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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

コメディ

花火師が異世界に転生したら爆弾魔にジョブチェンジした件について

作者: 水源

 私の名は花菱揚羽はなびしあげは

先祖代々花火師の家系の生まれで、私自身も将来は墨田などの花火大会に参加する立派な花火師になりたいと思っていた。

思っていたというのは、花火大会の事故に巻き込まれて、その時小さな子をかばって私は死んでしまったからなのだけど……。

 

 死んだ私は天国でも地獄でもないこの世とあの世の間で光り輝く神様に、ここではない異世界で生き返るチャンスを貰ったのです。


「あの、この世界には戻れないのですか?」


「申し訳ありません、一度死んだ人は戻せないのです」


 ちょっとがっかりした私ですが神様に聞いてみました。


「私は立派な花火師になりたいのです、其れは可能ですか?」


 神様は頷いてくれました。


「分かりました、そういったこと可能な力をあなたには授けましょう

 あなたの次の人生に幸の多からんことを」


 そして私は生まれ変わり、見たことも聞いたこともないない場所に生まれました。

そして、見知らぬ美女の腕に抱かれているわけです、そしてその隣に、同じくまだ年若い線の細い赤髪の男性がいて、私を見て喜んでいます。

この方々が私の新しい両親というところでしょうか。

明らかに日本語ではない発音で私に笑いかけてくる二人はとても幸せそうですが、私が目を丸くするだけで泣かないのを見て心配したようです。


「なんだか私たちの事をじっと見てるけど、大丈夫かしら?」


「びっくりしてるように見えるな、この子」


そして心配をかけていることが悲しくなった私は悲しくなり大きく泣いたのでした。


”アギャーアギャー”


「おお、よしよし、こわくないですよー」


「ああ、よしよし、元気に生まれてくれてよかった。

 きっと君に似た素敵な女の子に育つだろうね」


 二人は満面の笑みで私をみて互いに微笑み、男性が私を高く抱え上げました。

そしてどこからともなく羽ばたいてきたアゲハチョウが私に止まったのを見て父は言いました。


「この子の名は揚羽蝶クラメルにしよう」


「あら、いい名前だと思いますわ」


 こうして私の名前は揚羽蝶クラメルになったのです。


 さて、私が生まれ変わって、目が覚めてから一番最初に見た最初に見た男女が私の両親ですが、父は宮廷魔道士、母は神官というマジックキャスターの家に私は生まれました。


 この世界は、よくある古代ヨーロッパっぽい世界のようで家電製品はありません。

しかし、共同の浴場や石鹸、散髪所などはあり上下水道も在る割と清潔な世界のようですね。

古代のローマに近いでしょうか。

両親の年齢は10代後半くらいのようで二人はとても仲がいいラブラブカップルです。

服装はゆったりとした白いトーガが基本で、足はサンダルを履いています。


 ただ父母は忙しいのでお昼の間は乳母ナニーや執事っぽい人たちが私の面倒を見てくれています。

明かりは獣脂を固めたものに糸を刺した臭いのきついろうそくやオリーブオイルを用いたランプがあります。


 さて生まれて4ヶ月位で首が座りグラグラすることがなくなってきて、7ヶ月位で全身の筋肉がやっとついてきて寝返りを打てるようになった後、ちょこんと床に座ることができるようになりました。


「なんだかお人形さんみたいね」


「うむ、頬ずりしたくなるほどかわいいな」


 父様、頬ずりするのは構いませんがお髭が痛いです。


「うあーん、うあーん」


「あらあら、ごめんなさい、痛かったのね。

 もう、あなたも反省してください」


「う、うむ、すまん、可愛すぎてつい調子に乗ってしまった」


 そんなことをやっているうちに、8ヶ月くらいには四足歩行のハイハイ、9ヶ月で壁へつかまり立つようになり、頭が重くてひっくり返って泣きわめき、10ヶ月で壁を伝い歩きできるようになり、12ヶ月つまり一年でよちよちながら歩き出す事ができるようになったのです。


