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25・PM、暗闇の中から光を差す

「どうするかな、これ…」


話も落ち着き、闘技場に来ていたメンバーの殆どが解散した。そんな中、俺とキリエと正樹が残り、アスタルトと呼ばれる鎧人形の処遇に悩んでいた。

アスタルトは俺達に敵意がないと分かってくれたのか、水の牢から出してもキリエの後ろを立つだけになった。

しかし問題はというと…


「実は…なぜか戻せなくて…本来は召喚後に役割を終えたら消えるのですが…」

「召喚されたものだったんですね、害がなければそれでも良いと思いますが、ボディガードにはちょっと物騒ですね。」


キリエが申し訳なさそうにアスタルトを元の状態に戻せないことを俺と正樹に伝える。

さて、どうしようかな、消し去っても良いが、どのような影響を及ぼすか全く見えないからな…

正樹の言うとおり害がないなら良いが、何かしらの誤作動で一般人が巻き込まれたら一瞬で取り返しがつかなくなる。何せこの街きっての実力者である騎士団長二人を軽々と吹き飛ばす程だ。

ひさしぶりにスキャンを使ってみるか


名前:アスタルト

真名:アスタルト=イシュヌ=バルハラー

職業:無職

レベル;99

備考:体はオリハルコンで出来ている。

status:Status:STR999,VIT999,AGI999,INT20

能力:不明


なんかまたステータス表示方法変わってるし…しかし強さ半端ないな。でも賢さ低すぎぃぃ!!

そして無職。いや、他に言い方あるだろう!?

キリエやエリオーネに散々こき使われただろうに、流石にこの表現は可哀想だ。

そして投げやりのこの備考、酷すぎる。何か恨みでもあるの?


(私ではありませんからね…)


先手を打ってきた、言いたいことが伝わって何よりだ。

頭の中の人ではないとすると別の意志があると言うことか。


『約束…我が友との…』


「しゃべった!?」

「え?」


鎧人形ことアスタルトの突然の開口に驚いた。いや、口なんて無いけど!

俺が驚くと正樹とキリエはいぶかしむように俺を覗き込む。どうやら2人には聞こえなかったようだ。


「アスタルトがお話しているところ見たことがないです。」

「まじか、確かに聞こえたぞ…友との約束がどうとか…」


気のせいだったのかな、顔もない空洞の鎧だから表情なんて読めはしない。


『願う…我を倒す程の強きものよ…我に変わり…太陽の姫を守り賜う…』


「…聞こえました。太陽の姫とはキリエさんの事ですかね。」

「私には何も聞こえなかった…です。」


『魂の盟友、龍真たつまと我が主との約束…どうか我の代わりに…』


龍真って誰だよ!あきらかに日本人の名前じゃないか。突然の親近感の沸く物言いに少し拍子抜けしてしまった。

しかし…どこかで聞いたことがある名前だな、あとで思い返そう。

今度は正樹にも聞こえたようだが、キリエには聞こえないとかアスタルトめ、どういうつもりだ。


『時間がない…我は思念を統べる物…全ての代行者…我は善であり悪である。』


時間がないだと?よく見ると鎧人形をうっすらと紫色の毒々しい光が鎧を侵食している気がする。

さっき戦った時はそんなものなかったような気がする。


(恐らくですが、多次元の怨念等がアスタルトに蓄積され、アスタルトの意志を浸食していっていると思われます)


呪いみたいなものか、なぜアスタルトに溜まってるのか気になるが…自浄作用ってないのか?


(ありますが既に許容量を超えてるようです。アスタルトの意思が負の意思に飲まれた場合は破壊神となり、この次元のあらゆるものが破壊されるでしょう。残り時間は正直分かりかねます、あと数分後なのか、もしくは数百年なのか…)


ふむ…後顧の憂いは残したくないな、今のうちに消し去っておくか?いやアスタルトと次元がリンクしてる可能性もあるって言ってたな…

すべての代行者ということは正も負も全ての思念がアスタルトに集まると言うことだよな。それでも負の意思の量がアスタルトの設定されている許容量の限界を超えたということは…

そして自浄作用があるということは本来は耐性もあるはずだよな、そもそもそういう作りなのか、やはりアスタルトを取り巻く負の意思が増えたと考えるべきか。

集まるのは負の意思だけでは無いのだろう?今見る限りだとほぼ悪意の塊ばかりだと思うが…


(恐らくになりますがよろしいでしょうか…)


構わない、確実な話じゃなくても良いから遠慮なく言ってくれ。


(ありがとうございます。恐らくですが、キリエによる次元削除と作成の繰り返しによるものと思われます。)


通常のサイクルから強制的に崩壊させてきたツケをアスタルトが受けてきた訳か。

しかし次元崩壊なんて一瞬だろう。意識するまでもなく現世とおさらばじゃないのか?


