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覚悟を決める


 「 ………… 」


 先生は、口をつぐんだ。

 最初は、怒りの表情を浮かべていたが、どんどん時間が経つにつれ、涙が零れ落ちそうになるほど、目にいっぱいの涙を浮かべ……。

 それを、洋服の袖で拭うと、先生は語りだした。


 「 本当はっ、本当はね、まだ言わないつもりだったの。 せめて、もう少しでも貴女が自分の力を使えるようになってからと思ってたのに…… 」


 先生は、いったい何を言ってるの? まさか、ステーキの話をしただけでこうなるとは思ってなかった。


 「 先生、どういうことですか? ……先生は、何を隠してるんですか? 」

 

 「 ゆりね……。 自分が本当にヴァンパイアになったのを、どうして自覚せずにいられているか。

 わからないの? 」



 わからないの? って言われても、加護のおかげで太陽は大丈夫だし、触ったら火傷する銀製品には触れてもない。

 友達がヴァンパイア物が好きで、何度もそれについて力説されたから覚えてるけど……。 たしか……。



 ――――――――――――――――――


 『 いい? ヴァンパイアは、鏡には映らないから自分の姿がわからないの。

 それに、川とかの流水もダメだし! 十字架とかニンニクもダメなんだよ!


 ……うーん。

 あとはね~、これがとっておき! よく映画とかで窓から入ってくる描写がよくあるんでしょ?

 でもね! 本来は一度でも入ったことのないところは、家人から招かれないと入れないの!


 どう!? ゆりねは知らなかったでしょ! ふふーん! 』


 ――――――――――――――――――


 って、自慢げに話してたけど…。なんであんなに、自慢げだったのか今でも謎だけど……。

  まさか、こんなところで役に立つとは思わなかったわー。


 うーん、鏡に映らないって、まだ一度も前に立ったことがないからわからないし。 十字架だってまだ見てない……。

 ニンニクもこっちの世界にきてからまだだし、ここには川がないから史実にある流水が、本当に苦手なのかもわからない。 他にも、入ったことのない建物には家人から招かれない限り入れないとかあるらしいけど、試してないから何とも言えないし……。


 他にはなにかあったっけ?


 あとは、考えられるものっていっても血を吸うとか? でも、私は吸ったこともなければ飲んだこともない。


 でも、普通ヴァンパイアって血吸わなきゃ死ぬとかなかっけ?

 じゃあ、なんで死なないんだろ? 飢え死にするはずなんだけど、飢える様子はない。

 精神世界だから?

 でも、ここはリアルの世界と同じって言ってたから、飢えるはずなんだけど体はどこもおかしくなってないし


 「 先生、なぜ私は飢えないんですか? ……人の、人の血を飲まずに私がこんなに体を動かせるわけがないんですよ……。

  それとも、飢えないようにこの世界が出来てるんですか? なわけないですよね。

 説明してくれますか、先生 」


 飢えるって死ぬ可能性があるのに、そんな大切なことを何故隠しているんだろう。


 先生がそんな大切なことを隠していたなんて。 信用しかけてたのに……。

 裏切られた? あれだけ大切だって言ってたのに、()()()()()


 先生は何も言わない、ずっと黙ったまま。 悲痛な顔で目線を落としていた。


  なんで泣いてるの?


  泣きたいのは私なのに……。


 「 説明してくださいよ 」


 どうしてこっちを向いてくれないんだろう。

 なにも話してくれない。 もうすでに、泣き止んでるのにずっと黙ったまま。


 ――シーン。 と、その場が沈みかえっていて、切り詰めた空気が漂っていた。

 

 ゆりねがいくらマリーに問いかけても、マリーが返事することはなく

 魂が抜けたような、人形のようになってしまった。

 

 「 先生……? 」


 ガタッと立ち上がり、マリーのところまで行くと肩をガシッと掴み、グラグラと揺さぶるけれど何も反応がなく、顔にも生気がどんどん失っていくのが感じられる。


 「 先生どうしたんですか?! 返事をしてくださいっ! 」

  

