不審者に出会った私は全速力出逃げたいと思います。
「覚えたー!」私は椅子から立ち上がると、大きくのびをした。
すると、身体の関節がほぐされる気がした。
アランに手渡されたのは、オーウェルから聞かされていた国の歴史や、国の文化についてだった。
でも、割と私達の世界と似ていた為、まだ良かった方だ。
これが、まるっきり違っていたのなら、今頃私は土の中…だったのだから。
「これで、文句ないわね?アランさんよ!私、完璧に覚えた!」私は、どや顔でアランに問いかけた。
「おうよ。でも、まだこれ序の口だから。」
今この鬼畜なんて言った!?
私、あれだけ努力して頑張ったのに…うわーん。
涙出てくる。辛いわ、これ。
少しくらいはねぎらってくれたっていいじゃない。
「お疲れ様。まぁ、頑張ったんじゃない?」アランはぼそりとねぎらいの言葉をかけてくれた。
あら、心の声漏れてたのか…!?
まぁ、いいや。
たいしたことではない…そう思いたい。
「ねぇ、アラン。次、私は何したらいいの?」私はアランに問いかけた。
私には、時間がない。
少しでも立ち止まる時間を減らして、この国を救うために時間を使わなければならない。
まぁ、私がそう思うようになったのは、アランの言葉があったからなのだけれど。
一週間前の私なら、このような言葉は出てこなかっただろう。
心なしか、アランの言葉の棘も柔らかくなっていて優しくしてくれている。彼は不器用なだけで、本当は優しい人だから。
「次はオーウェルの所行ってこい。そうすれば、マナー教えてくれるから。俺は剣の稽古に行ってくるから。」アランはそう言うと、部屋から出て行った。
私はその背中に向かってそっと「いってらっしゃい。頑張って死んできてね。」と呟いた。
「さて。オーウェルの所に行きますかね。」私もおーの所に行くために部屋から出た。
そして、廊下を歩き始めたその時だった。
後ろから、冷たい声が聞こえてきたのは。
「えりんなのか?」
私はその声に慌てて振り向いた。
しかし、廊下には誰の姿も見当たらない。
こわっ!ホラー映画ですか!?
いやいや。大丈夫。大丈夫。きっと、私の空耳。
そうだと思おう。そうじゃなきゃ、今からオーウェルの所まで走ろう。それが、一番賢い選択よね!?
私は、まだ生きなければ。
というわけで。エスケープっ☆(←この間一秒)
私は、心にそう決めると廊下を全力で走り始めた。
今、一応ヒール履いているんだけどこの際なりふり構ってられない。今はとりあえず逃げる。
私は全速力で、廊下を駆け抜ける。
が、誰かに腕を掴まれた。
「ちょっ…やめっ!やめて!はなして!」私は急に腕を捕まれたことでパニックになっていた。
「えりん…」私の頭上から聞こえてきたのは、先程聞こえたのと同じ冷たい声だった。
と言うことは、私の腕を掴んでいるのは…先程の声の主。
「いやっ助けて。離して!」
「静かにしろ。」そう言うと、声の主は私の首もとにナイフを当ててきた。
「ひっ!」私は怖くて、身体が震えているのに気がついた。
「俺の名前はルーシュ。先代のアイリーンを殺したのも私だ。」
えーー!?って、よく見たらあなたこの前廊下でぶつかった人じゃないですか!?ちょっとまって!じゃあ、あなた殺人犯ではないですか!!うそっ!こっわー。逃げたい…けど、逃げ方分かんないけど。とりあえず、逃げたい。
「あの。まず一つ言ってもいいですか?」私はとりあえずナイフを退けてくれという要求を出すことにした。
「なんだ?」
「初対面の人間にナイフを向けるなど、無礼だと思わないのですか?それとも、あなたは私を殺したいの??ねぇ、答えて。」私は、ナイフになど怯えていないという態度で相手に接することにした。
ナイフに怯えていると分かれば、相手の思うつぼだ。
それは実に腹立たしいし、不愉快。
「それは無理だな…」
「ですよねー。」
私は、ぎゅっと目を瞑った。