「はいはい、あんよはこちら」


「頑張ってー」


 私の両親はいつも仲がいいですし、家庭が明るいのはいいことだと思うのですがラブラブすぎるのもどうなのでしょう。

さて、歩きはじめて気がついたがこの家はばかみたいにでかいです。

乳母や執事、使用人も複数いて掃除などは使用人がするし、私が泣き出すと執事さんや乳母さんがさっとやってきて私の面倒を見てくれるので何も問題はないのですが。

木ではなく石造りの二階建ての建物で部屋の真ん中に天窓が空いていて、その下には雨水が貯められるようにプールがしつらえてあったり、祭壇がある部屋が有ったり、大きな風呂場が有ったりするのです。

ただし部屋にはガラス窓はなく木製の窓だから、雨の日とかは真っ暗なのがちょっと困るのですが、概ね暮らしやすいです、そして結構大きな都市に中にこの家は在るらしいですね。


 そこから時が流れて私もそこそこ大きくなって大体わかりました。

やはりここは魔法が存在し、武器は剣や槍が主流で機械や銃火器は存在しない世界です。

残念ながら花火を作るための火薬の技術はありません。

何故か火炎系爆発系魔法すらもないこの世界は、土系の魔法が発達していて鉱物を得るのはたやすく、爆発系の技術は全く発達していなかった。


「むむ、やはりいわゆるファンタジー世界っぽいですね

 でも私が花火師になれる要素が一つもないのだけど……」


 私は父様に許可を得て書斎の本を読んでいました。

爆発系魔法がないならつくればいいのではないでしょうか、火薬も作れるといいのですが。

主に魔法に関する書物が多かったですが、この国に関する物、国政に関するもの、地理に関するもの、歴史に関するものなどもあって、それらはとっても面白くて私はワクワクしながら本を読んでいたのです。

その中の神話には恐ろしいものもありました。

空を飛ぶ機械から放たれた火の玉が都市を焼き尽くしてしまうお話です。


「お嬢様、そろそろ寝る時間ですよ?」


「あ、はいごめんなさい」


 小さな頃から私を育ててくれた乳母のマリーアが私を現実に引き戻しました。

最初は私が本を喜んで読んでいるのを不思議がっていたようですが、今ではもう気にしていないようです。


この世界の父様が使う魔法は地水火風のエーテルを置き換えて現象や物質を作り出すというもののようです。

母様が使う治癒魔法は神様の力のようですが。


 さて私が魔法を覚えようとしていた時に、偶然私が神様からもらった力が時分かりました。

それは”変えようとして触れたものを爆発物にする能力”

です。


ちなみにこれには空気も含まれますよ……これって結構怖くないですか?。

ちなみに大きさに制限は特に無いですが、触れている空気に入る範囲は目にはっきり見える程度のようです。


「あ、でも、これなら花火が作れるかもしれないですね」


 更に時がたち10歳になった私は、夜にそっと抜け出して丘にやってきました。

私は土を捏ねて丸く変えて其れを黒色火薬に変えます。


 其れを筒の中に入れて点火魔法でい草をあんで作った導火線に火をつけます。


”パチパチパチ”

”ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”ドッカーン”


