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植物人間の空想

作者: ぢのしま

 陽が空の中心に来る頃、緑の肌をした人々がぞろぞろと日向に集まってきた。

ある者は川辺の土手で、ある者はビルの屋上、またある者は学校のグラウンド。緑の人達は日光を浴びるためにこの時間帯外出するのが、皆日課になっている。光合成する為である。


 そう、彼らは正真正銘の植物人間なのだ。


 植物人間達は陽の光を浴びて満足げな表情を浮かべながら、身に付けている衣服を脱ぎだした。少しでも光合成の効率を上げるためだ。


 男性の姿をした者はパンツを、女性の姿をした者はブラジャーさえ外し、うつ伏せや仰向けの姿勢になる。徹底した効率重視だ。

日向を植物人間が埋め尽くすので、土手が、屋上が、グラウンドが真緑に染まる。

彼らは楽しげに雑談しながら、或いは心地良さをじっくり味わうように沈黙しながら光合成をしている。

日光浴のスタイルは人それぞれである。


 その中の幾らかの人達は空想するのだろう。もし、この地球上に繁栄したのが私達植物でなくて動物だったら。

私達は素晴らしいこの時間を、地べたを這う獣達のように摂食に費やさなければならなかったのだろうかと。そして動物達の哀しさを憐れむのだ。



 このような空想を、ベットの上の痩せこけた男は誰にも知られることなく、頭の中で繰り広げていた。身体は沢山のチューブに繋がれ、その瞼は冷たく、堅く閉じられている。

身体を動かすことが出来ない分、覚醒している合間の暇を潰すために空想することが彼にとっての細やかな楽しみになっている。


 男はふと、体が泥沼に沈む様な感覚を覚える。彼の意識が再び深く眠る時が来たようだ。

男は動物の哀しみに心を囚われつつも、意識はますます澱んだ沼に嵌っていく。

重い微睡みの中で、次の意識の覚醒はいつだろうか、と考えている内に、男は誰にも気付かれることなく、夢さえ見ない眠りに堕ちていった。

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