技術屋は知っている。航空機は真円構造ほど安心できると。~そして400名乗りの世界最大のプロペラ機が誕生した~
昔からこんな格言がある。
旅客機は胴体構造が真円に近いものほど事故が少ない。
1990年代後半によく囁かれた話である。
かつて筆者はこんな事を周囲に漏らしていたことがあった。
ボーイングで乗るなら777以外乗りたくないと。
あの航空機はやたら事故が少ないが、事故が少ない理由の1つには当時のボーイングとして極めて珍しい胴体構造を採用していたことが関係している。
旅客機の胴体構造。それはスペースと強度の戦い。
ことボーイングに社においては当時、楕円状にサイズの異なる2つの円筒を重ね合わせて胴体を構成する構造とするのが旅客機の基本設計だった。
これは当然強度的に不利なものであるのだが、ボーイングは707以降、767といった中型機も含めて殆どの航空機で類似する設計手法をとる。
一見すると真円に見える737、767ですら真円でなく、円を縦に細長くした楕円形状。
それも上下で円筒の大きさが微妙に異なるため、楕円というよりかは広義の意味では瓢箪形状とも言えなくもない。
旅客と積載スペースとのバランスの兼ね合いの結果であった。
傑作超大型機である747なんかはもはや断面図がむちゃくちゃな構造である。
「構造的脆弱性が多少存在するのは客席スペース確保のための致し方ない犠牲であり、真円とすると重くなりすぎるため」――などと技術書において平気で書かれていたが、
エンジン性能が低いのを誤魔化すためにあんな構造となったわけだ。
そんなの怖くて乗れませんよ。
いや、乗ったけど。
一方、一連の機体は当然のごとく操縦ミスとは異なるような事故が多発しており、それは747すら例に漏れない。
冷静に考えてもらえばわかるが、急降下などした際にかかる急激な気圧変化などによって生じる負荷というのは想像以上のものがある。
当時のアナログ的計算手法でこれを完全に計算しつくしていたかは甚だ疑問だったが、それに起因する事故はやはり真円構造を採用しない航空機にほど多い。
真円構造型航空機の航空機事故の場合はまず電子系統が問題になる一方、
「穴が空いた」だの、「胴体の一部が飛行中に吹き飛んだ」だのは大体真円以外の構造となっている航空機における事故。
いかな真円という存在が頑強であるかを現しているといえるのだが、
考えてもみよう。強烈な圧力変化が起こる潜水艦の世界では軽量化を考えるなら真円が妥当とされているが、
潜水艦はいくらでも強度を増加させても浮力とバランスが取れるので2000年代を境にして高深度を進むような存在でも速力確保や適切な内部空間を確保するため、楕円形状の胴体構造となったが、
航空機は軽量化と安全性が常に求められる世界なのだから、強度とバーターで考えたら楕円形状なんて採用しない方が良かったのだ。
それを証明してしまった存在がボーイング777というわけだ。
以降、ボーイングは急激に真円構造に拘りだすわけだが、777についてここで語ろう。
1980年代後半から開発が始まったボーイング777。
当初は767の胴体をそのまま使う予定だったボーイングだったが、この767は断面図を見てわかるとおり見事な当時のボーイングの基本設計の例に漏れない楕円形状。
しかしボーイングは当時はまだ珍しかった、コンピューター演算による遺伝的アルゴリズムを利用した三次元設計を行う。
記憶が間違っていなければ、航空業界でも旅客機においては史上初の試みだったと思われる。
後に当たり前になるデジタル演算の果てに理想の胴体構造を作る試みによって、米国の最新鋭コンピューターが弾き出した航空機として理想の構造。これが真円構造だった。
これまで真円構造といえばマクドネルダグラスやロッキードなどが積極的に採用してきたものだったが、ボーイングは技術力にモノを言わせてといわんばかりに楕円形状ばかり採用していた。
しかし、777は運行会社の意見を求めて作った新世代航空機。
作る上ではより高い安全性の確保を各社から強く求められ、全てにおいてボーイングが定めた基準値を満たす安全性を全方位から鑑みて、今一度イチから演算させたら真円構造となったのだ。
運行各社がこの時に高い安全性を確保しようとした大きな理由が1つある。
1980年代後半。
世の花形の航空機の基本は四発エンジン。
冗長性確保の兼ね合いから四発エンジンこそ最優とされている時代において、双発機の信頼性は低いとされていた。
双発機の場合、長距離を飛ぶ際には四発機と異なり飛行ルートが制限される事すらあったのだ。
