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20/26

20・PM、乙女とは何だろうと悩む

「冗談でしょう!?」


クラリスの驚きの声が響き渡る。そう言われても1なものは1だ。


「そう言われてもなぁ、ギルドで測ったらそうだったんだからしょうがないだろう。」

「装置の故障?いえ、あれが故障するなんて…知也様、私が測って見ても良いですか?」

「ああ、構わないぞ。」

「それでは失礼して…スキャン開始。」


(内部への侵入を検知しました。侵入を拒否できますがいかがしますか?)


そう言えばそうだった。許可制だったな、すまない許可してくれ。


(かしこまりました。)


自分の意思で判断出来ないかなと思ったけど、やはりこういうのは第三の目が合ってこそだよな。

都合がいいかもしれないが、また何かあったら宜しくな。

俺は心の中で中の人?に謝辞を述べる。


(!!!!!?????!!!!!?????はいっ!誠心誠意頑張らせていただきます。此方こそ何卒よろしくお願いします!

主の要望により進化コードを得ました。実装開始します。

set evolution_staus_code = 1

load evolution -u root -p xxxx -h local)


凄いテンパった回答が帰ってきた。まって、そんな要望出してないから!てかコマンドなの!?言語何なの!?

突っ込みどころが多すぎてどうしよう。何ができるようになるのか気になるから止めはしないけど!


(失礼しました。嬉しさのあまり取り乱してしまいました。無事に進化を遂げることが出来ました。進化による新機能については上位権限による時の操作に対して事前検知及び拒否を行う機能と共に実行の特別権限が譲渡されました。)


うん?権限ってエルマから?いいのそれ?ていうか嬉しいからって進化出来るもんなの?


(はい、問題ございません。特別権限となりますので、高次元上位体から検知されずに実装されております。私共は主の感謝の念を受けると更なる主の要望に応えるべく進化が促されます。)


何かトリガーがあるのかな、俺は何度も感謝を表している気がするが…

まぁ確かに問題はないが、エルマにまで及ぶって、それって不正アクセスじゃないか?それに特別権限ってエルマからの譲渡じゃないのか。

まぁバレたときに考えようか、バレなければ問題ないよな。


(はい!どこまでもお供します!)


…まぁ元気がいいのは良いことだ。どこか違う返し方に俺は苦笑しながら深く考えないようにする事にした。

スキャンが終わると妖天の顔が驚きに変わる。


「…本当にレベル1なんですね。各ステータス値はレベル15のクラリスよりは高いですが、それでもまぁ普通の…一般人と同じレベルです。」

「いえいえ、おかしいです!私は知也様が竜族のブルールさんに勝ってるところをこの目で見てるんですよ?しかもほぼ圧勝でしたよね?」


まぁ大体想像してたが一般人レベルらしい。

ブルール戦は辛勝だったきがするが…結構疲れたんだよあれでも、何度か吹っ飛ばされたし。キリエの目には楽勝に見えたらしい。


「ブルールって誰だい?」

「竜の国の姫様で今うちの従業員だ。」


当たり障りが無いよう簡潔に説明する。むしろそうとしか説明できないけど。


「竜の姫って…最強と名高い現代の戦神の一人じゃないか」

「私も負けるとは言いませんが、楽に勝てる相手ではありませんよ。」


最強(自称)だったけどな、あと楽勝じゃないから。

現代の戦神か、何人居るんだ。


「うーん、種族に2~3人かなぁ。ちなみに妖天様も戦神の1人ですからね。それにトモヤ君、竜を従える者をなんて呼ぶか知っているかい?」

「勇者だろ?流石に違うからな、なんたってレベル1だぜ?それよりも領主が交代した理由はなんだ?」

「単純に寿命だよ、余計な仕事を押し付けて満足そうな顔して逝ったよ。おおよそだけど5年前に現領主と交代して今に至るのさ。ちなみに現領主は前領主の孫に当たるよ。」


流石に勇者扱いされたくないので話を切り替える。クラリスもそんなに気にしてないのか質問に答えてくれる。

妖天のやつ剣神だったり戦神だったり色々呼び名が増えるな、妖天を見ると顔を赤くして伏せている。

領主は前領主の孫だったのか、普通は息子とかが継ぐもんじゃ無いのか?あの領主も相当若いだろう、5年前って継げるようなもんなのか?


