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非日常的な日々  作者: 緑茶派
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異世界より

書き直しです(3回目)

お手隙の際にでも読んでいただけると嬉しいです。

 池田 優太殿


 前略

 まずは中学校卒業おめでとう。卒業式はどうだった?周りの同級生が家族と人生の節目を過ごしているなか、お前を例外にさせてしまいすまなかった。だが俺の時も、お前が熱を出して涼がそれを看病して、一人だったんだから、お互い様だよな。


 本題は二つ。その一つ目から話そう。


 この手紙を書いている今、俺はお前たちと同じ世界にはいない。いわゆる異世界と呼ぶべき場所にいる。二年前、卒業式が済んだ後、そのままこっち側に来た。

 当時は色々とあってな。今にして思えば冷静な判断ではないとわかるが、あの時の俺はあまり余裕がなかったんだ。だが、あの時の判断を後悔したことはない。人生を大きく左右する選択をたった二年でどうこう言うのは早計かもしれないが、この二年で俺が経験してきた日々は、俺の人生に確かな意味を持つものだった。

 ただ、もし唯一、心残りがあるとするならば。今なお気掛かりでいることは、お前だ。俺はお前になんの説明もしないまま家を出てしまったし、俺がいなくなったことで苦労をかけただろう。悪かった。心配させていたのなら、俺はこっちで元気にやっているから安心してくれ。この連絡ももっと早くにすべきだったな。すまない。


 それで、二つ目の要件だが。こちらの世界に来ないか、という誘いだ。

 ただし、一度こちらの世界に来たら元の世界に戻ることはできない。こうして俺がらしくもなく手紙を書いていることも、そのせいだ。もともと、空っぽの墓に入るつもりなんてはなからなかったが、もはや日本でくたばることすらなくなった。どうでもいいことだが。

 とにかく、よく考えてくれ。もし今のお前の周りに大切な友人や恋人がいるんだったら、そいつらと一緒にいるべきだろう。将来の夢があるならそれを目指すのもいい。この誘いはあくまでも、俺の近況報告のついでの話だからな。

 今すぐに決めろって話でもない。答えを出すのはいつでもいいさ。


 ただ、自分で考えて、自分で決めるってことだけは忘れないでくれ。お前の人生だからな。


 草々

 池田 悠斗


 追伸  涼にはよろしく言っといてくれ。二枚も手紙を書くのは面倒だ。


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