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4・PM、若返って飛んで街に入る

バンジージャンプって怖いですよね。

「見事に森の中だなコレ」

「さすがにワープするところを見られるわけにはいかんじゃろ。」


宇宙船のような場所から異動してきた先は大森林の奥地でした(笑)。って笑えるか!

工場長の言う事ももっともだが、これ抜けるのに何日かかるんだよ。


「近くの街まで飛んでいく、この世界では飛行魔法というのが存在する。使える人間は限られているが、我らなら見られても大丈夫だろう。」


秦天さん、解説ありがとう。そして飛行魔法よろしくお願いします。

元社長や企画部長をアッシーにするのは忍びないけど、しょうがないよね!今も現役だって?

無理無理、そう思わないと俺の心が持たない。この問題解決したらどうしよう、社会復帰できるかな。


「みんなも、こちらへはよく足を運ぶんですか?」

「わしは年一回くらいじゃのぅ。他メンバーの様子を見るくらいじゃよ」

「十天君のメンバーは役割が決まっているので、今回は金光以外来たことが無い。」

「情報は金光からある程度聞いてるわよ」


情報共有がされてるようで何よりです。一部協調性が無いやつ(王天)がいるみたいですがケシカラン。

しかし十天君ってグループ名称気に入ってもらえたんですね。よかったよかった。


「私は、実は来たことがないんです。制約によって観測室までは行けるのですが、そこから先は地球以外出れなかったのです。」


部長は来た事無いのか、意外だな。まぁ来れたら介入しまくってたか。

さてキリエはもちろん来たことあるよな。なんたって創世した本人だし。


「私も実は地上に降り立つのは初めてです…。」


おいー!創世者!せめて自分が作ってる現地は見ようね!


「王天に全部任せろって言われて外から覗くだけにしてたの…」


あんな外枠から眺めてるだけって、よく今まで発狂しなかったもんだ。年齢にすると恐竜も真っ青だろうに。

しかしまた王天か、事情を聞かないことには何ともだなぁ。最初は神代を乗っ取ろうとしてるのかと思ったが、結果だけ見ると次元消失を防ぐような行動をとってる節もある。とりあえず一発殴るのは確定だがな。


「知也ちゃん、正樹ちゃん、文香ちゃんにお願いがあるの。」


部長がいきなりかしこまった顔で言ってくる。

俺だけじゃなくて正樹と文香も交えてとは珍しい。大体俺にしか言ってこないのに。


「あなたたちとはせめてこの世界では対等でありたいの。」


それは上司部下ということか?、神様がとんでもない事を言い出した。

忘れがちだが、曲がり何も彼女は俺たちの世界の神でもある。それが対等になんて恐れ多い。


「そんな恐れ多い事出来ませんよ部長」

「先輩…散々神様をおちょくっておいてそれはないっす。」

「知也さん~、さすがにそれはないわ~」


即座に後輩2人から鋭い突っ込みが入る。

お前らだって散々(仮)見たいのつけてただろ、知ってるんだぞ!

さて何と呼ぶ?日本名が辰子、神名がエリオーネ。芸名ぽくなってしまった。

考えるの面倒なので本人に聞いてみる。


「部長はどちらの名前で呼ばれたいんです?」

「エリオーネでお願い。私の名前はエリオーネ=アルバータ」


「ちょ!主よ、それはまずい!」

工場長が慌てて叫ぶ。俺はつい名前を反芻してしまう。


「エリオーネ=アルバータか、素敵な名前だよな。」


言葉に発した途端、部長の体が光り、その光が体から離れ俺の中に吸い込まれていく。

その瞬間彼女の記憶が鮮明に俺の中で読み込まれる。俺たち人間には理解できない苦悩や悲しみが目の前を交差するように繰り広げられる。

こんな風に生きてきたってのか。しかし、だからといって立場を変えるつもりはない。

俺は部長の意を汲んだ証明として名前を呼ぶ


「エリオーネ」

「はい、ご主人様。」


ご主人様!?対等って何!?一気に下僕まで格下げになってるじゃねーか!

