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5話「従魔」

「シルフィー、サラ、戻ったぞ!」

「主人様! 今までどこに行ってらっしゃったのですか!?」

「いゃ〜、それが……」

 俺はこの魔物達に会った経緯を話した。


「なるほど、その魔物達は主人様が()()ってことでよろしいですか?」

「まぁ、そうなるな」

「主人様。残念ながらそれは叶わない願いになると思います」

 さっきまで歪みあっていたシルフィーだったが冷静さを増し俺の目をじっと見つめてくる。


「俺はしっかり面倒を見るつもりだ。」

「その言葉を言ってその愛玩魔物を捨てた人族は一体、何人いると思います?」

「ッ……ひゃ、100人?」

「いいえ、愛玩魔物を飼っている約9割の人族、まぁ、主人様達の言葉で言う貴族の方々が捨てたのです」

「そんな……」

 現在王都のみならず全国の貴族は約500人以上と言われている。

 それの9割……約450人の貴族がこいつらを捨てたことになる。


「でも、ここにいる愛玩魔物は450体もいないはず、だから……」

「だからも何もありません! 主人様、本当の事をお話しします。」

 シルフィーは俺に背を向け歩いって行った。

 俺はシルフィーの背中を追いかけてシルフィーが切ったであろう切り株の上に腰掛けシルフィーはゆっくり話し始めた。


「愛玩魔物も所詮は魔物、魔力の瘴気を浴びればいずれは凶暴化し我を失った魔物へと変貌するんです。」

「そんな……」

 俺はわかっていなかった。

 いや、わかっていなかった訳じゃ無い。

 俺が何も考えずに「飼いたい」と言う欲望をただ言っていた訳だ。


「おやおや、主人様がお困りのようですね」

「……シュバルト。」

 低く身を震わすような声が俺の体の欲望を掻き立てる。


「シュバルトですか、一体なんのようですか?」

 シルフィーはシュバルトに静かに怒りをぶつける


「おっと、怖い怖い。私は主人様に助言をしに来たんですよ」

「助言?」

「主人様。シルフィーには契約魔法の加護を授ける事ができますよ。クックック。」

 不気味な笑い声とシルフィーの「余計な事を」と言う目が見えた。


「まぁまぁ、シルフィー落ち着け。どちらにせよここは人族が愛玩魔物を捨てる場所なんだ、それに主人を信じない従者なんていないだろ?」

「サラ……、まぁそうですね。いいでしょう。」

 俺はシルフィーから【契約魔法】を授かり魔物達に魔法をかけた。


「ありがとうございます! ご主人様!」

 か、カワイィ〜!!

 何も無い森の中で走り回る愛玩魔物達はもふもふしていたり、ふわふわなものもいたりして可愛い。

 今まで追われてばかりだったから目の保養になる


「さぁ! 主人様は家を作らないといけませんよ!」

「わかったよ。シルフィー、だけど家の作り方なんてわかるのか?」

「いえ、わかりません。」

「えぇ!? じゃあ、いえはどうすんだ?」

「建築は土の精霊の加護ですからねぇ。」

「ムゥ」

 俺の後ろからおじさんみたいな低い声が聞こえて来た。


「ムゥ。」

「「ムゥ!」」

 一体の小さいおじさんは数体のおじさんを連れて何やら木を切り始めた。


「さっきぶりっす!」

「君はアルル。また来たのか?」

「はいっす! ヌシ様が家を建てるためのノーム達を連れて行けとの命令だったので!」

「そうか、それはありがたい!」

「自分は連れて来たまでっす! 礼はヌシ様に言ってくださいっす!」

「そうだね」


「ムゥ。」

「ムゥ!」

「ムゥ……」

 ノーム達は木を切り終わり、家を建て始めた。

 それはもう、物凄いスピードで。

 ノーム達が家を建て始めて3時間。


「す、すごい!」

 木材だけでもう家ができてしまった。

 でも、見た目が良くても中身が良く無いと意味がないな。


 俺は扉を開け、家の中に入った。

 何という事でしょう。

 何もない平地に家が建ちベットに小部屋まで完備されているなんて。


「ノームさん! (ぐっ)」

 俺は親指を立て泣きながらノーム達を見つめた。


「ムゥ。」

 ノームも素っ気ないようにしていたが、親指をグッと立てた。

 家を作り終わり外へ出ると家の中にいたノームとは別に外にいたノームはまた何かを作っていた。


「次は何を作っているんだ?」

「ムゥ、ムムムゥ。ムゥ!」

 何言ってるかさっぱりわからん。


「なるほど、ノーム達は今従魔用の柵を作っているらしいっす!」

「そんなことまでしてくれるのか。ありがとう!」

「ムゥ!」

 ノームは胸を張り上げ自慢気に仕事している。


 30分後

 家しかなかった平地にこれまた立派な柵ができました。

 従魔用トイレも完備している。

 遊び場もある。

 これほど従魔にとって幸せなところはないだろう。

 早速できた柵の中に従魔達を入れるとこれまた可愛い!!


「ノームさん! ありがとうございます!」

 俺は深々と頭を下げた。


「ムゥ」

 ノームさんもコクリと頭を下げ去って行った。


「さぁ、今日はもうお疲れでしょう。寝ましょうか」

「そうだね」

 その日はノームが作ってくれた家で一晩を過ごした。

 翌日。

 朝は眩しい光が照りつける。

 家を出るとそこには大量の猪が山積みになっていた。


「よぅ。主人! 今日からは肉に困らねぇな! ははは!!」

 朝から騒がしいサラの強さに圧巻した。

最後までお読みいただきありがとうございます!!

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