じことをリコルに聞き返した。当然、真実を言っているので現状は何も変わらなかった。真人はしばし考えた。顎に手をやり立ちんぼで、鼻から大きく息を吸う。

「わからない、では君は帰っても」

 そのあとの言葉を言うことはできなかった。

「いいや、君ならメディアに引っ張りだこだ」

 宗助は新聞を見ながら静かに言う。宗助は私の脇腹をつつくように冷酷なであった。

「宗助、」

 私は彼女と新聞を読んでいる宗助を見比べていた。私は彼女が俯き話す様を見て頭を掻く。それこそ、むしるが如く。

「リコル君、うえにあがっていなさい」

 私は手をあげた。手をあげると宗助は、また、息を吐く。しかし、彼女はげんなりとした言葉でぶつぶつと言いながら階段を登った。

「彼女には日課の運動があるのだ」

 宗助は言う。私は我に帰る。しかし、真人は一度自分が言った言葉を変えることはできなかった。それは恥じから始まったことである。

 私は彼女が何か話そうとしているのを上手に聞き取ることはできなかった。

「食後に運動しても大して効果はないだろう」

 私の苦し紛れの言い訳であった。私は彼の鷹の目を、あまり見続けることはできない。であるから私は行政の話しでもしようと考えても体が動かない。

「それでどうするんだ、私はどうにもできないぞ」

 宗助はタバコを吹かしてからとう。私は悩んでいた。悩んだ先で、彼の頭は逆に冷えて行く。するとこれまで言われていたことが一つ一つ、線になり結ばれた。

「私たちの下宿屋に泊めれば良いのだ」

 宗助は自身が一番に発明したと言わんばかりに大きな声をあげて言う。どうも彼は自分が発明し組み立てたと考えているのである。しかし、証明書を見れば明らかにカレンの国の市民が関わっていることは明らかであった。

「君の意見には賛同だ。しかし、リコルを帰すのは変わらない。まさかビルマと一緒に残りの2週間を過ごすと言うつもりではないだろうな」

 宗助は頷いた。宗助は私の手を握ると握手を求めた。その厚い皮の手は確かな自信を帯びていた。

「そうだとも」

 真人は宗助とそのまま商談を続けた。それは彼女を佳代子と同様にお手伝いとして働かそうとする算段である。話は弾み、いつしか商談は談笑へ変わる。談笑でリコルとこれから百合華と呼ぼうと決まった。また、百合華を同居人としてむかえることになる。

「勿論彼女の同意を得てだが」

 真人はこっそり言う

「リコル」

 時刻は夕日に差しかかっていた。私は彼女が何を言うか頭を悩ませていた。彼が昼に買い物をしているときも。彼からは「君も存外暇なんだね」と言われたが全く気にしてはいなかった。

「」


しかし、私たちはセピア色の花を一輪とそれに属していた夕張の色をしていた。

「リコルちょっと良いか」

 真人は威厳を持って言ったと思っていた。しかし、その実、肩に力が入っていた。

「なあに、真人さん」

 リコルは真人の名前を呼んだ。

「君は日本に帰ったら何がしたい?」

 私はあくまでも優しく聞いた。リコルは遠くを見て、夕日の一番暑い中心点を見ていた。

「親が見つかれば良いですが見つからないなかったらとうぶんは国のお世話になるでしょうね」

 私もリコルに誘われて夕日を見る。夕日は赤かった。しかし、人間の血のように野蛮な色をしていなかった。濃い橙色が乱反射さして私の顔にベッタリと赤い色を映す。真人はおもわず顔を手で拭った。その手に赤い液体は付いていなかった。

 真人はリコルに向き直ると神妙な面持ちで、彼女と向き合った。喉の奥に取り残されている言いづらい言葉、それが喉のおくを差し掛かる。私は躓いたと錯覚した。それは緊張からだった。その時私の咽の奥から嗚咽が出る。私は手を地面につける勢いで喉に差し掛かっていた言葉を吐き出す。

「私とルームシェアをしないか」

 ようやくリコルは私を見てくれた。リコルは他人からルームシェアをする提案をされるのは初めてである。であるからして真人はある種の犯罪者となる可能性が高かった。しかし、彼女が不遇の立場であることと親族がいないと分かったことが、最大の要因であり要素であった。