(私のように思念は残ります。そして空虚の中で絶望が生まれたのでしょう。)


なるほど、次元崩壊に限らず不幸にも命を落としたものは等しく怨念になれるというわけか。

それが緩やかなペースだったらアスタルトが吸収し浄化するという事なのか。

あれ?それだと代表者じゃなくね?全然負の意思の味方してないじゃん。強制リフレッシュだよ。

まぁともあれ先にアスタルトをどうにかしよう。どうすればアスタルトは解放される?


(恐らく怨念から切り離せばいけるかと、しかしながら切り離された怨念がどのような作用をもたらすかはわかりません。切り離されたアスタルトにどのくらいの力が残っているかも…解放されても霧散してしまう可能性があります。)


怨念と言うことは悪いようにしか作用されないだろうな。まぁ霧散してしまったらそれまでだ。

どの道失敗したら漏れなく破壊神が生まれるんだ、やるしかないだろう。

そしてこの惨状になった原因は現時点ではキリエに伏せておこう。今現状では重荷にしかならないし。

ぶっちゃけ文化も違えば次元が違うし、責任って言ってもこっちの価値観だし、どうしたら責任をとれるようになったと言えるのか…まぁ後で考えよう。


「正樹、今からアスタルトと原因となるものを切り離す。」

「できるんですか?」

「ああ、だが切り離された後がやっかいかもしれん。俺とアスタルトに何かあれば、わかるな。」

「先輩がやる必要があるんですか?」

「ああ、現段階では俺しか無理だ。」

「わかりました。塵も残しませんよ、お任せ下さい…」


本当に聞き分けと物分かりの良い奴だ、ただ今回は言葉と顔が一致してないけどな。

たった一言二言で理解してくれる同僚がいるのはこの上なく嬉しく思う。だけど理解はするが感情は別だよな。そんなに悔しそうな顔するなよ、きっと大丈夫だからさ。


「知也様、正樹様…?」


2人の顔つきが険しいものに変わったのを察してかキリエが不安そうにこっちをみる。

おっといけない、失敗するつもりは毛頭無いから笑顔でいないと。


「キリエ、今アスタルトは病気にかかっている。俺と正樹はそれの除去に入るから少し離れて見ていてくれ。」

「嫌です!この場で見届けさせて貰えませんか?知也様、正樹様、アスタルト…私の大切な…」


険しい表情見られたのは不味かったな、どうやらただ事では無いことは察しているようだ。

なまじ実力があるから下手な事では離れてくれなさそうだ。さてどうしようかな…


「キリエさん、あなたでは足手纏いと言っているのですよ。迷惑を掛けたくなければ離れていなさい。」


正樹がキリエに容赦ない事実を突き付ける。もうちょっとオブラートに包みませんか?泣きそうになってるよ?

だが実際にそのとおりだから仕方がない。アスタルトを纏えない今、この三人の中では実力の差が開ききっているのだから。


「私が…足手纏い…」

「そうですね、頼みの綱のアスタルトもあんな感じですし。今のキリエさんでしたら私達は指一本で勝てますよ。」


もうちょっとオブラートにぃ!指一本は流石に無理だろ!?

全く…お前が悪者になることは無いんだぞ正樹…いや、俺の所為だな、俺がはっきりと言わなかったのが悪い。


「キリエ、正樹の言うとおりだ、離れていろ。」

「知也様まで…くっ、分かりました。」


二人に言われたのが納得しきれない表情でキリエが闘技場の上まで飛び離れる。まぁあそこなら大丈夫か。


「すまない、かなり気を使わせてしまったな。」

「…確率的にはどうなんですか」


成功率か…

やらないと行けないことを先ず纏めないとな。

・アスタルトと怨念を切り離す。

・切り離された怨念の処分をする。

・アスタルトに怨念が貯まらないようにする。

・アスタルトらしきもの?が霧散しないようにする。

大きくはこの位か、成功率はどのくらいだろうかな。


(怨念の切り離しは80%です)


おお、じゃあ大丈夫じゃないか?


