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23・PM、わがままっ子にお仕置きをする。

「次は手数で押し切って見せます!」


俺はさっきの痛みを思い出し内心冷や汗をかく。

痛いのは嫌なので更なる肉体強化をイメージしキリエの攻撃に備える。


「お手柔らかにな…」


言葉を言い終わる前に右左正面後方そして直上とあらゆる方向から攻撃が降り注ぐ。

速すぎて防ぐだけで精一杯だが、先程よりも攻撃が軽い気がする、肉体強化の効果が出たらしい。


「まだです!これならどうです!」

「くっやるなキリエ。」


しばらく攻撃を捌いてると段々目が慣れてきたのか、大体の攻撃をいなせるようになってきた。

攻撃のパターンに空中を自在に動く光の剣が入ってきたが、速度は変わらないので何とか対応できている。


「カミュ…本当にあの人に挑むのか?」

「いや、今考え直している所だ、アランの見解はどうだ。」

「お前の負けに全財産かけても良いよ」

「まぁそうなるよな。妖天殿以上の方がいるとは俄には信じられなかったが…信じざるえないよ。トモヤさんと渡り合ってる女の子も凄まじいものがあるな。」


やはり挑む気だったのかあの騎士団長。でもまずは妖天に挑んでもらおうかなぁ。

少しこちらが余裕を見せているとキリエの連撃は激しさを増す。

慣れて来たと思ってたからスピードを増されたところに何発かくらってしまう。


「くっ、加減してたとか中々策士じゃないか。」

「いえ、私は最初から全力です。」


最初から全力?どういう事だ。俺みたいに力の使いどころが慣れてないわけじゃなさそうだが。

俺の苦戦を他所にキリエが並行して何やらブツブツと呟き始めた。

何かの詠唱かな、ものすごく嫌な感じだ。キリエの周りに赤い光がうねるように纏わりついてる。


「お待たせしました。どうやら知也様にお渡しした力分が回復したみたいです。」

「いや、待ってないからな?回復したってどういうことだよ」

「今からその根幹である力を呼び出します。」


そういうとキリエは大きく深呼吸をして気合を入れて叫びだす。


「ふぅ…我求めるは真なる赤!、我が敵を打ち倒す剣となれ、赤の中の赤に輝く偉大なる王よ我の祈りを受け顕著せよ!アスタルト!」


キリエが叫び終わると同時に地面から真っ赤なごっつい鎧人形が現れる。身丈は俺と同じくらいか?