「私にも家族がいるかもしれません、考える時間をください」

 彼女はその場を去ろうとした。しかし私はリコルの手を掴もうて猫なで声で一言「待って欲しい」と言う。

 私はその手を掴もうとした。であるならば私は今度こそ犯罪者になってしまうだろう。しかし、彼女は私のことを軽視するだろか。

 彼女は階段へ足をかける。

 木製の板でできた、階段を中腹まで行った。

 真人は宗助が用意した食事に使われるナプキンに手紙を書いた。宛名には『安堂真人』と書かれていた。真人は手をおおきく伸ばして「ちょっと待ってくれ」と言う。彼女は手だけではなく体もその場で動かなくなった。それだけではなくこちらを向いてくれた。

「この手紙を持って行ってくれ」

 紙にはある住所が書かれていた。それは宗助と真人が共同で生活しているシェアハウスの住所であった。彼女は目を隠していた。付け加えて真人は「これは真人と宗助の総意だ」と言う。彼女は慎重にその紙をボケットに入れた、震える手から落ちないために。

「さあ、私は退散しよう」


 私は彼女に玄関のある窓からコツコツと聞こえる彼の足を頼りにそちらへ向かった。それは宗助の足跡であった。宗助は暇に散歩をしながら煙草を吹かし、眉間へ皺を寄せまさに頭を使う状態へ移行していた。

 また、私が近づいたからわかったのだが彼は香水を付けていた首筋と手の内に付着していた。

 真人は宗助を見ていた。

 宗助は真人を見ていた。

 宗助は真人のくるぶしの泥が付着していない靴下を見ていたが、真人は彼を見て「健康に悪そうだ」と感じていた。また、宗助の目を見て話していた。

「証書の発行は如何ですか」

 パイプをとり話す。

「あと、三時間だ」

 真人が後ろめたく目をおろす。

「問題はないな」

 宗助は口をすぼめる。

「君はね」

 宗助は真人の背中に殺意を感じる。

「何もしてくれないからかな」

 宗助は夢の中をまぐわうよう目を閉じる。

「私にはどうしようもできないしね。全くどうすれば良いのかわからないよ」

 宗助は完全に自分の世界へ溶け込んでいた。

 どうしようもない程に私たちはその道程を見ていることしかできなかった。

 私は口から吐瀉物を吐き出す感覚を覚える。私は彼に話しかける算段を整えた。しかし、彼が気持ちよく空想に耽る一部始終を見ている気は成りをひそめる。

 であるが、これはある種日が昇る頃にすべての仕事をかたづけたからにほかならない。また、これ事態が危険を帯びているようである。

 百合華も話を聞いていたから私は笑顔になれた。


私は右に左折した通りにあるお菓子屋があることに気がついた。そこはしがない個人商店だった。個人商店は寂れていて内装も汚い。しかし、真ん中に居る女性には底知れない覇気が感じられた。私はそのボロボロの携帯を取り出した。その携帯は十年前に買った二世代古い中古の携帯である。

「婆さんすまないがいいか」

 お婆さんは自分に話を聞いていたのかしたり顔になる。

「何、聞こえないよ」

 私はそれがわざとだとしても聞くしかない。

「すまないが駄菓子が欲しいんだ」

「それは友人にかい」

「違う」

「じゃあだれに渡すんだい」

「友人にだよ」

 真人の手には一つのチョコレートが握られていた。チョコレートは春に近づいて来たから少し溶け始めるのが速かった。

 私は宗助が世界に入るのを応援した。たまにはこんな日があっても良いと感じた。私はそれを見ていた。それとは私と宗助と百合華が部屋で暮らす絵であった。

 私は玄関の戸を叩いた。私にはとても重い音に聞こえた。しかし百合華には軽い、少しおをぼろな玄関口である。私の後ろには夕日が差し込む。

 真人は一度だけ玄関を潜ると風呂場へ行く。風呂場はトイレと浴槽が一体になっていた。浴槽の前のホックは厚いカーテンで締め切った。一体型の風呂場では常識のことだった。

 頭を洗い、体を洗い、足を洗うと私は浴槽に入水をする。湯は冷たくなかった。むしろ暑かった。風呂の水は元々熱していたからだった。

 私は感化された。夕日はあるところまで落ちると一点の曇りもないオレンジ色の光を放ったためだ。私は彼らからある資料をもらっていた。それは太陽のように輝く黄金比になぞられ寸法を整えた紙であった。

 私はそれを渡すか迷っていた。しかし、渡そうと決意した。決意したのは、宗助が百合華のことを良く思っているからだった。こんな夕日でも太陽は太陽と同等の価値を持つことに驚いた。