(怨念の処分は10%位です。)


だいぶ下がったな…戦うとかいう次元になるかな…


(アスタルトの再構成ですが、ほぼ無理です。)


ほぼね…完全ではないところは?


(私の希望的観測です。)


ならその期待に答えてあげないとな。


「んー、10%位かな?」

「少ないと見るべきか、希望があると言うべきか…いえ、高々10倍で100%です、行けますね。」


どっから10倍って来たのかな?そりゃどっかのくじ引きよりも確率は高いけども。

正樹が静かに目を閉じ、体から赤い光が漏れ出す。そして荒々しく赤い稲妻が体中を迸る。


「それではさっくりとやってしまいましょう。準備はいつでもOKですよ。」

「…ああ、その力は相手にしたくないからな、なるべく頑張るよ…」


キリエの動きを目で追えなかったって言ってたが、絶対にキリエよりも強いよな。一撃で消し飛ぶ自信がある。そもそも目で追う必要が無いだろうなぁ。


(正樹様の力も異質ですがご主人様程ではないですよ。どう考えてもご主人様がおかしいです。)


俺が変人みたいな言い方やめてくれない!?まぁいいや、万が一には正樹の元へ行けるか?


(お断りします。ご主人様が果てるときは私も果てるときです。そこは譲れません。)


わかった。万が一にもない。始めるぞ!


(はい!)


俺はアスタルトに向かい怨念の引き剥がしにかかる。

単純にコケ落としのイメージをし、鎧から紫色の膜をはぎ取る。


『なにを…止めるのだ…お主に災いが降りかかるぞ…』

「災いならとっくに降りかかってる!今更この位で引けるかよ!」


鎧に手を触れた途端に、禍々しい影の針が手に襲い掛かる。防衛本能なのかな?


「痛いな、だがこの程度!」


しかし針が刺さると脳内に悲しみや絶望の声が響きわたる。すごく反響しててものすごく不快だ。

精神攻撃か?まぁ頭の中の人が弾いてくれるからいいけどな。


(ひっ、来ないで!?私を侵食しないで!)


あら…予想外な事に、どうやら頭の中の人まで影響を及ぼしているようだ。さて、助けなきゃな…どうやって?

自分の心であれば考えれば大丈夫か?とりあえず叫んでみよう。


今お前等を相手しているのは俺だ!よけい場所に目を向けてるんじゃねぇ!!!


頭の中の声は収まらないが、頭の中の人への浸食は無くなったようだ。よかった、大丈夫かな?


(申し訳ございません…覚悟していたはずなのに…)


そこは違うだろう。そう言うときは笑ってありがとうっていうところだ。

お前が覚悟したのは俺と共に生きることだ、怨念なんかにやられることではない。


(っ…はい!ありがとうございます!)


しかし脳内に響き渡る声が酷いな。しかし感覚的には真名契約をするときに似ているな…色々な想いが入ってくる…ただし辛いことオンリーで…こんなの一つ一つ見てたら鬱になっちゃうぜ。

毎回こんなのをアスタルトは受けているのか、やっぱり半端ねぇな。


『人が何故この侵食に耐えれる。お前は何者だ。』


はっきりとこちらに問い掛けてくる声がする。思うが儘叫ぶ声が殆どだから異質な上に目立つ。

これはアスタルトの声じゃないな。怨念の代表者でもいるのか?とりあえずご挨拶しとかないと。


人の心に勝手に入ってきておいて何者だなんて酷い言い草だな。文句があるのなら出ていけよ。


『…本当に何者だ…自身の思考の海に自我をハッキリと保つなど…』


…ここそんな場所なの?

全然意識してないからわからなかった、いつも脳内彼女が話しかけてくれるから違和感なくしゃべってたわ。


(か、かかか彼女ですか!?いいのですか私なんかで!?)


いや、比喩表現だからな?いくら頭の中で痕跡残らないからって浮気しないからね?


(…残念です。)


『…なんとも傲慢な奴らよ、闇の意思の前に滅すると良い』


滅される前に一つ聞いて良いか?あんたはその闇の意思っではないのか?


『われはこの次元に混沌をもたらすもの。闇の意思の先導者。魂を煽り闇へと導くもの。』


おっけー、元凶発見!あっさりとこちらの聞きたいことを答えてくれたぜ。

貯まってしまった怨念には悪いが成仏する方法は後で考えるとして先ずは元凶を潰す!

会って早々で申し訳ないが消えてもらう!