「息子のほうは20年前の一件があってから重要人物として本国に召還されてるから、今頃事務仕事に追われてるんじゃないかな。まぁ体のいい人質だよね、魔王を退けたってことで脅威と思ってるか知らないけど今でも本国からこの街へ戦力の視察には余念がないし。」


なる程、そうなんだ。しかし詳しいな、どう考えても商工会レベルの情報じゃ無い気がする。


「まぁ、現領主が私の旦那だし。」

「なら俺たちの事最初から知ってたんじゃないか、わざわざ話さなくても伝わるだろう。ていうかそうなるとクラリスも貴族なんじゃないか、いいのかよ商工会に介入しても。」

「平民出身だから大目に見られてるのさ、あと聞くのと話すのは違うよ、領主はちょっと優しすぎるからね、悪い部分も含めてちょっと伝わらないのさ。」


それで旦那の代わりにアンダーラインの情報収集に余念がないわけか…ある意味危ない仕事だろうに…余り苦労させるなよ?っと領主に対して心の中で呟く。


「まぁでもトモヤ君に関しては聞いたままだったねぇ。」

「ほぅ、ちょっとそこ詳しく。」


あのほんわかしてるようで抜け目ない領主がどんな評価をしているのかが気になってしょうがない。

ついつい前のめりになってクラリスに顔を向ける。


「すごい食いつきだね、良いも悪いも表裏がないんだよ、単純って意味じゃないからね?」

「どう受け取っていいかわかんねぇよ。」


なんとも微妙な判定だな、うーん、個性か?影が薄いか?

まぁうちのメンバーがいろんな意味で濃すぎるからなぁ。


「知也様は素敵です!」

「そうですよ、たまに酷いですけど知也様の為だったら命すら惜しくないですからね!」


キリエと妖天からフォローが入る。

妖天には嫌われてると思ってたからその言葉を聞けて良かった。たまに酷いのは否定しない。たまにだからね。でも命までは張る必要はないからな。


「あの…」

「知也様?…」


無意識に二人を撫でていたようだ。2人とも顔が赤い。

クラリスの前では恥ずかしいよな。


「やっぱり重婚視野に入れた方が良いんじゃないか?」

「いや、それとこれとは別だからな。」


結構容赦なくクラリスがぶっ込んでくる。なんでそんなに重婚させたいの!?


「ちなみにだけど、うちの旦那は私以外3人娶ってるからな」


まじかよ、凄いな!そうなると一人は想像つくけど…でもだからといって靡かないんだからな!


