第八幕
今日、僕は普通に学校に行った。昨日、検査をしたら全く僕に以上はなかったからだった。
学校では、すでに僕の家の噂は広がっていた。僕が教室に入った途端、それまで騒いでいたクラスメイトが全員黙りこくって下を向いた。
「おはよう」
「・・・・・」
普段、僕は教室では
勉強も運動もダメな物静かな奴
ってことで、固まっていた。だから、あいさつを返してもらう事はそう多くは無かったし僕からもそんなにしなかった。
そんないつもと変わらない様な対応だけど昨日までとは全く違っていた。
僕が一言も喋らずに自分の席に着くと、黙っていたクラスメイトがひそひそ声で話し始めた。
「ねぇねぇ、大丈夫だった?!」
「は?」
突然、全く親しくない奴が話しかけてきたのでびっくりした。確か、名前は井村公輔。クラスでは結構かっぱつな方で話した事は全然なかった。
「だからさぁ、家族が全員殺されたワケじゃん?そこんとこ、大丈夫なの?!」
こいつの無神経さにとてつもなく腹が立った。
「うん」
大丈夫なワケないだろっ
って言ってやりたかった。ただもうこいつとは関わりたくないと思った。
「そうかぁ!どんな感じだったんだよ?」
またよく分からない質問。
「どういう・・・」
「だから、家族が殺された時ってどんな感じなんだよ?」
僕は椅子をガガーッと後ろに倒しながら、勢いよく立った。もう我慢できなかった。いくらなんでも、それはない。
「ほっといてくれよ!」
「は?なに言ってんの?!人がせっかく優しくしてやってんのによぉ。なぁ、みんな!!」
クラスメイトのほとんどが頷いた。
「っざけんなよ!!!」
僕は大きくため息をついて、教室のドアを蹴った。僕が蹴るとドアは簡単に吹っ飛んだ。僕はその吹っ飛んだすき間から、教室を出た。
「くっそ!ふざけんなよ!!人の気持ち考えろよ」
むしゃむしゃした。ほんとにむしゃむしゃした。