 先生は何も話さない。 そればかりか、人という概念になくなりつつある……。見た目とかは変わってないけど、纏ってる雰囲気が違う。


 体を触っていると、先生のマナの流れているのがわかる。 例えるなら、脈みたいなものだろう。


 それがどんどん弱くなっているのが感じ取れる……。 緩やかだけど、激しく流れる川のようだったのに、今では、せせらぎぐらいにしか感じられない。

 ここまでわかるようになったのは、修行の成果なのだろうか?

 いや、今はそんな悠長なことを考えている場合ではない。


 ――このままだと、先生が危ないと本能的に感じる。


 どうしよう、こんな時どうすればいいか私にはわからない……。


 叩いたら治ったりしないかな……? いやいや、人はテレビじゃないんだし、流石にね?

 でも、昔私が派手に転んで意識が朦朧とした時、叩いたら起きたらしいし……。

 やってみよう、かな? ……悪い方に転ばないといいけど。



 「 先生、すみませんっ! 」


 

 バッチーン!!


 「 …… 」


 叩いても反応なし?でも、なんか目が……? 一瞬、ぱちくりさせたような? いや、わかんない。 もう何度か叩いてみよう。


 バチンッバチンッ

 

 ……。


 バッチーン


 「 痛いッ! やめてっ 」


 「 え? なんですか? 聞こえないです 」


 ぺちぺちぺち


 「 ごめッ、あのっ、やめてくださいッ 」


 「 先生、もしかして気絶したふりですか? 」


 マリーは確か、17だよね?

 逃げるために仮病を使うことだってあるかもしれないけど、今それをされると困るんだよね……。

 先生の顔を見ると、〝 バレた " という顔をしていた。


 「 うっ、はい……。 バレないと思ったの、マナもいじったから、わかんないかなぁって…… 」


 このがk……。


 「 ふぅ、そうですか 」


 マナをいじるなんて事できるの? というか、案の定仮病? らしきものだったみたい。

 よかった、先生が死ぬ、かと思った……。

 

 「 なんでこんなことしたんですか? 正直、意味わかんないですし、子供だからってなんでもしていいってわけではないんですよ 」

 

 「 こ、子供って、私17歳よ! もう、立派な大人だわ!

  確かに、悪いことをしたけど……。 子供扱いしないでよね! 」

  

 17ってまだ未成年でしょ? 子供じゃん。


 「 でも、成人してないですよね? だとしたら、まだ子供ですよ 」


 「 確かに成人の儀は終わってないけど、年齢的には成人してるわよ! 」


 成人の儀って、成人式みたいなもの? だとしたら、成人であることには変わりないみたい。

 ここの世界では17歳が大人みたい。


 だとしても、私にとってはまだ子供であることには変わらない。

 ……私の方が年上だし、それに二十歳前なんだから。


 そんな子が無理して隠してた……。

 

 「 はぁ……。 成人してるのは、わかりました。 とにかく、もう隠さないで話してくれませんか? 」


 「 ゆりねがそこまで教えてほしいなら、教えるけど、後悔しないでね 」

  

 「 後悔するかもしれないけど……。 もう、覚悟はきまりました 」



 ――――――――――――――――――



 __後悔するかもしれない。 でも、自分のことを知らない方が嫌だ。

 

 …………。


 ――怖い気持ちを振り払うように、まっすぐ先生を見て、ぎゅっと、服の裾を握りしめた。

 

 


おちゃさくです!

お待たせしました、六話いかがだったでしょうか?

まだまだ続くので、またみてください!



作者の独り言↓


【 耳が痛いです 】




それでは!



「面白い」



「続きが気になる」



「次回も楽しみ!」




と思ったら、広告下↓の【☆☆☆☆☆】から作品への応援お願いします!




オナシャーーース!!

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