 私もようやく世界に溶け込むことができた。私はその時久々に極楽を経験したのだった。

「極楽だな」

 私たちはそんなことない。私はリコルに足止めされていた。私はリコルに脛のいちばん大切な部分である膝小僧をめいいっぱいの力で蹴られた。

 「部屋に監視カメラ設置するな」

「仕方ないだろ、百合華を守るためだ」

「私はどうしてこんなに狙われるの」

「どかしらに先導者がいるのだ。そいつが内閣に圧力をかけている」

「その先導者ってだれ」

 宗助は大きな声を出す

「もう寝なさい」

 宗助はリコルの瞳を見た。リコルはそのなんとも言えない覇気に戸惑っていた。

「貴方は何がしたいの」

 宗助はニヤリと笑った。

「事件の解決さ」

 金ぴかの証書はもう私たちの中で価値を無くしていた。彼はまた煙草をふかしていた。真人は呆れてものを言わなくなる。本当は彼に権利を持って来て欲しいのだ。

 リコルをその言葉をきき部屋に戻った。

 宗助はチラリと部屋の監視カメラを見た。監視カメラは彼女がまた逃げ出さないようにするためのに設置されていた。

「リコルの様子はどうだ」

 真人はブランデーを仰いだ。真人は酔わないので飲酒したが宗助は酔っぱらうので飲むのを控えた。

「よく飲めるな」

 彼がニヤリと笑う。

「俺は酔わないからなら」

 宗助は一杯だけ酒を浴びた。

「俺は酔うから、一杯だけにするよ」

 そう言いブランデーをロックで割ったものを一口で飲んだから、真人も手放しに誉めた。

 私は嬉しくなりつい苦笑いをしてしまったが、次第に口ごもるようになる。

「簡単に飲酒するなよ」

 彼が手をまたいだ。

「リコルこと百合華のことだ。百合華は役所で死んだことにされている。カレン国は国際政治の観点から彼女に公的な支援をする意志はないと表明した。それは実質的にカレン国が彼女を見放したということと同義である。」

 宗助は振り向きざまにいう。

「」

「受理の証しとなる証明書は」

 宗助はは真人を見る。そこには日宮百合華と書かれた証書が一枚発行されていた。

「ここにある」

 真人はニヤリとして答えた。

「受理賞は確保できたな。」

「これはいわば受理表、母国に帰るための整理券だ。俺はそれを手に入れた。」

「それは結構だ」

 宗助は真人が持っているグラスにブランデイを注いだ。

「しかし、どうする。その整理券はカレン国から母国へ行くための切符だ。空港のターミナルサービスに宗助自らが提出しないと効力が発揮しない」

「それは対策済みだ。君の友人であるビルマの夫人に頼み彼女を護送してもらう協力を取り付けた」

 彼は何となしと言うように答えた。あの堅物をどやって動かしたのだと言う私の言葉を悟ったように宗助は答える。

「なあに、すこしばかり雑談をしたんだ」

 宗助はするとゴマをするような手の仕草をした。

「何て男だ」

 私は驚愕する。

「まあそんなことはどうでも良い。とにかく明日のバレードに必要なものは取り揃えた。」

 私はそのあまりの激痛に銃弾で撃たれた痛みを忘れて飛び上がる。リコルはその様を見てクスクスと笑うのであった。私はその時思いがけず意見が一致したと想う。

 明日と言うのはほんの一週間ほどである。

 証明書は国からの証明書である。証明書はそれ一つで自由に国内を闊歩できる証明書であるから各省庁は渡す相手を吟味する必要があったのである。

「魔法を使えば良いのでは」

 私は宗助に言う。

「確かに魔法を使えば一回で解決するだろう。しかし、多くの人が死ぬことになるぞ」

 宗助は笑顔で言う。

「禁止されているから宗助は魔法を放たないのか」

 私は彼に言う。宗助は真人に屈託のない笑顔を向ける。真人が微かに笑った。

「魔法を使うから一回で全て行えるのではなく、一回ないし、一言で解決するから魔法なのだ。それは決して身体的な欠損があるからとか精神的に衰弱であるからとかではない。」

 私は宗助に問う。

「彼女が馬鹿だからと言うが魔法は使えると言うことか」

 私は彼に言う。

「見ないと言うのも真理であるからな」

 宗助は頷く。

「もしかしたら、彼女が救世主になるやもしれない」

 証書には紋章がが書かれていた。「彼女が話した勇気の言葉が大切なんだ」と言う。

「それはこの事件の黒幕との直接対決に使えるかもな」

 私ははっとした。

「認めることが肝心だ」

 三の要素を理解したとたん600wsの電気が1200wsの電気へ増えたのである。

「貴女が言いましたよね」

 真人は沈黙するしかなかった。

「サーチ彼方の人生に深入りしてしまったこと謝ります。申し訳ございませんでした。」

 「それはそうですが」と言うと彼は私を見た。その表情にはある種の諦めた敗北者の顔が見えていた。それは宗助にはとても甘美なものであった。「君はボクのことを嘲笑っただろう。そんなに努力することが嫌か」