この鎧はどこかで見たことがある…確かエリオーネの記憶にもあったな。


「知也様、特訓といいましたが、私の全てでお相手させて頂いても宜しいでしょうか。」

「いいよ、存分に来ると良いさ」

「これからが創世者としての私の本気です!お覚悟を!」


創世者としてということは次元の管理者として最大の力っていうところか。

大丈夫なのかそれ。確か幾多の次元を葬って来たって言ってたよな。

てかお覚悟をって完全に仕留めに来てるじゃないか。


「いかんのじゃ、キリエ様やりすぎじゃ!世界を消滅させるおつもりか!?」

「私の一部みたいなものですのでご安心を!いきます!」


金光の慌てっぷりを見るとどうやら本気の本気で星どころかいきなり次元のピンチだ。

そして力未知数の鎧人形と合わせて2対1か、何を安心しろと言うのか…もうこうなったらキリエを信頼して世界消滅なんて物騒極まりないセリフはスルーだ。

色々頭によぎって意識が少し外れてしまったらしい。鎧が思ったよりも速くいきなり俺の目の前に来る。


「うぉっ、あぶねえ!?」


容赦なく剣での袈裟懸けに来るがぎりぎり躱せた。危なくて仕方がないんだがどうするか…

俺は向かってくる鎧に向かって足払いでカウンターを入れた。足の感触が中身が空だと伝える。

空だったら容赦いらないな!俺は足払いで宙に浮いた鎧人形の胴体へ思いっきりかかとを振り落とす。

キリエじゃないし肉体強化もしてるから遠慮は無しだ。


「意識があるかわからんがこれで沈め!」


かかと落としを決められたら鎧人形はクレーターを作り地面に埋まるようにして沈黙する。

思いっきり攻撃が決まってスカッと爽快だ。だけどこれほどの威力が出るとは思ってもみなかった。


「くっ、一撃ですか!やはり最後まで行かなくては駄目ですよね…アスタルト、もう少しだけ私に力を貸してね…」


キリエの体とアスタルトと呼ばれる鎧人形が共鳴するように光り出す。

鎧人形が光の粒子となってキリエにまとわりつく。


「知也様、今からお見せするのは私の最も罪深き姿…幾多の次元を葬り去ってきた醜い力です。」


キリエが悲しそうな声で俺に語りかけて来る。

醜い力ね…どんな理由にせよ、それは力のせいじゃない。醜いもの、それはそんなふうに自分を貶めていることだ。

そんな事言われると真っ直ぐに向き合うしか無いじゃないか、力を持つ意味、力の使い方を教えてあげなくちゃいけない。正直俺の使い方があってるかは分からない。だけど今自分を乏しているキリエにはしっかりと伝えなきゃいけない。それは自分自身で決めていいものではないと。


(この力は危険です。戦いを避ける方を推奨します。)


警告は初めてだな、大体何とかなると安心しているから警告を発しないのか。むしろ最近は俺が最も危険人物扱いされてたからちょっとだけ安心してしまった。

だがすまないな、この力に向き合わないと根本的な事から解決出来そうにない、推奨ってことは別に勝つ方法もあるんだろう?キリエに勝つ方法を一緒に考えてくれないか。


(一緒に…アドバイスしか出来ませんがよろしいのですか?)


何を言っている、最高のアシストじゃないか、頼むぞ。


(わかりました!先ずは対象に勝つイメージが大事です。ご主人様の力はイメージがそのまま力になります。そして相手の力を意識せずに下げることも出来るはずです。ですが、今のキリエはそれでも先程とは比べ物にならないくらい全体的に強化されているはずです、開始直後は速さに注意してください。)


わかった、まぁ今までも何とかなってきたんだ、全然平気さ。


(はい!信じております!いえ、警告を発しておいてこれはないですね、信じます、これからずっと。)


だいぶ言葉遣いがお茶目になってきたな。俺の話し相手になってもらおうかな…まずは独り言ってとられないようにしないといけないか。今度いい方法を考えよう。

キリエの姿が徐々に現れる。禍々しい姿といえばしっくりくるが、あの愛くるしい顔が出てるせいで威厳が無い。

6枚の大きく広がった真紅の羽、皮膚に黒い模様が施されさっきの鎧人形のパーツが部分的に装着されている。翼と鎧もそうだが瞳の色も真っ赤だな。

まぁ総評はあれだ、中学生の夢を詰め込んだ姿だな。


「ふふ、かっこいいぞキリエ、心配するな、全然いける。」

「茶化さないでください!」

「何でまた急に力を見せる気になったんだ?」

「…戦いながらお話しいたします。」


話してくれるなら良いか。

キリエが地面に降り立つとそれだけで地面が抉れる。

見た目とは裏腹に結構エグいスペックみたいだな。


「知也、キリエ様が纏っておるのはエリオーネ様が管理する次元においての戦うためだけの力じゃ、いわば我ら神代においての最終決戦兵器の一つじゃ。」

「おいまて、一つってことは、まだこんなのが複数あるのかよ。」

「キリエ様の使用するアスタルトがダントツで最強じゃ、それ以外に後5体存在するんじゃが、まぁ他はアスタルトに比べてかわいいもんじゃよ。」


これはエルマからもたらされたものか?エリオーネが自ら創るとは考えにくいぞ。


(はい、リュンが多次元創世時に作成した6神になります。各それぞれが次元構築に一役買っておりますので損失すると次元機能に大きく影響が出ます。アスタルトはリュン側の主審となり、残りは眷属です。この次元にアスタルトが存在している事は偶然の産物です。)


そんなヤバいものをさっき思いっきり蹴飛ばしてしまったんだけど…因みにだがその事を知っているのは誰だ。


(偶然の副産物ですので誰も知りません。もちろんリュンも含めてです。)


いやまて、リュンが多次元生成したんじゃないの!?


