思い出。
涙も出なくなった頃、リビングに大きなデジタルフォトフレームを飾り、妻が私に隠れて「パンダ」で撮っていた息子とのツーショット写真をスライドショーで流し始めた。
毎日「おはよう、行ってきます、ただいま」と二人に笑顔で言っている。
時々、無性に懐かしい。会いたい。話したい。確かに苦しいのだが、辛いとは違う。
最適な言葉が見当たらない。「懐かしい」が一番近いかもしれない。
何かがきっかけで妻や子との思い出が蘇り、たまらなく切なくなるが、たくさんの思い出を思い出せることが嬉しくもある。逆に辛く感じるほど鮮明に妻との思い出が浮かばなくなってくるのなら、そのほうが寂しくて辛い。
だから、フォトフレームを置いた。
そして、このツーショットコレクションは、元気もくれる。毎日何枚も撮っていたようだが、撮り始めて数日で妻が飽き始めたようで、途中から変な写真コレクションになっているのだ。
最初の頃は
「妻や息子の新しい服などの記念ツーショット」
「おしゃぶりを咥える息子」など。
段々と…
「サングラスをかける息子」(おもちゃ?仮装グッズ?)
「モヒカンな息子」(俺のワックスかな?)
「着ぐるみな息子と妻」(いつ買ったの?)
「トラのぬいぐるみに足を噛まれる息子」(それ俺のスリッパ…)
「トートバッグから顔だけ出す息子」(入れるな。息子も抵抗しなさい)
「見たことのない猫用の家から、猫耳カチューシャを付けた顔を出す息子」
「息子の息子が露わな息子」(捕まるよ?何撮ってんの!!)
書ききれないほどのバリエーション。
日々母によって様々なイタズラをされる息子。
いつもその隣には自分のしたイタズラに笑いが止まらず、時には笑いすぎて目に涙が溜まっているほど満面の笑みな妻。妻は俺の思う以上におバカだったのだ。そして本当にかけがえのない、愛すべき人だった。
・・・いつ俺に見せるつもりだったのか。混ぜてくれても良かったのに。
後にタンスの奥から「恐らく息子へのいたずらのためだけに買った、猫用お菓子の家」「猫耳カチューシャ」を見つけ、笑いと涙が止まらなかった。ひとしきり笑って、端っこにまだ残る商品タグにまたやられた。
「本当に一回しか使わなかったんじゃねぇかww総額3000円を使い捨てとかwww」
こんな風に今でも俺を笑顔にしてくれる妻に、息子に、本当に感謝しきれない。
本当に大好きだった。本当に大切だった。本当に・・・。
そんなわけでちょっと寂しくて、たまに情緒不安定になったりもしますが、元気に生きています。笑えるようにもなりました。
また報告があれば、追記します。