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本音と不安は隠せない

「だから・・。どうしてこんなのも、分からないんだ?お前の脳味噌、とけてるんじゃねーの??大丈夫か?病院いく?」

「煩いわね。私、歴史とか苦手なの!!あと、私の脳味噌は正常よ。そっちの脳味噌の方が病院にいったほうがいいわ。」私はそういうと盛大にため息をついた。

「ため息つきたいのはこっちだっての。」


どうしてこんな事になっているのだか。

じゃあ、ちょっと思い返して見よう!!!!

じゃないと、このアランの厳しさが伝わらないもんね☆←


あの後、私の部屋に案内された。

しかし、そこには既に山積みになった本が部屋を埋めていた。

「まさか、これ全部勉強しろとかいうんじゃないわよね?」

「はあ?お前、国のトップに立つのにこれくらい勉強するのは当たり前だろ?」

「まあ、それは正論なのかもしれないけど・・。流石にこれは・・・・。出来るのかな・・。ぎゃあああああーーーーーーーーーーーーー。」

「叫ぶな、煩い。俺が、変な事してるって、勘違いされちゃうかもしれないだろ?悲鳴あげるな。あと、その本。ちゃんとやるよな?できるよな?できるかな・・・じゃない。やらなきゃ駄目。逃げるのも駄目。お前にとって、この世界はどってことないのかも知れない。でも、お前は今、この世界に居る。だったら、お前がいるこの世界が今、えりんにとっての現実なんじゃないのか?お前はこの国のトップ。やるしかないんだ。」アランの声は急に怒りに満ちた声に変わった。


「そうかもしんないけど、でも!!理不尽よ!私には元の世界の記憶が無い。この世界がなになのかも分からない。何を信じていいのかも・・・。わかんないの・・・。だから、急に与えられた課題だけをこなせと命令されても、無理だよ。・・頑張れないよ。少しだけ自分のこと、みんなに言われて思い出したよ?名前、年齢、学校での成績。でも、思い出せたのはそれだけなの。名前だって、オーウェルに聞いたから思い出せた。成績は、君と言い争ってたら思い出せてたの。高校生であることも!!それなのに・・・。他の事はなにも分からない。それが、どれだけ不安なことなのかアランには分からないでしょ!?それが、どれだけ怖いことなのか。アランには、私の気持ちなんてわかんないでしょ!?」私は自分でも抑えきれないほどの不安を、気づかない間に抱えていたようだ。


オーウェルには言わなかった不安な気持ち。

笑いかけてくれるオーウェルには心配をかけたくなくて。

でも、どうしてなんだろう??

アランには全部吐き出して聞いてほしい、自分の本音を聞いてほしい、支えてほしい・・・そう思った。


「諦めたくない、この国を救いたい。それだけで頑張れるほど、私は我慢強くないの。だから、支えてくれるひとが欲しい。たすけ・・・てっ。」私は叫ぶだけ叫ぶと泣き出してしまった。

本当に、弱くてどうしようもないな・・・と思う。


「そっか。悪かったな・・。お前のこと、全然考えてやれてなかった。許してくれ。ごめんな・・。」アランはそういうと、泣いたままの私をぎゅっと抱きしめた。


「アラン・・。」私はアランの服をぎゅっと握る。

「でも、俺たちも今必死なんだ・・・。なんとかして、この国を守りたいって。だから、その焦りから、えりんにも負担をかけていたのかも知れない。ほんと、ごめんな。でも、覚えておいてくれ。お前はいつだって、一人じゃない。俺がいる。俺だけじゃない・・オーウェルだって、ナジだって。辛くなったら泣いていい。抱え込まなくていい。頼ってくれよ?だから、一人でなんでも頑張らないとって思う必要はない。少しづつでいいから、一緒に頑張ろうぜ。」アランは私にまわしたままの腕に力を入れた。