『ぐっ…なんだこの力は!?』


俺は人の形をした何かへ手を翳し消え去るよう意識する。


『ぐぉぉ!何者なんだ貴様はぁぁぁぁ!?』


どうせ消え行くんだ、そんなの知る必要無いだろ?

さっき向こうは答えてくれたのに酷いって?いや別に答えてくれるなんて思ってなかったし?

戦いの最中に色々答えるほうがどうにかしてるぜ!


(酷い…)


大分ドン引きされてしまった…しかしこれが戦いというものだよ。


『くっ…後少しでエルマへと届くというのに、くそぉぉぉぉぉ!』


うぉい!!?最後の最後で気になる言葉を吐いて消滅してしまった。

狙いがエルマだと?いや、アスタルト自身がエルマに連なるものだから、狙いどころはおかしくはないけど。目的が何なのかまで聞いておけばよかった!


(…何とかなりますよ。)


頭の中の人の慰めの心が身に染みる!

統率者らしきのが居なくなったおかげで脳内のハウリングもほぼパターン化してるような気がする。

これなら俺の心への侵食は頭の中の人に任せても大丈夫そうだな。


(はい!お任せください!)


さて現実世界に行って物理的にはぎ取らないとな。


「あ~、酷い目にあった…」

「…精神攻撃ですか?」


流石正樹、お察しのとおりだよ。この辺は正樹が受けた場合はどうなるんだろうか。

一瞬で闇落ちとか洒落にならなそうだから試すのはやめておくか。


『止めよ…我に構う前に姫をたのむ…』


いや、あんた放置してたらどの道手が付けれなくなるからね?わかってる?

ていうかキリエをどうこうっていう割にはアスタルト自身この怨念を放置してる気がする。

諦めたのかな?


『我は公平だ、正の意思も負の意思も等しく受け入れなければならない。』


「ではなぜキリエに肩入れする?友との約束でその辺を有耶無耶にしていいものなのか?中途半端な肩入れの所為で負の感情があんたに溜まり自身がキリエの脅威になるかもしれないんだぞ。」