「妖天、私は剣神の話を聞きたいです!」

「ううっ…そろそろその話題は許してくれませんか?顔から火を吹きそうです。」


意外なことにキリエが興味を持ったようだ。まぁ見た目年齢=精神年齢になりつつあるから、憧れるものがあるのだろう。妖天からするとトラウマでしかないけどな。

この街で剣神として崇められるくらいの活躍をしたんだ、話に尾ひれ等大きくなっているだろうが派手にやったんだろうなぁ。


「私の目が届く範囲は誰も死なせはしない!この街は私が守る!辛いときは声を上げろ!私を呼べ!剣に愛されし私があなた達をを守る!」


クラリスが近くの棒を掲げて叫ぶ。なかなか堂には入った感じだ

どうやら剣神スフィアの決めゼリフらしい。


「かっこいいじゃないか。別におかしいことなんか無いだろう?」

「いや恥ずかしいですよ…なんであんなことに…」

「登場する度に言ってましたからね。」


隠密とは何だったんだろう。まぁ一時のテンションは怖いものがある。

クラリスが昔を語る所をキリエが羨望の眼差しで見つめるから妖天も止めるに止めれない。


「変な仮面付けてましたし、あれでバレないと思ってるのがすごいところです。」

「うわぁぁぁぁん!」


あ、妖天が逃げだした。どうやら街を救った英雄に対して気遣いは無用らしい。

何故とどめを刺したクラリスさんや。


「いやー、こんな妖天様の姿があるんだなぁって、ついつい楽しくなっちゃってさ。」

「仮にもこの街の英雄だろう…まぁ気持ちはわからないでもない。」


十天君って弄られオーラ出してるよね、特に妖天と金光。


「まぁ今の英雄が昔の英雄を囲うってねぇ、まぁこの話はまた今度ね。あとね、決闘の話なんだけど、実はトモヤ君宛にも結構届いていてね、今の所は領主が全部断っているんだけど、件数多くてパンクしそうなの。」

「そうだったのか。てか領主宛てに届くのかそれ…放置でもいいだろう。」

「そうも行かないのよ、この辺管理しないと勝手に突撃されちゃうわよ?妖天様も見た目が可愛らしいから自分でも勝てるんじゃないかって思っちゃう人多いんだよねぇ、トモヤ君は見る限りひ弱そうだし。」


最後のは余計なお世話だ。そう言うことか、確かにアースに直接来られても困るな、ていうかどうしろと。


「適当に強そうなのピックアップするから何回か受けてくれない?」

「えー…この街で有名な強そうなやつに勝ったら挑戦権を得るとかじゃ駄目か?」

「それは良いけど、まずは公の場で…そうだねぇ、妖天様と決闘してもらうよ?」


ふむ、複数回こなすよりもそっちの方が楽か?でもブルールよりも強いんだよなぁきっと…妖天に聞いてみるか。


「わかった、じゃあ妖天を呼び戻さないとな。キリエにクラリスさん、ちょっとまっててくれ。」


俺は小会議室から出て誰もいないことを確認したら妖天を召喚する。探しに行くのが面倒とかじゃなかったからね?只でさえ足が速いし、瞬間移動もするし、捕まえられない自信がある!ってことで…


「あー、格好悪いとこ見られちゃったなぁ、幻滅されたかなぁ。」


妖天は召喚された様子に気付かず三角座りで足にうずくまり見事にふてくされている…


「本当に何なんでしょうか、金光様も虜にして…あの様子だとエリオーネ様もキリエ様も知也様に首っ丈みたいだし。」


言葉の使い方が要所要所で古いな…首ったけって。


(申し訳ありません。言語データベースは一応常に最新化しているのですが…)


ああ、すまない、文句を言ってる訳ではないんだ。これは妖天本人の気質の問題だから気にしないでくれ。

てかやっぱり通訳してくれてるんだな。


(はい、現状では言語野での変換と最適化をしておりますのでご主人様のベース言語にて表現されております。機能をオフにすることでご主人様の知識の一部としての使用もできます。)


知識として使えるか、それは興味あるな、ちょっと通訳をオフにしてもらってもいいか?


(かしこまりました、またご利用の際はいつでもお声かけください。)


「知也様は酷いです。…真名を呼んでくれたときにいっそのこと隷属にしてくれても良かったのに…まだ出会って数日なのに幾星霜と一緒に居るみたい。…!?」


おお、この世界の言語か、知っているって感じ凄いな、頭の中ですらすらと日本語に変換されるぜ。

英語の勉強しているときはこんなに感じだったなぁ。妖天もようやくこちらに気付いた様だ、すぐさま立ち上がりモジモジとしている。


「さて、隷属は要らないって意図は理解してくれてるよな?」

「…はい…?知也様言葉遣いが?」

「ああ、すまない、通訳機能をオフにしたんだ。」

「そういう機能があったのですね。てっきり翻訳機をエリオーネ様から渡されているものと思ってました。」


どうやら今までと若干違和感があるらしい。ちょっと考えながら話してるからかな、すぐに慣れるだろう。

妖天が落ち着かないのは、まぁ隷属は要らないと言いつつがっちりと魂レベルで主従関係が刻まれているから仕方がないか、自由にしろって言われつつも何言われるか分かったもんじゃないもんな。