通常より大幅な迂回を強いられ、内陸側を飛ばなければならないとされていた。
理由は「双発機はエンジンが停止した場合でも油圧系統が無事なら最寄の飛行場に絶対に到着できるようにしなければならない」という、双発機排除を狙うかのような航空ルールが存在したため。
原因はこの当時まだ電子系統が現在ほど信頼性が高くなかった部分も大いに関係するが、電子系統の故障から複数のエンジンが停止する事故は未だに存在していた時代である。
これによって「ならエンジンもう1つ付けるか」と、3発エンジン機すらこの時代には普通に存在する。
しかし、運行会社からすればエンジンが3つある機体は位置が位置なので整備性は最悪。
ランニングコストが悪く使いづらい。
4発エンジン系はランニングコストと燃費双方において重大な欠陥を抱えるが、この頃の原油価格はまだ安定しており、
オイルショックについては考慮されていなかったわけではないものの、整備時間や整備費用から、「そろそろ信頼性も上がってきたし、大型双発機が欲しいんだが」と各社考えるようになってきた。
それぐらい4発エンジン機の管理には苦労させられていたのである。
こと日本においては騒音問題が取りざたされてきたので、双発機に注目が集まり始めていた。
それこそが未来の双発機開発をボーイングに依頼するキッカケとなったのである。
ボーイング777の開発班は後に述懐するが、この「双発機は信頼性が低い」という概念自体を吹き飛ばそうとしており、運行メーカーの希望を叶えようと作る上では絶対的な信頼性を確保しようとする。
そのため、この時点で見つかっていたありとあらゆる航空力学的発見をフルに活用して信頼性を底上げしようと躍起になり、
すでに見つかっていたエリアルールなどの流体力学もフルに活用されて計算して設計されたそうだが、エリアルールなども旅客機においては真円の方が有利だったと言われる。
ちなみにこの時に設計に使われたといわれるのがIBM9000の試作版だとされる。
良かったなボーイング。これがHAL9000だったらどうなってたかわからんぞ。
「文字通り完全無欠で間違いを起こさない存在なのです」とかいって大変なことになったことだろう。9000は9000でもIBMの方で助かったな。
ちなみに当時の技術者は「いや、なんで楕円が許されるん。今更やろ」と普通に思ってたらしく、777にコメントを寄せた技術系雑誌にはその事が普通にコメントとして残されている。
むしろその「今更」をなぜ周囲が誰も指摘してやらなかったのか。
本当にコンピューターさんありがとうなエピソードである。
しかしどうも中にはそれが受け入れられない者たちがいたようだ。
777は国内メーカーが航空機製造に大きく関与していたわけだが、真円の胴体中央部などは川崎重工などが担当していた。
当時はこれを良しとしない、"国内のよくわからん技術系でもない雑誌"が、真円となったのは国内メーカーの技術力不足だとか嘯いていたのは記憶に残っている。
特にこの頃のTV特番での航空機についての解説では「航空機の胴体断面図は卵型形状が最も優れている」などと、
物理学的に多少なりとも認知する者なら「は?」となるような、どこの誰にそれを言われてそんな解説してんだってな内容を平然と公共の電波に流すような真似をしていて、
筆者は少なからずこの真円設計を否定したいボーイングの別派閥などでもいたのではないかと、当時を思い出した今なら考えたくなる。
いや、747-8なんかを作ろうとした事からその派閥は少なからずいて、ごく最近まで生き残ってた様子であるのだが……
1980年代にはすでに大型機だと航空機製造メーカーにおいてはボーイングが圧倒的シェアだったのだから、ボーイングこそ早い段階でその設計を取り入れるべきだったはずなのに。
だが、そういったエピソードもあるぐらい、ボーイングの革命児とも言える存在だったのだ。
国産企業にとっても以降の旅客機製造に大きく関与する事になるのだから、革命的と言われる航空機でもあるのだが。
かくして真円ボディを採用した777は、その後の航空業界を牽引する傑作航空機としてボーイングの新たなフラッグシップの1つとなる。
高い信頼性は信じられないことに「既存の旅客機運用ルール」すら変更し、
777を焦点にして「信頼性が十分確保できた航空機は双発機でも四発エンジン機などと同様の飛行ルートを選択することが許される」とした。
この結果、対747を目標に「低燃費化」を施して四発エンジンのまま勝負を仕掛けたエアバスA340がまさかの「いらない子」扱いされてしまう。