(すいません、与えられた力はまだ全て解析できているわけでは無いのです。ですので理解を深めるためリュンはエルマにその役目を課しました。)


じゃあ今の所次元構成の役割を最も理解しているのはエルマだけなんだな、解析は終わってるのか?


(はい、終わっております。リュンからアクセスを求められると提供しますが、まだ情報の引き出し履歴はございません。)


そんなことまでわかるのか、さすが万能だな。


(ご主人様程ではございません。)


どうやらキリエ達は単なる力としか見ていないみたいだな、まぁ間違いではないか。

さて、そろそろ再開しますかね…


「キリエ、遠慮はいらない。」

「はい、私のすべてをあなたにぶつけます。」


困った愛情表現だ、大方妖天に触発されて自分も全てさらけ出さないといけないとでも考えたんだろう。

愛情以外にもこの世界の在り方にも引け目を感じているようだしな、間違った力を行使した責任についてどうとっていいのか分からないんだろう。

ここは大人の俺が教えてあげなきゃな、年齢的には圧倒的に向こうが年上だけど!


「はぁぁぁぁ!」


キリエが無造作に突進してくるが速すぎる、俺がガードを構えた瞬間にぶつかる。

速すぎる上に威力も申し分ない、俺の足が地面に少し埋まってしまう。

周りへの影響も凄まじく、ソニックブームが外野に降り注ぐ。


「金光殿、この建物どころか街も無事で済みますか?」

「たぶん大丈夫なのじゃ…たぶん」

「キリエちゃんのあの姿可愛いわね。」


金光の結界に守られ自信のなさそうな声で金光が領主へ返事をする。そんな心配そうな声出さなくても大丈夫だよ…きっと

そしてクラリスはキリエのあの姿を気に入ったらしい。


「因みにあの2人を止められる人はアースにはいるの?」

「あと3人ほどおるんじゃが、どうじゃろうか…」

「まだ3人もいらっしゃるのですか…魔王ではないのですよね?」

「知也達に比べたら魔王なんて可愛いものじゃよ…」


全員が息を飲むのが分かる。戦い方がわからないからまぁぶっちゃけ俺が一番内心冷や冷やしてるんだけどね!

キリエ攻略をどうしようかと悩んでいると上空から気配を感じる。


「間に合いましたね、桃花さん文香さん、戦ってるキャストは予想外ですが、先ずは結界を張りましょう。」

「お~い、張り切るのも良いけど地響きが酷くて街中が不安に陥ってるからね~」

「まさかのキリエちゃんとはね、金光かと思ってたわ。まぁ良いわ、2人とも、私たち3人で結界を張るから思いっきりやっちゃって良いわよ、理由は後でしっかり聞かせてもらいますからね。」


頭上から3人が降ってきた、どうやら桃花にぶら下がって来たらしい。妖精サイズの女の子に大人2人ぶら下がって飛んでくるとかシュールだな。どうやらアスタルトの登場を察して飛んできたようだ。


(アスタルトの登場察してではなく先程のアスタルトへのかかと落としによる地響きにだと思われます。)


何のことだろう、小気味良く地面に埋まってくれて爽快だったが衝撃にちょっとヒヤッとしてたのは内緒だ。


「桃花に捕まってくるとかシュールすぎるだろ。」

「なりふり構ってられないでしょう、この星を壊すつもりですか?」


そんな事するわけがない、流石に全力投球とはいえ力の向きはしっかりするさ。するよね?