 証書に紋章が書かれていた。紋章は三角に頂点どうしが直線に結ばれていた。私は『おぞましい手紙』に手を伸ばした。手紙には施設を利用した事に対する御礼の半紙である。それと滑らかなポリエステルでできた紙は和紙に似ていた。

「これが帰還受理書だね」

 私は初めて証書なるものを見た。

「証書はどのような効力を持つのだ」

 私は疑問を持ち宗助に問いかける。宗助はパイプを吹かし答えた。

「それは彼女が不法に入国していない証明書だ。証明書はカレン国の最高裁判所が百合華さんの不法入国が拉致による理不尽なものに対する証書である」

「カレント国の最高裁判所は百合華を認知していたのか」

 私は驚き感嘆の意を示す。宗助は唇を曲げにっこりとした顔で笑っていた。

「だいぶ前にね」

 宗助はうすらぼんやりとした目を半開きにしながらバイプでできた鉄製のタバコを吹かしていた。

「連絡はさっき聞いたよ。明日の午後3時の便で出国する予定だ」

 真人は宗助が何やら六角のレンチで鉄に穴を開けていることに気がつく。

「何しているのだ」

 私は彼へ静かに聞いた。

「何ってそれは鉄製のパイプの煙草を造っているのさ」

 彼は堂々と言った。百合華が二階から降りて来た。百合華ですら彼の行動に引いていた。

「証書も発行できたし一段落かな。百合華はっきりと言うがパイプを造れようが、造れまいが人生には何も影響がない、しかし、造れたほうが少しだけ格好が良くなるからだ。」

 百合華は宗助が言った言葉を復唱した。すると憑き物が落ちて彼女は二階へ戻る。まるで百合華が宗助の言う言葉に納得したかのようである。

 それはなんとも神秘的に見えた。

 宗助はリコル=マーケットと茶を飲むと、パイプ椅子から彼女をチラリとたまに見ていた。私にはリコルから話すのを待っているようであった。

 彼は言っていた。「もし、この件を解決するのに時間とそれなりの期間が有のならば、私は彼女に科された不法入国の罪を証すための間を割くのに生憎と今は時間がない。僕は実際のところこういう華やで開放的な場所で推理するよりも、暗く自分好みに散らかした部屋で推理するほうが、速く捜査を終えられるからね。しかし生憎と君の友人であるビルマ=バレンタインの新居に泊まっているからその可能性は無しだ。僕はね彼女から自身が抱えている問題の大きさを聞かされたとき、事件は私個人の処理能力を越えた理不尽な事件だと考えた。しかし私はある事と事件の事件性が結びついたことにより、この事件は特定可能だと判断したからである」

 僕たちは廃屋からから湿ったうすらさむい廃墟にいた。「僕がこの廃墟を選んだ理由は単に頑丈だったら」椅子もなく、ガスもなく、電気もなかった。しかし、木組みの木造建築は私は例え火山が噴火したとしても私たちを守ってくれるだろう。

 宗助は一服し口を開いた。

「痴漢の冤罪を晴らそう」

 私は耳を疑った。

「痴漢の冤罪を晴らすより百合華さんの冤罪を晴らすほうが先だろう。何を言っている。」

 私は目くじらを立てる。

「彼女、えっと、ご婦人の名前を忘れてしまったが、その婦人が鍵だ。彼女は金の指輪に銀と銅貨のイヤリングをしていた。イヤリング事態は特段珍しい物ではないが、着けていた銅貨の素材はチタン金属が含まれていた。知っているだろ、チタンの元素記号はheだ。heは酸素と結合すると酸化するため、防止するための合金なのだ。ほら、覚えているだろ、彼女は私と君が交番を通り過ぎるときに『こんなにも腕輪が錆びたじゃない』と言ったことを、その時にひらめいたのだ」