ボーイングはルール改定と同時に後に世界でボーイング747を置き換えまくった777-300ERをエールフランスから依頼されて開発することになるわけだが、
この777-300ERを受注したエールフランスはエアバスA340を大量導入していた運行会社であり、
他の欧州各国の運行会社からも「747を駆逐する!」と叫ばれたエアバスの当時のフラッグシップ機であるA340から早々に777-300ERに切り替え、
逆に大量にあるので部品調達費用などが安い747は残すという、エアバスが発狂しかねない行動を起こした。
エアバスは後にこれを「我々にはあの時、大型双発で戦う勇気が無かった」と主張しているが、彼らがライバル視していたのは間違いなく当時の王者747。
まさかそれを違う方向性からアプローチして越えて行くという事は考えていなかったようだ。
無論、エアバス自体は双発機でほぼ同様の胴体構造を持つA330が中型機としては傑作航空機として高いセールスを誇っており、ボーイングに完敗していたわけではない。
しかもこのA330はA340含めた他のエアバス航空機と「パーツ的互換性がある」という後のエアバスの基本的な設計思想を踏襲した「真円の胴体構造」を採用した存在。
エアバスが間違っていた部分は747と冗長性ばかりに目を取られ、運行会社が求める根本的要求性能を向上させなかった挑戦的姿勢の欠如である。
後に777を駆逐するために開発されたA350によって挽回する事になるとはいえ、「最新鋭技術を惜しみなく投入する」と謳われる航空機製造メーカーでありながら、
大型双発機で完全に遅れを取るという失態を2000年代前半にやらかしてしまったのだ。
この登場したばかりの最新鋭機が別の最新鋭機に即座に置き換えられた事象の背景には777-300ERが「747の2/3の燃費で同じ距離を空を飛べる」という、
後の旅客機のあり方を決定付ける特性を得ていたからだけでなく、整備がしやすい、エンジンが故障しにくいなど、非常に高い信頼性によるもの。
その安全性の高さから奇跡の航空機なんていわれたが、その実態はHAL……IBM9000がありとあらゆる方向から何度も何度も計算した末、
当時の技術で作れる完璧に近い何かというのを提案してみせた結果によるものなので、奇跡などという偶然によるものではなく、計算による必然であったということだ。
いかにこの時のコンピューターの功績が大きく、他のメーカーに大きな影響を与えたかについては、
競合他社がこぞって同様の設計手法を取り入れて真円胴体構造の航空機を次々に送り出していくその後の経緯からしてわかりやすい。
その後ボーイングは「は? 胴体構造? 真円に決まっているんだが?」などと、掌をひるがえし、
満を持して21世紀の最新鋭技術を結集したボーイング787においては、777よりもさらに真円に近づくという、誰だよ楕円形状に拘ってた奴らといわんばかりの胴体構造に。
それどころか、このエッセイを書くキッカケとなったのは、ごく最近に今後ボーイングは新型胴体構造とする際には真円しか作らないと主張した所にある。
一応説明しとくと747-8を最後に747のような胴体形状を採用した航空機を新造胴体として採用する事はないという意味で、既存機の近代改修化とは異なる意味合いのようである。
なんだかんだあっても777、787は胴体構造にそれだけの安全性が確保された信頼性が高く評価されていて、エンジン部分や翼に問題を起こすことこそあれど、
最も重要な旅客スペースには世界の中型旅客機以上を牽引するに相応しいだけの安全性能があるのをボーイングもようやく理解したようなのである。
しかも777以降に登場した新たな胴体形状となる航空機はエアバスですら真円形状を採用するようになり、
航空業界において21世紀以降に誕生した真円でない胴体構造を持つ旅客機はA380など極めて限られた存在しかないので、
今後は747やA380のような、ある種浪漫があるような旅客機は誕生しなくなってしまうかもしれない。
まあボーイングに関しては747-8が思った以上に売れず、777と787ファミリーの売り上げが伸びているとかそんな理由もあるそうだが。
少なくともボーイングにおいては747のような航空機を新たに出す気はなく、出したとしても777をさらに大型化させたような感じとなるようだ。
そして新造された胴体形状を採用する大型機は現在実際に開発中だったりする。
機体名は現在777Xとして開発が進められているが、