『有耶無耶にしたつもりはない、その結果負の意思が溜まってしまったのは…我の落ち度だ…』


落ち度って意外とお茶目だな、ただドジっ子というには周りへの迷惑はMAXだが…

なるほど、自身もこうなるのがわからず今のまま来たのか。そして自身ではどうにもならないから若干諦め気味であると。


『負の意思の暴走は我が責任をもってどうにかする。例え我が消滅しようともこの次元には影響を与えるつもりはない。』


消滅するとこの次元に影響出るっていうのがわかってないのか。まぁわかってたらこんな事にはなってなかったか。

暴走をどうにかするって言うものの、どう対処するかが気になるが…そんなことさせて失敗したらこの次元が崩壊しかねないからな。


『だから頼む…我にかまわずに、姫をお頼み申す。』


「…お前も救ってかつキリエも助けてやるよ!そんな世界を見せてやる!だから諦めずに抗えよ!」


『!?』


「後少しっ…うぉりゃあ!」


『あああああああ!!!』


アスタルトから完全に切り離された紫の靄は次第に黒に代わり人の形をしていく。

これが負の思念のなれの果てか…禍々しいというのを体で表している。


「ニクイ…」


第一声から物騒極まりない。

意外と良い奴かも知れない?俺にそんなフレンドリーに近づく勇気なんて無いぜ。


「先輩!後ろです!」

「何!?」


油断した。黒い陰が後ろに伸び、複数の針が俺の腹部を貫く。

肉体強化はかけたままだったはずだ。だがそれ以上の威力をもっているということになる。


「くそっ、油断したぜ。」


かなりの痛みが襲いかかるが意識を絶つほどではない。

針のサイズはそんなに太くなかったおかげが出血もそんなになく、針も抜かれたことを確認して回復に専念する。


「炎よ!」


間髪入れずに正樹が炎を放つが実体を持ってないかのようにすり抜けた。

向こうの攻撃だけ当たるってオチか?それは勘弁だな。


「これは…自分ではどうしようもなくなりましたよ。」

「だな、だが何か突破点があるはずだ。」


今度は正樹に陰の針が襲いかかる。

しかし火の結界を張っていたのか針が燃え尽きる。


「…どうやら攻撃時に実体化しているっぽいですね」

「意外と呆気なくネタバレしたな。お前の防御力が高いって事も証明されたな。」

「火に弱いだけかもしれませんよ。それよりも相手の攻撃を待たないといけないということは不味いですよ。後、先輩ばかり狙われたら対処のしようがないです。」


冷静な分析ありがとう。そうなんだよな。この時点で足手纏い確定だからな。

懸念したとおり、怨念からの攻撃が俺に集中しだしてきた。

油断さえしなければ当たることは無いが反撃ができない以上、主導権は怨念側にある。


「くっキリがないな…俺の炎は効かないとか」


やはり正樹の火とは質が違うんだろうか、同じように火の結界を張るが全然通用しないぜ…

戦況は正樹が不動で俺はちょこまかと動き回るという変な構図だ。

とりあえず隙を見てスキャンしてみるか。


名前:

真名:

職業:破壊神

備考:

レベル:99

Status:STR999,VIT999,AGI999,INT-

能力:精神干渉,多次元渡航

弱点:正の思念


既に破壊神なんですけど!?そして注目すべきは多次元渡航か…こいつを放置したらまずい理由はこれだな。

これは負けられなくなってきたぞ!でも今のところ対処のしようが無いところは痛いけど。


「正樹、アスタルトとあいつのステータス見てみたが、職業なんだと思う?」

「こんな時にどうしたんですか…大方守護神とか邪神とかじゃないですか?」

「おお、怨念のほうは近い、あいつは破壊神だ。アスタルトはな…無職だ。」

「…アスタルトが不憫すぎて笑えないです。」


肝心のアスタルトは現在沈黙を貫いている。スキャンに反応しているから意思は霧散していないだろう。

再度侵食も懸念されるから正樹が結界を張っているけど。

俺にも張ってもらおうかと思ったけど、攻撃が通じるやつがいなくなったらどこかへ行きそうだからやめた。


(ご主人様、先程からの攻撃で相手がどの位相にいるか大体掴めました。)


おお、流石天の声だ、仕事が早いぜ。どうにか出来そうか?


(はい、ただご主人様の体内にもう一度攻撃を受けていただければ確定できます。)


おぅふ…あれ痛かったんだよなぁ。


(申し訳ありません!私が不甲斐ないばかりに!)


ああ、すまない。不甲斐なくなんてないぞ、怨念を処分出来る確率10%だったんだろう?俺が一度我慢すれば100%確定なんて安いもんだ。ただ個人的に痛いのが嫌なだけだ。


(…痛覚を遮断すればよいのでは無いでしょうか)


その手があったか!キリエ戦でも近いことやったからいけるよな。

流石ベストアドバイザー、他とは格が違うな!ほか知らないけど。


(複雑な心境です。)


しかし、ようやく光明が見えてきた。そうと決まればレッツトライだ。

攻撃を受けた後どうすればいい?


(念じてください。ご主人様のイメージがそのまま力になります。その力を私が導きます。)


とりあえず受けなきゃしょうがないんだよな…破壊神が攻撃しやすいよう足を止める。


「な…先輩!なぜ動きを止めるんですか!?」

「ちょっといい方法思いついたんだ、少しだけ様子見てもらっていいか?」


早速容赦ない攻撃が俺を襲う。流石に致命傷は怖いのでやばいところだったら避けるけど!


「くぅ…痛覚全部消すと別の意味で怖いから残してみたが…ちょっと失敗したかな。」


(特定しました!今です!ご主人様の意思を私が導きます!)


ああ、任せるぞ!邪悪なる意思よ、消え去ることなんて生ぬるい!


「闇しか見てないでちょっとは光を見やがれ!お前等の無念、絶望全部ひっくるめて背負ってやる!」


俺が念じた瞬間白い6枚羽の天使が顕著し黒い闇を照らし消し去っていく。

アスタルトを纏ったキリエに似ている気がするが色は純白だ。

闇の消滅を確認すると現れた天使が俺に飛びつく。


「ご主人様!私存在しています!この世界に、ご主人様と同じ世界に!」

「先輩…僕達が苦戦してた闇を一瞬で消し去った方はどなたでしょうか、そしてご主人様って言ってますが…」


正樹が若干引いている、大きく誤解を与えているようだ。いや、初対面だからね?声でのやり取りは何度もあるけど!


「私の名前はエルマ!この世界の管理者であり知也様の奴隷です!」


エルマだと!?いや、名前を今まで聞かなかった俺も悪いけど!


「このノリはリュン様に通じるものがありますね…」


終わったことを察したキリエがいつの間にか降りてきてた。


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