「まぁ自分の意思で動いてこそだ。ダメなときは叱る、良いことは褒めてあげたい、ただそれだけだ。」

「私はダメな子なんです…」

「そんなことないさ、俺達がこの街に来てから色々と世話を焼いてくれたりと人一倍頑張ってくれているのは分かっている。20年前の介入についても別に叱るつもりもないし、俺がとやかく言うことでもない。」


妖天がまじめな顔をしてこっちを向く。話を聞いてくれる気になったようだ。


「真名契約なんてあって無いようなものだ。俺はそんな事で妖天の自由を奪いたくない。そしてありのままの妖天を褒めてあげたいんだ、だから何か言いたいことがあったら遠慮なく言ってくれ。」

「遠慮なく…言えるわけ無いじゃないですか…」

「そんなこと無いぞ、意外と言ったらスッキリする事もある。まぁ無理強いはしないけどな。」


言うかどうかすごく悩んでいる。俺の顔を見たり下を向いたりとを繰り返している。


「あのですね…知也様は私と真名の契約が出来て良かったと思いますか?」

「質問を質問で返すようで悪いが、妖天は真名契約がなかったら着いて来てくれなかったか?」

「…そんなことないです、と自信を持って言えないんです。これが私の意志なのかそうなのか…それが真名契約なんですよ?」


確かに、俺が何も縛ってないと言っても説得力もないな。相当不安にさせてたようだ。


「例え真名契約が無くても是非とも欲しい人材だ。俺は自信を持ってそう言うぞ。」


嬉しそうな、でもそうじゃないってそんな顔だ、そういえばキリエにもそんな顔されたな。


「あーもう、直球勝負です!女は度胸!」

「お、おう」

「いいですか知也様!神の人形として生まれてきて幾星霜と時を重ねてきましたが初めてのことなので私も戸惑ってるんです!」

「ああ」


気が遠くなるほどの歳月を重ねて初めて起きた事象か、胸熱だな。

妖天は深呼吸して俺の方を見つめ直す。


「私は知也様の為に何かをしたい、全てを捧げたい。何があなたの為になるのか分からないのがもどかしいです。いっそのこと隷属として全てを命令してくれた方が気が楽です。あなたの事を考えると胸が苦しいんです!」


ああ…これは想定外だ…会って数日でそこまで思ってくれるのは嬉しいがチョロすぎませんかねぇ…え?ゲスいって?だって俺には妻が居るし!そして一目惚れにしては重たい、どうしよう。


「奥様がいらっしゃるのは理解しています、でもこの気持ちが変わりそうにないんです。例え真名契約によるものだとしても、今この気持ちが偽物だとしても今私がそうしたいんです。」


その気持ちは偽物ではないと、それを言える立場じゃない。

歯痒いな、言葉を信じろと言うこともままならないとは。

本当に信頼する相手に、本当に尽くしたい相手に伝えられるべき真名…

強制的に奪うとこうなるんだな…支配に近い力だからこそ信頼関係というか制約があるのかもしれない。


「知也様、お慕いしております。どうかこの身をお側に置いて下さい!」


後ろのドアがガチャっと開き、顔を少し赤くしたキリエとクラリスが出てくる。

…おい、何でこのタイミングでドアを開けたし。

出てきたキリエとクラリスさんを見て妖天が口をパクパクとさせる。

またもう一つ黒歴史が追加…されるか?


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