この機体は777からさらに787に類似するさらに真円形状に近づけた新たな胴体形状を採用。
名前こそ777だが実際には別物であり777という名前も変更される可能性すらあるが、
航空関係雑誌ではその胴体構造から787の超大型機版と捉え、777のフルモデルチェンジ機と呼称することが多い。
実際には翼形状、胴体形状は787の基本設計をベースに新造されるので、名前こそ777だがコックピット構造など極一部以外777から流用される部位は存在しない。
すでにボーイングが一連の構造などについて特許申請などしているが、A380の失敗や747-8の失敗を活かす形で、787で培った最新鋭技術を惜しみなく投入して777を一からすべて見直してみた大型旅客機といった感じだ。
その大きさは全長が747を超えてしまう。
デカすぎる。
にも関わらず全体的な意匠は777からそう変わらないのである。
座席数は100ばかり少ないが、そんなに大量の人数を運ぶよりも燃費など効率を加味している存在である。
国内ではANAが新たな大型機としてそれなりの数を受注。
A380を導入したことでライバル機として非常に評価の高いA350の受注となるかと思われた矢先の出来事であり、ちょっとしたニュースになった。
それも国内経済新聞よりも本国である米国での方が大きくニュースとして取り上げたぐらいだ。
元々777の開発に大きく関わっているANAが787の開発遅延で苦渋を舐めさせられたにも関わらず
777-9の導入に踏み切った姿勢は米国から大いに歓迎され、
現地紙では「ボーイングが今後もシェア1位にいられるのは全日空がエアバスに傾倒しなかったからだ」とまではっきりと書かれたほどである。
初期受注の状況がよろしければさらに追加発注がある契約となっているわけだが、日本の運行会社の動向もボーイングにとっては大きく経営状況を左右させかねないものだったりする
それでも、これこそ今のボーイングの作りたい、売り込みたい新型機というわけだ。
まあそれって"本来の747では?"なんて言われるのだが、この機体自体は747-400を置き換える存在なので本来の747と言ってなんら差し支えはない。
こうなった要因は胴体を重くしても他で軽量化できるようになったとかいう部分が大きい。
前述の747も元来はもうちょっと普通な胴体構造を当初は考えていたが、エンジンのパワー不足から軽量化が必要になってああなってしまった。
だが、現在においては例えば電子機器の小型軽量化、座席や翼の軽量化、内装の軽量化といったような部分によって他に回せる余裕が生まれたのは言うまでもなく、
それが構造的に最も安全性を確保しやすい真円形状を採用できる環境を整えた。
しかし時代を切り開いた777登場の頃はまだ軽量化技術は未熟。
故に777の場合は747の頃には不可能だった"エンジンパワーの確保による強引な解決"を行ったのは有名。
だからこそ、あんな化け物みたいなエンジンを2発積んで飛ばしたわけだ。
777が出てきた頃にはエンジン開発技術の発展も著しく、747のようなパワー不足に悩まされるというような事はなかった。
どちらかといえば巨大すぎるエンジンのコストとか、そもそも発着場の問題などのほうが取りざたされたほどで、
777-9でいえば、結局777では見送られた翼の折り畳み機構が標準搭載される見通しとなった。
翼の全長が長すぎて整備ドックに入れないのである。
そんな777-9で最も注目されているのは787で採用された翼でもなく、さらに真円になった胴体形状でもなく、実はエンジン。
さらに巨大化したGEのエンジンなのだが、
こいつは流体力学の専門家からすると「見た感じターボファンだが、この推力比はターボプロップではないか?」と主張するような、ターボファン/ターボプロップの複合的なエンジンとなっている。
A380で採用されたGP7000と同じような特性を持つのだ。
元々、タービンで加速された運動エネルギーをプロペラの回転力として推進力を得るターボプロップエンジンは、プロペラの推進力が6割以上を占め、
エンジン内部のタービンはあくまでプロペラの回転運動を発生させるための推進力発生の上では補助装置のようなもの。
GE9Xでは「ファン形状はこれ以上大きくできないが、推力は400knを突破したい」という無茶苦茶な要求を解決するため、最新鋭の流体力学を考慮してこう結論を導き出した。
「そうだ! 最近の流行に乗って1番手前のファンで大幅に推力を発生させてしまうようにしよう!」
