第十幕
「僕」が家族を殺したとき、血がその場になかったのはなんでだ?
それは、「僕」がそれを飲んだから。
「僕」が家族を殺したとき、夜だったのは?
それは、ヴァンパイアは夜でしかなれないからだ。
「そうだ!これだ!!ヴァンパイアになるためには条件があるって事だ。その条件が人間の血と夜。その条件は必須なんだ」
(その通りだぁ。じゃあ今から会って来ぉい)
答えは見つかった。後はこの考えが間違っているかあっているか確かめるだけだ。でも、それには夜までまたなければ・・・
まてよ。「僕」は今会ってこいと言った。それじゃ、まるで筋が通っていない。ヴァンパイアになるための条件の1つ、血は今(昼)でもどうにかなるとして、夜は変えようがない。
(そうだぁ)
じゃあ、どうやって今からヴァンパイアになる?条件が二つ、二つ、二つ。
!!
分かった。
(言ってみろぉ)
なんで条件が二つあるのか。それは二つがそろえば完全なヴァンパイアになれるから。つまり、どちらか片方があれば・・・
(そう、半ヴァンパイアだぁ)
やっぱり、ってことは。昼に血だけの条件なら、夜の場合血はなくても半ヴァンパイアにはなれる!
(やっと分かったかぁ。それじゃ、さっさとなれ)
とは言っても、血なんてどこで手にはいるのだ?そうだ、自分の血は。
(お前は自分の相棒を喰うのか)
え?!
(原理は同じだぁ)
僕は、公園のベンチに座ってまた考え始めた。
他人の血。簡単に手に入るものじゃない。亜美華は?いや、ダメだ。第一、亜美華は今学校じゃないか。じゃあ、亜美華の家はどうだ。亜美華の母親は主婦だ。
行ってみるしかない。もらったとして少しだけだ。今の僕は人間なのだから。
ピンポーン
亜美華の母親は、ハーイと言いながらどたばたと玄関に来て開けた。
「あら、光ちゃん!」
「あ、はい」
「どうしたの、学校は?」
僕はとっさの言い訳を言った。
「体調が悪くて早退したんすよ」
「そうなの。上がってきなさい」
「はい」
家には入れた。本番はここからだ。どうやってお母さんに血を流させる。