神経を集中させて、遠くから微かに聞こえてくる足音に集中する。コツコツと近づく足音。この靴音は少し独特な音。自信のある歩き方。これは…オーウェルの足音。
きっと、オーウェルがこの状況から助け出してくれるはず。
私はそう考えた。すると、身体の震えも止まり、自然と落ち着き
取り戻せていた。
「悪いけど、私あなたに殺されたりはしないわ。それに、あなたが先代を殺したのにも理由があったのでしょう?」私がそう言うと、ルーシュは驚いた表情をしている。
「どうしてそう思うんだい?」
「あなたは、この前廊下で会ったとき、とても悲しそうな目をしていた。それは人殺しの目ではない。どこか…深い悲しみを背負った目だったの。私で良かったら聞かせてくれない?あなただけのほんとの声を。」私はナイフを恐れずに彼にそう訴えかけた。
「君はすごいね。」ルーシュはそう言うと、ナイフをしまった。
「俺の悲しみに気づいた人は君が初めてだよ。えりん。」
「聞かせて。あなたの苦しみを。」
「でも、いいんだ。俺は背負って生きていかなければならないんだ。だから…っと。オーウェルが来たね。僕はもう行くよ。じゃあね。」彼はそう言うと、私に背を向けて歩き出した。
「あなたは…誰?」
「俺はルーシュ。一応、後継者候補だよ。さっきはナイフを向けてごめん。じゃあね。」彼はそう言うと、消えてしまった。
「ルーシュ…あなたは…一体…」
「えりん様!!」オーウェルが走ってこちらに向かってくる。
「あっ、オーウェル。」私がそう言うと、オーウェルは鬼の形相で私の方を睨んでくる。
「稽古を投げ出すとは。呆れたものです。」
「すみません。」私は素直に謝った。
この状況で命の危険にあっていた…なんて口が裂けても言えません。
オーウェル怖い。
「あとで、ナジと共にランニングですからね!」
「えー…」
「えーじゃない。」
「だって。ナジくん、体力底なしなんだもん。無理だよー。」
「あなたも体力をつけて下さい。」
「体力なくても大丈夫。生きていけるわ。」
「いちいち五月蝿いですね。その口塞いで差し上げましょうか?」そう言うと、オーウェルは私に顔を近づけてくる。
私はすぐにオーウェルと距離を取ると、「分かった!ちゃんとランニングするから!」とわたわたしたながら、言った。
あのまま、ぼけーっとしていたら今頃私はどうなっていたのやら…。
想像するのも恐ろしいレベルよね。
うぇー。オーウェルには気をつけよーっと。
「さぁ。礼儀作法の勉強ですよ。その後、ダンスの稽古。いいですね?」
「はーい。せんせー。」
「わかったら、さっさとする!!」
「ほーいっ!」私はそう言うと、椅子に座った。
私がこの後、オーウェルに厳しく鬼のような指導を受けたのは言うまでもない。
その後、ナジとのランニングが待っているのだと考えると、私は泣きたくなりました。
こんにちは。
桜が綺麗に咲いてますね。
因みに僕は、花より団子な人間です←
ルーシュさん、怖いー。
いきなりナイフ突きつけられたら誰だってイヤだよ!
というか、どうして主人公はそんなにも冷静なのさっ!
すごく、突っ込みたいのですが、あくまでもエリンギなのでね。
キノコなので←
まぁ、大丈夫でしょ!って感じですね。
因みにオーウェルさんが口を塞ごうとしたシーン。
あのまま、放置していればオーウェルはエリンギに、接吻していたことでしょう(笑)
でも、それはまださせません!!
「出会って一週間でキスするとか!?…有り得ない!」という事からです。
これからどうなるのですかね?(遠い目
これからも、あたたかい目で見守って下さい!
頑張ります!なので、見捨てないで下さい!
今、少しずつではありますが、お気に入り件数やアクセス回数が増えつつあり、僕は嬉しくてはうっきうっきしてるので!!
どうか、これからもあたたかく見守って下さいませ。
ではでは。