上記GP7000はそれまでライバル関係であったPWとGEが50%ずつ出資してエアバスにエンジンを提供するために設立した会社である「エンジン・アライアンス」が双方の技術を結集して作り出した米国最強の航空機エンジンの1つ。
この時培った技術でもって旧777に搭載されたエンジンであるGE90を魔改造して新型に搭載しようというのだ。
開発者はまるで紅茶でも飲んでいたようだが、運行会社やボーイングから推力不足といわれたGE9Xの出力を解決する方法は、
既存のGE90エンジンに最新鋭の流体力学をぶっこみ、元来は「清流を整え、空気を圧縮するためのファン」を推進力として採用してしまう変態……英国ならぬ米国面に染まったエンジンとさせることだったのだ。
しかもその推力比がGP7000よりもファン寄りになったことで「形がそれっぽいだけで、ただのターボプロップンエンジンやんけ!」と主張する技術者が多くいる。
このエンジン、すでに747の試験機に搭載されてテスト飛行したが、計算どおりのカタログスペックを示したという。
GP7000が出た際、技術屋は「プロペラに回帰した」なんてこぞって口にし、wikiにも書かれたわけだが、GE9Xはどうやらそれを上回る「形がそれっぽいプロペラエンジン」のようである。
そのため、777-9は「世界一巨大なプロペラ機」と形容する米国の専門家が多数いるわけだが、
外観は普通なれど全長76.7m、翼端全長71.8m。
かの有名なH-4に匹敵するようなプロペラ機だということだ。
ちなみに777-9はエンジンが停止しても翼だけでグライダーのように長時間滑空可能。
前述した双発機としての信頼性確保のための措置である。
しかもエンジンが動かずともファンが回るならば、回転するファンが清流を整える構造がプロペラと変わらぬ効果を生むため、「より長時間滑空が可能」。
ヘリコプターと同じ理論だね。
そのような特性を得た航空機の大半がターボプロップ機であることを鑑みれば、こいつが「世界最大のプロペラ機だろ!」と叫ばれる理由もわかるというもの。
無論、ボーイングは「安全性を加味したら787のように長距離滑空ぐらい可能でなければならない」と言うように、双発機は万が一を考えてエンジンが動かずともできるだけ長く飛ばねばならないのだ。
もしもを考えたらできなくては困るわけだが、少なくとも777-9は787に並ぶ世界一安全性を考慮した航空機として2020年を境に登場する予定である。
うん、787の快適さなどを考慮したらもう二度と新型の777と787しか乗りたくないね。
日本航空はA350を採用してしまったが、技術者が1周回ってプロペラ機となったと呼称する存在は、全日空で乗ることができるぞ!
筆者としてはエアバスの最新鋭大型機とボーイングの最新鋭にして世界最大サイズのプロペラ機は是非乗り比べてほしいものである。
さて、最後に余談だが、TV関係で747のような断面図が卵型のほうがいいとかいう嘘っぱちについて一言。
TV特番関連でいえばこの手の流体力学系で平然と嘘を並べるというのはよくあって、例えば350km走行すら目指していた山陽新幹線の500系。
これは当時「300km走行のためにこんなに先頭車両の先端が長くなった」とか解説していた番組が結構あったのだが、
実はこれ、こんなに長くする必要性などまったくなく、デザイナーが「カッコイイからだ!」といってあんなデザインにさせたのは電車好きの中では有名な話。
実際はICE3のような形状でよかったのだが、JR西が格好良さを優先させたのである。
ちなみにその形状でも先頭車両の一番前に乗降ドアは付かない。
あくまでコックピットとも揶揄される運転台部分より先端部分の形状のお話。
ICE3を見てもらえば、どういう形状か想像がつくことだろう。
というか例を出せば実際に350km出してた試験車両自体があんなに先端が長くないという。
今日の長い先端部分は後の発展した流体力学による騒音解消を目的としたものであるわけだが、500系新幹線はあくまで「デザイン性」を優先しただけである。
おかげさまで今日でも歴代最高の格好良さを誇っていると言えるが。
ともかくだ。
技術系情報はすぐ調べられるようになった昨今において、こういう嘘はやめようよ。
信じて赤っ恥かく思いをした人間は素直に恨んでいるぞ。
最近ハイファンタジーにも挑戦しているので、よろしければ評価お願いします↓
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