困った時の工場長!説明プリーズ!


「流石先輩、対等を要求して下僕にするとは」

「知也さん~、桃花さんというものがありながら鬼畜よ~」


おかしくねぇ?俺から対等になるよう条件だしたっけ!?

自ら差し出したよねぇこの人!?あ、人じゃねえや神様だ!


「はぁ、今のは真名と言って、神代に属する者の本当の名前じゃ、本来誰にも贔屓せぬようにという意味を込めて真名は封印しとるのじゃが。真名を相手に呼んでもらうことで、すべてを捧げることになる。」


まさかの奴隷落ち!?思ったよりも重かった!旦那さんいたんだよね!?


(危うく名前呟きかけたけどしなくてよかったですよ。)

(あと少し早かったら危なかったわ~)

「…本来神を行使できるということは栄誉なことなんじゃがのぅ…」


まぁ駄目オカン属性ついてるからね!そう思われても仕方ないよね!

どうしようこれ、返却できないのかなぁ。

俺はどうするべきか頭を抱える…

…パッと閃いたぜ!特に悩む必要なかった。これなら行ける!


「エリオーネ」

「はい、ご主人様。」

「お前が思い描く対等な関係を、俺は望むよ。」


ほら早く戻って!キリエに変な目で見られちゃう!

工場長は「ほぅ」と感心した顔でこちらを見てる。


エリオーネが目を瞑ると体が光りだす。


「私が望む対等の関係、私が願う思いとご主人様の思いがどうか合っていますように。」


まばゆい光が発行され、次第に閉じていく。


「知也ちゃん、ありがとう。」


「僕はエリオーネさんと呼ばせていただきます。」

「私は~、思い切ってエリーちゃんにするわ~」


お前ら何気に順応性高いよな。…あれ?お前ら若返ってね?

正樹と文香の顔が18歳位に見える。あれ疲れてるのかな?、確かに疲れてるけど!


「あれ~二人とも若返ったね~」

「…文香さんもですよ。先輩も?」


どうやら俺たち3人18歳位の年齢になったみたいだ。


「対等に、って年齢も対象に入っちゃったみたい。」


おうけい、やはりこのポンコツ神はいずれどうにかしないといけない様だ。


「エリーちゃん!ありがとうね~」


文香がエリオーネに飛びつくように抱き着く。


「わわっ!」


倒れないようにエリオーネが慌てて抱きしめ返す。

文香は若返って嬉しいようだ。元々気にするような年でもあるまいし。

正樹がじろじろと俺を見ている。まぁ俺の場合一回り近く若返ったからな。


「多少肌艶に張りが出てますが、先輩はあまり変わらないですね。よく見ないと気付かないレベルで。文香さんはよくわかりましたね。」


「知也さんは反則なまでに若作りだし、お手本によく見てるからね~」


若作りなんてしてねぇから!あんまり変わって無いから見てたのかよ!


「お母様ずるい…私も真名を教えるべきか…でも私の本当の名前…」


キリエが物騒なことを呟いている。とりあえず10歳前後にはなりたくないからそれだけは阻止しよう絶対。

まぁともあれ、そろそろ街に行こうか。


「それでは工場長、すいませんが街まで連れて行ってくれませんか。」

「この流れで工場長はおかしかろう!?金光と呼んでくれないか?」


主を下僕にしといて…と恨めしい目で見てくる。

好きで下僕にしたわけじゃないんですけどね!今対等な関係に戻ったよ!正に身も心も!


「…金光さん、お願いします。」

「別に呼び捨てでよかったんじゃが…まぁ良いか。」


金光の元に、秦天、柏天、董天が集まる。


「北西に200キロ地点の城砦都市が一番近いかと。」

「1分弱で到着できる見込みです。あと妖天もそこにいるようです。」

「じゃあそこじゃの。早速出発じゃ。」


4人の足元から魔法陣が出現し、俺たちを囲んでいく。全員を包み込むと一気に上空へと

大砲のように出力される。


「うぉぉぉぁぁぁぁ!」


すごい勢いで飛んでいく感覚がわかる。これ着地大丈夫なの?ねぇ?