結界を張ったと聞いてキリエの顔も益々やる気になる。

…余計なことしやがって、こっちは星という最終人質がいたのに…がんばるか…


「あー、ちょうどその3人が到着したんじゃよ。ひとまずはここも安心かの。」

「止める方向には行かないですよねやっぱり…」


金光は一安心するが領主の顔から不安はまだ拭えない。

結界がどのくらい持つのか分かんないもんなぁ。


「聞いてくれよカミュ、これ皆、喫茶店の店員なんだぜ?」

「知っている、先日料理を振る舞って貰ったからな、トウカさん以外のお二人は初めて見たが。この街はつくづく色々な事への因果が絶えないな。」

「魔王がまだ生易しいなんて聞いてこっちは絶望しかないがな。」

「騎士団としては複雑だが、余程の事が無い限りこの街は大丈夫だろう。」

「全くだ、引退して良いかな。」


騎士2人はまだまだ余裕そうだな。まぁ実力も神代に対抗できる位だから当たり前か。

キリエが深呼吸して呼吸を整える。そろそろ準備OKかな。


「皆さんありがとうございます、行きます!」


キリエがそう叫ぶと否や後ろから気配がする。

俺は慌てて回し蹴りを放ち牽制する。運良くキリエに当たったので力任せに足を振り切る。

体が軽い分勢いが殺せないのかキリエが壁に激突、しかし間髪入れずに同じ勢いで正面から突っ込んでくる。

キリエが行動するたびにソニックブームが発生して周りに衝撃波をまき散らす。


「ひっ、これは安心だとわかっても冷や冷やしますね、とんでもない衝撃だ。」


張ってある結界に衝撃波がバンバン当たり轟音が鳴り響く。

衝撃波が当たる度に領主はビクビクする。

キリエが動く度に衝撃波が発生するもんだから俺も強化に余念がない。

そして結界はかなり頑丈そうだな。これなら安心だ。


「正樹君、今の動き見えた~?」

「いえ、その様子ですと文香さんもですか。衝撃波が来る辺り空間移動ではなさそうですが…」


ぶっちゃけ俺も感に頼って迎撃している。これはまともに食らうとヤバそうだ。


「はぁぁぁ!」

「甘い!」


何度も攻防を重ねていくとキリエが語りかけてくる。表情?速すぎて見えないな。


「知也様!私は何のために!生まれてきたの!でしょうか!」


いきなり重い話題を途切れ途切れで攻撃が来る度に語り掛けられる。やっぱり落ち着いて喋りませんかねぇ、エリオーネが聞いたら卒倒しそうだぞその内容、そんな事で悩んでいるのか。


「私は幾多の次元をこの力で滅ぼしてきました!それも数え切れないくらいに!お母様より受け継いだ力をどれほど憎んだかわかりません!」


力を憎むかぁ…有ればある程良いと思うんだけど、小回じゆうが聞かなくなるのか?何にせよ力には意志なんて無い。

ていうか落ち着け、言葉尻に勢いある攻撃をされると集中出来ないじゃん!


「目を背けたいか?キリエ。」

「はい、どうしようもないくらいに…いえ、一度は背けてしまいました。しかし、それをこの力は許してくれませんでした。知也様に力を譲渡したときに私の心は安堵を覚えました。しかし、次第に力が戻って来るのがわかるのです。」


俺の返答に攻撃が止む。

素直に力を譲渡してくれたのは、目を背けたくてどうしようもなかったからか。

キリエの力の源泉はなんだ?力が戻るって言うが、俺から力が戻っている形跡はない。そこの鎧か?


「アスタルトか、それがどうにかなればいいのか。」

「はい、その通りです。ですがその前に、知也様は力が必要ですか?」


力か、何度も言うが制御出来るなら欲しい。自分なら上手く使えるとか自惚れをするつもりはない、単純に俺が後悔したくないという独善的なものだ。


「ああ、俺は欲しいと思うよ。」

「それほどの力を持って尚欲しいのですか?」

「どれほどだよ?今の所まだまだ足りないと思うぞ。」

「私とお母様、そして上位のリュン様の力を得ても尚ですか。」


リュンは力奪った訳じゃないからね。

それにこの戦いも簡単に制することも出来ないくらいだからな。

色々とあって困るものじゃない。


「ああ。」

「そんなあなただからこそ、私は心の奥底で望んでしまったのです。あなたの力になりたいと、この力が許してくれないのではないですね、私が望んだのですね。その望みにアスタルトが応えてくれている、ただそれだけなんですね。」


なんか自問自答で解決していってる。

力を欲するか、最初は手放して喜び、無くなって悲しむ。端から見たら都合のいい女に見えるだろうなぁ…キリエはそんな子じゃないの分かってるからね!