少し苦しいけれど、アランが一人じゃないって葉だけじゃなく伝えようとしてくれているのが分かる。

「うん・・。ありが・・と。」

いつの間にか私の中に溜まっていた不安は、綺麗に消えていた。


「私・・・。どれだけ、できるか分からないけど・・。頑張ってみる。もしかしたら、それは苦しくて辛い道になるのかもしれない。でも、私頑張る。それが誰かの約に立てるのなら・・。今は自分のことだけ考えてる場合じゃないもんね。この国の状況を考えたら、自分が自分がって言ってる場合じゃない。私は、今、この国の国民を守りたい。・・・子どもたちやみんなが笑って暮らせるそんな国にしたい。私のこの命が誰かの役に立てるというのなら、それが私の頑張る理由だよね。・・十分すぎるくらいに。アランのおかげで、目、覚めたよ。私のしなきゃいけないことも見つけた。後は、努力するだけだよね?」私はアランの背中にそっと手をまわした。

アランの背中はたくましくて、広くて、男の人の背中だった。


「ああ。やっぱり、えりんで良かった。この国に来た奴が・・・。こんな根性のある奴、なかなかいねぇよ。」

「ふふふ。流石わ・た・し!!」私はアランの腕から解放されると、涙を拭った。

「調子に乗るなよっ!」

「えへへー。」

「それにさ。記憶もすぐには・・・無理かもしれないけど、少しづつ思い出せるようになるって。」アランは励ますように私にそういってくれる。


なんだかんだ言って、アランは優しいんだ。


「さっ。勉強しようか、えりんちゃん。頑張る理由も見つけたことですし・・。」

「ひょえ??」

「さっさと、勉強するぞ、このエリンギ!!!!」

「はーーーーーーーーーーーーーーーーーい。」

「なんだ、そのやる気のない返事。」

「はい、アラン先生。」

「よろしい。」アランはそういうと、分厚い本を運んできて、私に手渡した。

暑さ、3センチはあるような・・・・。

というか、ものすごく重たいです。


「これ、暗記しろ。一週間な。」アランは涼しげな顔でそう言って、机の側の椅子に腰を下ろした。

「はーーー?????」

「ほれ、さっさとするの。」そういうと、アランは自分の隣の椅子をぽんぽんと叩いて、私に座るように言った。

こうして、私の勉強は始まったのでした。



同時刻。


「戻ったのですね、ルーシュ。」廊下にオーウェルの声が響く。

「ああ。先ほどな。」長髪の男は答えた。

「えりん様にはお会いに?」

「さっき、ぶつかった。」

「そうでしたか・・・。」オーウェルはそう言うと、窓の外を眺めた。

外は、良い天気で小鳥のさえずりが聞こえてくる。

窓から差し込むあたたかな日差しが気持ちいい、この時間。

ルーシュもつられるように、窓の外を眺める。


「ところで、あのような子が国のトップで大丈夫なのか、この国は。」ルーシュは視線をオーウェルに戻しながらそう問いかけた。

「ええ。彼女は強いですよ。あなたとは違って。逃げたりしない。彼女なら、この国のトップを任せられる。そう思うのです。」


「俺は、彼女のような人が嫌いだ…。真っ直ぐで、純粋で。俺は、いつかあの子を殺してしまうかもしれない。」ルーシュは唇をぎゅっと噛んだ。

「無理だと思いますよ。」オーウェルはそう言うと、にっこりと笑った。

「どうしてそんな事言えるんだ!?」ルーシュは声を荒げる。

「彼女はあなたには負けませんから。あれだけの覚悟のある人はなかなか居ません。彼女は強いです。では、また後ほど。」オーウェルはそう言い残し、去っていった。


「おもしろいな・・・。」ルーシュはそう言ってにやりと笑った。



あれ!?ナチュラルにルーシュさんと名前が判明しましたね。

彼は、えりんに襲いかかってくるのでしょうか??

って、前回もそんなこと言ってた気が・・・(汗


もう少しすれば、いろいろ分かってくると思うので!!

最後まで、見守って頂ければうれしいです。

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