 無事に夜空に大輪の花が咲き渡りました。


「えへへ、できたできたー」


 ちなみにこの時、どこかの国による攻撃ではないかと、父様や母様に緊急招集がかかったのは言うまでもありません。

しっぱいしっぱい、てへ。

・・・

 やがて私は父母の推薦で学院へ入学することになりました。

私に住んでいた王都に在る、大きな学園で、闘士と魔術師などのコースがあるそうです。

ひとクラスはそれぞれ40人ずつで3年間ここで学んだ後、いろいろな職につくのだそうですが、基本は貴族や神官などの裕福な人間しか入れないようですね。

私たちはまず試験会場にて筆記試験を受けました、基礎的な魔法の知識に加えて、この国の地理や歴史なども出題されました。


「うむむ、案外難しいです」


 なんとか試験問題を埋めて次は実技試験です。


 ここの学校の戦闘訓練場は、広い空き地を石壁で覆って、外に被害が出ないように作られているようですね。


 その中にさらに半透明の壁のようなものが在るけど、多分結界というものなのでしょうね。

試験官の先生が私たちに言いました。


「では、皆さん自分の一番得意な魔法をあの的へ向かって放ってください

 では1番はじめはライトニングさんですね」


「うっし、ライトニングです。

 よろしくお願いします!!」


 私が同年代の人の魔法を見るのは初めてですがどんな魔法を使うのかワクワクします。

ライトニングくんは杖をかざして呪文を詠唱しはじめました。


『さあ、全てを討ち滅ぼす雷よ!つどいて我が敵を撃て!ライトニングジャベリン!!』


雷の投げやりは間違いなく的に突き刺さりました。


「ふ、どうですか?」


「うん、なかなかの威力だね」


 的が丈夫なのでしょうか、結構派手に稲妻が突き刺さったのに表面がちょっと焦げたぐらいですね。

次々にみなさんが魔法を的にはなっていきます。

やがて私にも順番が来ました。


「さて次は君だね、クラメルくん。」


「はい、頑張ります」


 私は精神を集中させます。


「黒き翼を持ちし蝶、その羽ばたきは死を告げる。

 行きなさい、告死蝶!」


 私の手元からふわりふわりと黒色火薬で形続くられた黒き蝶が羽ばたいて射撃訓練にも使うような人形の的に折り重なっていくのです。


「まさか、あれは?!」


「知っているのかライトニング」


「うむ聞いたことが在る」


 そんなやり取りをしているのを尻目に私は空気を手榴弾に変えて的に意識を集中します。


「そおい」


 私がぶんと手榴弾を投げ的にぶつかった瞬間に閃光が走りました……。


”ズドオオオオッッッン!!!!”


 と爆風と爆炎をあたりに撒き散らしながら的が爆散しました。

爆風が結界にぶち当たってパリンと割れ、地面が揺れて練習場の壁をも激しく揺らしたのでした。

そして参加者の皆さんみんな黒焦げのチリチリアフロになっていました。


「あ、ちょっとやりすぎましたか?」


 とりあえずてへぺろでごまかしておきました。

なんとかみんなごまかされてくれたのはありがたいことです。


 さて、学校に入学した私は喧嘩を売ってきた剣士を地面を変化させた大量の地雷で吹き飛ばして叩きのめしたり、(あ、もちろん死なない程度に威力は抑えましたよ)、その後仲直りして一緒にモンスターハントしたりしながら学園生活を終えた私はいつしか、いつしか『空彩の花火師』『爆裂の魔術師』『恐怖の爆弾魔』などと呼ばれるようになっていたのです。


 祭の日には私に作った花火が夜空を飾り、私は花火職人兼爆弾魔として尊敬されつつ畏怖されたのですが、一応母様の教えてくれた治癒魔法も仕えるし、実査に治癒してあげて人もいるんですけどね。

どうしてこうなったのでしょう?


 そしてやがて世界を滅ぼそうとする魔王と其れを倒さんとする勇者志望の少年が城に呼ばれました、私は勇者に熱心に誘われ、共に魔王を倒すために旅に出たのです。


「ふむ、魔王を倒すなら、城を爆発物に変えて、

 城ごと爆発させちゃえばいいんじゃないでしょうか」


「なにそれこわい」


”チュドーン!”


 魔王城は爆炎に包まれて崩壊し、魔王の軍勢も滅びました。

その後、人類は己の生み出した者の所業に恐怖したというお話です。

おしまい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 転生させるなら地獄の中世欧州じゃなくて、古代ローマですよね。 どうしてあーなった。
[一言] めぐみ……おぉっと誰かがキタヨウダッ!? ちゅどーん
[良い点] 悪戦苦闘……? 主に乳幼児期にですかね。 長編で読んでみたいくらい素敵な題材でした。 地雷でぶっ飛ばした彼と結ばれるのかな。 素敵な短編、ありがとうございました!
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