「あなたと共に過ごすには力が必要です。胸を張って並び立つには、あなたの剣と盾になるには揺るぎない力が!伴侶の道は諦めます!だけど共に生き、あなたの役に立てる力が今はどうしようもなく欲しいのです!」


その言葉を聞いて桃花が殺気を放ち始める。おいまて、子供の戯言だろう、今諦めるって言っただろう、落ち着け…って、いや殺気は俺に向けられてる!?

アスタルトもそれに呼応するように力を増していくのが分かる。


「キリエ、俺はお前に無理をさせてまでそれを望んで欲しくない、そして俺のためなんかではなく自分のために使って欲しい。せっかく手に入れた自由だ、お前が楽しいと思うことに向けて進んで欲しいんだ。」


キリエが攻撃を再開してくる。まじか、何か地雷を踏んだのか!?


「私は!今が楽しいのです!どうすればあなたの力になれるのか、あなたのために尽くせることが今の私の最大の喜びです。」


一撃一撃に力が籠もってくる。俺のためとか言いつつ本気で俺へ攻撃するのを止めてくれませんかねぇ…


「この戦いは私のワガガマです。この力を知也様に知って欲しかった、そして受け止めて欲しかった!この姿を軽蔑してくれても構いません!」


妖天も余計なことをしてくれたなぁ、枷が外れたように感情のあるがままにぶつかってくる。受け止め軽蔑しろって矛盾しているだろう。こういうのは答えなきゃ後で尾を引くし、何より俺の気分が悪い…!妻帯者だし!


「知也さんー、私を言い訳にしたら怒るわよー?」


桃花の叫び声が聞こえる、無茶言うな、俺にはお前がすべてだ。

行動に表してないのは謝るけど!てかナチュナルに俺の心読まないで!?

キリエの想いに応えるにもまずは現状打破だな、カウンターでしか攻撃出来ていないからある意味防戦一方か、どうにか目も追いつけるようになってきたからそろそろ反撃も可能か。

いい加減わがまま娘に拳骨してあげないとな。自由にしろと言ったりわがまま言うなと言ったりと酷いだって?間違ってると思ったらその道筋を照らしてあげる、それが大人の役割でしょう。

何度も言うようだけどキリエの方が遥かに年上何だけどね!


「さてキリエ、そろそろ終わらせようか。」

「!?…嫌です。もっと…もっと私を見て下さい!」


キリエの攻撃に鋭さが増す。しかし肉体強化のイメージが追いついたのか、攻撃が当たっても傷一つつかなくなった。


「なんで通じないんですかぁぁ!私の思いと奥様の思いどう違うんですかぁぁ!」


カウンターでキリエを弾いたらそれを追いかける。

今まで動かなかった遠くにいるはずの存在が目の前にいるというでキリエの動きが止まる。


「すまないな、キリエと桃花の想いの違いなんてわかってやれない。それが俺の『想い』だ。」


アスタルトの力を分断させるイメージを持ってキリエの頭に拳骨を落とす。

力自体は何のこともない、ちょっと痛がるたんこぶが出来る程度の力だ。

分断された力がキリエから切り離され鎧人形へと姿を戻す。


「はぅぅ…痛いです…」

「大袈裟だな、散々カウンター食らっておいて。」


俺から拳骨されたキリエは両手で頭を抑えしゃがみこみ涙ぐむ。


「うわ~、いたいけな少女にえぐいわぁ~」


幼気な少女は惑星破壊なんてしないからな?

とりあえず突っ込みとして文香へデコピンを喰らわす。


「ふぅぅぅ!?」


キリエと同様におでこを押さえしゃがみ込む。やったな、これで幼気な少女の仲間入りだ。

その様子を見た正樹がため息をつく。


「ようやく一息つけますか…ね。」

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