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私の居る道

作者: 道

私は双子の妹と一緒に、学校行事で林間学校に来ていた。午後からは自由行動で、みんなは楽しく林間学校の周りの原っぱや山裾で遊んでいた。ふと気付くと同級生の山田仮が4羽の蝶黄色いをうつろな表情で見ている。

誰かが叫んだ!見るんじゃない!

山田ははっと気付き、声のほうを振り返ると地元の方であろう少し年老いたおばさんが立っていた。おばさんは この辺りの蝶には言い伝えがあり、鱗粉を使って幻覚を見せて山の中へ連れ去っていくと、その蝶を見たものは帰って来れないと言った。

ここで集合のサイレンが鳴り、みんなは遊ぶのを止めて、林間学校へ帰って行った。私もみんなと共に学校へ着いた。


私の父親は先生で、今日の林間学校にも引率として同行している。先程の集合がかかって1時間ほど過ぎたころに先生達が中庭に集まって何かを話しているのを二階から遠目で見ていた。


妹が帰って来ていない?私は別のクラスの男子から聞いた。


急いで父親に話を聞いた。父親は慌てた表情をしていたが冷静にこう切り出した。先生達が探しに行く。この山の中には昔使っていた古い講堂があるらしいのできっと迷ってたとしてもそこにいるだろう。と。


私はいてもたってもいられない衝動に駆られ

先生たちの目を盗むように学校を飛び出して妹を探しに行った。



2時間ほど、遊歩道や登山道を探しただろうか、山を越えて隣町に来てしまった。

辺りもすっかりと薄暗くなっていた。私のことを不思議に思ったのか近くのお寺の住職さんが こんなところで何をしてるのかい?

と訪ねてきたので、妹を探しに来ていることを説明した。


いろいろと教えてもらった。ここの場所はニノ井、林間学校の辺りは一ノ井であること。

そしてこの先には古い大きな井戸があり、これだけ探しても見つからないのならいないならもしかして、、なんてとても想像したくないことも言ってきたので振り払うように別れた。


また2時間ほどたっただろうか

あたりがすっかり暗くなってしまっていた。

私は通りかかりの女性に声かけた。


いまいる場所は三ノ井であることは聞けたのだが何かが変なことに気づく。会話が噛み合わなかったり、その女性が身につけている装飾品や携帯電話などが見たこともないようなものだったからだ。そこで女性と別れ、一度学校へ戻ってみたほうが良いと思い、帰りの方向へ歩き出した。



おかしい。帰り道が分からない。

3時間ほど探しても林間学校への道どころか前の町にも帰れないのである。


私も不安になり、すぐ側で路上占いをしている老婆に事情を話した。


老婆はこう口を開いた。


いまお主のいる場所は、居ル道

正にどこかへ行こうとしている最中の道を示している。これから先に探した時間の倍ほどの時間をかけて次の場所を探し当てるじゃろう。











3日後、私は山の中の古い井戸の中で遺体となって見つかった。

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