そして、あっという間に地表が見える。着地の瞬間に思わず身構えるがしっかりと減速され

ふわりと着地する。

心配して損したぜちきしょう!まじで怖かった!

着地してから文香がへたり込み、正樹はしっかり立っているように見えるが小刻みに震えている。

仕方ないよね、トラウマになるレベルだよこれ。


そんなこんなで城門へと移動すると、警備兵っぽい人が2人で構えている。

西洋っぽい鎧を身にまとっていてものすごく映える。異世界に来たのかと改めて実感する。

さっきの飛行魔法?実感する間もなかったからね!


「ようこそ、シルバスタへ、冒険者の方ですか?」

「その通りじゃ、証明書は…これじゃ」


金光がカバンをガサゴソとし、金属の板を警備兵に渡す。


「確認しました。すいません冒険者ランク的には後ろの方も何か証明書をお願いしたいのですが。」

「なんと、以前はこれで友連れが行けたと思ったんじゃが。」

「すいません、街の法律が先月から変わってしまって…」


まぁ一年に一回しかこの世界来ないし、尚且つこの街に足を延ばすとなると中々ないよね。

さてどうしようか…と考えていると扉が開いていく。中から外に出る人でもいるのかな?


「すいません。彼らは私の連れなんです。」

「これは妖天殿、あなたの連れでしたら何も問題ないですな。」

「ありがとう、門番さん。よろしければ休憩の時にでも食べてくださいな。」


そう言って妖天と呼ばれた少女は門番にフランスパンみたいなものを渡す。

門番も照れたように受け取る。このロリコンめ。


「ささ、金光様とお連れの方も、早く入りましょう。」


全員が通りきると扉はまた堅く閉ざされる。

扉を抜けた先は、美しく並んだ街並みだった。

俺は近代的なビルとか家のほうが好きだが、この光景は圧倒される。

一見一昔前の街並みだが、正統な進化を遂げた荘厳さがそこにあった。


「綺麗な街だね~」

「そうでしょう、ここは私が精魂込めて管理している街なの!」


妖天と呼ばれた少女は胸を張って自慢する。

とりあえず話をしやすいよう広場へと移動した。


「私の名前は妖天。主様とキリエ様にお仕えする者です。」


俺たちも軽く自己紹介をする。


「何者かが大規模な飛行魔法でこっちに向かってくるって報告があったから慌てて門に行ったら主達が入口にいるんですもの。急な来訪でしたがどうしたんです?」


俺たちは掻い摘んで妖天へ説明した。


「なるほど、事態は大変ですが、急に何かを、というわけにはいかないですね。とりあえずですが、この街を拠点に色々としてみてはいかがでしょうか?」

「そうだな、少しでも腰を据えれる場所があると楽だしな。」


暫定ではあるがこの街に滞留し情報収集だ。当面の問題は拠点をどうするか。

宿屋を拠点にするにもお金かかるよね。


「冒険者登録をしてみませんか?冒険者になれば他の国へ行っても身分が証明されます。あと物件など楽に交易できますよ?」


これはいい情報を聞いた。取っておいて損はないだろう。

「早速行ってみるか。十天君とエリオーネとキリエは宿屋へ行っててくれ。さくっと登録してくる」

「わかりました。ではこちらで宿をとっておきます。」


念のため正樹と文香に確認をとる。


「今更です。ついていきますよ。」

「わくわくするね~」


聞くまでもなかった。


「エリオーネ、妖天からこの街に足りないものを聞いておいてくれ。」

「わかったわ知也ちゃん。」


とりあえずこの街を始めとして、色々と問題点を解決していこう。

ある程度の文明を持っているようにも見えるが、まずは情報収集からだ。



ようやく異世界モノの流れに持って行けた。

⇒本文一部修正

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