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ぐうたらハンナ



 ハンナは全てのことが面倒だった。


 彼女はある山の奥地にある、洞窟で産まれた。


 ハンナの母親は彼女を産んだと同時に絶命した為、彼女は生まれながらにして自分以外の人間を見た事がなかった。


 それもそのはず、彼女は生後から成人するまでその場を一歩足りとも動いていなかったのだ。


理由はただ一つ…………面倒だったから。



 彼女は恐ろしい事に産後間もない時から、身体が成長しきるまで寝返りの一つも、うった事がなかった。 頭上で生き絶えた母親の腐敗臭など気にも止めず、生後と何一つ変わらない姿勢でその洞窟を住処としていた。


 争いや戦いとは無縁であったが、類い稀な生命力とその超人的な肉体のみで生存本能もなく、数十年を生きたのは彼女の才能と呼ぶしかない。


 しかし、別に彼女は生きたかったわけでもなければ、死にたかったわけでもない。

 そんな事を考える事すら彼女にとっては面倒だったのだ。


 とはいえ、命ある物、何もしなければ死は訪れる。

いくらハンナといえどそれだけは例外ではなかった。


 喉の渇きが限界に達していたのだ。


 その感覚はハンナにとっても不快な物で、面倒な気持ちを押し殺し、彼女は生まれて初めて眼球を動かした。


 すると、5、6回寝返りを打てば届く位置の天井から雨水が滴り落ちているのが目に入った。


 このままゴロゴロ体を回して口を開けば喉を潤す事ができる。

 ハンナにとっては初めて口に何かを入れる作業だ。



 少し考えたが、ハンナは寝返りを打つ事をしなかった。


 理由は……面倒だったから。



 そのハンナの怠け癖がもたらした結末は餓死。

 彼女は産まれて1度も動く事なく死んだ。



 その亡骸からあふれた魂は誘われるように、とある神殿に辿り着いた。


勇者試験・準備編終了となります。もし気に入っていただけた方がいましたら、是非評価の方していただけると筆者が跳ねて喜びます。何卒よろしくお願い致します。


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