 私は思わず拍手をするしかなかった。

「よしてく」

 「しかし、ミルク婦人の腕輪がチタンを含んだ合金であることと、リコル=マーケットの冤罪を解決することに何の関係があるのだ。」

 私はワインを片手に話していた。

「それはミルク婦人がお金持ちであることさ」

 私は驚いた。証明書と腕輪がどのように関係するのか気になったのである。

「金持ちってことは私たちとは違いこの国に影響力があると言うことだろ」

 彼はニヤリと笑った。

「恐らくそれを実現するために彼女は努力しただろうからね」

 彼は「早速招待状を書こう」と意気揚々と階段を登る。

「忙しいのはこれからだね」

「全くだな」

 私は同感した。


 私たちはあれから一週間が経っている。真人と宗助はビルマ=バレンタインの邸宅に留まっていた。私たちが帰国するのはあと一ヶ月後のことである。

「まず私たちが行った場所はどこだね」

 宗助は真人に言う

「うら美しいカレンの国の風景画を見に行った」

「そうだ、その前にどうした?」

「痴漢されたと言う女性を助けた」

「そのじょせいの名前は」

「わたからない」

 宗助がニヤリと笑った。

「その女性の名前はミルク婦人だ」

 私は彼が話したことばを頭の中で復唱した。しかし、その検索方法では私の脳内にある真実を拾い出すことはできなかった。

「どうしてわかった」

 私は彼女から話を聞いていたから知っていたものの最後の3日間で事をなすのは『あらかじめ準備をしていた』か、「事前に知っていない』とできない芸当である。

「まあ、ネタばらしをするとしよう」

 彼はコーヒーをデールに置き、テレビの電源を切る。彼はまどろみの中から現実世界に帰って来たのだ。

「是非聞かせてくれ」

 私は固唾を飲み聞いた。

「ネタと言っても簡単なことだ。

「ミルク婦人は痴漢冤罪のさいに指輪の太ましい部分が日焼けにより痕となっていた。これはカレンの国の気温が影響している。夏には赤外線が強くあたるので日焼けがしやすいのだ。また、大きな声を出したのは大事な結婚指輪なくしたからだ。痴漢にあった挙げ句に驚いた拍子、落落としたためだ。なんとも不運だね」

「つまり私は彼女が痴漢に遭遇したと大声を出したときにミルク婦人であると分かったからだ。それは」

 彼は頭を抱える。

「それはどこにあるのかな」

 私は腹立しげに答えた。

「それは君も見ているはずだ。あの指輪だよ」

 思い出した、真珠を加工したキラキラと輝く指輪を彼が手袋をして持っていたことを。

「良心とはいわば事実と言うベェールの中に隠れている。つまり情報は良心の中にあるのだ。それを探しだすのも智恵を持つものしかできないことである。その中でも最も分かりやすいのが損得感情だ。こうは考えられないね自身の持っているモノを交換できるから取引は止めかれないのだ。」

「反対意見はあるかな」

 宗助がしたり顔でいう。

「...」

 私は沈黙するしかなかった。

「ではこの事件は解決としようではないか」


 あれから一週間がたった。私は彼の手紙をすこぶる読み返した。宗助がテレビを消す。彼は私が寝る上段の布団に入るときにいつも「ケイネスには会えないだろうか、彼を尋問できれば、彼が犯行をするまでの道程を見つけることができるのに」と悔しがっていた。真人は「なら首相と合った時に連絡先でも交換しとけばよかっただろ」と言った。

「確かにそうだね」

「言ってももう遅いぞ」

「いや、それでもナイスアイデアだよ」

宗助は続けて言う。

「次に活かそう」

そう言った。それから今にいたる。私はフカフカの毛布の上でサッカーの試合でも見ていた。自国の選手がゴールにボールを入れると、二人とも自分のことのように喜んだ。

「今日のことをどう思う」

 私は宗助に聞いた。

「ケイネスを取り逃がしたことか」

 宗助はぶっきらぼうに言う。

「違う、ケイネスが引き起こした現象のことだ。」

 がってんがいき納得した。

「本当に不思議だね」

 目を細めた。宗助は握っているリモコンの電源のボタンをゆっくり撫でた。

「そんなこと言っている場合じゃあないだろ」

「言っている場合だ、どちらの場合にしても僕が捜査をしている中で最も危険な犯罪集団を相手にしていることに変わりは無い。しかも相手には大義がある。これは厄介だ、民衆を見方につけているから。たった一人の参謀により凶悪な犯罪が可能になる頭脳を手に入れるビジネスが成立しているのだ。今回の痴漢冤罪などまだ序の口でしかない。在り方すらある一つのことがらに変えられるほどの知能犯だ」

「それに耐えられるのか」

 真人は宗助に言った。

「君がジャーナリストならそそられるないようだろうね」

「いや、それは、そうだな、やめとくよ」

 私は怖くした。それは宗助が過去一番怖いかおをしていたからだった。しかし、宗助はあくまで満足であった。

「しかし、君には捜査に加担して貰うよ、よろしいかね」

 彼は英語で話す。

「もちろんだとも」

 私はもうテレビを見ることははかった。

登場人物

 リコル=マーケット

 ビルマ=バレンタイン

 比奈内宗助

 安堂真人

 ミルク婦人

 ケイネス

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